空飛ぶ島は崩落寸前!?〜僕が攻略対象なんて知りません!

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一章 飛空島

25 聖エルナリア国の毒姫

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(アールベル&ヴォルカー)


明るく照らされた通路は、まるでツインタワーの廊下を歩いているように、明るい雰囲気になった。
「ほぅ…。これなら臆病者ばかりの研究員らも文句は無いだろうな。それに…」
かすかに感じる、この心地よさ。
「アールベルも気づきましたか。」
「あぁ。この青い魔力のお陰だろうか…空気が澄んでいる。お前の結界と似ているな。」
「神聖力…。ご本人に自覚は無いようです。ですが、この通路の灯りでさえ魔核に宿っている。恐らく、あの日作ったという《神の聖杯》の魔核にも。」
「神殿が知れば喜んで買い付けそうだな。エンダタールの次期クライン当主様の未来は明るいな。」
「ふふっ。司祭様の喜ぶ顔が目に浮かびます。」
嬉しそうな笑顔に、アールベルはふとあることを思い出す。
「…そうだな。最高司祭殿はお前の父親のような存在だったな。」
飛空島に来てから、ヴォルカーは積極的に地上と連絡を取らなかったため、ヴォルカーがこの一年で起きた各国の情勢に疎いことは知っていたが、アールベルは数少ない彼の大切な人を取り巻く環境について、告げることにした。
「……最近、聖エルナリア国の魔道具技師が次々と出国しているそうでな。」
「エルナリアのクラインが、ですか?それは…神殿も、お困りでしょう……。」
元々神殿は、魔道具を高値で買い取ってくれる、技師たちにとっては得意先だ。
大神殿を構える聖エルナリア国は、大口の客で、住み着くクライン血族も多かった。
「原因は…お前もよく知る、あの我儘姫だ。無茶な注文や脅し、遂にはクラインの若者を『自分のお抱えにしてやるから傅け』と豪語したそうだ。」
「……なんですって…?クライン血族の自由を守ることは全世界共通の常識です、何故そのような…馬鹿げたことを…!」
「…お前も覚えがあるだろう。あの姫は美しい男を好むからな……。クラインだろうと隣国の王太子だろうと、自分の取り巻きになれることを最上の幸福だと信じているような愚か者だ。」
「勿論断ったのでしょう?」
「あぁ。生粋のクライン血族だったからな。だが、それが理解できず、気に入らぬからと近衛騎士に斬れと命じたそうだ。」
「………!!!」
「……近衛騎士のほうが賢かったがな。クライン血族の青年を何とか逃し、姫の命令に背いたということで即日騎士を辞して、貴族籍を抜いて、平民になったそうだ。そんな事があったものだから、噂が広まってクライン血族らはさっさと、国を離れたそうだ。」
「……何という……。」
「だから、今は聖エルナリア国側と神殿との間の溝が深まっている。
最高司祭殿も、今はご苦労が絶えぬだろうと思ってな…。いや、すまん。外界の情勢を敢えて知ろうとしなかったことは気づいてはいたのだが…。」
「……いえ。お教えいただき感謝します。」
地上で、そんな問題が起きているとは思わなかったヴォルカーは俯き、司祭の安全を祈るしか出来なかった。

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