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第2章.『vice versa』アウロニア帝国編
26(幕間)『間違えた』 ★
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「あッ!…あ、ぁ…んんぁッ!…」
預言者達の居住棟にある豪華な部屋で、その薄闇の中に嬌声が響いていた。
滑らかな肌はほんのりと紅潮し、その細い腰はしっかりと指の長い大きな手で掴まれている。
甘い嬌声を上げる相手の潤んだ粘膜へと、固く勃ち上がった熱の塊を挿入したガウディは、細いがしっかりと筋肉の付いた己が腰を、何度もその細腰へと打ち付けた。
そのまま猛々しく屹立した熱い肉棒が、奥深くまで届く様にぐりぐりと押し付けながら、激しく揺さぶる。
「…うっ…ぁあっ!…それ、深い…!」
天蓋付きの大きな寝台の絹のシーツは乱れ、繊細な細い指が今はしっかりと滑らかな布を握っている。
ガウディはふと腕を伸ばし、目の前の滑らかな白い背中に流れる蜂蜜色の長い髪を、ぐいっと手で掴んだ。
「へ、陛下…?」
いきなり背後から髪を引っ張られた相手は、困惑し眉を顰めて、自分の背後を振り向いた。
濃い金髪の隙間からガウディを仰ぎ見た瞳は、海を映した様な碧色ですでに快楽で潤んでいる。
ガウディは目を細めると、そのまま無言で白い肩甲骨に歯を立てた。
「あ!…ぁあっ!」
悲鳴の様な嬌声が更に大きくなる。
陰茎が擦り上げる粘膜が、ぎゅっと絞り上げる様に締まった。
ガウディは思い切り相手の腰を掴み、そのまま強く数回打ち付けて果てた。
*******
「…ボクのところに、いきなり陛下が来られるのは初めてですね」
大の字になって寝転がるガウディの肩に、フィロンは蜂蜜色の髪を乗せしな垂れかかった。
左腕に見える鮮やかな入れ墨の模様が暗闇に薄っすらと浮かび上がる。
フィロンは整えた爪の細い美しい指先で、相手の胸の辺りをつつーとなぞった。
ガウディは無言のまま、視線は天蓋の寝台の天井を見つめていた。
「ボクの背中、思い切り噛みましたね。痣になるかもしれません」
ガウディは、自分の胸の上でくるくると指先を動かすフィロンに視線を落とした。
「…ご苦労だった」
ガウディは、そのままフィロンの手をさっとどかして起き上がった。
そのまま大きな寝台の横にかけてある剣を掴み、裸のまま寝台を降りる。
「もうお帰りになられるのですか?」
「――…」
起き上がったフィロンの問いにガウディは返事せず、床に散らばるトーガとチュニックをサッと取り上げ、手早く着用しサンダルを履いた。
「…では」
後ろ手にガウディが扉を閉めながらフィロンの部屋を出て行こうとすると、ガウンを羽織ったフィロンがその後を追いかけてきて、扉が閉まる前にガウディに尋ねた。
「陛下、昼間何かあったのですか?」
「何かとは?」
「…何かニキアス様にあったのですか?」
「…ニキアスが?何故だ」
「いつもはボクの方からお願いしてお伺いするじゃないですか。なんだか様子がいつもと違いますし。だからおかしな気がして…」
フィロンは少し言い淀んだ。
廊下の向こうで、衛兵等がこちらをちらちらと見ながら、待機しているのが見える。
「おかしな、とは?」
ガウディは肩越しに無表情のまま、フィロンを見下ろした。
フィロンは衛兵に聞こえない様に小声で続けた。
「陛下が…ボクの背中を噛みました」
「……」
「セックスの時にも極力相手に触らない様に気を付けている陛下が、わざわざ歯を立てるなんて…普段なら考えられません」
ガウディは小さなため息をつき、面倒くさそうに答えた。
「――間違えた。それだけだ」
「間違えた…?」
その台詞を聞いたフィロンの顔が僅かに歪んだ。
「…誰と、どなたとお間違えになったのですか?」
ガウディは答えなかった。
「後程、エシュムンに言って、傷に良く効く軟膏を届けさせる」
『それをつけてもらうといい』とだけ言うと、ガウディはもうフィロンの部屋に振り向かず、皇宮の方へ足音を立てずに戻って行った。
フィロンはガウディの姿が消えた方向をじっと見つめていた。
預言者達の居住棟にある豪華な部屋で、その薄闇の中に嬌声が響いていた。
滑らかな肌はほんのりと紅潮し、その細い腰はしっかりと指の長い大きな手で掴まれている。
甘い嬌声を上げる相手の潤んだ粘膜へと、固く勃ち上がった熱の塊を挿入したガウディは、細いがしっかりと筋肉の付いた己が腰を、何度もその細腰へと打ち付けた。
そのまま猛々しく屹立した熱い肉棒が、奥深くまで届く様にぐりぐりと押し付けながら、激しく揺さぶる。
「…うっ…ぁあっ!…それ、深い…!」
天蓋付きの大きな寝台の絹のシーツは乱れ、繊細な細い指が今はしっかりと滑らかな布を握っている。
ガウディはふと腕を伸ばし、目の前の滑らかな白い背中に流れる蜂蜜色の長い髪を、ぐいっと手で掴んだ。
「へ、陛下…?」
いきなり背後から髪を引っ張られた相手は、困惑し眉を顰めて、自分の背後を振り向いた。
濃い金髪の隙間からガウディを仰ぎ見た瞳は、海を映した様な碧色ですでに快楽で潤んでいる。
ガウディは目を細めると、そのまま無言で白い肩甲骨に歯を立てた。
「あ!…ぁあっ!」
悲鳴の様な嬌声が更に大きくなる。
陰茎が擦り上げる粘膜が、ぎゅっと絞り上げる様に締まった。
ガウディは思い切り相手の腰を掴み、そのまま強く数回打ち付けて果てた。
*******
「…ボクのところに、いきなり陛下が来られるのは初めてですね」
大の字になって寝転がるガウディの肩に、フィロンは蜂蜜色の髪を乗せしな垂れかかった。
左腕に見える鮮やかな入れ墨の模様が暗闇に薄っすらと浮かび上がる。
フィロンは整えた爪の細い美しい指先で、相手の胸の辺りをつつーとなぞった。
ガウディは無言のまま、視線は天蓋の寝台の天井を見つめていた。
「ボクの背中、思い切り噛みましたね。痣になるかもしれません」
ガウディは、自分の胸の上でくるくると指先を動かすフィロンに視線を落とした。
「…ご苦労だった」
ガウディは、そのままフィロンの手をさっとどかして起き上がった。
そのまま大きな寝台の横にかけてある剣を掴み、裸のまま寝台を降りる。
「もうお帰りになられるのですか?」
「――…」
起き上がったフィロンの問いにガウディは返事せず、床に散らばるトーガとチュニックをサッと取り上げ、手早く着用しサンダルを履いた。
「…では」
後ろ手にガウディが扉を閉めながらフィロンの部屋を出て行こうとすると、ガウンを羽織ったフィロンがその後を追いかけてきて、扉が閉まる前にガウディに尋ねた。
「陛下、昼間何かあったのですか?」
「何かとは?」
「…何かニキアス様にあったのですか?」
「…ニキアスが?何故だ」
「いつもはボクの方からお願いしてお伺いするじゃないですか。なんだか様子がいつもと違いますし。だからおかしな気がして…」
フィロンは少し言い淀んだ。
廊下の向こうで、衛兵等がこちらをちらちらと見ながら、待機しているのが見える。
「おかしな、とは?」
ガウディは肩越しに無表情のまま、フィロンを見下ろした。
フィロンは衛兵に聞こえない様に小声で続けた。
「陛下が…ボクの背中を噛みました」
「……」
「セックスの時にも極力相手に触らない様に気を付けている陛下が、わざわざ歯を立てるなんて…普段なら考えられません」
ガウディは小さなため息をつき、面倒くさそうに答えた。
「――間違えた。それだけだ」
「間違えた…?」
その台詞を聞いたフィロンの顔が僅かに歪んだ。
「…誰と、どなたとお間違えになったのですか?」
ガウディは答えなかった。
「後程、エシュムンに言って、傷に良く効く軟膏を届けさせる」
『それをつけてもらうといい』とだけ言うと、ガウディはもうフィロンの部屋に振り向かず、皇宮の方へ足音を立てずに戻って行った。
フィロンはガウディの姿が消えた方向をじっと見つめていた。
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