the last one 〜最後の一匹〜

パレット太郎

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8話 Stray cat strut

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1人と3匹の生活が始まって、1カ月……

「さぁっ……て、お前ら。今日はドライブに行くか!」

ピークは、3匹をドライブに誘う。

微笑みながら、荷物を積み込むピーク。

何か裏がある、と疑うノラ。

いぇい!楽しみ-!とタマ。

無言の、ミケ。

秋の日の落ち葉も枯れた、そんな1日。
ピークはコートを羽織り、3匹にも服を仕立てた。まぁ、ノラは「そんなもん、着れるか」とジタバタするも最後には観念をする。

秋風よ、どこへ行く
夏の残響、連れ去って
木々の間、冷たく舞い込み
心の隙間、静かに染まん
 
1人と3匹を乗せた車は、ゆっくりと目的地を目指す。
タマが、助手席に飛び込んで来た。
 
「うぁぁ!!人多っ!!」
「わーー!!ビル高っ!!」
「おぉぉぉ!!鳥やん!知らん鳥飛んでるやん!!」
「んがぁぁああ!!なんか旨そうな匂い!!」

うるせー、タマ。

好奇心旺盛のタマは初めて見る世界に感動が抑えきれない。それを鬱陶しそうにしているノラとミケ。

いや……タマに筆を持たせてみれば、案外良い絵や、
唄を読むのかも知れない……

今日のドライブ、1番目の目的地。
 
「さぁ、ミケ。着いたぞ。」

協会墓地。
マチルダの眠る場所である。

ピークは、大きな花束を手向ける。
いつものワインを開け、その魂に注ぐ。

「会いに来た……」
 
それと、俺達が愛したチェス、ミケが倒した駒の1つも、
……祭壇に置く。

マチルダが逝ってからもう2年になるのか……

ミケは、祭壇の前に座る。
動かない…………まるで、
ずっと話し掛けているかのようだ。

すると、ミケの横に…………
タマ、そしてノラが並んだ。

「ミケ…………彼女は元の主人だろ?僕達も一緒に、
 想いを紡がせてもらっても良いかな?」

ミケは、僅かに礼を言うと、マチルダに今の想いを伝えた。
3匹は、静かに時を過ごした。

後ろで待っていたピークの胸元に、ミケが飛び込む。
ピークはミケを優しく抱きしめた。

1人と3匹は、車に乗り込み更に陸路を走らせる。

夕刻…………の海。

3匹は、海を見た事が無かった。

暗く狭い路地の中で、もしかしたら一生をそこで終わらせたかも知れない生涯で……この広い海を見た。
潮の匂いが鼻を突き、寄せては返す音が胸を震わせた。

只々、見つめる。
これは…この水は…何処まで続いているのか……

3匹は想う…………
 
もしこの後、自分が知らない世界の中で、
生涯を…………楽しんで生きる事が…………
出来るのか、と…………

…………………………
「Stray cat strut」
Black and orange stray cat sittin' on a fence 
野良猫達が塀の上で睨みを効かす

Ain't got enough dough to pay the rent 
家賃?無ぇよ、そんなもん

I'm flat broke, but I don't care 
なに、どうって事は無い

I strut right by with my tail in the air 
尻尾をビシッと立てて 威張ってんだ

Stray cat strut, I'm a (Ladies' cat)
俺達、野良猫なりの意地があるからな

I'm a feline Casanova (Hey, man, that's where it's at) 
まぁ、そういうことだ

Get a shoe thrown at me from a mean old man 
ジジイが臭せぇ靴を投げて来やがる

Get my dinner from a garbage can 
さて、晩飯を調達しに 夜の街に出るか

Meow
ニャアゴ!!

Yeah, don't cross my path
俺達の前を横切るんじゃねぇ!! 
…………………………
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