空飛ぶ島は崩落寸前!?〜僕が攻略対象なんて知りません!

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二章 宝探し

63 二杯目のコーヒー

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それから、ヴォルカー様はすぐに帰ってきた。C・Gかの保管室から、僕の《夜色の魔核》を持って。
ヴォルカー様の顔を見たら、すぐに抱きつきたくなっちゃって、思わず駆け寄った。
「ヴォルカー様っ!!あのね、今ね、凄かった!!」
がばっ、と抱きついた。
ヴォルカー様の胸が温かい。
それに、いい匂いだし……安心する。
「エリィ、どうしました……?何があったのですか?」
「盾の記憶……ハウザー様の、ブロディアだった人の記憶ッ………僕、見てしまった!!それで、ビックリしてコーヒーカップ落としちゃって……!」
ぎゅうぎゅうと抱きつく僕を抱えて膝に座らせてくれる。
「エリィ、落ち着いて?私が転移した後に何があったのですか?」
「えと、えっと、あの魔核を作って倒れた日、無意識の中で玻璃の盾の魔核に蓄えられていた魔力を、譲ってもらったみたいなんだけど……。
枯渇してた僕の本来の魔力が…戻ってきたことで、玻璃の盾の持つ記憶が僕に流れ込んできたの。」
「玻璃の盾の…魔核の魔力を、譲り受けた……?エリィが予想以上に早く目覚めたのは、その為でしたか…。身体に不調は?玻璃の盾の魔力というなら、ハウザー様の魔力なのですよね?」
「うん……。僕の持つ青の魔力じゃない…けど」
何故か、馴染んでいる。ハウザー様の魔力が特別だから…とか?
うーん、と唸っていると、ヴォルカー様が頭を撫でながら抱き竦める。
「少しでもおかしいと感じたら言ってください。」
「…分かった。すぐに言うね。」
見つめあい、どちらともなく顔を寄せ合う。
あぅ…キスしたい………。
そっと目を閉じたその時。
「あー、お取り込み中お邪魔します。若様、ティルエリー様。新しいコーヒーお持ちしました。」
ガチャ、と勢いよくドアを開け、香りのいいコーヒーを持ってきた。
「わっ!マーティアスさんっ!」
なんてタイミングで入ってくるの!
「……ちっ。マーティ、お前はいつもいつも………。」
ん?
ヴォルカー様が今…舌打ちしたような…?
「王家からの命令、お忘れですか若様。家庭教師ってお立場を弁えてください。で、魔核は持ってこれたんですか?」
「……あぁ。……だがキスくらい良いじゃないか…。」
ヴォルカー様はブツブツと何かを呟いてたけど……。
小さな飾箱を、僕に渡してくれた。
この箱も魔道具で、魔法の鍵がかけてある。
「神殿から拝借した魔道具の金庫です。鍵の認証は、クライン血族の魔力にしていますので、エリィ、触れてみてください。」
僕が触れると、難なく解錠される。
中には、入学の時に作った、あの夜色の魔核。
「ありがとう、早速解毒の魔道具を作ってみるよ。……あ。マーティアスさんは、魔法はどれくらい使える?」
「は?わ、私ですか?」
突然話を振られて、マーティアスさんは驚いてた。
「うん。ヴォルカー様に対してかける魔法だから、魔道具はヴォルカー様は使えないでしょ?僕はクラインだから、魔道具を作れても、使う魔力の威力は、どうしても弱いんだ。…だから僕よりもクラインではない魔力での行使が必要不可欠。」
魔道具の能力を十分に引き出すには、やっぱり魔力操作に長けた人が良いよね。
「そう、ですね。…私も若様と手合わせできるくらいのことはできますよ。」
「そうなのっ!?」
思わずヴォルカー様を見たら、にっこり微笑んでうなずいた。
「えぇ。マーティは幼い頃から私とアールベルと一緒に鍛えていましたからね。剣も魔法も、王宮騎士並みには使えます。実際、公爵家の私設騎士団にも兼務で所属しています。」
ヴォルカー様の説明に、マーティアスさんも頷いて、少し得意げな笑みを浮かべた。
「有事の際には小隊を指揮する権限も与えられております。飛空島への持ち込みは禁じられていますが…公爵家の私室には私専用の攻撃用魔道具もございますよ。」
凄い!マーティアスさんって、私設騎士団とはいえ、小隊長クラスってこと!?
それなら、安心して任せることができる。
「良かった。じゃあ、安心して製作に取り掛かれるね。材料はどれくらいで揃いそうかな。
確か、必要なもののリストを渡したけど、マーティアスさんが揃えてくれる予定なんだよね。
「あぁ、それなら明日には届きますよ。先程、取引先から連絡がありました。」
ぱちん、とウィンクしてマーティアスさんは僕にコーヒーを手渡す。
「ふふっ。ありがとうございます!」
それじゃ、明日までは工房でやれることは無いかな。
ヴォルカー様も、僕の考えを分かっているかのように、学園のテキストをさっと取り出す。
え?何処にしまってたの!?
「さぁ、エリィ。一休みしたら、残りの学園の課題に取り掛かりましょう。」
あはは。
そうだよね……。課題、まだ残ってるもんね。
「うんっ!」
僕は美味しいコーヒーをぐっと飲んで、宿題に取り掛かった。



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