嘘つき預言者は敵国の黒仮面将軍に執着される

花月

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第2章.『vice versa』アウロニア帝国編

6 皇帝のお渡り ② ★

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『ニキアスに可愛がって貰ったか?』
 
首を傾げ無表情で尋ねるガウディは、人間というより人の形をした大きな蟷螂のようだ。

「わ、わたしは…」

答える前に、剣の切っ先がふいと上がった。
わたしの唇の直ぐ近くに突き付けらる。

「はいか、いいえで答えろ。余計な事を言えば口を割く」

「…は…はい…」
わたしがようやく答えると、ガウディは驚く事にふふっと笑ったらしい。

『らしい』というのは、どう見ても不思議の国のアリスに出てくるチェシャ猫の様なアルカイックスマイルだったからだ。
(こ、これって笑っているって言うの…?)

「そうか良かったな。処女では余の相手はきつい。ニキアスに感謝しておけ」

そう言った途端、長い手を伸ばしてガッとわたしの首を掴んだ。

そして上に持ち上げる様に、そのまま指に力を入れた。
「細い首だな。このまま折ってしまいそうだが」

無表情に言ってまた首を傾げ、わたしの耳元で囁いた。
「抵抗したら手足を一本ずつ斬る。嫌なら大人しくしておく事だ」


その時に初めて気がついた。


ガウディ皇帝の左の耳介――外耳の入口近くに、その場所につけるには少し大きめの宝石がついている。

それは赤くぼんやりと光っていて、こんな首を絞められている状態なのに、わたしは何故かそこから目が離せなかった。

「なんだ?…何を見ている?」

陛下はわたしの視線の先に気づいた。

「この宝石か?これがどうした?」
「ひ、ひ…か…」
わたしが唇をようやく開き答えようとすると、ガウディはようやく手を離した。

彼の足元に崩れ落ち、むせ混んでいるわたしに尋ねたのだった。
「石がなんだ?」

 *****

「答えろ。何だ?」

「ひ…光って…います…」

つかえつかえにようやくわたしが答えると、陛下は暫く黙ってから今度はニヤリと笑って

「そうか。まだ完全には預言者の力は失われていないのだな」
と言った。

「嘘ばかり吐くからもうすっかりその力が無いと思っていたが…」

暫く顎に手を当てて考えていたが、
「面白い。ニキアスにやるのが惜しくなる」

剣をまた持ち上げると、切っ先でわたしの顎をクイっと持ち上げた。

「それにふさわしく丁重に扱かって欲しければ、向こうへ行け」
と顎先で後ろの大きな寝台を差したのだった。

よろよろと後ろの方へ歩き、高さのある寝台によじ登ろうと足を上げた瞬間、陰部を覆っていた華奢な下着が足許に落ちる。
「―――!?」

何故落ちたのか?

確認する暇も無く後ろに気配を感じた。

振り替えると陛下が真後ろで仁王立ちをしている。

陛下の片手に剣があるのを見て

(あれでまた切られたんだわ)
と覚った瞬間、首を後ろから掴まれてすぐに寝台にぐっと頭を押し付けられた。

(あ!)
ッと思った次の瞬間――すごい大きな質量のものがわたしの身体の中を強引に割り入り、貫かれた。

 *******

「…っはぁっ…!」

熱い塊がいきなり下からドッと内臓を突き上げるような感覚で、一瞬息ができなくなる。

陛下はわたしの背中の上にのし掛かっていた。

「まあまあ挿入ったな…ふふ、ニキアスになんて説明する?」

内臓を押し上げられる様な息苦しさがわたしを襲う。

涙が勝手に溢れてきて、わたしの両頬を濡らした。
痛みと屈辱の為だ。

わたしは必死で、声を上げないように唇を噛みしめた。

「声を上げないのは褒めてやっても良いが、それは何のための涙だ?悔しさか?それとも、哀しみか」

耳元で囁きながら、微かに嗤った。

「何故こんな目に合うのか分かるか?マヤ姫。ニキアスの恋人である事が免罪符になるとでも思っていたか?姫君だから丁重に扱ってもらえるとでも?」

そしてゆっくりと腰を律動的に動かし始めた。
乾いたわたしの蜜壺を猛々しいソレが、潤う間も無く何度も往復する。

「お前はもう姫でない。故郷も無く家族すら皆死んだ。何故こんな目にあうのか答えは一つだ。お前が弱く価値が無く、搾取される立場になったからだ」

何回か腰を強く打ち付けると、わたしの中からずるっと抜いてガウディ陛下は言った。

「ニキアスも然り…あの男は奪われる事に慣れ過ぎている」


――怒りで目が眩みそうになる。


なんて残酷な男なんだろう。

好きで奪われているわけではないのに。
(わたしも――ニキアスも)

ガウディ陛下は寝台にうつ伏せのままガクガクと震えるわたしに、無情な言葉を投げかけた。

「こんな扱いをされるのが悔しいか?ではお前の価値は?敗戦国の女に股を開く以外の価値があるというなら、余に示せ」
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