異世界整骨院エクスカリバー

フミナベ

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剛田力男というオッサン

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僕、剛田力男。35歳、身長165センチ、体重98キロ。所謂ポッチャリ系です。

趣味は、コーラを飲みポテチを食べながらアニメを見ること。
特に萌え系や百合系、魔法少女系などが好きです。
いや、事実を言うと、この三種類しか見ません。

見ているとハァハァと息が荒くなるほど興奮し、可愛い女の子を頭から食べたいと思ってしまうほどです。

想像しただけで、今もハァハァと興奮してきました。

え?頭大丈夫か?
僕は至って健康で純情なおっさんです。

あ、そうだ。僕のあだ名は、ドンパチ。
何故かというと体型は首領(ドン)なのですが見かけ倒しで偽物、所謂パチモンということでドンパチと言われてます。

今日、柔道整復士の専門学校を卒業しました。

周りは、はしゃいだりして皆で祝いでカラオケやボーリング、何処か食べに行ったり行こうとしているみたいです。

ですが、僕を誘う人は誰もいません。

でも、僕は、そんなことを気にしてません。
何故かというと、いつも通りのことということもありますが、早く帰って録画している魔法少女のアニメをみたいからです。

それにしても、皆は薄い長袖を着ていて暑くないみたいですが、僕は半袖を着ていますが汗がダラダラと出て止まりません。

不思議だと思いませんか?


「くっ、そんなことよりも、一刻も早く帰らないと。あの子達が僕を待っている。ドンパチ・ダッシュ!な、何だ?うぁ~」
信号が青になったので、ドンパチは走りだそうした。

だが、その時、ドンパチの足元に魔法陣が浮かび上がり、光に飲み込まれた。


ドンパチは目を覚ますと、見慣れない天井が高い豪華な部屋に倒れていた。

「うっ」
「くっ」
ドンパチの周りには、男達が倒れていた。

「一体、何だったんだ?」
「ここは何処だ?」
ドンパチ達は起き上がり、周囲を見渡すと、ドンパチを囲う様に鎧を装着した騎士団達が待機しており、正面にある豪華な椅子2脚に国王と妃が腰を掛けていた。

国王は立ち上がり、一歩前に出る。
「こちらの都合で、突然、召喚してすまない、異世界人達よ」

「異世界人!?召喚だと!?」
召喚された一人の青年ドンパチと同じ専門学校の直樹が大声を出す。

直樹は見た目だけでなく、サッカーで有名な高校を卒業しており、在学中はサッカー部のキャプテンを務めていたので専門学校に通っていても女の子に人気でモテモテだった。

(直樹君も来ていたんだ。知り合いがいたのは嬉しいけど、正直、嫌だな。僕を馬鹿にするし)

「そうだ、我々人間は、今、魔人族に敗北しかねない緊迫した状況なのだ。そこで、我々は勇者の召喚儀式を行ったのだ」

「じゃあ、俺達は勇者なのか?」


「そうだ、そなた達は勇者に選ばれた十三人。突然で身勝手だが、そなた達に魔人族と戦って貰う。勿論、活躍に応じて豪華な報酬も用意するつもりだ」

「なぁ、断ったらどうなる?」

「さぁ、どうなると思う?そこは、各個人で想像すると良い」

「夢なら覚めてくれ、夢なら覚めてくれ、痛った」
夢だと思いたかったドンパチは、願うように何度も言葉にして自身の頬を摘まんだ。
(ゆ、夢じゃない!?嘘だろ!?な、何てこった!何で、こんな状況に陥るんだよ。僕は一刻も早く自宅に帰って、昨日録画した魔法少女のアニメを見ないといけないという重要な使命があるのに…。)
ドンパチは、絶望して四つん這いになった。

「だが、今のそなた達では魔人族に勝てん。まずは、武器召喚の間に行って貰い、各々の武器を手に入れて貰おう。騎士団長、勇者達を武器召喚の間に案内せよ」

「ハッ!畏まりました。武器召喚の間は、こちらです勇者様方」
騎士団長は、先頭を歩いて誘導する。

勇者達は、直樹と同じくワクワクした者も居れば、緊張した者、特に気にしていない者など、様々だった。

最後に残ったドンパチは、立ち上がろうとした時、近くに布があったので汗を拭く。

「クンクン、良い香りがするなぁ」
「きゃ!?」
「え!?」
女性の悲鳴が聞こえたので、ドンパチは顔を上げると、汗を拭いている布はメイドのスカートだった。

「この変態!」
「うぁ」
メイドは顔を真っ赤に染めてドンパチにビンタをした。

甲高い音が城中に響いた。



【武器召喚の間】

「ここが武器召喚の間です。勇者様方」

騎士団長の案内でドンパチ達は武器召喚の間に辿り着いた。


部屋は広く、壁際の左右には水が流れており、中央には一本の直線上の道があって真ん中に円形になっていて床に魔法陣が描かれていた。

「それでは、早速だが武器を召喚して貰おう」
出入り口に国王と妃が立っていた。

「おい!早速、武器を召喚しろって言われてもさ。俺達はどうすりゃ良いんだ?」
直樹が尋ねる。

「騎士団長、説明してやってくれ」

「ハッ!畏まりました。勇者様方、ご安心して下さい。至って簡単です。お一人ずつ、中央にある魔法陣の上に立って頂ければ魔法陣から武器が出現致します」


「へぇ~、じゃあ、俺が一番乗り~!」
直樹は、左右の手をズボンのポケットに入れたまま中央に向かった。

「あ!待ちやがれ!何、勝手に始めてるんだ!てめぇ~!おい!」

「へへへ…。こういうの早いもん勝ちだろ?」

「勇者様、申し訳ありませんが、もう先にお一人の方が魔法陣に向かわれたのでお待ち下さい」

「糞~!」

「ここで、良いんだよな?」
直樹は、振り返り尋ねる。

「はい、合っています。そのままジッとしていて下さい。魔法陣が勇者様の秘められた力を武器として形取っていますので」
騎士団長が説明する。

「へぇ~、ん?おおお!何か、出てきたぞ!」
魔法陣が輝き出すと同時に直樹の目の前に光に包まれた槍が出現した。

光は消え、模様の装飾のついた槍になった。

「へぇ~、槍か。剣が良かったけど、格好いいし、まぁ、良いか」
直樹は、槍を肩に担いで戻る。

こうして、次々に勇者達は武器を召喚していった。

最後に残ったのは、ドンパチだった。

「何だ?あの豚、あいつも俺達と同じく勇者として選ばれたのか?冗談キツイぜ。なぁ?」

「ハハハ…。言えてる」

「おいおい、豚じゃないだろ。ここは異世界なんだぜ。オークって言ってやれよ。」
直樹が笑いながら訂正する。

「なら、勇者だからオークキングか?」

「キングは、王様だろ?」

「まぁ、強いからキングでよくねぇ?」

「「ワハハハ…」」
「腹いてぇ~」
勇者達だけでなく、騎士団達も盛大に笑った。

(何処行っても、僕は一人ですよ。もう、慣れているからどうでも良いけど。さっさと召喚して一人になろう)
メイドからビンタをされたドンパチは頬に紅葉跡を残したまま、中央の魔法陣の上に立った。

すると、今まで勇者達が武器を召喚した時と違い、左右の壁際の水が七色に変わって波打つ。

「おいおい、どうなっているんだ?おい。俺達とは全く違うじゃないか…」

そして、魔法陣の輝きは今までとは比べ物にならないほど輝き、城中を照らした。

「うっ」
光が消え、ゆっくりとドンパチが目を開けると、そこには金色に輝く一本の剣があった。

「ねぇ、あなた。あれって…」
妃は、信じられない表情で尋ねる。

「あ、ああ…。まさか、あれは伝説に伝わる、勇者の中の勇者、真の勇者である証明エクスカリバー…」
国王は、驚愕した表情で呟いた。

「おいおい、嘘だろ!?あんなキモデブが、俺達を差しおいて真の勇者だなんて…」
直樹は、呆然としたまま呟く。

「そんなことあって、たまるか!」
勇者達は声を荒げるが、エクスカリバーの威圧感を前にして押し黙った。


(エクスカリバーだと!?この僕が真の勇者!?)
「み、見たかね?君達。僕は君達みたいな量産型の勇者じゃないのだよ。」

「何だと?このオークキング風情が!調子に乗りすぎだぞ!ドンパチ!」
直樹が大声を出しながらドンパチを殴りに掛かろうとする。

他の勇者達もどを殴りに掛かろうとした。

「ひぃ」
ドンパチは、目を瞑り顔を逸らし両手を顔の前に出して腰が引けた。

「止めい!」
国王の声によって、勇者達は動きが止まり場が静寂が訪れた。

「勇者同士の喧嘩は禁止だ。それに、え~っと…ところで、そなたの名前は?」

「僕は…。」

「話の途中、すみません。俺は直樹といいます。こいつとは同じ専門学校に通っていて、こいつは皆からドンパチって言われてました。」

(僕にドンパチっていうあだ名をつけたの君だろ!直樹君。)

「そなたはドンパチというのだな。」

「その…はい…」
(だめだな僕は。凄まれたら何も言い返せないや)
国王と目が合ったドンパチはビクッと反応して認めてしまった。

「ククク…」
隣にいる直樹は、クスクスと笑う。

「ドンパチよ。そなたはエクスカリバーに選ばれた真の勇者だ。悪いのだが、勇者達のリーダーになって貰いたい」

「え~!?」
「ちょっと待て!いえ、お待ち下さい国王。こんな奴が俺達のリーダーなんて納得できません!」

「「そうだ!そうだ!」」
直樹に賛同する勇者達は、声を荒げる。

「先程も言ったが、ドンパチは真の勇者だ。きっと、これには何かしらの運命があるのだろう」

「こ、国王様、僕、いえ、私も皆の意見に賛成です。私は、影でこっそりと生きていくタイプの人間ですので、そんな表に立って重要な役割は果たせません。それに、私は元から戦いに参加するつもりもありません。この剣、エクスカリバーは返却、お渡ししますので国王様が信頼している方にお渡しして下さい。私は、一般市民と生きて暮らしていきたいので。あの、その、できれば、お金と土地が欲しいです」

「残念ながら、武器召喚で召喚した武器は、その者にしか扱えない様になっているのだ」

「そんな…」

「すまないが、戦いに参戦して貰う」

(戦いに参加したら、たださえ運動音痴なのにエクスカリバーなんて所有していたら敵から狙われるじゃないのか?これって、死亡フラグじゃないのか?)
想像したドンパチは、大量の冷や汗が流れ逃げだそうと試みる。

しかし、国王が阻止する。
「何処へ行く?ドンパチ」

「僕は、まだ死にたくないんです。お願いですから見逃して下さい」
ドンパチは、国王に背中を見せて走る。

「騎士団!ドンパチを取り押さえろ!」

「「ハッ!」」
騎士団達は、ドンパチの行く手を塞ぐ。

「こ、こうなったら、エクスカリバー」
ドンパチは、エクスカリバーを振り上げて勢いよく振り下ろしながら叫ぶ。

「「~っ!」」
騎士団達は、動きを止めて顔が引き攣った。

しかし、何も起きなかった。

「構えが、悪かったのか?今度こそ、エクスカリバー」
ドンパチは、体を横に向けてエクスカリバーを両手で握り突きをする。

しかし、今回も何も起きなかった。

「何故だ!?何故、何も起きないんだ?ゲームやアニメだと圧倒的な力で相手を倒すはずなのに。糞、糞、ええい!」
自棄になったドンパチは、エクスカリバーを振り回す。

だが、結局何も起こらず、騎士団達に包囲された。

「わかったぞ、きっと、エクスカリバーの真の力は自身の身体能力を向上させる能力なんだ。だったら、怪我をしたくなければ、そこを退け!道を開けろ!道を開けるつもりは内容だな。フフフ…。ならば、押し通る!」
開き直ったドンパチは、自ら騎士団達に突撃した。

しかし、ドンパチの身体能力は上がっておらず、騎士団達にボコボコに返り討ちされてボロボロになって腕を縛られ正座させられた。
「……。痛いです…。ごめんなさい。許して下さい」
タコ殴りされたドンパチは、鼻水と涙を流しながら謝罪をした。

「ドンパチよ、そんなに戦いに参加したくないのか?」

「はい。国王様も見たでしょう?僕の強さじゃなく、弱さを。僕は剣術や武道の心得が全くないんです。それ以前に、見た目通りに運動音痴なんです。だから、伝説のエクスカリバーに選ばれても騎士団にも勝てない。それどころか子供にも負ける自信があるくらいで。それに加えてエクスカリバーなんて持っていたら敵さんから集中して狙われると思うし、死ぬのは目に見えてます。なので、僕を守って下さい。養って下さい。お願いします。うぅ…」
ドンパチは、涙と鼻水を流しながら懇願する。

「ふむ、これは本当に参ったな」
国王は、困った顔で騎士団長に視線を向ける。

「国王様、申しにくいのですが、ドンパチ様の外見と年齢を考慮しましたところ、残念ですが、これから鍛えたとしても、とても戦力になるとは思えません」
騎士団長は、頭を振りながら答えた。

「そうか…。ドンパチよ、そなたの戦いたくないという心は変わらぬか?」

「はい、あの、あと処刑だけは…。他は何でも構いませんので…」

「わかっておる。処刑などせんよ。こちらが身勝手に召喚したのだからな」

「ありがとうございま…」

「ドンパチを国外追放とする!」
ホッとしたドンパチは顔を上げて感謝しようとしたが、国王が国外追放を言い渡し、ドンパチの表情が固まった。
まるで、ドンパチだけが時間が止まっている様だった。


ドンパチがショックから立ち直った時には、人間の国と魔人の国の間にある死の森と恐れられている森に一人置き去りにされていた。

「……。これから、僕はどうすれば良いんだよ~!」
ドンパチは、叫んだ。

「ひぃ、ごめんなさい」
ドンパチの叫び声に鳥達が驚いて一斉に飛び、それに驚いたドンパチは屈んで謝罪をした。

「ふん、驚かせやがって。まぁ、僕は驚いてないけど。よいしょっと、まずは食料と水の確保しないと」
ドンパチは立ち上がり、森の中を探索を始めた。
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