虹色の子~神さま候補、世直しします!~

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sideアルクス

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「…は?機械導具の縛りを強化する…?」
アルクス本部の、首領の執務室に、首領のナッシュと、ルシオ、ディランとフォレン。
アルクス本部の重鎮らが、会議を行っていた。
「えぇ。砡術士は、現在のこの世では、一番強いと言える。
砡の力を存分に引き出し、動力に変えることができるのはウチの強みだ。それに、ここ最近のルシオ様のかなりイカれた機械導具のせいで、アルクスの武力は一国の軍隊レベル、いやそれ以上だろ。各国が警戒しだしている。」
「ちょっと、殿下。イカれたって何?イカした、の間違いでは?それに、武力に力を入れたのは魔境の対応を考えてのことだったでしょ。これ以上の強力な武器は作らないつもりだよー?」
すかさず指摘するルシオ。アルフィンはお膝で行儀よく座っている。
「西の国、ロレイジアで秘密裏にウチの砡術士を拉致して回ってる奴らがいた。双蛇の紋章をつけていた。
アシュトに探らせたが…ロレイジアの軍部の一つが、その紋章を持っていた。残念なことだが、アルクス西支部の研究部の連中とロレイジアの軍部が手を組んでる。
で、兵器なんか作られる前に、先手を打つ。」
「先手…?」
ナッシュは眉をひそめ、提案主であるディランを見やる。
「それが、縛りだよ。アルクスの武力の使い処を、極限まで限定するんだ。何を目的として、その力を行使するか。
…その全ては、ヒー様の…神の意思に従う。…ルシオ様の製作した機械導具の、神格化を図るのさ。」
つまり、ルシオが手掛けた機械導具は、神具扱いとして制約を設けるということ。
ディーテ神にも、許可を得た。眷属の作り出す物は僅かながら神力を宿すものだから、神具と言っても過言ではないね、と微笑まれた。
「今でさえ、砡術士への機械導具は貸与制だ。第一、アルクスを辞めれば当然のことながら機械導具は使えん造りになっている。だよな?ルシオ様?」
「あぁ。個人の記録と、貸与した機械導具はその欠片の記憶のもと、発動されるからね。僕が持っている砡術士の名簿から名前を削除すれば、その機械導具は使用者との繋がりを断たれ、ただの欠片と化すよ。」
つまり、ユーザー登録が外れれば、それは突然無用の長物と成り下がる、ということ。
「ヒースヴェルト様が、望まない争いには絶対使わない。…それをどうにかして、ロレイジアが勝手に使ったりなんかすれば、それはそれで、俺らが潰す理由になるだろ?」
「…そう、か。それに、ロレイジアが砡の欠片で何か作ったとしても、アルクスの名は使えないってことだな。
だが、ウチ以上の物を作る可能性があるんじゃ…?」
ナッシュの意見も最もだ。アルクス以上の武力を有する国が、出てこないとも限らない。教会だって、危険な使い方だがアルクスのそれに似た物を作っている。到底、力の差は及ばないが。
「ま、今のルシオ様以上の技術者は何処にもいないからな。その心配はさほどしていない。ただ、《砡の欠片》以外の兵器を開発されたら、分からねぇからな。」
「……!」
そこまで聞くと、ナッシュは眉間に指をあて、深く溜め息を吐く。
「そうか。あの石のことか…。」
西支部の一部の研究部から、熱烈に砡と認めて機械導具を作るべきだと進言されていたが、最近はパッタリとおさまった。
「何度も言うけどさー。あれは《砡》じゃない。だとしたら、ディーテ神の加護が及ばない…かもしれない。黒い石が生まれてくるのは死都市だ。…すでに神に見放された場所。対策を講じなければ…。」
「それに対抗できんのか?」
「……まだ、分からない。今は、ヒー様も、ディーテ様もいらっしゃらないから…。」
ディーテ神がヒースヴェルトを連れて狭間の世界へ行かれたのが、1ヶ月前。数ヵ月は神と神候補が、不在になる予定だ。
「あの子が余計な心配しちまうような事態はごめんだぜ。」
ナッシュはヒースヴェルトのことを自分の孫のように可愛がっている。
絵本だったり服やアクセサリーだったり、何でも用意してくれるのだ。
そんな彼を、ヒースヴェルトも「おじいちゃん」、と言って慕っていた。
「当然。我らの主神たるヒー様に、くだらない事で悲しい思いをしてもらいたくないんだよね。」
フォレンの凍てつく微笑みに、ナッシュは苦笑した。
「ところで。」
「?」
ナッシュは、先程から気になって仕方がない、ルシオの膝に乗っている、白いモフモフについて初めて触れた。
「ルシオ、なんでそんな可愛いウサギなんて連れてきてんだ?似合いすぎて怖ぇよ」
「こちらは、ヒースヴェルト様より賜った神獣。僕の分身と言っても過言ではない。この愛らしい外見からは想像できないほど、白の眷属以上の働きをしてくれるんだよ!…あぁ、ヒースヴェルト様が…この僕だけに!!このような愛らしい神獣をお与えくださったのさっ。本当ならこんなところで会議などしたくもないのに……」
もふもふ、と撫でまわし、頬擦りする。変態さが増している。
「あ~、…そうか。良かったな?」
ナッシュの手が、ワキワキと動くのを目敏く見やったルシオは半眼で睨む。
「お前が可愛いもの好きなのは知ってる。…触らせんぞ」
「くっ……!」


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