3 / 6
登場人物
2.残されたふたりは
しおりを挟む
「あー今日も来ないつもりかよぉぉ」
あれから一週間。木戸は声かけても「仕事がある」で、新妻はサボり。毎日最終下校時刻の十九時まで残ってみるが、全く来ない。
椅子からズルズルと落ちながら沢田はぼやいていた。
「あぁーこのまま二人が部活辞めたらどうしよー。先輩がせっかく同好会から部に引き上げてくれたのにー。双葉と俺だけになったら同好会に逆戻りだぁー」
「あのーさわちゃん部長、このままだと部長が考えてることよりひどいことになりますよー」
双葉はジュースを飲みながらだらだらと言った。
「え!?もっとひどいことって!?」
「このままだと、同好会じゃなくて廃部だよーって」
………。
「はっ!?なんで廃部!?ブグォッ!!」
沢田は双葉の方に身を乗り出した。勢いよく身を乗り出したせいでお腹を思いっきり強打した。
「あーあー、何やってんの」
「いや、勢いが出過ぎて……それで、なんで廃部…?部員二人なら同好会だろ?」
双葉は哀れみの視線を向けてきた。席を立ち、沢田の隣に座った。
「さわちゃん、相当お疲れだね。あのね、十一月の初めにある学校行事はなーんだ?」
いきなり何かと思ったが気が付いて、沢田はみるみる青くなった。
「さぁ、怖がらずに言ってごらん?」
「文化祭…ですカネ…」
双葉は静かにうなずいた。そしてさらに追い打ちをかけるように説明した。
「このままだと自作映画作れないよ?ここの学校クラスの出し物がない代わりに文化部、運動部共に部で出し物をしなかった部活は、は・い・ぶ・ですよね?」
ここまでくると双葉自身も説明しながら青くなっていた。先ほどの悟ったような雰囲気はどこかへ行ってしまった双葉は、不安を隠しきれない表情で沢田に泣きついた。
「あーどうしよう!!さわちゃん、これは映研部始まって以来のピンチだよ!!日にち的に考えて二人で作るには無理だし!!」
沢田は双葉を体から剥がしていった。
「双葉!!これは、木戸と新妻に仲直りしてもらうしかないな」
するとドアが開いた。そこには
「新妻!!」
「ヒロ!!」
沢田と双葉は同時に入口にいる人物の名前を呼んだ。新妻は嬉しそうな二人の顔を見て、訳が分からないような顔をしている。二人は新妻のもとへ駆け寄り、口々に言った。
「何で一週間も来ないんだよ!!このままだと廃部だったんだぞ!!」
「そうだよ!!さわちゃんとどうしよーって、さっき話してたんだよ!!」
それを聞いても新妻は状況を理解できないようで、五月蠅そうに顔をしかめた。
「何で来ないんだよって………一週間部活行かねーって連絡しただろ?」
「「へぇっ?」」
二人の間抜けな声が部室にこだました。
あれから一週間。木戸は声かけても「仕事がある」で、新妻はサボり。毎日最終下校時刻の十九時まで残ってみるが、全く来ない。
椅子からズルズルと落ちながら沢田はぼやいていた。
「あぁーこのまま二人が部活辞めたらどうしよー。先輩がせっかく同好会から部に引き上げてくれたのにー。双葉と俺だけになったら同好会に逆戻りだぁー」
「あのーさわちゃん部長、このままだと部長が考えてることよりひどいことになりますよー」
双葉はジュースを飲みながらだらだらと言った。
「え!?もっとひどいことって!?」
「このままだと、同好会じゃなくて廃部だよーって」
………。
「はっ!?なんで廃部!?ブグォッ!!」
沢田は双葉の方に身を乗り出した。勢いよく身を乗り出したせいでお腹を思いっきり強打した。
「あーあー、何やってんの」
「いや、勢いが出過ぎて……それで、なんで廃部…?部員二人なら同好会だろ?」
双葉は哀れみの視線を向けてきた。席を立ち、沢田の隣に座った。
「さわちゃん、相当お疲れだね。あのね、十一月の初めにある学校行事はなーんだ?」
いきなり何かと思ったが気が付いて、沢田はみるみる青くなった。
「さぁ、怖がらずに言ってごらん?」
「文化祭…ですカネ…」
双葉は静かにうなずいた。そしてさらに追い打ちをかけるように説明した。
「このままだと自作映画作れないよ?ここの学校クラスの出し物がない代わりに文化部、運動部共に部で出し物をしなかった部活は、は・い・ぶ・ですよね?」
ここまでくると双葉自身も説明しながら青くなっていた。先ほどの悟ったような雰囲気はどこかへ行ってしまった双葉は、不安を隠しきれない表情で沢田に泣きついた。
「あーどうしよう!!さわちゃん、これは映研部始まって以来のピンチだよ!!日にち的に考えて二人で作るには無理だし!!」
沢田は双葉を体から剥がしていった。
「双葉!!これは、木戸と新妻に仲直りしてもらうしかないな」
するとドアが開いた。そこには
「新妻!!」
「ヒロ!!」
沢田と双葉は同時に入口にいる人物の名前を呼んだ。新妻は嬉しそうな二人の顔を見て、訳が分からないような顔をしている。二人は新妻のもとへ駆け寄り、口々に言った。
「何で一週間も来ないんだよ!!このままだと廃部だったんだぞ!!」
「そうだよ!!さわちゃんとどうしよーって、さっき話してたんだよ!!」
それを聞いても新妻は状況を理解できないようで、五月蠅そうに顔をしかめた。
「何で来ないんだよって………一週間部活行かねーって連絡しただろ?」
「「へぇっ?」」
二人の間抜けな声が部室にこだました。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
失恋中なのに隣の幼馴染が僕をかまってきてウザいんですけど?
さいとう みさき
青春
雄太(ゆうた)は勇気を振り絞ってその思いを彼女に告げる。
しかしあっさりと玉砕。
クールビューティーで知られる彼女は皆が憧れる存在だった。
しかしそんな雄太が落ち込んでいる所を、幼馴染たちが寄ってたかってからかってくる。
そんな幼馴染の三大女神と呼ばれる彼女たちに今日も翻弄される雄太だったのだが……
病み上がりなんで、こんなのです。
プロット無し、山なし、谷なし、落ちもなしです。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる