虹色の子~大魔境で見つけた少年~

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ママとの会話 side ヒースヴェルト

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たくさん、泣いて、すごく長い時間眠っていた気がする。
目が覚めたら、妙にスッキリしていた。

「ヒー様、お目覚めになられたのですね。良かった…!」
リーナの声。ママの次に、大好きな優しい声。
「ぼく、どれくらい眠っていたの?すごーく、眠ってた気がする。」
気分はいいけれど、身体がだるくて、ううん、と背伸びをしたら身体がぱきぱきって鳴ったよ。
「ヒー様…あの時から、三日経ってます。その、覚えていらっしゃいますか?」

え、ぼく三日も寝てたの!?
眠っている間に、ママとお話ししていたような気がするの。
ううん。気がする、じゃなくて、お話ししたんだ。夢の中で……。

「ディラン様も、アシュトも、城に来てます!お会いになります?」
えっ、お仕事、終わったんだ。良かった、無事に帰ってきた!嬉しいな。

「わぁっ、会いたい!お話し、上手になったこと、褒めてくれるかな!!」
「はい!絶対驚きますよ!!」
楽しそうに笑ってくれるリーナ。少し待っていてって、そう言って、リーナは皆を呼びに行ったよ。

ぼくは、ここで待っているときに、ママとのお話しを思い出していた。


※※※※※※※※



『余と共に、天上界の仕事をしたいと、言ったね。本心であるのは余が一番に分かっておる。
なら、その準備をしないとね。』

じゅんび?


『天上人に…神に、なるためにはね。

お前が、人を、殺さねばならない。』


え?

ぼくは、誰かを、殺めなければならないの?


ぼくは、ママの側にいたいだけなのに?




『お前の手足となる者を…翼を、この世界から連れていかねばならぬ。
永き時を、その者らと共に生きるんだよ。
そのためにはその者の《人》としての人生を、終わらせねばならぬということ。
お前と、お前の翼になる者、双方の覚悟がいるぞ。』


ぼくの、つばさ。


ぼくの夢を叶えるために、ぼくが誰かの人生を終わらせないと、いけないの?


『天使がいない理由を問うていたな。………ここの管理を、本当ならば他の誰かにやらせるつもりでいた。
この世は創造してまだ日が浅いのでな。余の他に誰も携わっていないだけ。すべてが、これからの世界なのだよ。
だが、お前がこの世を愛し、私の側に居てくれるなら……お前にこの世界を任せようと思う。』

ぼくが、ママの側にいられるなら、何でもやるよ。
むずかしくても、お勉強するよ!
ぼく、お勉強すると褒められるよ、だからきっと、学ぶのは得意なの。

『ふふ。学ぶことは良いこと。頑張りなさい。そして…お前の魂から澱みが完全に消えるとき、お前の翼を選びなさい。
何人でもいい……。でも、誰でも良いというわけではないよ。人としての死を覚悟して、永遠にお前を支え、守れる者でないといけないよ。』


つばさを、えらぶことも、ぼくの役目?

ママがえらんでくれないの。

『そう…これはね、お前が一番はじめにする仕事だよ。』


たましいの《よどみ》が消えるまでに、ぼくは誰かをえらばないと、いけないのか。


《よどみ》って何だろう?汚いものなのかな……。



でも、ぼくが、えらんでも、その人が嫌だと言ったら?

うう。


むずかしいな………。





※※※※※


うんうんと唸っていると、たくさんの人の気配を感じた。
きっと、ディランたちが来たの。
わくわくして、待っていると、こんこんこんって、ドアを叩く音。

「はーい!」
入っていいよ!
すぐに、皆が入ってきた。フォレンに、アシュトに、ディラン。リーナは、後ろからジャンニと一緒に、なんとお菓子と、飲み物も持ってきてくれたの!
「ヒー様、良かった。あれからずっと眠り続けて、とても心配しました。」
フォレン、なんだか少し痩せてるかも。心配かけちゃったんだ。
「ごめんなさい、心配おかけ、しました。」
ぺこり、と頭を下げたら、ディランとアシュトが目を見開いて吃驚してたの!
「ヒー様がちゃんと喋ってる!!!」
「ちゃんとって表現、おかしいだろ!」
あっ、アシュト殴られた!
ディラン、剣だけじゃなくて、拳も強いね!
「ヒー様、おはなし、上手になりましたね。」
「ぁい!たくさん、おしゃべり、するです!」
久しぶりなの。またディランやアシュトと遊びたいな。
んー?あれ?もう一人、誰かがいるぞ。
「ねぇ、後ろの、お兄さんはだぁれ?」
声をかけると、その男の人は、一歩、いや、半歩だけ前に出てきた。
「 ぁっ、そっ、そのっ。………わ、わわわわたしッ………。」
真っ赤なお顔で、何か言ってるけど。
「ルシオさまー、いつもの横柄な態度はどこ行ったっすか。照れすぎでしょ。」
「馬鹿を言うなッ!!!ムリ!ムリだっ!!好きすぎてヤバい!もー視界に入っただけで死!!!」
あっ、倒れた!!
「大丈夫なの?その人…。」
「はは、すみません。この人、ディーテ様が好きすぎて、その御子様であられるヒー様に会えると聞いて、ここまで来たのですが。
視界に入っただけで気持ちが爆破されたようです。」
「ママのことが好きなの?ぼくも!ぼくも大好き!わぁ、一緒だね!!」
ママのことが大好きなの!?
ぼくと話が合うかな!?
ベッドから飛び降りて、地面で丸くなってる彼の側まで走った。
覗き込むけど、よく見えないな。
「お顔をみせてよー」
むー、見えない。
銀色の綺麗な髪の毛、と、チラッと見えるのは、よく晴れたお空の色の瞳。あっ!お耳がの形がウサギさんみたいに長いの!かわいい!!
目があって、ぼく、嬉しくてにこって笑ったよ。
「とっ!!!!!」

「…と?」

「尊い…………。」


あっ。

鼻血出てる…。大丈夫かな、この人。

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