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ウルミラと試練は続く
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【ラーバス学園・グランド】
「フフフ…。大成さん覚悟は出来てますか?もちろん、降参はなしですよ」
普段は優しいウルミラだが今は目が居座り真っ黒に染まった様な感じのオーラを醸し出しており、大成は顔を引き攣りながら苦笑いを浮かべた。
「「……。」」
大成だけでなく、他の皆もウルミラの雰囲気を見て寒気がするほどだった。
数年間、今まで一緒にいたクラスメイト達や担任のマミューラですら、今のウルミラを見たことがなかった。
「あの、1つ聞きたいことがあるのですが良いですか?確認がしたいのですが」
「何だ?ああ、それは、大丈夫だ。別に構わない」
大成は、マミューラに耳打ちして了解を得た。
「じゃあ、試合を始めるが良いか?」
「私は、いつでも構いませんマミューラ先生。大成さんもですよね」
「ハ、ハイ」
大成に向けるウルミラの笑顔は、大成が片言になるほど十分な威圧感があった。
大成とウルミラの2人は、武器は棍棒を選んでいた。
マミューラは、大成とウルミラを見て確認し試合開始の合図をする。
「よし、では試合開始!」
開始直後に、大成とウルミラは身体強化をした。
「アイス・ミサイル・ニードル」
ウルミラが先制で氷魔法アイス・ミサイル・ニードルを唱えると、ウルミラの頭上に27本の氷の矢が出現した。
氷の矢は見た目は普通のアイス・ミサイルと変わらなかった。
そして、ウルミラの合図で氷の矢は雨が降り注ぐように大成を襲った。
大成は横に走り、次々に斜め上から降り注ぐ氷の矢を回避していく。
外れた氷の矢は、地面に突き刺さる。
普通のアイス・ミサイルはそこで終わるのだが、アイス・ミサイル・ニードルは、地面に突き刺さった瞬間、そこから周囲の物を突き刺す様に針のように伸びた。
「くっ」
大成は、避けた氷の矢が針のように伸びた攻撃も躱す。
今の魔力を抑えた状態の大成だと当たりどころが悪ければ即死する死と隣り合わせだが、その緊張感で段々とテンションが上がっていき、大成の集中力が高まっていく。
大成はもっと刺激が欲しくなり走る方向を変え、真っ正面からウルミラに挑んだ。
「えっ!?ア、アイス・ミサイル・ニードル」
ウルミラは、自分の隙を大成が狙ってくると思っていたが、まさか大成自らが真正面から向かって来るとは思っていなかったので驚いた。
未だに魔力を抑えていても大成の実力は不明なので、油断せずに再びアイス・ミサイル・ニードルを唱えて攻撃を続行した。
距離が近づくにつれて大成は回避が困難になり棍棒で弾いたりするが、それでも全てを防ぐことができず制服が破れて掠り傷を負っていく。
そして、大成は棍棒に銃弾みたいなスクリュー回転をかけてウルミラに向けて投擲した。
ウルミラは、何かあると思い避けようとしたが途中で棍棒の軌道があり得ないほど変わった。
大成の棍棒には、ピアノ線をイメージした魔力の糸が括りつけており、糸を引っ張って強引に軌道をずらしたのだ。
「っ!?」
ウルミラは慌てて持っている棍棒で、跳んでくる大成の棍棒を掬い上げる様に振り上げて大成の棍棒を上空に弾いたが、気が付けば大成の気配が消えていた。
ウルミラは、すぐに糸の先を見たが大成が投擲した時の場所に垂れており、大成本人の姿はなかった。
ウルミラは、嫌な感じがして上を見上げると、そこに大成がおり空中で弾かれた棍棒をキャッチして落下しながら叩きつけようとしていた。
ウルミラは、慌てて両手で棍棒を持ち上げて頭の上に構えて防いだ。
大成とウルミラの衝突で衝撃波が生まれ、クラスメイト達の髪が揺れた。
大成がマミューラに聞いていたのは、魔力で作った糸を使用して良いのかだった。
「さ、流石、大成さんですね」
一度、ウルミラは大成を力で弾いて距離をとった。
大成が魔力制限していなかったら、この一撃で決まっていたかもしれないとウルミラは思った。
ウルミラの言葉で大成は冷静に戻った。
負ける可能性の方が高いが、何処まで通用するのかを試して、もし、勝てそうでもウルミラのヘルレウス・メンバーとしての地位を護るため、初めから負けるつもりだったのだ。
だが、ウルミラは思ったよりも隙がなく強かったので、つい夢中になってしまった。
そろそろ、優しい攻撃を貰って退場しようと思った大成だったが…。
「大成さんの期待を裏切らないためにも、私も久しぶりに本気を出します」
一気にウルミラの魔力が膨れ上がった。
「えっ!?あ、あの…ウルミラさん。本気出されると僕は死んでしまいます」
予想外な事態に陥った大成は動揺が隠せないでいた。
ウルミラは大成の言葉を聞いていないのか、聞こえていないのかわからないが、一瞬にしてウルミラは大成に接近して棍棒で横から凪ぎ払った。
大成は驚き、慌てて頭を下げた。
大成の頭上に物凄い速さで棍棒が通り、そのあとに発生した風圧も凄かった。
「ちょっ、ちょっと落ち着いてウルミラさん。僕、これを当たると死にますよ」
大成は頬を引き攣り説得を試みながら距離をとろうとしたが、ウルミラは自分の距離を維持しながら張り付く様に動く。
「何のご冗談を仰っているのですか?」
今度はウルミラは突きを連打し、大成に反撃させないようにする。
ウルミラは完全に変なスイッチが入り、冷静さに欠けていたため、大成に勝つことだけしか考えていなかった。
大成の救いは、ウルミラが冷静さを欠けていたので、動作に力みがあり無駄が出ていたことだった。
「う、嘘だろ!」
ウルミラに鋭い突きを連打をされ、大成は必死に棍棒で防いだり受け流したり回避したりしたが、全てを捌ききれず、掠り傷があっという間に増えていく。
一発でも貰った場合、骨折は免れないどころか下手をすると本当に死んでしまう可能性があったので必死になった。
「しぶといですね」
「いや、あのウルミラさん。僕を殺すつもりですか?」
「殺すつもりで行かないと勝てませんので」
ウルミラの攻撃には、初めのアイス・ミサイル・ニードルを放った時よりも殺気が込められていた。
「いや、僕の負けです。降参しますから、もう攻撃を止めてくれませんか?」
「大成さん。降参はなしと約束しましたよ」
ウルミラは降参を受け入れず、大成を逃がさなかった。
「本当にしぶといですね。フリーズ」
ウルミラは距離をとろうとした大成を追わず、左手を地面に触れて氷魔法、フリーズを唱えた。
ウルミラを中心に地面が凍っていく。
同い年の子供が使用すれば平均魔力値4か3程度なので半径1~3メートルぐらいなのだが、魔力値8のウルミラが使用すると半径50メートル近く凍った。
大成は足に魔力を集中させ、凍り付かないようにする。
「「うぁぁぁ~!」」
「「きゃ~!」」
周りの皆も同じ様に対処したり、その場から慌てて離れた。
「ちょっと、これはヤバイってウルミラさん」
氷付けを回避した大成だったが焦っていた。
只でさえ、全神経を使って防いでも掠り傷を負っている状況で、さらに足元が滑るようになったからだ。
対処できなくなるのは明白だった。
少しでも安全性を考えた大成は、全神経を防ぐことに専念してウルミラが冷静に戻るのを待っていたが、足元が悪くなったので一か八か危険を伴うが取り押さえようと覚悟を決めた。
再び、ウルミラは大成に接近して棍棒を上から振り下ろす。
「今だ!」
大成は前に一歩踏み込みながら、右手で棍棒を持ち先端を下に向け左腕で棍棒の半ば辺りを支えて棍棒を斜めに立てた。
ウルミラの棍棒は、大成の棍棒の手と腕の間に当たり、そのまま大成の棍棒の上を滑り受け流された。
(これが、最初で最後のチャンス。なっ!?)
大成はウルミラの棍棒が軌道を変えながら、ウルミラの懐に潜り込もうとしたが、氷の地面で足が滑りウルミラを押し倒した。
「うぁ!」
「きゃっ」
大成とウルミラは共に倒れた。
(何か、顔に柔らかい物が当たっている?)
「…ぅ~ん、何か柔らかい」
呻きながら大成は、顔に当たっている物を両手で触ったり揉んだりする。
「ふぇ、ふぇ~!?」
顔を真っ赤に染めたウルミラ。
ウルミラの声が聞こえたので大成は顔を上げると、ウルミラ胸の谷間に自分の顔が埋もれており揉んだりしていたことに気付いた。
「あっ!ごめん、これは、わざとじゃ…」
大成は慌てて離れようとしたが、それと同時にウルミラの魔力が右手に集中する。
「きゃ~!」
ウルミラは、顔を真っ赤に染めて目を瞑り叫びながらビンタをした。
「ちょっ、ちょっと…」
大成は慌てて左頬に魔力を集中して、左頬にウルミラのビンタが炸裂した。
「ぐぉっ」
甲高いビンタの音が響き、大成は盛大に地面を転がりながら吹っ飛んだ。
「「……」」
「勝者、ウルミラ」
場が静寂に包まれており大成は意識が薄れる中、辛うじてマミューラの声が聞こえたと同時に大成は意識を手放した。
それから暫く経ち、大成は意識を取り戻してジャンヌからハイポーションを受け取り飲んで回復した。
「ありがとう。ジャンヌ。それに、ウルミラごめん。あれは、わざとじゃないんだ」
大成は笑顔でジャンヌに感謝し、ウルミラに謝罪した。
「わ、私こそ、その、熱くなり過ぎてすみません。大成さん、大丈夫ですか?」
ウルミラは、顔がまだ真っ赤に染ったままだったが冷静に戻っていた。
そんなウルミラを見て、大成はホッとした。
「どうにかね」
笑顔で答えた大成を見てウルミラもホッと安堵した。
一方、ジャンヌは笑顔だったが、気のせいか先よりも威圧感が増していることに大成は気付き冷や汗が出る。
「気にしないでいいわよ。だって、次は私と闘うのだから万全な状態でないと死んでしまうかもしれないわ」
ジャンヌは、笑顔でポーションを渡した理由を説明をした。
「えっ!?ちょっと待て!それは可笑しいよね?だって、僕は負けたから、これでランキング戦は終わりだよ。ジャンヌ」
「遠慮しないでいいわよ。それに、そのことなら大丈夫。大成が気絶している時に、私がマミューラ先生に頼んだから。まぁ、条件として回復させたなら良いって許可を貰ったわ。その代わり、順位には影響はしないけど」
笑顔のままジャンヌは首を傾げて可愛かったが、話の内容が残酷だった。
「えっ!?大丈夫って…あの…」
大成は、マミューラに振り向いたがマミューラは笑みを浮かべながら頷くだけだった。
それを見た大成は項垂れた。
まだ、大成の試練は続くのであった。
「フフフ…。大成さん覚悟は出来てますか?もちろん、降参はなしですよ」
普段は優しいウルミラだが今は目が居座り真っ黒に染まった様な感じのオーラを醸し出しており、大成は顔を引き攣りながら苦笑いを浮かべた。
「「……。」」
大成だけでなく、他の皆もウルミラの雰囲気を見て寒気がするほどだった。
数年間、今まで一緒にいたクラスメイト達や担任のマミューラですら、今のウルミラを見たことがなかった。
「あの、1つ聞きたいことがあるのですが良いですか?確認がしたいのですが」
「何だ?ああ、それは、大丈夫だ。別に構わない」
大成は、マミューラに耳打ちして了解を得た。
「じゃあ、試合を始めるが良いか?」
「私は、いつでも構いませんマミューラ先生。大成さんもですよね」
「ハ、ハイ」
大成に向けるウルミラの笑顔は、大成が片言になるほど十分な威圧感があった。
大成とウルミラの2人は、武器は棍棒を選んでいた。
マミューラは、大成とウルミラを見て確認し試合開始の合図をする。
「よし、では試合開始!」
開始直後に、大成とウルミラは身体強化をした。
「アイス・ミサイル・ニードル」
ウルミラが先制で氷魔法アイス・ミサイル・ニードルを唱えると、ウルミラの頭上に27本の氷の矢が出現した。
氷の矢は見た目は普通のアイス・ミサイルと変わらなかった。
そして、ウルミラの合図で氷の矢は雨が降り注ぐように大成を襲った。
大成は横に走り、次々に斜め上から降り注ぐ氷の矢を回避していく。
外れた氷の矢は、地面に突き刺さる。
普通のアイス・ミサイルはそこで終わるのだが、アイス・ミサイル・ニードルは、地面に突き刺さった瞬間、そこから周囲の物を突き刺す様に針のように伸びた。
「くっ」
大成は、避けた氷の矢が針のように伸びた攻撃も躱す。
今の魔力を抑えた状態の大成だと当たりどころが悪ければ即死する死と隣り合わせだが、その緊張感で段々とテンションが上がっていき、大成の集中力が高まっていく。
大成はもっと刺激が欲しくなり走る方向を変え、真っ正面からウルミラに挑んだ。
「えっ!?ア、アイス・ミサイル・ニードル」
ウルミラは、自分の隙を大成が狙ってくると思っていたが、まさか大成自らが真正面から向かって来るとは思っていなかったので驚いた。
未だに魔力を抑えていても大成の実力は不明なので、油断せずに再びアイス・ミサイル・ニードルを唱えて攻撃を続行した。
距離が近づくにつれて大成は回避が困難になり棍棒で弾いたりするが、それでも全てを防ぐことができず制服が破れて掠り傷を負っていく。
そして、大成は棍棒に銃弾みたいなスクリュー回転をかけてウルミラに向けて投擲した。
ウルミラは、何かあると思い避けようとしたが途中で棍棒の軌道があり得ないほど変わった。
大成の棍棒には、ピアノ線をイメージした魔力の糸が括りつけており、糸を引っ張って強引に軌道をずらしたのだ。
「っ!?」
ウルミラは慌てて持っている棍棒で、跳んでくる大成の棍棒を掬い上げる様に振り上げて大成の棍棒を上空に弾いたが、気が付けば大成の気配が消えていた。
ウルミラは、すぐに糸の先を見たが大成が投擲した時の場所に垂れており、大成本人の姿はなかった。
ウルミラは、嫌な感じがして上を見上げると、そこに大成がおり空中で弾かれた棍棒をキャッチして落下しながら叩きつけようとしていた。
ウルミラは、慌てて両手で棍棒を持ち上げて頭の上に構えて防いだ。
大成とウルミラの衝突で衝撃波が生まれ、クラスメイト達の髪が揺れた。
大成がマミューラに聞いていたのは、魔力で作った糸を使用して良いのかだった。
「さ、流石、大成さんですね」
一度、ウルミラは大成を力で弾いて距離をとった。
大成が魔力制限していなかったら、この一撃で決まっていたかもしれないとウルミラは思った。
ウルミラの言葉で大成は冷静に戻った。
負ける可能性の方が高いが、何処まで通用するのかを試して、もし、勝てそうでもウルミラのヘルレウス・メンバーとしての地位を護るため、初めから負けるつもりだったのだ。
だが、ウルミラは思ったよりも隙がなく強かったので、つい夢中になってしまった。
そろそろ、優しい攻撃を貰って退場しようと思った大成だったが…。
「大成さんの期待を裏切らないためにも、私も久しぶりに本気を出します」
一気にウルミラの魔力が膨れ上がった。
「えっ!?あ、あの…ウルミラさん。本気出されると僕は死んでしまいます」
予想外な事態に陥った大成は動揺が隠せないでいた。
ウルミラは大成の言葉を聞いていないのか、聞こえていないのかわからないが、一瞬にしてウルミラは大成に接近して棍棒で横から凪ぎ払った。
大成は驚き、慌てて頭を下げた。
大成の頭上に物凄い速さで棍棒が通り、そのあとに発生した風圧も凄かった。
「ちょっ、ちょっと落ち着いてウルミラさん。僕、これを当たると死にますよ」
大成は頬を引き攣り説得を試みながら距離をとろうとしたが、ウルミラは自分の距離を維持しながら張り付く様に動く。
「何のご冗談を仰っているのですか?」
今度はウルミラは突きを連打し、大成に反撃させないようにする。
ウルミラは完全に変なスイッチが入り、冷静さに欠けていたため、大成に勝つことだけしか考えていなかった。
大成の救いは、ウルミラが冷静さを欠けていたので、動作に力みがあり無駄が出ていたことだった。
「う、嘘だろ!」
ウルミラに鋭い突きを連打をされ、大成は必死に棍棒で防いだり受け流したり回避したりしたが、全てを捌ききれず、掠り傷があっという間に増えていく。
一発でも貰った場合、骨折は免れないどころか下手をすると本当に死んでしまう可能性があったので必死になった。
「しぶといですね」
「いや、あのウルミラさん。僕を殺すつもりですか?」
「殺すつもりで行かないと勝てませんので」
ウルミラの攻撃には、初めのアイス・ミサイル・ニードルを放った時よりも殺気が込められていた。
「いや、僕の負けです。降参しますから、もう攻撃を止めてくれませんか?」
「大成さん。降参はなしと約束しましたよ」
ウルミラは降参を受け入れず、大成を逃がさなかった。
「本当にしぶといですね。フリーズ」
ウルミラは距離をとろうとした大成を追わず、左手を地面に触れて氷魔法、フリーズを唱えた。
ウルミラを中心に地面が凍っていく。
同い年の子供が使用すれば平均魔力値4か3程度なので半径1~3メートルぐらいなのだが、魔力値8のウルミラが使用すると半径50メートル近く凍った。
大成は足に魔力を集中させ、凍り付かないようにする。
「「うぁぁぁ~!」」
「「きゃ~!」」
周りの皆も同じ様に対処したり、その場から慌てて離れた。
「ちょっと、これはヤバイってウルミラさん」
氷付けを回避した大成だったが焦っていた。
只でさえ、全神経を使って防いでも掠り傷を負っている状況で、さらに足元が滑るようになったからだ。
対処できなくなるのは明白だった。
少しでも安全性を考えた大成は、全神経を防ぐことに専念してウルミラが冷静に戻るのを待っていたが、足元が悪くなったので一か八か危険を伴うが取り押さえようと覚悟を決めた。
再び、ウルミラは大成に接近して棍棒を上から振り下ろす。
「今だ!」
大成は前に一歩踏み込みながら、右手で棍棒を持ち先端を下に向け左腕で棍棒の半ば辺りを支えて棍棒を斜めに立てた。
ウルミラの棍棒は、大成の棍棒の手と腕の間に当たり、そのまま大成の棍棒の上を滑り受け流された。
(これが、最初で最後のチャンス。なっ!?)
大成はウルミラの棍棒が軌道を変えながら、ウルミラの懐に潜り込もうとしたが、氷の地面で足が滑りウルミラを押し倒した。
「うぁ!」
「きゃっ」
大成とウルミラは共に倒れた。
(何か、顔に柔らかい物が当たっている?)
「…ぅ~ん、何か柔らかい」
呻きながら大成は、顔に当たっている物を両手で触ったり揉んだりする。
「ふぇ、ふぇ~!?」
顔を真っ赤に染めたウルミラ。
ウルミラの声が聞こえたので大成は顔を上げると、ウルミラ胸の谷間に自分の顔が埋もれており揉んだりしていたことに気付いた。
「あっ!ごめん、これは、わざとじゃ…」
大成は慌てて離れようとしたが、それと同時にウルミラの魔力が右手に集中する。
「きゃ~!」
ウルミラは、顔を真っ赤に染めて目を瞑り叫びながらビンタをした。
「ちょっ、ちょっと…」
大成は慌てて左頬に魔力を集中して、左頬にウルミラのビンタが炸裂した。
「ぐぉっ」
甲高いビンタの音が響き、大成は盛大に地面を転がりながら吹っ飛んだ。
「「……」」
「勝者、ウルミラ」
場が静寂に包まれており大成は意識が薄れる中、辛うじてマミューラの声が聞こえたと同時に大成は意識を手放した。
それから暫く経ち、大成は意識を取り戻してジャンヌからハイポーションを受け取り飲んで回復した。
「ありがとう。ジャンヌ。それに、ウルミラごめん。あれは、わざとじゃないんだ」
大成は笑顔でジャンヌに感謝し、ウルミラに謝罪した。
「わ、私こそ、その、熱くなり過ぎてすみません。大成さん、大丈夫ですか?」
ウルミラは、顔がまだ真っ赤に染ったままだったが冷静に戻っていた。
そんなウルミラを見て、大成はホッとした。
「どうにかね」
笑顔で答えた大成を見てウルミラもホッと安堵した。
一方、ジャンヌは笑顔だったが、気のせいか先よりも威圧感が増していることに大成は気付き冷や汗が出る。
「気にしないでいいわよ。だって、次は私と闘うのだから万全な状態でないと死んでしまうかもしれないわ」
ジャンヌは、笑顔でポーションを渡した理由を説明をした。
「えっ!?ちょっと待て!それは可笑しいよね?だって、僕は負けたから、これでランキング戦は終わりだよ。ジャンヌ」
「遠慮しないでいいわよ。それに、そのことなら大丈夫。大成が気絶している時に、私がマミューラ先生に頼んだから。まぁ、条件として回復させたなら良いって許可を貰ったわ。その代わり、順位には影響はしないけど」
笑顔のままジャンヌは首を傾げて可愛かったが、話の内容が残酷だった。
「えっ!?大丈夫って…あの…」
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それを見た大成は項垂れた。
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