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第12章 "幻の島"・ワールドエンド
次期龍神は喋らない
しおりを挟む『正解、私は初代龍神だよ』
ラフェエルが聞くと、素直に頷いた。もう隠す必要がないからね、と言った。
『ほとんど聞いているんでしょう?情けない妖精神達は口が軽いから。
だからね、私もあやかって少し教えてあげようと思ってね…………私は、私の子孫に』
「____!」
ラフェエルは戦慄する。
その顔を見て、女は1つ笑みをこぼしてからパチン、と指を鳴らした。
すると_____
「………!アルティア!」
アルティアが空中に現れた黒渦から出てきて、そのまま倒れそうになる。ラフェエルは急いで駆け寄り抱き留める。
外傷は……………ないようだ。
ラフェエルはきっ、と女児を睨む。
「………………何をした?」
『文字通り、話しかしてないよ。選ぶのはこの子さ。…………おっと、お仲間が来たみたいだね
じゃあ、君達のどちらかが"私の器になる"のを心待ちにしてるよ……………』
「____巫山戯るな!」
ラフェエルが魔法を使おうとする前に、女児は消えた。
何を、話したと言うんだ…………………
ラフェエルは、クリスティドが来るまで女児が居たところをじっと見ていた。
* * *
「んっ…………………」
「アル!」
「アルティア様!」
目が覚めた時、すぐ目に入ったのは過去の自分ではなくラフェエルや皆の姿だった。
「アル、大丈夫か?痛い所はないか?」
珍しく心配してくれているラフェエル。いつもばんばん罰を落とすくせに、こういう時ばっかり……………なんて、言う余裕はなかった。
前世の自分に言われたことが脳裏に焼き付いて離れない。
_____私が死ねば、ラフェエルは生きられる。
アルティアは言われたことを反芻しながら、笑顔を作った。
「…………………大丈夫、行こう」
次期龍神一行はこうして動き出したのだった。
* * *
「それにしても……………すごいな。これは、全員人…………なのか?」
クリスティドは沢山の人間が埋まった柱を見ながら、先に進む。
わたくしも声を失っていた。人が埋まっているのにも驚いたけど、それ以上に…………………………膨大な黒い魔力が見えているのだ。
何かを念じている?けど、普通の魔法ではない。これは…………アルティア様の使う"呪術"に似てる。
そして、何を唱えているか………………きっと、ラフェエル様なら知っている。
エリアスはラフェエルを見る。ラフェエルは他の人達と違って颯爽と歩いている。聡いラフェエルが知らないとは思えない。
そして_____アルティア様も。
「…………………………………」
アルティア様は、私達がワールドエンドに降り立った時倒れていた。何があったのかは知らないけど、明らかに様子がおかしい。
あの時………………そう、"天国にいちばん近い島"・ファーマメント王国に乗り込んだ時のようだ。
でも………………こうなった時、話しかけてもアルティア様は何も教えてはくれない。
それがわかっているから黙った。
「ねえ、ダーインスレイヴさん」
そんなエリアスを横目に、フランは前を歩くダーインスレイヴに声をかけた。
「アルティア先輩、様子おかしくないですか?なんかあったのかな?」
「………………まあ、そっとしておけよ」
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