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遅れて現れた女神

この世界の事

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「この世界の事はあの姫さんに軽く聞いたぞ。」

未だにクック将軍といがみ合っている王女の方をチラッと見る。

「それは、この国内の事じゃないかしら?国内が3つに分裂しているって事でしょ?」

「あぁ、ギャレットがギンザ王国でアンダーソンがなんちゃらとか言っていたな」

「そんなんじゃなくて、この世界の状況よ。」

そう言えば、この世界の事を聞いたっけな?ううむ、思い出せん。

「思い出せないんじゃなくて明らかに教えてもらってないでしょっ。そもそも、そんな事聞いたら世間知らずのレッテルを貼られるわよ。」

「『れってる』ってなんだ?」

「ああんっ、戦国時代のあなたには難しい言葉だったわねっ。とりあえず、世間知らずって思われて、軽く見られる事になるわよ。あのお姫様はあなたの状況なんて知らないんだから」

「それもそうか。じゃあ、この世界の事を教えてくれ。」

女神アテナは得意気な顔をして「ふふん、良いわよ」と言うと語りだした。





女神アテナは優しく、そして柔らかい声で語りだした。

「この世界はもう2000年も争いが無くならない戦乱の世界です。大国が出来ても他国に攻められたり、政治的に不利になり、国内が分裂したりが幾度も繰り返され、未だに世界を統べる国・・・王が現れません。そう・・・弱き国は淘汰され、それを吸収した国が強国となり勢力を大きくしますが、どうしても強国は栄華の時代が長続きしません。どんな国も夢半ばで失速・・・そして滅ぶのです。」

静かに聞いている宗之と月光。しかし、月光はさっきから黙っていたから喋りたくてムズムズしていた。

「そりゃしょーがねぇぜ!その強国を統べる王が死んだり、軍事や政治を支えていた奴らが死んだら国内が揺らぐからな。大国ほど揺らぎやすいってヤツだ。やるなら1代で統一しねぇとなっ!」

よく知っている刀だなーってアテナは少し驚く。

「しかし、そんな長い戦乱の歴史の中で常に強国なのが3国あるの。まず、あなた達のいるこの国、ロデオ王国。今は3つに分裂したりで弱小国となっているけど、本来は世界有数の強国なの」

アテナは綺麗で長い銀髪をかきあげる。

「その次にこの2000年の間、常に世界最強と呼ばれているアルゼ帝国。この世界のラスボス的存在ね。数多の強国がアルゼと戦い敗れていったわ。その気になれば、本当に世界統一出来ると思うのに、なかなか重い腰をあげないのよね。世界中が恐れる六大将軍がいるし、財政も世界で一番豊かなの」

女神アテナはアルゼ帝国が重い腰をなかなかあげないと言って不思議がっていたが月光は、アルゼ帝国は物凄く頭の良い国と感じた。

世界統一をする事によって生じる最悪の事態をよく分かっている。

「次に島国のヤマサ王国。アルゼ帝国よりもロデオ王国よりも勢力は劣るし国土も劣るんだけど、かなりの強兵でヤマサ王国を代表する二人の大将軍を世界最強のアルゼ帝国も恐れているわ」

「ほう、島国か。日本みたいな国だったら良いな。」

島国ってところに宗之は興味が出た。

「本当に日本みたいだよ。あなたが好きな『和』の国だから一度行ってみたら良いわ」





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