異世界から魔王候補として召喚された

フミナベ

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イシリアと事故ちゅー

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【ラーバス学園・男子トイレ】

「あいつ、すげえな。うちの学園のナンバー4のマーケンスに勝つなんてな」

「だな。あいつは本当に魔力値2の人間なのか?」

「試合を見ていたけど、未だに信じらんねぇよ」

「ああ、それにしても魔王修羅様といい。最近の人間は化け物が多いのか?」

「まぁ、でも次はイシリアさんが勝つだろうな。マーケンスにも余裕で毎回勝っているし」

「そう…だよな…」
男子達がトイレの中で会話をしていたが、廊下にいたマーケンスに聞こえた。


「おい!」
マーケンスはトイレに入り、男子達に呼び掛けた。

「マ、マーケンス!?す、すまん」
「「すみません!」」
マーケンスに声を掛けられ、驚き男子達は慌てて謝罪をした。

「フン!まぁ、勝負に負けたのは事実だからな。だが、俺は大和と闘って、まだまだ強くなれると実感した。次のランキング戦で、大和にもイシリアにも勝つさ。それより、お前達が思っている以上に大和は強いぞ。多分、イシリアよりもな。じゃな、お互いに強くなろうぜ!」
マーケンスは右手を前に出して拳を強く握り締めて話し終えた後、背中を見せて手を挙げてトイレから出て行った。

「「……」」
ただ呆然と男子達は、その場に立っていた。
いつものマーケンスなら、激怒して相手の胸ぐら掴んだりするはずなのだが、何故かあっさりと話だけして立ち去ったからだった。



【グランド】

そして、大成とイシリアの闘いが始まる。
大成とイシリアは、木製のレイピアを模様した細い木刀を持っていた。


「私の予想通り、マーケンスに勝ったわね大和君。だけど、悪いけど大和君はここで負けてランキング戦は終わりよ」
イシリアは笑顔で、木刀の剣先を大成に向けた。

「かもしれないね。まぁ、やってみないと勝敗はわからないよ」

「それもそうね。戦う前に1つ言っておきたいことがあるわ」

「何かな?」

「どさくさに紛れて、む、胸とか触ったら殺すから」
イシリアは、恥ずかしそうに頬を赤く染めながら早口で言った。

「え!?そんなことはしないし、してないよ。それに…」
大成は首を振って、憐れむような目でイシリアの胸を見てしまった。

「何、その目!大和君、絶対に許さない殺すわ!」
大成の視線に気付いたイシリアは激怒し、顔を真っ赤に染めて殺気を放ちながら怒鳴った。

「ご、ごめん」

「迷わず即座に謝ったということは、やはり思っていたのね!絶対に許さない!」

「そ、それは…」
大成は、目を背けながら言い淀む。

「はぁ…おい、そろそろ試合始めても良いか?」
マミューラは、溜息をつき話を進めた。

「「すみません」」

「じゃあ、試合開始!」
マミューラの宣言で、大成とイシリアは身体強化してお互い接近した。

イシリアは、木刀を振り下ろす。
大成は攻撃を受け流して木刀で凪ぎ払ったが、イシリアはすぐに間合いから離れて回避した。

「剣術も凄いのね、大和君。まるで修羅様みたいだわ。まさかと思うけど修羅様の弟さんだったりするの?」
イシリアは、大成に話し掛けながら再び接近し、イシリアは鋭い突きを放った。

「わぉ、違うよ」
大成は体を傾け避けたが、思っていたよりもイシリアの突きが鋭く制服を掠める。

(流石、ローケンスさんの娘さんだな。いや、この言い方は良くないな。あの突きは相当な鍛練と努力をした証拠だ)
魔力値6だけではなく、ほぼ無駄のない突きの動作を見て相当な鍛練をしていないとできない芸当だったので感心した。

「なら、大和君は人間のスパイだったりするの?」
会話を続けながら、イシリアは突きを連打する。

「まさか、そんなわけないよ」
イシリアの鋭い突きの連打によって大成は押され気味になり、少しずつ下がりながらどうにか対処する。

「なら、何故、そんなに強いの?」
イシリアは、2段突きをする。

一振りしか持ってないはずなのだが、2段突きが同時に突かれた様に見えた。

「これは凄いな。まだ、若いのに。想像もつかないほど鍛練しているみたいだね」
大成は2段突きを防ぎ、イシリアの正確な突きでテンションが上がっていく。

「へぇ~、あれを防ぐなんて…。大成君も、なかなかやるわね」

「まぁね。イシリアと同じように僕も必死に武術などを鍛練しているからね」

「でもね。私は、まだ全力出してないわよ」

「凄いな。できれば、早く全力を見せて欲しいかな」

「わかったわ。いいわよ」
1度、イシリアは大成から離れ、大成は追わずにその場で立ち止まりイシリアの攻撃を待つことにした。


「あれが、出るぞ。イシリア様の切り札が」

「だな。俺達のハートを貫いたアレがな」

「本当に久しぶりに見るな。顔は可愛いけど、キツイ性格と残念な胸が残念だったが、あの技が俺達を虜にした」
イシリアファンクラブの男子達は盛り上がった。


その会話が聞こえたのか、イシリアは男子達を睨んだ。

「お、おい。今、俺を見つめていなかったか?」

「いや、俺だろ!イシリア様、俺のことが好きなんじゃないのか?」

「馬鹿だろ、お前ら。どう見ても、俺に決まっているだろ」
騒ぐ男子達。

そんな光景をジャンヌとウルミラの女子達は、ゴミを見るような目で見た。

「そこ、うるさい黙っててよね!」

「「すまん」」
女子に注意された男子達は謝り静かになった。


「先に言っておくわね、大和君。この攻撃を受けたら死ぬかもしれないわよ。それでも、良い?」
「勿論、構わないよ」
イシリアの宣言に大成は迷わずに頷いた。

「じゃあ、行くわよ。トリプル・スピア」
イシリアはダッシュし、接近して勢いが乗ったまま突きを放った。

イシリアが繰り出した三段突きは、全て同時に突かれた様に見えた。

「本当に凄いな!」
大成は集中し、一閃を体を横にずらして回避し、2閃は木刀で防いだ。

「う、嘘…」
「僕の勝ちで良い?」
「ま、まだよ。ヤァッ!」
自信があり切り札としていた技を防がれたことにイシリアはショックを受けたが、完全ではないがすぐに立ち直り突きを連打する。

イシリアの突きの連打を大成は軽く捌き、そして…。
「トリプル・スピア」
大成は、イシリアに当てない様にトリプル・スピアを使った。


場が静まり返った。
「ね、ねぇ、ウルミラ。今のイシリアのトリプル・スピアだったわよね?」
「は、はい。私も、そう見えました…」
クラスメイトだけではなく、ジャンヌ、ウルミラ、マーケンス、マミューラですらも驚愕していた。


「嘘…!?」
一番、驚いのはイシリアだった。
小さい頃から練習し、やっと出来た技を、たった一度見せただけで、簡単にマネをされたのだ。

しかも、大成は魔力値2でイシリアは魔力値6。
大成が身体強化がズバ抜けていても、魔力値4程度しか強化できない。

驚愕しただけではなく、そのショックも大きくイシリアは足腰の力が抜け倒れそうになった。


「おっと、大丈夫?」
「あ、ありがとう…って、どこ触っているのよ!変態!」
大成は慌ててイシリアを支えたが、片方の手がイシリアの胸を鷲掴みしていた。

「ご、ごめん」
「早く、離れてよ!」
「ちょっと、暴れないで欲し…」
「きゃっ」
「わぁっ」
大成は離れようとしたが、先に頬を赤く染めたイシリアが暴れ、イシリアは後ろに倒れそうになった時、咄嗟に大成の腕を引っ張り共に倒れた。

「「っ……!!」」
2人は気付いたら、唇と唇が重なり合っていた。


「ね、ねぇ、あれってキスしてない?」
「う、うん」
女子達の小声での会話が響いた。

「お、おい!あいつ俺達のイシリア様の唇を奪いやがった!しかも、堂々と俺達の目の前でだ。どうする?」
「勿論、殺すに決まっている!皆で戦えば仕留めることができるはずだ!」
「「ウォォォ!」」
男子達は殺気を出して大成に特攻しようとした時、背後からとてつもない殺気と魔力を感じ体の芯から震え上がり青ざめる。

男子達は、恐る恐る振り向くとジャンヌとウルミラが笑顔で歩み寄っていた。

男子も女子も、青ざめた表情で自然と道をあける。


大成の片手はイシリアの胸を掴んだままで、イシリアに覆い被さっていた。

大成とイシリアは、未だに混乱し思考停止しており、キスをしたまま固まっている。


そこに、ジャンヌとウルミラが大成達の傍にやって来た。

「ねぇ、いつまで、そうしているつもりなのかしら?」
ジャンヌの凍りつくような声が聞こえ、大成とイシリアは慌てて離れた。


「ご、ごめん。そ、その事故とはいえ、キスをしてしまって」
「き、気にしないで。わ、わざとではないってわかっているわ。わ、私こそ、暴れてごめんなさい」
大成とイシリアは、お互い顔を真っ赤に染め謝った。


「ねぇ、それより大成」
大成はジャンヌから呼ばれ、イシリアもジャンヌとウルミラに恐る恐る振り向きゾッとした。
声だけでなく、視線も冷たく感じるほどだった。

「は、はい!な、な、何でしょうか!」
大成は、すぐに立ち上がり背筋をピンっと伸ばして右手をこめかみ辺りに当て敬礼をした。
大成は、恐怖で体を小刻みに震わせ冷や汗が流れていた。


「大成さんは、何故こうも女の子と問題を起こすのですか?わざとですか?」

「め、滅相もありません。決して、お、起こしたい訳ではないです。ウルミラさん、し、失礼しました。ウルミラ様」
ウルミラも冷えきった視線と声を発したことで、大成の言葉使いが変になった。

「ウルミラ、準備良い?」
「はい。いつでも大丈夫ですよ。姫様」
2人はお互いに確認しあい、片手を大成に向けて魔力を集中した。

その時、頭を掻きながらマミューラが止めた。
「おいおい、そこまでにしろ!」
「マミューラ先生!」
マミューラに助けて貰い、大成は涙が出た。

「大和の次の対戦相手はウルミラ、お前だろ。その時に、大和の息の根を止めれば良いだろ?」
マミューラは口元に笑みを浮かべ、恐ろしいことを提案した。

「せ、先生!」
先とは違う涙が出た大成は子犬が捨てられた様な目で訴えたが、マミューラは視線を外し後ろを向いた。

「そ、そんな…殺生な」
大成は、四つん這いになり絶望した。

「そうね」
「そうですね」
納得したジャンヌとウルミラは笑顔になり魔力を抑えた。

「宜しくお願いしますね。大成さん」
「ハハハ…。よ、ヨロシク…お手柔らかに…」
ウルミラは笑顔だったが目は笑っておらず、大成は涙目になったのだった。
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