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第4章 太陽の神と土の精霊と次期龍神
次期龍神はヒロインではなくラスボスです
しおりを挟む私は土の精霊の手を握り、思っていた事を言った。
離れていても互いの心配ができる相思相愛な2人。正直、ちょっとだけ羨ましいんだ。
私は恋人はおろか好きな人さえも出来たことがない。
でも、小説や漫画で見た仲睦まじいヒーローとヒロインを見て、羨ましいと感じていた。
もし、好きな人が出来て、結ばれるとしたら………………私はきっと、離れたくないって思うだろう。
そう、これは我儘に近い理想だ。現実では難しいことだろう。けど、夢を見るのは自由でしょう?
そして。
もし、自分の知り合いに離れ離れで悲しんでいるカップルがいたら、手助けぐらいしてあげたくなる。
……………………なんて、気まぐれで偽善者ぶってみたり。
そんなことを思って1人笑っていると、黙っていたグランドがやっと口を開いた。
『____ありがとうございます。龍神様。………………貴方の慈悲深い御心に、感服いたしました』
「そんなに堅苦しい話し方をしなくて良いわ。これは私の我儘…………もとい、気まぐれだからね。
それよりも、早くリーファに会いに行きなさいよ」
『____その前に、見届けさせてください。
太陽神を屈服させる尊きお姿を』
「あ」
「……………………貴様、もしかして本来の目的を忘れていたのか?」
「わ、忘れてないし!」
ラフェエルの言葉にギャン、と吠える。
嘘。グランドに言われて思い出した。私、太陽神の存在忘れてた。さっきの怒りは何処へやら。私って、鳥頭なのかも。
そんなことを思いながら着替え魔法を使った。例の如くお腹が見える服だ。振り返ると、憎らしげに私を睨んで地面に寝そべる太陽神。……………大方、話してる途中に攻撃しようとしたのだろう。
私が太陽神に使ったのは魔法ではない。
私の使う魔法は全部魔法とは言えない代物だけど。それはともかく、このクソ神に使ったものはその"魔法もどき"じゃないのだ。
『呪術・私の所有物』
私の魔力を注ぎ、強制的に魔力の持ち主である私に絶対服従を約束させる"呪い"だ。まあ、ゾンビや骸骨をアンデッドに、石や土を人型に変え使役する為に使うものなんだけど、以前ガーランドの右腕であるカイテルに「膨大な魔力を持ち、龍神様の御息女であらせられる貴方様ならば生きた物にも使えるだろう」なんて言われたのを思い出して、使ってみたのだ。
人形、骸骨やゾンビ程度ならそこまで魔力を注がないけど、相手は神だ。おまけに精霊を食らって常に魔力の枯渇でグランドの魔力を奪っていたのだから、グランドが居なくなったらまた次の生贄を探すだろう。そうじゃなくても太陽を名乗ってるんだから少ない魔力のせいで気候が変わるかもしれない、なんて私なりに頭を使った結果、沢山の魔力を注いでやった。
沢山の魔力を注ぐ、という事はそれだけ強い強制力があるというわけで。おまけに死体じゃなく生きてるわけで。
私に許可なく攻撃を加えようとしたなら…………………かけた私が言うのも何だけど、想像を絶するくらい苦しいだろうななんて思う。
まあ、同情をする気はないけどね。
そこまで考えて、倒れている太陽神の前まで来た。
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