空飛ぶ島は崩落寸前!?〜僕が攻略対象なんて知りません!

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一章 飛空島

21 悪い夢

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「魔核だ。」
一度、クラインの魔力を閉じ込めた魔石は、力を失うと白くなる。
でも、その中に描かれた回路は読み解けるから、修復は可能だ。
「あんな高い場所に…ティルエリー様、どうやって取るんですか?」
「…過去のクライン達は、魔核が死ぬ前に取り替えて維持してきたんだと思う。ほら、ココ。」
天井に嵌まった魔核へと通じるはずの梯子が、折れてしまっている。もちろん、この梯子も魔道具の一部だから、起動していれば自動で伸縮くらいしたんだろうけど。
「壊れてしまっているのか。じゃあ…どうする?肩車…でも届かねぇな。」
ギーヴの言うとおり、天井までは3メートル以上はある。二人で肩車したところで恥ずかしいだけだ。
「…アールベル、貴方の氷の魔法で階段を作ってはどうです?」
ヴォルカー様の提案は、確かに一番理にかなっていたんどけど、
「!……成程ね。……というか、一国の王子相手に指図するのは…世界中探してもお前だけだろうな、ヴォルカー。」
って返されてた。そりゃそうだよ。だって王子様だよ!?階段作れ、なんて無礼極まりないよ~!
「心外ですね。私はティルエリー様の為に提案させていただいているだけですのに。」
「ぐっ……お前ね。私がクライン血族の為なら何でもすると思って……!」
「実際、そうでしょう?エンダタール王族たる者、そのすべてをクライン血族に捧げよ。と王子教育の教本に記載されていますよ。一体誰が幼少期の貴方にお教えしたと思ってるんです。」
「…………お前だ。」
「お忘れでないなら、安心しました。」
二人は幼なじみだって聞いていたけど、ヴォルカー様、小さい頃に王子の家庭教師していたの!?
シャルルからそんな情報聞いていない、とシャルルの方を見ると、彼女も目を輝かせて「そんな設定だったのね!」と。どうやら彼女も知らなかったみたい。
…設定って何だ…?

アールベル王子が氷の魔道具で出来ている剣を床に突き立てると、アールベル王子の魔力が形を成す。
美しい、銀の階段だ。
「……凄い……なんて綺麗な氷の階段。まるでお城!」
僕は感動で溜息が出てしまった。
「ふふっ。お褒めに預かり光栄です、ティルエリー様。」
仰々しくお辞儀をして見せて、アールベル王子はエスコートしてくれた。
ん?
何で僕がエスコートされてるんだろ…。
「足元が滑りやすいですから。私の手を支えにしてください?」
あ、そういうこと。
「は、はい……っ。」
階段を昇り切ると、白の魔核が手に届く。手のひらに収まるほど小さな魔核。
だけど、それに描かれた回路は、信じられないほどに精巧な物で僕は思わず息を呑んだ。
「…ティルエリー様?」
「凄い……。僕の想像の上を行く、凄い設計。」
魔核を取り外して階段を降りると、下の方でヴォルカー様が待っていて、僕に手を差し伸べてくれて。
「さぁ、御手を。」
「あ、りがとう…ございます。ヴォルカー様、お具合が悪かったのでしょう?大丈夫…?」
心做しか、少し顔色も悪いような気がするな。
「………えぇ。ご心配痛み入ります。少し…夢見が悪く、そういった日は体調が優れないので…。」
夢……。
悪い夢を見たのかな。

とりあえず、魔核も手に入れたし、地上に上がろうということになって、皆で公園の噴水前まで戻ってきた。
「なぁ、ティルエリー。その魔核があれば噴水は修復できるのか?」
「工房に持ち帰って、この設計図通りの魔核を作れれば大丈夫。上手くいくよ!」
ギーヴに笑いかけると、安心したように頷いた。
「さぁ、今日は帰りましょう。シャルル嬢、寮までお送りしましょう。」
アールベル王子の申し出に断ることができず、シャルルは苦笑いしながら了承してた。
「僕は工房に帰ります。ギーヴ、夕飯は食堂で食べるから、後で一緒に行こう!」
「おぅ。俺も課題がまだなんだ。後でな。」
ギーヴはそう言うと、走って寮に帰っていった。シャルルと、アールベル王子は、寮に帰る前に散歩して帰るんだって。
「ティルエリー様、私で良ければ工房までご一緒させてください。」
「そんなっ。具合が悪いのに、ご無理は……!」
ヴォルカー様は明らかに顔色が良くない。きっと、ここへだって無理をして来たに、違いないんだ。
「……いえ。だからこそ、なのです。」
「え…?」
「………今、どうしても貴方と一緒に居たい。」
ヴォルカー様は眉を下げて、まるで捨てられた子犬みたいな顔で、僕を見た。


うええええぇぇッ!!!?

ど、ど、どうしたのっ!?

僕は子犬みたいなヴォルカー様と一緒に、工房まで歩いた。
あぁ、やっぱり元気ない……。温かくて甘いカフェオレ、飲むかな?
「神が、悪戯に私に見せる夢があるのです。…それを見た日は……決まって体調を崩すので。」
「!!あっ、ひょっとして…神託…とか…?」
神聖力の多い人には、そういった現象があるって聞いたことがある。ヴォルカー様もそうだなんて、知らなかった。
「………えぇ。幼い頃から何度も…。決まって後味の悪い未来を、一方的に見せられるのです。神は…私に、どうしろと仰るのか。」
「どんな、夢だったのか聞いてもいいですか?」
「………飛空島の一部が崩壊する夢です。…崩壊の規模や詳細な場所は分かりませんが、けが人も出るようで……。」
ええっ!?飛空島の一部が崩壊するの!?
それだけ聞いても、僕は全く理解できなかったけど。
「…シャルルなら、分かるかもしれない。」
僕の、最悪な未来を変えてくれた人。
彼女には、悪い未来を変える力があるんじゃないかな?
「ふふっ。同じことを考えていましたよ。明日、彼女に…聞いてみましょう。」
「それがいいと思います!僕も、一緒に聞きます。」
ヴォルカー様はカフェオレを飲み干して、微笑んだ。
少し、元気になったかな。



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