異世界から魔王候補として召喚された

フミナベ

文字の大きさ
39 / 55

滅びるラゴゥバルサ国と白き龍

しおりを挟む
【ラゴゥバルサ国・入口門】

大成は、ラゴゥバルサ国の門の横の城壁に居た。

派手に暴れると相手が逃げる可能性があるので、なるべく魔力感知されないためにも魔力と魔法を控えて隠密にことを進ませ、最後に周りに自分の強さを誇示するため最後に派手に暴れることを計画していた。


気配を消している大成は、足音も消して防壁に沿って門番2人に近づく。

門番達は、まだ大成に気付かずにいる。
大成は、ゆっくりと焦らずに徐々に近づく。

だが、門番の1人が大成のいる側の防壁を振り向いたが、大成の姿はなかった。

大成は、門番が振り向く気配がした時、防壁の上側の側面を走っていたため見落としていた。

大成は、左手で腰に巻いたポシェットからクナイを2本取り出し門番に投擲した。 

「がっ」
「うっ」
クナイは、2人の門番の兜を貫通して頭に刺さり、門番2人は小さく悲鳴をあげ倒れた。

このクナイは、自分で製作したもので魔鉱石を使用してない、ただのクナイ。
魔鉱石で作ろうとした時、大成は思ったことがあった。

それは、そもそも他の武器ですら一度も作ったことがないので、上手く作れるかが不安だった。
そこで、試しに価格の高い魔鉱石を使用せず、普通の素材で作った試作品。

大成の予想通りに強度や見た目が悪かったが、切れ味だけが武器屋で販売している物よりも優れていた。

しかし、強度が悪い分、命懸けで戦っている冒険者達の手に渡ることを阻止するため販売できなかった。


こうして、大成は上手くラゴゥバルサ国に潜入に成功した。

ラゴゥバルサ国の中は、門のすぐ近くに家や店などが建っていたが、やはり、バルダーから聞いた通り、人の気配はなく生活している雰囲気も痕跡もない完全なゴーストタウンになっていた。

そのまま、大成は気配を消したまま建物の屋根から屋根へと飛び移りながら奥に進む。

やがて、目の前に大きな立派なラゴゥバルサ城が見えてきた。

「あそこか…」
大成は、警戒をしながらラゴゥバルサ城へと向かった。



【ラゴゥバルサ城・城門】

城の門の近くまで来た大成だったが、今度は門番4人だった。

「…だったとよ」
「本当か~?」
「その話しは、怪しいな」
「本当さ。なぁ?」
「ああ、本当の話しだぞ」
「マジかよ。アハハ…」
門番4人は、会話をして笑っていた。

大成は足下にあった手頃な石を拾い、力強く城壁に投げつけた。

城壁に石が当たり音が小さく響く。

「おい、何かあっちで音がしたよな?」
門番1人が皆に尋ねる。

「「あ、ああ…」」
先まで笑って会話をしていた3人は、真剣な面持ちで頷いた。

「俺が見てくる」
「仕方ない、俺も行く」
「わかった。なら、俺達は引き続き門を見張ろう」
「そうだな、気を付けろよ」
「まぁ、いつもみたいに風で木の枝か何かが飛んで来て壁に当たっただけだろうけどな」
「「だな、アハハハ…」」
門番は2人ずつ、二手に別れた。


大成は、先に門側の方を狙うことにした。
門を引き続き見張っている門番2人は、先程の音が気になって、そちらに視線を向けていた。

大成は、門番の死角から気配と足音を消してたまま近づく。

近くの門番の背後に回り、左手で口を塞いで右手で持っているナイフで喉を斬り裂き、音を立てず倒す。


「月が雲で隠れて暗いからだと思うが、何だが胸騒ぎがするんだ。何事もなければ、いいけどな」
もう一人の門番は未だに音がした方角を向いたままで、まだ大成に気付いてない。

大成は、再び同じ様に口を塞いで門番を殺した。

大成は門番を倒した後、2人が持っていた槍を拾い、一瞬だけ身体強化して槍に魔力を纏わさせ地面に深く突き刺し、2人を立った状態にしてピアノ線で槍に括りつけて固定した。


先に門側を狙った理由は、もし偵察に行った兵士達が、なかなか戻って戻って来なかったら、門側の門番達が周囲に警告する可能性が高いと思ったからである。


準備が終わった頃に、偵察に向かった2人の気配がしたので大成は死体の後ろに身を隠くした。

「何もなかったぞ。多分、鳥だろう」
「お前、ビビっていただろう。いつもの音と違っていたからさ」
「ビ、ビビってなんかねぇよ」
「本当か~?」
何も知らない門番2人は、笑いながら戻ってきた。

大成は、焦らずに2人が自分の間合いに入るのを待った。

そして、入った瞬間、大成は一瞬で2人の前に出てナイフで一線し2人の喉を斬った。

「「がっ」」
2人は喉を押さえながら息絶えた。
大成は、再び括りつけ城の敷地へ入った。

そうすることで、もし他の人が遠くから見ても、4人が生きていると思わせるためだった。

あまりにも無用心な陣形なので、大成は他にも誰かいないか魔力感知で探ったが、特に隠れている者はいなかった。

ただ自分達が大国なので攻め入ってくる者などいないと思っており、警備をサボる者が多く手薄になっていたに過ぎなかった。

何人か敷地を巡回していたが、大成は全て背後を取り口を塞いで殺し、死体を茂みに隠していき知られることなく順調に進む。

「あとは城の扉の前に居る兵士2人倒したら、城の中へ入れる所まで来たな。油断するな」
大成は、自分に言い聞かせる。

しかし…。
「ん?お前達何をしている!侵入者がいるぞ!気をつけろ!」
バルダーは、たまたま城の2階の廊下から外の様子を見て異変に気付いた。

巡回しているはずの兵士達が1人も居ないことに気付き大きな声で皆に報せた。


「せっかく、順調だったのに…仕方ない。まぁ、ここまで来たし問題ないか。グリモア・ブック、アース・スピア」
大成は土魔法アース・スピアを唱え、土を凝縮した2本の槍を召喚して扉の前にいる兵士2人に向かって投擲した。

「「ぐぁっ」」
兵士2人は反応が遅れ、槍が胸に1本ずつを刺さり倒れた。

大成は、2人の間を通り抜けて城の扉を開け中に入る。



【ラゴゥバルサ城】

入口にいた兵士1人が、大成を確認して仲間に報告する。
「い、居たぞ!侵入者だ!相手は1人だ!」
「アイス・ミサイル」
「アース・ニードル」
「アイス・ボール」
「アース・ショット」
次々に兵士達が現れ、魔法攻撃を放つ。

「アイス・ミサイル・ニードル」
大成は、魔法を避けながら氷魔法アイス・ミサイル・ニードルを唱えて反撃しながら接近して行く。

人や建物にアイス・ミサイル・ニードルが当たった瞬間、その場所から氷が針みたい突き出る。

「な、何だ!?この魔法は!ぐぁっ…」
「避けきれねぇ、うっ…」
「た、助けて…」
初弾の攻撃が当たらなかった者は、その後に針みたい突き出した氷の針に刺さり倒れていく。

「ば、化け物だ!」
「ヒィッ…」
後方にいた兵士達は、体を震わせながら怯え後退りする。
大成は容赦なくジャンプして兵士達に接近し、両手に村雨を発動して周りを斬り捨てていく。

「「ぎゃ~」」
「馬鹿な、剣ごとだと…ぐぁ…」
「「逃げろ~!」」
「逃がすか」
兵士達の中には扉から外に逃げようとした兵士達もいたが、大成が殺気を放った瞬間、周りの兵士は恐怖で腰を抜かして動けなくなった。

「もう、面倒だ。フリーズ」
大成は左手を床に触れて、氷魔法フリーズを唱えると大成を中心に全てが凍っていく。

「ひっ…」
「あ、あああ…」
兵士達は、大成の殺気に脅えて何も出来ず凍りついた。


凍りついた城の中を、大成はまだ気配がする方向にゆっくりと進み階段を登る。

二階も凍りついており左右には多数のドアがあるが、大成は見向きもせず奥の正面にある大きな扉に向かった。

「ここだな」
大成は、大きな扉を蹴り破り中へ入るとバルダーとバルダーに似た兄と思える人がいた。


「こ、これは、ど、どうなっているのだ!?バルダー」
「う、嘘だろ!?」
ラゴゥバルサの国王と弟のバルダーは、城が凍りつき始めたので慌てて部屋に設置されている魔法陣に魔力を込めて氷漬けを防いだが気が付くと部屋中が凍っており2人は狼狽えた。

「久しぶりだな、総隊長さん。」
恐る恐る2人は、声を発した大成に振り向く。


「そちらさんは、ラゴゥバルサの国王か?」
大成は、睨み付けながら殺気を2人に向けた。

「ヒィッ、ば、化け物め」
2人は、その場で腰を抜かして尻もちをつきズボンが濡れる。

「お、お、俺達と同盟を組まないか?」
ラゴゥバルサの国王は、大成に話しを持ち掛けた。

「あ、兄貴、こいつには、む、無駄だ」
大成が答える前に、バルダーが怯えながら答える。

「少しは賢くなったな、総隊長さん。お前達は、他国を襲ったよな?もちろん、逆に襲われる覚悟も当然あるよな?」
大成は、笑みを浮かべていたが目は笑っていなかった。

「誰か、助けてくれ~!」
「だ、誰か居ないのか~!?」
2人の声は城中に響いたが、誰も来る気配がない。

2人は這いつくばりながら、凍りついた窓を必死に叩いて開けようと試みたがビクともしなかった。

「何だ?その反応は?しらけるな。仕方ないチャンスをやる。俺は10秒間は何もしない。それで、どうだ?じゃあ、数えるぞ」
大成は指を鳴らし、フリーズを解いた。

「「えっ!?」」
理解できないほど追い詰められたバルダー達は、お互いの顔を見て一瞬固まった。

「10…9…」
大成のカウントダウンを聞き、慌てて這いつくばりながら窓からベランダに飛び出した。

「「エア・ブロウ」」
あまりの恐怖で足がガクガクの2人は、まともに立てないとわかり風魔法エア・ブロウを唱える。

2人の両手から突風が巻き起こり、突風を壁に当てることで反動で遠くへ飛んで逃げる。

「「エア・クッション」」
2人は落下直後にエア・クッションを唱え、どうにか着地に成功した。

その時、10秒が経った。


「時間だ。ボルト・ライトニング・サンダー・ドラゴン」
大成は雷魔法禁術ボルト・ライトニング・サンダー・ドラゴンを唱える。

城の屋根を壊し、バチバチと轟音とともに大きくスパークしながら白く輝く巨大な龍が現れた。


魔王を決める大会の時よりも、魔力を込めて龍を大きくし放った大成。

普段だと、無駄に魔力消費の激しい禁術を使用しないが、今回は自分の強さを周りに示すためだった。

無論、全力は見せていない。

(これぐらいで十分だろう。それに、嬉しいことに、都合よく無能な他国の兵士達や偵察している者達が近くにいるから、勝手に俺の実力を広めてくれるだろう)
大成はバルダー達の方に手を向けた瞬間、龍は大きな口を開き唸りながらバルダー達の方へと低空で飛び、あらゆるものを飲み込み破壊していく。

龍が通った跡は、地面がえぐられ赤黒く熱を帯び蒸気が出ていた。
そして、その周りは何もかも消滅していた。

「な、な、な、何だあの馬鹿でかい龍は!?」
「あ、兄貴、こ、こ、こっちに向かって来てないか?」
「「に、逃げろ!く、来るな~!ギャ~!」」
一生懸命、這いつくばりながら逃げる2人だったが龍に飲み込まれた。

龍は、轟音を鳴り響きかせながら天へ昇った。

龍と一緒に、2人の姿も跡形もなく消えた。


「た、大成!」
「大成さん!」
「ダーリン!」
「大成君!」
ジャンヌ、ウルミラ、マキネ、イシリアが手を振りながら大成の傍に駆けつけた。

「あ、あの…」
「そ、その…」
ジャンヌ達は、来てしまったことを謝ろうとした。

「終わったよ…」
大成は、ジャンヌ達を見て笑った。

「「お疲れさま!」」
大成の笑顔を見て、ジャンヌ達も微笑んだ。

龍が雲を突き抜けたことにより、雲で覆われていた空に大きな穴ができた。

その穴から朝日が見え、大成達がいる屋根が壊れた城に朝日が差し込んだ。

「うっ、眩しいな…」
大成は、片手を目元に当てて日差しを防ぐ。

「でも、見て綺麗だよ」
「「そうね」」
「そうですね」
マキネに賛同するジャンヌ、イシリア、ウルミラ。

「確かに」
大成も頷き、皆で城から朝日を眺めた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

リストラされた42歳、確率の向こう側へ。~なぜか俺の選択肢がすべて正解になる件~

RIU
ファンタジー
「君には今月いっぱいで席を空けてもらいたい」 42歳、独身、社畜。会社のために尽くしてきた柏木誠は、理不尽な理由でリストラされた。 絶望の中、雨の神社で野良猫を助けた彼は、不思議な光と共に【確率固定】という異能――「無意識に正解を選び続ける豪運」を手に入れる。 試しに買った宝くじは10億円当選。 復讐心に燃える元上司を袖にし、元天才投資家の美女をパートナーに迎えた柏木は、その豪運で現代社会を無双していく。 「俺の選択に間違いはない。なぜなら、確率の方が俺に合わせるからだ」 枯れたおじさんが資産と余裕を手に入れ、美女たちに頼られながら、第2の人生を謳歌する痛快サクセスストーリー!

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...