257 / 270
第13章 最終決戦・"龍神の体内"
拝啓、お父さんへ
しおりを挟む「ふっ、はぁっ!」
アルティアは剣_ダーインスレイヴ_を奮っている。しかし、剣は中々通らない。
魔法を使えれば早いんだろうけど、生憎ガーランドの特殊能力は"無効化"。小さい頃から知っているんだ。何度も何度も、喧嘩したもんね。
私なんていつもいつも、気絶させられてた。
気づいたらガーランドの笑顔を見てた。
強いねえ、なんて甘ったるい声でいいながらも自分は無傷だったよね。
淡い思い出が、巡る、巡る。
………………ねえ、ガーランド。
私達、もっとお話しとけばよかったね。
私に自分の目で見て確かめろ、って言ってくれたおかげで私は自分の道を選べたよ。
けどね。
私はガーランドにお願いされたかったよ。
"この世界を壊してくれ"って言って欲しかった。
だって…………………私達、家族でしょう?
普通、からかけ離れてたけど……………絆はあったでしょう?
ねえ、そんな悲しい顔をしないでよ。
いつもみたいに馬鹿にしたような笑みを見せなさいよ。
______アル、って呼んでよ。
そうしたら、私は。
私はちゃんと、今度こそはっきり言うから。
……………………お父さん、って、呼ばせてよ。
「ダーインスレイヴ、ステータス向上」
『ああ。____あと少しで、ラフェエルがケリをつけてくれる。
頑張れ、アルティア』
ダーインスレイヴはそう言って、私に防御力向上、回避力向上、瞬発力向上、攻撃力向上、超攻撃力向上の向上魔法をかけてくれる。
けど、私はアンタより弱いからさ。
少しだけ、狡しちゃうね。
………………ごめんね。
「行くよ!ダーインスレイヴ!」
『ああ!』
私は再び父親に向かって剣を奮った。
* * *
ラフェエルはアルティアの戦闘を邪魔しない場所に立ち、剣の背を額につけて、念じていた。
____アルティアが戦っている。
悲しそうな、苦しそうな顔で戦っている。
圧倒的ではないが、それでも押している。
けれど。
剣を奮っているアルティアの方が苦痛に耐える顔をしている。
父親の事を嫌いだ、と言っていたアルティアは幸せそうに笑っていた。
アルティアにとって、ガーランドの存在はそこまで大きいのだ。
そんなアルティアが、自らの手でガーランドを倒したらどうなる?
神経は図太い癖に繊細な性格のアイツはどうなる?
火を見るより明らかだ。
だから。
_____アルティアに、父殺しの汚名を被せない。
私がその罪ごと引き受ける。そしてその罪を抱えて生きよう。……………お前と、共に。
ラフェエルの剣の刃が真っ赤に染まった。30分も念じたのだ。
……………これで、終わらせる。
「アル!」
「………………!」
アルティアは私の言葉に反応して、ガーランドから離れた。
私は、フライの魔法を使って飛ぶ。
_______これで、終わってくれ。
そう願って、口を動かした。
「武技____斬鉄剣」
『ギャァァァァァアッ!』
ラフェエルがそう言って剣を振るう。
赤い刃は固い鱗を貫き、そのまま血飛沫を上げて切り裂いた。
赤い、赤い血が_____龍神にも流れていた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
98
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる