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集結
役立たず
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魔導士マティアスが直接書類を持ち込んだのが功を奏したのか、それからは早かった。兵士達がディザイオを血眼で追い、彼は呆気なく捕まったのである。
マティアスが提出した証拠……特に、到底言い逃れできぬ写真の数々とガゼリオの体から見つかった拷問魔法の残滓が決定的であった。
***
「カイラ君、よく頑張ったね」
ようやく帰宅したヴェルトは、カイラの頭を撫でながら褒めた。
しかし当の本人の表情は暗い。
「……僕、皆さんと違って何もできませんでした」
ヴェルトはガゼリオの入水を止め、マジェスティック邸まで無事に避難させた。
マティアスは屋敷を貸し出してくれただけでなく、ガゼリオの良い相談相手となった。
レオはひたすらガゼリオの側にいて、彼をずっと慰め応援し続けた。
ダーティとディックは追手の妨害をした。
クロウはガゼリオの体に埋め込まれている魔道具を、自らが開発した魔道具探知機で探し当てた。
ハルキオンとリタはガゼリオへの負担を最小限に抑えつつ、体から魔道具を取り出した。
「なのに、僕がしたのはレオ先生との通信を代わった事だけでした。……僕、役立たずでした」
それを聞いたヴェルトは失笑した。
「何言ってんのさカイラ君。ガゼリオ救出は、カイラ君がいなければ成立しなかったんだよ」
「へ……?」
カイラはヴェルトを見上げながら小首を傾げた。
「思い出してごらんよ。写真を渡してくれたミキも含めて、ガゼリオを助ける為に集まってくれた人達ってさ……皆、カイラ君が繋げてくれたんだよ」
自分を魅入った夢魔ミキに、冒険仲間だったヴェルト。
落としたクマを届けた縁で繋がったハルキオンと、その仕事仲間リタ。
図書館で出会ったマティアスに息子の夢魔クロウ。
ヴェルトに夜の誘いを断られ、その理由であるカイラに興味が出たらしい演奏家ダーティと、その飼い夢魔ディック。
かつての先生ガゼリオとレオ。
全員がカイラの知り合いである。
「僕だけじゃアイツを助けられなかった。カイラ君の今までが、ガゼリオを救ったんだよ。誇りに思いなよ」
彼の優しい言葉にようやくカイラの表情が明るくなる。
「ヴェルトさん……」
「あの時は冷たく突き放してごめんよ。そのお詫びとお礼も兼ねて、カイラ君の欲しい物何でも買ったげる」
「え!? 本当ですか?」
「僕の小遣いの範囲でだけどね。で、何が良い? お菓子? それともおもちゃかな?」
完全にカイラを子供扱いしているヴェルトに膨れ面を浮かべたカイラだったが、何か閃いたようである。
「僕お菓子もおもちゃも要らないです。でも、ヴェルトさんにやって欲しい事があります」
「ん? 僕にできる事なら何でもやるよ」
「むしろヴェルトさんにしか頼めない事です。……お願いします♡ 射精させてください♡」
「射精ぇ?」
ヴェルトは不思議そうに顔を歪めた。
「ガゼリオ先生の事で頭がいっぱいだったんですが……ヴェルトさんから射精禁止されてからもう8日目です! 全部終わって安心したらその……おちんちんムズムズ収まんなくなっちゃいました!」
甘えるよう手を伸ばしハグを求めるカイラ。相当我慢しているらしく、体が熱を帯び甘い呼吸を繰り返す。
「さっき『僕にできる事なら何でも』って言いましたよね? だから射精させてください!」
「……仕方ないね」
(後4日は我慢させるつもりだったのに)とヴェルトは己の迂闊さを呪う。
「頑張ったからね。ちょっと早いけどいっぱい気持ち良くなっちゃおうか」
「は……はい……♡」
火照ったカイラの体を抱き上げたヴェルトは、寝室に消えた。
マティアスが提出した証拠……特に、到底言い逃れできぬ写真の数々とガゼリオの体から見つかった拷問魔法の残滓が決定的であった。
***
「カイラ君、よく頑張ったね」
ようやく帰宅したヴェルトは、カイラの頭を撫でながら褒めた。
しかし当の本人の表情は暗い。
「……僕、皆さんと違って何もできませんでした」
ヴェルトはガゼリオの入水を止め、マジェスティック邸まで無事に避難させた。
マティアスは屋敷を貸し出してくれただけでなく、ガゼリオの良い相談相手となった。
レオはひたすらガゼリオの側にいて、彼をずっと慰め応援し続けた。
ダーティとディックは追手の妨害をした。
クロウはガゼリオの体に埋め込まれている魔道具を、自らが開発した魔道具探知機で探し当てた。
ハルキオンとリタはガゼリオへの負担を最小限に抑えつつ、体から魔道具を取り出した。
「なのに、僕がしたのはレオ先生との通信を代わった事だけでした。……僕、役立たずでした」
それを聞いたヴェルトは失笑した。
「何言ってんのさカイラ君。ガゼリオ救出は、カイラ君がいなければ成立しなかったんだよ」
「へ……?」
カイラはヴェルトを見上げながら小首を傾げた。
「思い出してごらんよ。写真を渡してくれたミキも含めて、ガゼリオを助ける為に集まってくれた人達ってさ……皆、カイラ君が繋げてくれたんだよ」
自分を魅入った夢魔ミキに、冒険仲間だったヴェルト。
落としたクマを届けた縁で繋がったハルキオンと、その仕事仲間リタ。
図書館で出会ったマティアスに息子の夢魔クロウ。
ヴェルトに夜の誘いを断られ、その理由であるカイラに興味が出たらしい演奏家ダーティと、その飼い夢魔ディック。
かつての先生ガゼリオとレオ。
全員がカイラの知り合いである。
「僕だけじゃアイツを助けられなかった。カイラ君の今までが、ガゼリオを救ったんだよ。誇りに思いなよ」
彼の優しい言葉にようやくカイラの表情が明るくなる。
「ヴェルトさん……」
「あの時は冷たく突き放してごめんよ。そのお詫びとお礼も兼ねて、カイラ君の欲しい物何でも買ったげる」
「え!? 本当ですか?」
「僕の小遣いの範囲でだけどね。で、何が良い? お菓子? それともおもちゃかな?」
完全にカイラを子供扱いしているヴェルトに膨れ面を浮かべたカイラだったが、何か閃いたようである。
「僕お菓子もおもちゃも要らないです。でも、ヴェルトさんにやって欲しい事があります」
「ん? 僕にできる事なら何でもやるよ」
「むしろヴェルトさんにしか頼めない事です。……お願いします♡ 射精させてください♡」
「射精ぇ?」
ヴェルトは不思議そうに顔を歪めた。
「ガゼリオ先生の事で頭がいっぱいだったんですが……ヴェルトさんから射精禁止されてからもう8日目です! 全部終わって安心したらその……おちんちんムズムズ収まんなくなっちゃいました!」
甘えるよう手を伸ばしハグを求めるカイラ。相当我慢しているらしく、体が熱を帯び甘い呼吸を繰り返す。
「さっき『僕にできる事なら何でも』って言いましたよね? だから射精させてください!」
「……仕方ないね」
(後4日は我慢させるつもりだったのに)とヴェルトは己の迂闊さを呪う。
「頑張ったからね。ちょっと早いけどいっぱい気持ち良くなっちゃおうか」
「は……はい……♡」
火照ったカイラの体を抱き上げたヴェルトは、寝室に消えた。
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