詩集

神永ピノ

文字の大きさ
上 下
5 / 8
過去作

鞄の傘は私に優しい

しおりを挟む
雨が降ってるからって

彼が私を傍へと呼んだ

彼はどうぞと引き寄せた

鞄の中には拗ねた傘

ごめんなさいね

私は彼に寄り添った



鞄の中で傘は怒った

私だって雨に会いたいのよ、て

ごめんなさいね

彼は私に近寄って

そっと手を絡めてみる

傘は私に囁いた

今度雨が降ったら、私に彼を入れなさい、て

ありがとう

肩が触れ合いはにかんだ

今日の私は傘の中

彼の大きな傘の中

鞄の傘は拗ねちゃったけど

結局私を許してくれた

ありがとう

私は口を動かした

「相合い傘って嬉しいね」





しおりを挟む

処理中です...