虹色の子~大魔境で見つけた少年~

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閑話~私の小さな神様①~ side ジャンニ・コール

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私の名前は、ジャンニ・コール。コール子爵家の次女です。

姉は、ユンニ・コールといって、今はエンブルグ皇国の後宮の料理番として働いています。
王妃様や、側妃様に毎日のお料理 を作ってさしあげる、コール家にとっては、それはもう栄誉な職です。
後宮には、同じ家門からの料理人は採用されませんから、私は必然的に後宮以外で働かざるを得ませんでした。

まぁ、私の性格は姉から言わせたら、とても能天気らしくて、貴女じゃ後宮の厨房は勤まらないわよって、笑われました。
料理の腕には自信があるのですけれど。

それで、私はエンブルグ皇国の騎士団になりました。騎士団の寮の厨房を兼務で預かれるのは僥倖でした。
配属されているのは比較的、出動命令も少ない弓隊です。
ですが、日頃の訓練は剣も扱いますし、訓練所での訓練は合同、部隊別、ランク別と、様々あります。
その日は、慣れない剣での練習試合だったのですが。相手が悪かったとしか、言いようがなくて。

その騎士はもうすぐ一小隊を任される予定の方でした。
小隊長の地位がかかっている、と意気込んでおられたのか、弓隊の私に対しても、とても手加減などされることなく、本気のぶつかり合いでしたね。

まぁ、なんとか互角に戦っていたとは思いましたけど、踏み込みが甘かったのか、私の剣は彼には当たらず、振り切れてしまって。

その隙を見逃さなかった彼は、もう一撃、突いてきたので無理やり避けたとき、足元で何かが破裂するような音がしました。
次の瞬間、もう私の右足は言うことを聞かなくなっていましたわ。

靭帯が断裂したそうです。

弓をひくのにも重心は大事。日頃の訓練にも支障が出てしまうのでは、隊に迷惑がかかります。
悩みました。それは、物凄く。
騎士団の寮の専属料理番として仕事しないか、とも誘われましたが、あの試合が原因で、こうなってしまったのです。
あの試合相手の方とも、顔を合わせることもあるじゃないですか。
正直、気まずいですって。

結局、退団届を、騎士団長に提出しました。

それから、受理されるのを待っていましたが、怪我を治し、リハビリをしろと言う団長の指示により、数週間くらい訓練所で過ごしていたところ、何と皇弟殿下が騎士団の訓練所を訪ねていらっしゃったのです!

日頃、重大な公務以外では殆ど姿を見せない、美貌の殿下。
お若い頃の皇帝陛下に良く似ていらっしゃるので、私もすぐに分かりました。

眺めていたら、殿下がこちらに歩いてこられました。


えっ?

何でしょう?

私、何かしましたっけ?


呆然と眺めていますと、ちらり、と私の怪我をした足元を一瞥されまして。

「痛かっただろうな。リハビリは順調か?」

お声をかけていただいたのです!!

もー、びっくり。

「はっ、はひっ!!」

声が裏返ってしまったわ!

「退団届を出したと、聞いた。意思は固い?」

あれ。この流れ。騎士団長が殿下に話を回されたのかしら。
辞めるなってことでしょうか。
料理番が居なくなるのは嫌だからとか?
むむ、しかし、いくらディラン殿下の頼みでも、あの騎士団の中に居るのは、気まずいですって!

「は、はぃ。騎士団にいるのも、気まずいですし、結構、これでも落ち込んでるんですよ。
実家に帰っても、料理くらいしか取り柄ないですし、どこかのホテルに雇ってもらえないかなー、とか考えているんです。」
なるべく、穏やかに。そう思って話をしたのですが。

「あぁ。本当に辞めるんだな!じゃあ、これから俺に付け。良いな?」

朗らかに破顔されて、「良いな?」って。

そりゃもう、二つ返事でついて行きましたとも。


ディラン殿下はとても気さくな方で、騎士団の荒い連中にも人気があるのです。
私も憧れていましたから、俺に付け、だなんてもう、嬉しくて!

それから、すぐに実家に手紙を送りました。
ディラン殿下付きの料理人になった、と。

そんな浮かれて大丈夫なのか、と父親には相当言われましたけれども。
嬉しいに決まってます。ディラン殿下のお側で、料理できるんですよ!

と、ふわふわと浮わついた気持ちで、ルートニアス公爵領にある、ハクライという町を目指しました。

私はその時はまだ、これから出会う小さな神様の存在を、知らなかったのです。


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