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最終章 We are Free !
全ては貴方に会うために
しおりを挟む涙が、溢れて止まらない。
溢れた気持ちを外に逃がすように沢山の涙が私の目からこぼれ落ちる。
胸が苦しい、呼吸がしづらい。
寂しい。
私は、寂しかったんだ。
お父さんのいないこの世界に1人残るのは____寂しくて。
私は自ら死のうとしたんだ。
しゃくりあげながら泣くアルティアの頭をガーランドはぽん、と叩いた。
『……………アルは我の親ばかに負けず劣らずの、ファザコンだねえ。うさぎみたいだ。
色々御託並べて"死ぬことが自由だ"だの、"私の役目は終わった"だの言ってるけど、……………本当はそうじゃないだろう?納得、してないんだろう?
_____あの小さかったアルは、もうこんなに大きくなった。
色んなものを見て、色んなものを感じて、色んなものを考えて……………さっきの神やお前の友達、……………そして、愛おしい人が居るじゃないか』
ガーランドはそう言って、アルティアの頭から手を離す。そして、未だに泣きながら蹲る愛おしい娘に視線を落としながら聞いた。
『ほら、もう動けるだろう?行きなさい。
アル、………アルティア。
"お父さんと同じように死にたい"………だったか?
お馬鹿。我…………俺は、"お前がこれから生きて幸せになって欲しい、自由に生きて欲しい"、そう思って育てたんだぞ?』
そう言って、ガーランドは笑顔を見せる。
アルティアはそれを見てから溢れる涙を何度も、何度も、拭いて闇の海を泳ぎ出す。
ガーランドはそんなアルティアの背に向かって、言う。
『聞こえるまで、また目覚めるまで言ってやる。
お前は_____死ぬ気で、これからも生きろ』
そう言って、沢山の色を身体中から吐き出した。その沢山の色の光は_____アルティアの身体にまとわりついた。
* * *
私は、上に向かって泳ぎながら、考える。
ボロボロ、選んだものを何度も引っくり返して、同じことを繰り返し、くだらなすぎる私は、頭が悪くて、ダサくて、優柔不断、軟弱者。
それが_____私だ。
この暗闇の中で、ようやく辿り着く歪な景色。マリンも、アクアも、リーファも、ドゥルグレも、グランドも、カーバンクルも、ゼグスも、シヴァも、スカイも、ウェイトも、ケルベロスも、ハデスも、クリスティドも、エリアスも、リーブも、ダーインスレイヴも、ガロも、…………ガーランドも。
結局全部私の中、私から出たものでしかない。
『私が好きな人』
『私が言われたい言葉』
"みんなならきっと止めてくれるよね?"
………………なんて、考えた時点で私自身が願ってしまっていたんだ。
『生きたい』、『ラフェエルと一緒にこれからを生きたい』、『自由になりたい』……………なんて。
だから、動き出す。
私は藻掻く。私らしく足掻いて、醜く生に縋る。そして______また、"あの人"に会うんだ。
身体に纏っていた沢山の色の光が輝き出して、私の身体を染め上げていく。眩しくて、目を閉じた。
肺腑にまで浸透していた黒い水の感触が無くなる。地面に立っている気になる。そして、サァ、と風と花の香りが鼻腔を掠めた。
私は、ゆっくり目を開ける。
そこは______いつか見た、沢山のひまわりが植えられている場所。
…………………大切な、思い出の場所。
そして。
「アルティア!」
鼓膜を揺らす、愛おしい人の声。
それと同時に巻き付く男らしい筋肉質な腕と、固い胸板。
…………大好きな、匂い。
見なくてもわかった。私は愛おしい人の名前を呼んだ。
「…………………ラフェエル」
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