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第1章 ~ノワール国~
ノワール国 その 10
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旅人よ 廻れ廻れ 廻り廻って 総てを壊せ。
旅人よ 巡れ巡れ 巡り巡って 総てを愛せ。
時の旅人よ 総ては お前の意のままに。
吟遊詩人が吟うはノワール闘技場の入り口。
そこには暗黒騎士が数人立ち塞がり観客となる人々から入場料を回収している。
「並べ並べ!!入場料は1人500ゼニーだぁ!!」
言ってみれば国の存亡を賭けた決闘のようなも、見たくもなる民衆はいるのは解るが…決闘とはこういうものなのだろうか?
「おにいさん!おにいさん!角のおにいさん!」
「ぬ?」
「ん?」
シチリが振り向く先には顔をストールで隠した妖艶な大人の女性がいた。
「え~と…シチリの知り合いか?」
「ぬ~?」
シチリは首を捻る。
「やっぱり角のおにいさんだ。決闘の張り紙を見てさ、もしかしたらなぁ~と思ってさ!ほら!あたしだよ!あたし!バニーバニーの!」
「バニーバニーだとっ!?」
聞いたことがある!酒場と…その…女が男の相手をするという…いかがわしい店の名だ…!
シチリも男だし…その…興味があるのは解るが…。
いつの間にそのような店に行くようになったのだ…?
「あっ!あの時のねえさんか…!」……ぬ?」
シチリは徐に女性のストールに手を掛ける。
「あっ!ちょ、ちょっとおにいさん!?」
「何をしているシチリ!!こんな朝から女性の衣類に手を掛けるなんて!!いや、夜ならいいとかそういう問題とかでは無くてだなぁ!!」
「…誰にやられた?」
え?ヤられた?もう?え?
多少混乱しつつ私も女性の顔を見る。
殴られたのか美しかっただろう顔が晴れ上がっていて痛々しい。
女性は直ぐにストールで顔を隠す。
「ははは、昨夜にさ、暗黒騎士団の連中が来てね…。」
暗黒騎士団。
「ぬ?何故奴らに?」
「アイツらうちの若い子が嫌がってるのに言うこと聞いてくれなくてさ、ガツンと言ってやったのさ!」
そして、ガツンとやられたのか…。
暗黒騎士団といえば『国土無き国』。一人一人が王族と変わらぬ立場に当たる。
そんな人にガツン言うなんて…命があるだけマシってヤツだ…。
「その若い子は?無事なのかい?」
「いや、今も床に横になってるよ…酷い有り様さ…当分、仕事は出来ないね…。」
「酷い…。」
「ぬー…。」
シチリは女性の顔に両手を添え自分の顔を近づける。
女性の頬がうっすらと赤くなる。
「ちょっと、おにいさん…なんだい?」
「シチリだ、七梨 タカ。それが俺の名前だ…お前は?」
「シチリ…?」
「そうだ。」
「わたしは…ミストだよ。」
「そうか、ミストか…負けれぬ理由が1つ増えたな…。」
シチリは振り返り1人闘技場へと進んでいく。
表情は見えないが…シチリの角が鋭く天を突いている。
シチリは明らかに怒っているようだった。
「いきなり、なんだい…?年甲斐もなくドキドキしちゃったよ…。」
ミストという女性は頬に手を当ててる。
「あれ?ちょっと!貴女!」
「え?なんですかアリス様?」
「その顔!!」
「顔?これは、さっきも言いましたが暗黒騎士…」
「違うくて!傷が治ってるの!」
「え?そんな、冗談を………あれ?」
ミストは自分の顔を擦る…何処も腫れ上ってはいない…。
何度も触る、さっきまでの腫れは何だったのか…自分自身どうなっているのか解らないといった状況だ。
「え!?奥歯が生え揃ってる………。」
ミストの顔は先ほどシチリが…まさか、シチリは回復魔法も使えるのか?
ドーーーーーーーーン!!!!
闘技場の銅鑼が鳴り響く。
「そろそろ始まるな、では私はこれで失礼する。」
「はい、私も客席へ行きます…。」
ミストに一礼して私も会場へと進んでいく。
闘技場の中では4角形の石畳のリングを観客席が円柱の形で囲んでいる。
観客のノワールの民は内4割程度しか居らず残りは暗黒騎士団が占めていた。
「遅いぞ、アリス何をしておったのだ。」
客席で車椅子に乗った父上が私の場所を取っていた。
「申し訳ございません…父上。あの、シチリについて父上の耳に入れたいことが…。」
「婿殿についてだと…?」
「む…婿殿……?い、いつ…のまに…そんな…関係に?」
「え?」
振り向くとゴスロリ少女。
「カイン!?」
「むぅ。」
「…さん。」
「うむ…。」
私がお姉さん!と小さい胸を張る。
「アリスよ。」
「はい、父上。」
「婿殿ならあそこだ。」
「え?」
リングの上に白いジャケット。
角の様な髪の毛は風に揺れながらも鋭く天を突いている。
シチリがリングに居るのは解るが…相手が違う。
ラザニー軍団長ではない別の騎士が木剣をシチリに向けている。
暗黒騎士団特有の鎧は着ているが兜は着けておらず、丸出しの頭は髪の毛が無いのだが眉毛だけが太く生え揃っている。
うん、見た目はシチリの圧勝だな!!
「聞け!愚か者よ!」
「…ぬ?」
「我が軍団長は、禁忌のアイテムでもある『10億年ボタン』を連打使用した修練で更にレベルが上昇した!それゆえ!レベルの差が大きく開いた!」
どよめく場内。
1人ポカーンとしているシチリ。
「その『なんちゃらボタン』って何?」
「貴様…『禁忌のアイテム』を知らんのか?」
「知らん。」
「ふはははは!!驚いた!!愚か者だけでなく、とんだ田舎者なのだな!」
笑う騎士を冷めた目で見るシチリ。
「いいだろう!教えてやる!『10億年ボタン』とはなぁ、1度押すと押した者の精神が10億年間ある場所に飛ばされるというアイテムなのだ!」
「ふーん。」
「向こうでの10億年はこちらでは一瞬!!しかも!その10億年分の経験値はそのまま引き継がれるといった優れものだ!!」
鼻を高くしての説明をシチリは、聞き流しながら観客席を見渡す。
「そんなアイテムを我が軍団長は連打で使用したからな!貴様のような愚か者とは天と地以上の差が生まれているのだよ!」
シチリの視線は観客席のミストを捉える。
「(おまえを、なぐったのは、コイツか?)」
タイプライター様な効果音でアイコンタクトを送るシチリ。
「(ああ、ソイツ、だよ!)」
同じく返信。
「今のまま闘うのは余りにも無謀!!スロースターターというのも理由にはしたくないだろう!!だから始めにこの俺様がお前と闘う!なぁに!我が軍団長と闘うのだ!俺は手加減してやるし、貴様がもういい!と言えば直ぐにやめてやるから安心しろ!」
「なんだ!それは!!!実質二体一ではないか!!決闘とは一対一ではないのか!!」
私は立ち上がる。
相手の男は私を見て。
「これが暗黒騎士の決闘だか、なにか文句があるのか!?これは優しさである!」
どよめくノワール側の観客席とは反対に暗黒騎士団側の観客席から歓声が上がる。
「いいぞぉ!ドラス!!」
「ちゃんと手加減してやれよぉ!」
「いや、寧ろお前が殺してしまえぇ!!」
ドラスと呼ばれた男は観客の歓声に手を振って応える。
「さぁ!我が軍団長が来る前に始めようか!!」
シチリはドラスに向かって歩き出す。
躊躇いもなく足を前に出す。
無謀にも腰の剣に手をつけず…。
ドラスの目の前で止まると…。
「お前、昨日店の女を殴っただろ?」
「なに?」
「殴っただ、ろ?」
「ふはは!それがどうかしたかぁ!?」
ドラスが剣を振り上げた瞬間…。
「………。」
シチリの右手が素早くドラスの顔へ延びる。
「ふぎゃ!?」
ドラスの顔の中心…鼻をシチリは摘まんだ。
ドラスはシチリを睨み付けながら「貴様…なんのつもり…ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
雄叫びにも似たドラスの悲鳴が響く。
先ほどまで歓声を上げていた暗黒騎士団達は何事かと静かになった。
私もよく見えないが…シチリはドラスの鼻をつねっているようだ…。
暗黒騎士団と言えど『鼻』は鍛えれるはずもなく…手にしていた木剣を手放しシチリの手を離そうとバタバタと踠いている。
「………。」
くいっ…(更に力を込める。)
「あぁぁぁぁぁぁぁおぉぉぉぉぉぉぉぉがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?」
「ちょっと来い…。」
ドラスの鼻を掴んだままシチリは観客席へと進んでいく。
連れていかれる姿はまるで犬の散歩のよう…。
「いでで、いでで、いでいででぇぇぇ~!」
客席に居たミストの前で止まり。
「お前…昨日あの人殴っただろ…?」
「あ゛あ゛ぁぁ!?」
「謝れよ。」
くいっ…(更に力…。)
「あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁ…!!」
「謝れって…。」
くいっ…(更に…。)
「ががぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…!!」
鼻先は赤黒く変色して限界だということをしめしていた。
「謝ったら放してやる。」
(ちょっと緩める。)
「なぁ…なんだと!?」
(そして絞める。)
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「…もう一度言う、謝ったら放してやる。」
「はぁぁぁぁぁなっせっぇぇぇぇぇぇぇ!」
「え~~聞こえなぁい?なんだってぇ?」
「わぁぁかったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!謝る!謝るからぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「よし、謝れ。」
パッと手を離すと、鼻を押さえてドラスは踞ってしまった。
「ぅぅぅ…。」
「おい…まだか…?…3!2!1!」
「す゛い゛ま゛せ゛ん゛て゛し゛たぁぁぁぁぁ!!!」
涙を流しながら謝るドラス。相手は泣く子も黙る暗黒騎士なのにシチリはその暗黒騎士の1人を泣かせてしまった。
「よし、これでかんべんしてやってくれミスト。」
「あぁ…わかったよ…。」
観客席は静寂する。
ノワール側は暗黒騎士に手も足も出ないでシチリが負けてしまうと、ノワール国は暗黒騎士に支配されてしまうと絶望していた。
暗黒騎士側は『決闘』という名の見せしめ、泣き叫び断末魔を上げるのはチャレンジャーの方で単なる殺戮ショーだと思い込んでいた。
暗黒騎士ドラス
彼は決して弱くない。
暗黒騎士部隊のトップ約束されていた実力者。
そんな彼が、マトモな鎧も装備しておらず、剣も抜いていない男相手に膝間つく形になっている。
シチリは鼻から離した手を今度はドラスの頭に乗せる。
「…え?」
「ぬ~…。」
シチリの目が冷たく光る。
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
アイアンクロー。
シチリの腕は筋肉質だが決して太くはない。
言うなら農家や漁師の方が太いくらいだ。
なのに…強い。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ドラスの頭蓋骨がミシミシと悲鳴を上げ始める。
「やめろぉぉぉ!!離してくれぇぇぇ!!」
「………お前…。」
シチリの目は冷たい。
「お前、昨日女の子が止めてと言って止めたか?」
「えぇ…!?」
「なんで、お前が止めなかったのに俺が止めないとならないんだ…おい?」
「ひぃぃぃぃぃ…!」
「俺はね…女の子顔を殴るなとは言わない…死んでも女に手を出さない…それが俺の騎士道だ…!……ってアホか!っと思う。」
場内がざわつく。
「それで死んだらもう目も当てられないな…決死の覚悟で挑んできた相手に女だからという理由で手を抜くのは相手を侮辱していると俺は考えてるの…でもね…。」
シチリの目つきが鋭くなる。
「相手が非戦闘員で且つ義が向こうにあるものなら別だ………!」
「ひぃぃぃぃ…!!!」
シチリの拳がドラスの顔面目掛けて伸びる。
「待てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇい!!!」
観客がその声の主を探す。
漆黒の装備一式。
あらゆる状態異常を無効にする兜。
紅蓮の炎を吸収無効化する、右の籠手。
凍てつく氷を吸収無効化する、左の籠手。
怒れる雷を寄せ付けぬ、鎧。
荒ぶる大地を鎮める、臑当。
風に靡くマントは強風を操る。
チート級装備の暗黒騎士団 団長。
ラザニー。
「戦う意志無き者への暴力は許さん!!!」
暗黒騎士側の観客が再び息を吹き替えしたかのように盛り上がる。
そして、ブーイングの嵐。
「そうだそうだ!」
「相手は無防備だぞ!!」
「弱いものにしか強がれないのか!!!」
場内がブーイングに包まれそうな雰囲気の中、ドラスの顔スレスレで1度止まった拳……だったが。
ガコン!!!
『ワンインチパンチ』
僅かくらいしか間が開いていなかったがシチリの拳はドラスを壁まで吹き飛ばした。
「貴様!!!」
せっかく自分がやめろ!と言ったのに目の前の愚か者はお構いなしにドラスを殴り飛ばしフラフラと歩いてくる。
「ぬ~…すまんなぁ~…ちょっとだけ当たったちゃった。」
「きぃ~さぁ~まぁ~…!!!」
「ごめんって。」
頭に来ているラザニーに対してへらへらとしているが目が笑っていないシチリ。
傍から見ると。
完全防備のラザニーと腰に剣を差しているがそれを除けば休日に出掛けるような姿のシチリ。
「貴様!!後悔するなよ!!」
「守りを堅くして…そんなに俺が怖いのかい?だったら最初からやめればよかったのに…。」
「なにを~!!!」
睨み付けるラザニーとそれを受け流してるシチリ。
ノワール国側観客席でアリスの父、アレク - へーリオスが「がはは」と笑う。
「父上?」
「暗黒騎士流の決闘にはいささか興味があったが、いざ蓋を開けると強者による戯れだったとは。」
「それでも騎士かよ。」
「ハハハ、こうなりゃどっちが挑戦者か解らんな。」
ヤジを飛ばし、クスクスと笑だす観客。
「だ~~~~~~~~~ま~~~~~~~~~れ!!!」
ラザニーの咆哮。
「これが我がっ!暗黒騎士団の!流儀っ!!
挑戦者に全力で応える!!それが!王としての義務なのだ!!」
「ぬ?挑戦者?これは決闘ではないのか?それにラザニーから吹っ掛けて来たんじゃないか…言えばお前が挑戦者だろ…。」
「貴様っ!!それと観客ども!!それ以上言うと我々へと侮辱として罰を与える!!」
次々と剣を抜く暗黒騎士達。
自分等に不都合な事があると斬る。
これが噂の暗黒騎士。
どよめくノワール側の観客。
「なんの騒ぎだ?」
優しくも力強い声の主は、『ノワール王国 国王 グライス - ノワール』
その後ろには 王女 エリカ - ノワールが続く。
「ラザニー王、なぜ暗黒騎士団は剣を抜いている?」
「ノワール王よ聞いてくれ!このもの達は我々を侮辱したのだ!もはや罪人だ!!」
「侮辱?罪人だと?」
グライス王はラザニーとシチリを見る。
「ラザニー王、見ると両者の装備に差があるのではないか?」
「何を言うノワール王よ!これが我々の決闘だ!!これが正しい!!」
「ふむ…シチリよ。お前はどうだ?不服はないか?」
「ぬ?全然。」
「シチリ!!!」
普段と変わらぬ態度のシチリにエリカが声をあげる。
「ぬ?」
「我が父でありノワール王の前である!膝をつきなさい!」
「おや、申し訳ない。」
自分の時とは違いエリカ王女の命をすんなりと受け入れるシチリをラザニーは睨む。
「ラザニー様、私達の用意は整いました。」
純白ドレス姿のエリカの後ろには同じ白いドレス姿のヴァルキリー隊。
エリカ王女のその美しい金色の髪には一際輝くダイヤが装飾しているティアラが乗せられている。
「おお!エリカ王女!やはり花嫁は純白ドレスですな!それにお贈りしたそのティアラも似合っている!」
「ありがとうございます、ラザニー様。後はラザニー様の勝利のみでございます。」
「勿論ですとも!!さっさとこの愚か者を打ち負かし貴女の元へと向かいましょう!」
「双方とも用意は良いな…では、決闘開始!!!」
グライス王の掛け声と共に開始の銅鑼が鳴り響く。
向き合う両者。
白熱する観客。
アリスも頑張れと声を上げ、カインも「や…れ~…!」と声援を贈る。
「愚か者よ、貴様盾はどうした?」
「ぬ?盾?」
「これだから愚か者は…それ以外で何で身を護るつもりか?」
「ぬ~…盾なんて1度も使ったことがないしなぁ…それに当たらなければいいのでは?」
「いちいち癪に障る…まぁいい、初めの一撃は貴様に譲ろう…撃ってこい。」
「ぬ?いいの?」
「王者として挑戦者の攻撃を受けるのは当然だ。」
「じゃ、遠慮なく…。」
鏡花口伝 シャドーウォーク…!
ラザニーの視界からシチリの姿が消える。
「!?」
そして、パッと目の前に突然姿を表したシチリにラザニーは驚きはしたが最高防御の鎧があるためにわざと無防備にしていた。
(その剣を折ってくれる…!)
「どーーーん!!」
「!?ぐはっーーーーーー!?」
シチリが繰り出したのは腰の剣ではなく己の右足。
前蹴り別名 喧嘩キック。
仮に剣での攻撃であった場合はその防御力ゆえ剣が折れる恐れがある。
事実、暗黒騎士団の決闘での常套手段となっている。
折れた剣で何も出来ない相手に圧倒的な状況で勝つ、それがラザニーであったが…いかに最高の防御力を持っている鎧でも衝撃は来る。
シチリの最高速度が乗った脚がラザニーの胸の中心であるみぞおちへ直撃したのだ。
もろに食らったラザニーは、そのままの流れで後ろに倒れる。
「ぬ、弱っ!?」
旅人よ 巡れ巡れ 巡り巡って 総てを愛せ。
時の旅人よ 総ては お前の意のままに。
吟遊詩人が吟うはノワール闘技場の入り口。
そこには暗黒騎士が数人立ち塞がり観客となる人々から入場料を回収している。
「並べ並べ!!入場料は1人500ゼニーだぁ!!」
言ってみれば国の存亡を賭けた決闘のようなも、見たくもなる民衆はいるのは解るが…決闘とはこういうものなのだろうか?
「おにいさん!おにいさん!角のおにいさん!」
「ぬ?」
「ん?」
シチリが振り向く先には顔をストールで隠した妖艶な大人の女性がいた。
「え~と…シチリの知り合いか?」
「ぬ~?」
シチリは首を捻る。
「やっぱり角のおにいさんだ。決闘の張り紙を見てさ、もしかしたらなぁ~と思ってさ!ほら!あたしだよ!あたし!バニーバニーの!」
「バニーバニーだとっ!?」
聞いたことがある!酒場と…その…女が男の相手をするという…いかがわしい店の名だ…!
シチリも男だし…その…興味があるのは解るが…。
いつの間にそのような店に行くようになったのだ…?
「あっ!あの時のねえさんか…!」……ぬ?」
シチリは徐に女性のストールに手を掛ける。
「あっ!ちょ、ちょっとおにいさん!?」
「何をしているシチリ!!こんな朝から女性の衣類に手を掛けるなんて!!いや、夜ならいいとかそういう問題とかでは無くてだなぁ!!」
「…誰にやられた?」
え?ヤられた?もう?え?
多少混乱しつつ私も女性の顔を見る。
殴られたのか美しかっただろう顔が晴れ上がっていて痛々しい。
女性は直ぐにストールで顔を隠す。
「ははは、昨夜にさ、暗黒騎士団の連中が来てね…。」
暗黒騎士団。
「ぬ?何故奴らに?」
「アイツらうちの若い子が嫌がってるのに言うこと聞いてくれなくてさ、ガツンと言ってやったのさ!」
そして、ガツンとやられたのか…。
暗黒騎士団といえば『国土無き国』。一人一人が王族と変わらぬ立場に当たる。
そんな人にガツン言うなんて…命があるだけマシってヤツだ…。
「その若い子は?無事なのかい?」
「いや、今も床に横になってるよ…酷い有り様さ…当分、仕事は出来ないね…。」
「酷い…。」
「ぬー…。」
シチリは女性の顔に両手を添え自分の顔を近づける。
女性の頬がうっすらと赤くなる。
「ちょっと、おにいさん…なんだい?」
「シチリだ、七梨 タカ。それが俺の名前だ…お前は?」
「シチリ…?」
「そうだ。」
「わたしは…ミストだよ。」
「そうか、ミストか…負けれぬ理由が1つ増えたな…。」
シチリは振り返り1人闘技場へと進んでいく。
表情は見えないが…シチリの角が鋭く天を突いている。
シチリは明らかに怒っているようだった。
「いきなり、なんだい…?年甲斐もなくドキドキしちゃったよ…。」
ミストという女性は頬に手を当ててる。
「あれ?ちょっと!貴女!」
「え?なんですかアリス様?」
「その顔!!」
「顔?これは、さっきも言いましたが暗黒騎士…」
「違うくて!傷が治ってるの!」
「え?そんな、冗談を………あれ?」
ミストは自分の顔を擦る…何処も腫れ上ってはいない…。
何度も触る、さっきまでの腫れは何だったのか…自分自身どうなっているのか解らないといった状況だ。
「え!?奥歯が生え揃ってる………。」
ミストの顔は先ほどシチリが…まさか、シチリは回復魔法も使えるのか?
ドーーーーーーーーン!!!!
闘技場の銅鑼が鳴り響く。
「そろそろ始まるな、では私はこれで失礼する。」
「はい、私も客席へ行きます…。」
ミストに一礼して私も会場へと進んでいく。
闘技場の中では4角形の石畳のリングを観客席が円柱の形で囲んでいる。
観客のノワールの民は内4割程度しか居らず残りは暗黒騎士団が占めていた。
「遅いぞ、アリス何をしておったのだ。」
客席で車椅子に乗った父上が私の場所を取っていた。
「申し訳ございません…父上。あの、シチリについて父上の耳に入れたいことが…。」
「婿殿についてだと…?」
「む…婿殿……?い、いつ…のまに…そんな…関係に?」
「え?」
振り向くとゴスロリ少女。
「カイン!?」
「むぅ。」
「…さん。」
「うむ…。」
私がお姉さん!と小さい胸を張る。
「アリスよ。」
「はい、父上。」
「婿殿ならあそこだ。」
「え?」
リングの上に白いジャケット。
角の様な髪の毛は風に揺れながらも鋭く天を突いている。
シチリがリングに居るのは解るが…相手が違う。
ラザニー軍団長ではない別の騎士が木剣をシチリに向けている。
暗黒騎士団特有の鎧は着ているが兜は着けておらず、丸出しの頭は髪の毛が無いのだが眉毛だけが太く生え揃っている。
うん、見た目はシチリの圧勝だな!!
「聞け!愚か者よ!」
「…ぬ?」
「我が軍団長は、禁忌のアイテムでもある『10億年ボタン』を連打使用した修練で更にレベルが上昇した!それゆえ!レベルの差が大きく開いた!」
どよめく場内。
1人ポカーンとしているシチリ。
「その『なんちゃらボタン』って何?」
「貴様…『禁忌のアイテム』を知らんのか?」
「知らん。」
「ふはははは!!驚いた!!愚か者だけでなく、とんだ田舎者なのだな!」
笑う騎士を冷めた目で見るシチリ。
「いいだろう!教えてやる!『10億年ボタン』とはなぁ、1度押すと押した者の精神が10億年間ある場所に飛ばされるというアイテムなのだ!」
「ふーん。」
「向こうでの10億年はこちらでは一瞬!!しかも!その10億年分の経験値はそのまま引き継がれるといった優れものだ!!」
鼻を高くしての説明をシチリは、聞き流しながら観客席を見渡す。
「そんなアイテムを我が軍団長は連打で使用したからな!貴様のような愚か者とは天と地以上の差が生まれているのだよ!」
シチリの視線は観客席のミストを捉える。
「(おまえを、なぐったのは、コイツか?)」
タイプライター様な効果音でアイコンタクトを送るシチリ。
「(ああ、ソイツ、だよ!)」
同じく返信。
「今のまま闘うのは余りにも無謀!!スロースターターというのも理由にはしたくないだろう!!だから始めにこの俺様がお前と闘う!なぁに!我が軍団長と闘うのだ!俺は手加減してやるし、貴様がもういい!と言えば直ぐにやめてやるから安心しろ!」
「なんだ!それは!!!実質二体一ではないか!!決闘とは一対一ではないのか!!」
私は立ち上がる。
相手の男は私を見て。
「これが暗黒騎士の決闘だか、なにか文句があるのか!?これは優しさである!」
どよめくノワール側の観客席とは反対に暗黒騎士団側の観客席から歓声が上がる。
「いいぞぉ!ドラス!!」
「ちゃんと手加減してやれよぉ!」
「いや、寧ろお前が殺してしまえぇ!!」
ドラスと呼ばれた男は観客の歓声に手を振って応える。
「さぁ!我が軍団長が来る前に始めようか!!」
シチリはドラスに向かって歩き出す。
躊躇いもなく足を前に出す。
無謀にも腰の剣に手をつけず…。
ドラスの目の前で止まると…。
「お前、昨日店の女を殴っただろ?」
「なに?」
「殴っただ、ろ?」
「ふはは!それがどうかしたかぁ!?」
ドラスが剣を振り上げた瞬間…。
「………。」
シチリの右手が素早くドラスの顔へ延びる。
「ふぎゃ!?」
ドラスの顔の中心…鼻をシチリは摘まんだ。
ドラスはシチリを睨み付けながら「貴様…なんのつもり…ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
雄叫びにも似たドラスの悲鳴が響く。
先ほどまで歓声を上げていた暗黒騎士団達は何事かと静かになった。
私もよく見えないが…シチリはドラスの鼻をつねっているようだ…。
暗黒騎士団と言えど『鼻』は鍛えれるはずもなく…手にしていた木剣を手放しシチリの手を離そうとバタバタと踠いている。
「………。」
くいっ…(更に力を込める。)
「あぁぁぁぁぁぁぁおぉぉぉぉぉぉぉぉがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?」
「ちょっと来い…。」
ドラスの鼻を掴んだままシチリは観客席へと進んでいく。
連れていかれる姿はまるで犬の散歩のよう…。
「いでで、いでで、いでいででぇぇぇ~!」
客席に居たミストの前で止まり。
「お前…昨日あの人殴っただろ…?」
「あ゛あ゛ぁぁ!?」
「謝れよ。」
くいっ…(更に力…。)
「あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁ…!!」
「謝れって…。」
くいっ…(更に…。)
「ががぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…!!」
鼻先は赤黒く変色して限界だということをしめしていた。
「謝ったら放してやる。」
(ちょっと緩める。)
「なぁ…なんだと!?」
(そして絞める。)
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「…もう一度言う、謝ったら放してやる。」
「はぁぁぁぁぁなっせっぇぇぇぇぇぇぇ!」
「え~~聞こえなぁい?なんだってぇ?」
「わぁぁかったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!謝る!謝るからぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「よし、謝れ。」
パッと手を離すと、鼻を押さえてドラスは踞ってしまった。
「ぅぅぅ…。」
「おい…まだか…?…3!2!1!」
「す゛い゛ま゛せ゛ん゛て゛し゛たぁぁぁぁぁ!!!」
涙を流しながら謝るドラス。相手は泣く子も黙る暗黒騎士なのにシチリはその暗黒騎士の1人を泣かせてしまった。
「よし、これでかんべんしてやってくれミスト。」
「あぁ…わかったよ…。」
観客席は静寂する。
ノワール側は暗黒騎士に手も足も出ないでシチリが負けてしまうと、ノワール国は暗黒騎士に支配されてしまうと絶望していた。
暗黒騎士側は『決闘』という名の見せしめ、泣き叫び断末魔を上げるのはチャレンジャーの方で単なる殺戮ショーだと思い込んでいた。
暗黒騎士ドラス
彼は決して弱くない。
暗黒騎士部隊のトップ約束されていた実力者。
そんな彼が、マトモな鎧も装備しておらず、剣も抜いていない男相手に膝間つく形になっている。
シチリは鼻から離した手を今度はドラスの頭に乗せる。
「…え?」
「ぬ~…。」
シチリの目が冷たく光る。
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
アイアンクロー。
シチリの腕は筋肉質だが決して太くはない。
言うなら農家や漁師の方が太いくらいだ。
なのに…強い。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ドラスの頭蓋骨がミシミシと悲鳴を上げ始める。
「やめろぉぉぉ!!離してくれぇぇぇ!!」
「………お前…。」
シチリの目は冷たい。
「お前、昨日女の子が止めてと言って止めたか?」
「えぇ…!?」
「なんで、お前が止めなかったのに俺が止めないとならないんだ…おい?」
「ひぃぃぃぃぃ…!」
「俺はね…女の子顔を殴るなとは言わない…死んでも女に手を出さない…それが俺の騎士道だ…!……ってアホか!っと思う。」
場内がざわつく。
「それで死んだらもう目も当てられないな…決死の覚悟で挑んできた相手に女だからという理由で手を抜くのは相手を侮辱していると俺は考えてるの…でもね…。」
シチリの目つきが鋭くなる。
「相手が非戦闘員で且つ義が向こうにあるものなら別だ………!」
「ひぃぃぃぃ…!!!」
シチリの拳がドラスの顔面目掛けて伸びる。
「待てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇい!!!」
観客がその声の主を探す。
漆黒の装備一式。
あらゆる状態異常を無効にする兜。
紅蓮の炎を吸収無効化する、右の籠手。
凍てつく氷を吸収無効化する、左の籠手。
怒れる雷を寄せ付けぬ、鎧。
荒ぶる大地を鎮める、臑当。
風に靡くマントは強風を操る。
チート級装備の暗黒騎士団 団長。
ラザニー。
「戦う意志無き者への暴力は許さん!!!」
暗黒騎士側の観客が再び息を吹き替えしたかのように盛り上がる。
そして、ブーイングの嵐。
「そうだそうだ!」
「相手は無防備だぞ!!」
「弱いものにしか強がれないのか!!!」
場内がブーイングに包まれそうな雰囲気の中、ドラスの顔スレスレで1度止まった拳……だったが。
ガコン!!!
『ワンインチパンチ』
僅かくらいしか間が開いていなかったがシチリの拳はドラスを壁まで吹き飛ばした。
「貴様!!!」
せっかく自分がやめろ!と言ったのに目の前の愚か者はお構いなしにドラスを殴り飛ばしフラフラと歩いてくる。
「ぬ~…すまんなぁ~…ちょっとだけ当たったちゃった。」
「きぃ~さぁ~まぁ~…!!!」
「ごめんって。」
頭に来ているラザニーに対してへらへらとしているが目が笑っていないシチリ。
傍から見ると。
完全防備のラザニーと腰に剣を差しているがそれを除けば休日に出掛けるような姿のシチリ。
「貴様!!後悔するなよ!!」
「守りを堅くして…そんなに俺が怖いのかい?だったら最初からやめればよかったのに…。」
「なにを~!!!」
睨み付けるラザニーとそれを受け流してるシチリ。
ノワール国側観客席でアリスの父、アレク - へーリオスが「がはは」と笑う。
「父上?」
「暗黒騎士流の決闘にはいささか興味があったが、いざ蓋を開けると強者による戯れだったとは。」
「それでも騎士かよ。」
「ハハハ、こうなりゃどっちが挑戦者か解らんな。」
ヤジを飛ばし、クスクスと笑だす観客。
「だ~~~~~~~~~ま~~~~~~~~~れ!!!」
ラザニーの咆哮。
「これが我がっ!暗黒騎士団の!流儀っ!!
挑戦者に全力で応える!!それが!王としての義務なのだ!!」
「ぬ?挑戦者?これは決闘ではないのか?それにラザニーから吹っ掛けて来たんじゃないか…言えばお前が挑戦者だろ…。」
「貴様っ!!それと観客ども!!それ以上言うと我々へと侮辱として罰を与える!!」
次々と剣を抜く暗黒騎士達。
自分等に不都合な事があると斬る。
これが噂の暗黒騎士。
どよめくノワール側の観客。
「なんの騒ぎだ?」
優しくも力強い声の主は、『ノワール王国 国王 グライス - ノワール』
その後ろには 王女 エリカ - ノワールが続く。
「ラザニー王、なぜ暗黒騎士団は剣を抜いている?」
「ノワール王よ聞いてくれ!このもの達は我々を侮辱したのだ!もはや罪人だ!!」
「侮辱?罪人だと?」
グライス王はラザニーとシチリを見る。
「ラザニー王、見ると両者の装備に差があるのではないか?」
「何を言うノワール王よ!これが我々の決闘だ!!これが正しい!!」
「ふむ…シチリよ。お前はどうだ?不服はないか?」
「ぬ?全然。」
「シチリ!!!」
普段と変わらぬ態度のシチリにエリカが声をあげる。
「ぬ?」
「我が父でありノワール王の前である!膝をつきなさい!」
「おや、申し訳ない。」
自分の時とは違いエリカ王女の命をすんなりと受け入れるシチリをラザニーは睨む。
「ラザニー様、私達の用意は整いました。」
純白ドレス姿のエリカの後ろには同じ白いドレス姿のヴァルキリー隊。
エリカ王女のその美しい金色の髪には一際輝くダイヤが装飾しているティアラが乗せられている。
「おお!エリカ王女!やはり花嫁は純白ドレスですな!それにお贈りしたそのティアラも似合っている!」
「ありがとうございます、ラザニー様。後はラザニー様の勝利のみでございます。」
「勿論ですとも!!さっさとこの愚か者を打ち負かし貴女の元へと向かいましょう!」
「双方とも用意は良いな…では、決闘開始!!!」
グライス王の掛け声と共に開始の銅鑼が鳴り響く。
向き合う両者。
白熱する観客。
アリスも頑張れと声を上げ、カインも「や…れ~…!」と声援を贈る。
「愚か者よ、貴様盾はどうした?」
「ぬ?盾?」
「これだから愚か者は…それ以外で何で身を護るつもりか?」
「ぬ~…盾なんて1度も使ったことがないしなぁ…それに当たらなければいいのでは?」
「いちいち癪に障る…まぁいい、初めの一撃は貴様に譲ろう…撃ってこい。」
「ぬ?いいの?」
「王者として挑戦者の攻撃を受けるのは当然だ。」
「じゃ、遠慮なく…。」
鏡花口伝 シャドーウォーク…!
ラザニーの視界からシチリの姿が消える。
「!?」
そして、パッと目の前に突然姿を表したシチリにラザニーは驚きはしたが最高防御の鎧があるためにわざと無防備にしていた。
(その剣を折ってくれる…!)
「どーーーん!!」
「!?ぐはっーーーーーー!?」
シチリが繰り出したのは腰の剣ではなく己の右足。
前蹴り別名 喧嘩キック。
仮に剣での攻撃であった場合はその防御力ゆえ剣が折れる恐れがある。
事実、暗黒騎士団の決闘での常套手段となっている。
折れた剣で何も出来ない相手に圧倒的な状況で勝つ、それがラザニーであったが…いかに最高の防御力を持っている鎧でも衝撃は来る。
シチリの最高速度が乗った脚がラザニーの胸の中心であるみぞおちへ直撃したのだ。
もろに食らったラザニーは、そのままの流れで後ろに倒れる。
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