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第11章 "宿命"を変えるには?

次期龍神は思考を止めない

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 「うーーーん」





 「どうした?アル」



 「な、なんでもない!」



 アルティアはぶんぶんと首を振ってそう言った。

 ………………私達は無事ラフェエルを助け、ラッキーなことに屈服印も貰って、ワールドエンドのことも聞いた。




 で、現在、サクリファイス大帝国に向かうために私は聖の鳥の幻獣・ヴァルを、エリアスは癒しの効果がある鳥の幻獣・リンカネーションを、フランは聖の精霊・カーバンクルに跨って下降していた。



 その中、私は悩んでいた。

 どうすればラフェエルは死なないかについて………………昨日、いっそ旅を辞めてしまおう、と提案したのだが、それは却下された。ラフェエルはワールドエンドに行く気満々で、死ぬ気も満々である。


 でも私は死なせたくない。
 ワールドエンドに行ってもラフェエルが死なない方法を模索中なのだ。昨日寝る前にラフェエルから聞いたことを私なりに纏めてみる。




 死神・ハデスと闇の精霊・ケルベロス、そして"真なる王"_これについてラフェエルは詳しく話してくれなかったから知らないのかもしれない_を受け入れる為に、ラフェエルは死ななければならない。それを受け入れるために、と言っていた。




 ならば。



 ラフェエルの命を使わずに私が受け入れることが出来ればいいだけの話なのでは?と思う。



 だけどあいにく、魔力を貰うことはあっても魔力を与えられたことがあるのは屈服印の時だけだ。それでも結構身体がだるくなるのに、魔力の纏った生き物_ましてや神_をちゃんと受け入れることはできるのだろうか?



 こればっかりはやってみなければ分からない。



 そりゃあ、怖いよ。 

 ぶっつけ本番でそれができるのかどうかも疑問だし、私でも考えつくこれを行った龍神の話を聞かない。何かデメリット、リスクがあるのかもしれない。



 ……………………情報が足りない、というのは思いのほか恐怖を覚えるものらしい。




 だけど、やる。



 やらなきゃラフェエルが死ぬ。



 それはだめだ。いやだ。


 ラフェエルの気持ちは知らない。
 私と同じこの気持ちを持っているのかさえ、わからない。

 でも、私はこの気持ち____ラフェエルを愛してる気持ちを持っている。


 生きて欲しい。


 生きて、私の傍にいて欲しい。


 ラフェエルがサクリファイス大帝国の皇帝になって作り出す国を見てみたい。



 キスよりも、もっと、深く繋がってみたい。




 …………………私、やっぱり欲張りだ。


 恥ずかしいと思う気持ちはあるけど、キスだけでは足りない。


 抱きしめて欲しい。触れていたい。…………ずっと、それこそ一生……………私の隣にいて欲しい。


 そのためなら喜んで、龍神という地位を捨てよう。


 チートな能力も、膨大な魔力も、全部全て何もかも捨てられる。



 _____頭、回れ。


 _____もっともっと、考えろ。


 _____思考を止めるな。




 たとえ、何を犠牲にしても、ラフェエルだけは………………………ラフェエルだけは守る。
  


 ……………………まず、ワールドエンドに行こう。


 なにか手がかりとか、情報とか、…………あるはずだ。幻の島なんて明らかに私の知らない謎が隠されているような名前なんだ。



 きっと、大丈夫。


 今までだって色々あったけど、なんとかなったでしょう?


 今回も、なんとかなる。


 私は______最後まで、ラフェエルが生きられる方法を探すんだ。





 アルティアはぎゅ、とヴァルの体毛を握った。
  










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