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第4章 太陽の神と土の精霊と次期龍神

土の精霊の屈服という名の加護

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 ______龍神に自分の屈服印を与えるのは久しぶりだ。


 グランドは跪きながら、思いに耽る。

 精霊として5万年、生きてきた。妖精神と精霊を合わせてもここまで年配の者は居ないだろう。土の精霊の代替わりが少ないのは、その難しさに起因する。



 土の精霊は土の魔法の原動力。この陸続きのユートピアで土を管理し、汎用性の高い土魔法はよく使われる。それ故に並の者ではできないのだ。自分はそれに誇りを持っている。   人間やその他生物との繋がりの深いからこそ全ての生物を守りたいと思う。



 だから、この世界を"支配"している龍神は憎い。"隠された真実"の中心に居る龍神に屈服するなど、まるで共犯ではないか。


 とはいえ、1度も屈服印を与えなかったわけではない。………………たった1度、5000年前に現れた次期龍神に与えた。とても快活な男で、様々な武術と"次期龍神の特殊能力"、龍の姿は偉大だった。その男は___今では龍神だ。



 龍神は言っていた。


 "この世界を必ず変える、だから力を貸してくれ"


 …………………と。自己中心的な龍神が多かったからこそ、その正直な心に動かされた。期待もした。


 だが____何も変わらなかった。もうどの龍神にも屈服印を与えないとも思った。




 けれども。




 俺は少女の手を取る。小さな白い手。
 傷一つないその手はとても強い"特殊能力"を宿している。とても強く、また、人間のような次期龍神。


 ____現龍神は今も尚世界を変えようとしているのではないか?


 ____その為に数ある穢れた魂からこの少女を選んだのではないか?



 真意はわからない。


 ならば。



 俺は顔を上げる。長い黒髪、黄金色の瞳を持つ美しい少女を見つめながら、ちゃんと届くようにと願いながら、口を開いた。



『____土の精霊・グランド=ユートピア=ゴーレムは、龍神様に忠誠を誓おう。

 貴方の御恩に報いるよう、力を差し出させてくれ』





 俺は少女の手の甲に唇を乗せた。
 カーキー色、土の魔力の光が唇を伝って流れる。





 現龍神_______ガーランド。
 お前とお前の娘が、この呪われた世界を変えてくれると信じるぞ。



 屈服印という名の土の加護を、期待の未来へ届くように気持ちを込めた。


 *  *  *






 何もしてないのに『屈服させてくれ』と言われ何かを言う前に「受けろ」と言われ、トントンと屈服の儀を行われた。もう既にグランドが手の甲にキスしてる。すると薄茶___カーキー色の魔力が流れ込んでくる。



 きたきたきました!腹の疼き!さっきの焼き付けるような痛みじゃない。ヌルヌルと泥が引っ付いたみたいな違和感系だ。お腹には薄い茶色の縦線がある。今日だけで増えすぎじゃない?……と、口上口上。




 「___私の名はアルティア=ワールド=ドラゴン。土の精霊・グランド=ユートピア=ゴーレムの屈服を認める。


 ユートピアに祝福をもたらすことを約束しよう」





 そう言って笑顔を1つ落としてから、後ろを見る。ラフェエルが頷いた。


 ほ、上手くできたみたい。





 胸を撫で下ろしてから、再びグランドを見て言う。





 「ほら、お願いは聞いたよ。とっととリーファの所に行きなさい。次離れる時は、ちゃんと相談しなさいよね!」



『ああ。そうする。……………本当に、ありがとう。



 では…………………またな』





 そう言って、ふ、と消えた。
 いや~急展開すぎてドッと疲れたわ………………………。横になりたい………………。



『テメェ……………俺の存在を忘れてるんじゃねえ…………………』



 「ん?……………ああ」




 声が聞こえてその方向を見る。ドゥルグレだ。未だに地面とキッスしてる所を見ると、懲りずに私を襲おうとしたみたい。




 「貴方も懲りない人ね。私に攻撃できないの、わかったでしょう?」



『誰がそれを認めるか……………俺は神だぞ……………!』





 「はいはい。太陽神サマですもんね~……………………………?」





 ふと、あるものの存在に気づいた。
 この部屋_見た感じ玉座の間なんだけど_大きく豪華な椅子の後ろの扉から黒い粒子のようなものが漏れている事に気づく。




 黒い粒子______闇の魔法?グランドが言っていた、龍神、魔族、アンデッドしか使えないと。それなのに、太陽神の住処にこの魔法があるのが不思議で。




 _____気になる。




 「ごめん、ラフェエル、先に帰ってて!」



 「な……………おい!」



 私はラフェエルを置いて、その扉を開けた。









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