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閑話~思い出~side ヒースヴェルト
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※可愛らしいヒースヴェルト様のイメージが崩れるかもしれませんが、これは彼の本心です。
日頃の彼は、人の言葉は覚えたてで、とても拙いですが、精神はちゃんと年相応に育っています。
賢い子だったので、幼いながらも、自分の出自、立場、特殊な環境下で育ったことは何となく理解しています。
◆◇◆◇◆◇◆
もう、記憶の端にも残ってない。
毒しか吐かない、あの女。
僕が暮らしていたのは、本当なら、普通の家庭だったんだと思う。
でも、僕に食べるものや、着るものをくれるのは大人の男の人で、話かけてくれるのも、その人しかいなかった。
多分、あれはお父さん。
家のなかには、もう一人、大人の女がいたけれど、僕に触れることなんて一度もなかったし、よく分からないけれど、父親がいない日は物凄く罵られていたと思う。
その女が、僕のお母さん、なんだろうと、なんとなく思った。
でも、まだ赤ん坊で、言葉も知らなくて、「あなたは、僕のお母さん?」なんて、聞けなかったけれど。
数年が過ぎて、お父さんの言葉も分かるようになったし、まず歩けるようになった!
でも、相変わらず、家にはあの女がいる。
ある日、お父さんと一緒に黒くて大きな馬に乗って、僕が住んでいる村より、もっともっと大きな町に来た。
町で、お昼ごはんだからって、甘辛いお肉を貰った。初めて、お肉、食べたの。
美味しかったな。
それから、お父さんはお財布から、何枚も紙のお金を出して、何かを買った。
「お前に、ディーテ様の華の加護がありますように。」
チャリ、と小さな音をさせて、金色のお花の飾りを僕の右腕に巻いてくれた。
とっても綺麗!!
「はなの、かご?」
そう聞くと、いつもいい匂いのお父さんは、僕の頬をそーっと撫でて、
「お前は、俺の最愛の息子だよ。それだけは、信じてほしい。」
って、言った。その辛そうな顔に、僕も不安になっちゃった。
でも。聞いて、みよう。
「かあ、さんは、ぼくが、きらい?」
言葉にするだけでも、心臓の音がうるさくなるくらいに、早く動いて、息苦しくなったけど。
「・・・っ。すまない。」
また、辛そうなお顔。
僕は、そっと父親の頬を両手で挟んで、微笑んだ。
「だいじょうぶ。ぼくは、だいじょうぶ。」
町から、村に戻ったら、もう夕方。
薄暗いお空を眺めながら、お父さんは言った。
「しばらく、村を離れることになった。
お前を連れて行けない、危険な場所だから・・・。
お前のことは村長様の家に頼んでる。
母さんのいる家には帰らず、村長様の家でお世話になるんだよ。いいね?」
言っていることは、何となく分かった。
あの女から守ってくれるお父さんは、しばらくいなくなる。だから、村長様の家で守ってもらえ、ってこと。
「うん。」
そう言い返して、その日はお父さんと一緒のベッドで眠った。
次の日、お父さんは村を出た。
僕は、村長様に手を引かれて、いつもと違う大きなお家に連れていかれた。
優しくしてくれるけれど、どこか、よそよそしい村長様の家族。
いつもより、大きなベッド。月明かりも、きれい。
右腕の金色のお花を見て、ゆっくり、目を閉じて、そのまま眠ったんだと、思う。
目が、覚めると、そこは真っ暗な森の中で。
綺麗だった月明かりも、ここからは見えなくて。
「そんちょ、さま??・・・、と、さん??」
ここは、真っ暗。
誰も、いない。
不安が押し寄せて、思わず手首に巻いた華護りに手をやる。けれど、その腕には何もなくて。
(ぼくの、はなまもり・・・なくなっちゃったの?)
それが分かると、余計に怖くなって。
ああ、そうか。
お父さんが僕から離れる時を狙っていたんだ。
ぼくは、捨てられたんだ。
ぼくが邪魔だったのは、あの女だけじゃなかったんだ。
ぼくは、村に、捨てられた。
日頃の彼は、人の言葉は覚えたてで、とても拙いですが、精神はちゃんと年相応に育っています。
賢い子だったので、幼いながらも、自分の出自、立場、特殊な環境下で育ったことは何となく理解しています。
◆◇◆◇◆◇◆
もう、記憶の端にも残ってない。
毒しか吐かない、あの女。
僕が暮らしていたのは、本当なら、普通の家庭だったんだと思う。
でも、僕に食べるものや、着るものをくれるのは大人の男の人で、話かけてくれるのも、その人しかいなかった。
多分、あれはお父さん。
家のなかには、もう一人、大人の女がいたけれど、僕に触れることなんて一度もなかったし、よく分からないけれど、父親がいない日は物凄く罵られていたと思う。
その女が、僕のお母さん、なんだろうと、なんとなく思った。
でも、まだ赤ん坊で、言葉も知らなくて、「あなたは、僕のお母さん?」なんて、聞けなかったけれど。
数年が過ぎて、お父さんの言葉も分かるようになったし、まず歩けるようになった!
でも、相変わらず、家にはあの女がいる。
ある日、お父さんと一緒に黒くて大きな馬に乗って、僕が住んでいる村より、もっともっと大きな町に来た。
町で、お昼ごはんだからって、甘辛いお肉を貰った。初めて、お肉、食べたの。
美味しかったな。
それから、お父さんはお財布から、何枚も紙のお金を出して、何かを買った。
「お前に、ディーテ様の華の加護がありますように。」
チャリ、と小さな音をさせて、金色のお花の飾りを僕の右腕に巻いてくれた。
とっても綺麗!!
「はなの、かご?」
そう聞くと、いつもいい匂いのお父さんは、僕の頬をそーっと撫でて、
「お前は、俺の最愛の息子だよ。それだけは、信じてほしい。」
って、言った。その辛そうな顔に、僕も不安になっちゃった。
でも。聞いて、みよう。
「かあ、さんは、ぼくが、きらい?」
言葉にするだけでも、心臓の音がうるさくなるくらいに、早く動いて、息苦しくなったけど。
「・・・っ。すまない。」
また、辛そうなお顔。
僕は、そっと父親の頬を両手で挟んで、微笑んだ。
「だいじょうぶ。ぼくは、だいじょうぶ。」
町から、村に戻ったら、もう夕方。
薄暗いお空を眺めながら、お父さんは言った。
「しばらく、村を離れることになった。
お前を連れて行けない、危険な場所だから・・・。
お前のことは村長様の家に頼んでる。
母さんのいる家には帰らず、村長様の家でお世話になるんだよ。いいね?」
言っていることは、何となく分かった。
あの女から守ってくれるお父さんは、しばらくいなくなる。だから、村長様の家で守ってもらえ、ってこと。
「うん。」
そう言い返して、その日はお父さんと一緒のベッドで眠った。
次の日、お父さんは村を出た。
僕は、村長様に手を引かれて、いつもと違う大きなお家に連れていかれた。
優しくしてくれるけれど、どこか、よそよそしい村長様の家族。
いつもより、大きなベッド。月明かりも、きれい。
右腕の金色のお花を見て、ゆっくり、目を閉じて、そのまま眠ったんだと、思う。
目が、覚めると、そこは真っ暗な森の中で。
綺麗だった月明かりも、ここからは見えなくて。
「そんちょ、さま??・・・、と、さん??」
ここは、真っ暗。
誰も、いない。
不安が押し寄せて、思わず手首に巻いた華護りに手をやる。けれど、その腕には何もなくて。
(ぼくの、はなまもり・・・なくなっちゃったの?)
それが分かると、余計に怖くなって。
ああ、そうか。
お父さんが僕から離れる時を狙っていたんだ。
ぼくは、捨てられたんだ。
ぼくが邪魔だったのは、あの女だけじゃなかったんだ。
ぼくは、村に、捨てられた。
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