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17 『呪い』の退治と新たな受難
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(え…?何かしら…?アレ…)
そのまま空を見上げると、わたしの立っている魔方陣の丁度真上に、真っ黒い雲が掛かっている。
良くみると、その黒い雲は細かく動いている様子だった。
「ひっ…」
思わず引き攣った様な悲鳴が、わたしの口から洩れた。
(やだ―!やだっ!!気持ち悪い…何!?アレ…)
目を凝らすと何か小さく黒いものが真っ黒い雲の中で、盛んに畝っている様に見えたのだ。
まるで真っ黒いヘドロの中で動く大量のミミズか蛇の様だった。
「(おえ)…な…何でしょう?アレ…」
雲を見上げながら思わずわたしが呟いた言葉に、ミハエル神父が答えてくれた。
「あれがあんたの『不健康』…まあ『呪い』の正体だよ。…ってかなー、分かってんのかねぇ。あんだけの呪いをその身に受けて、日常生活ができているあんたも相当なモンだって事が」
「…えっ…」
わたしは思わずミハエル神父を見上げて訊いてしまった。
(…それ、いったいどういう意味…?)
「あの…」
「…落ちてくる」
質問しようとした瞬間、ミハエル神父が呟く声が、わたしの耳に聞こえた。
『落ちてくる?』その声に釣られ、わたしが上を向いた時――。
「ふぁっ…!?」
空でさかんに畝っていた真っ黒いモノが――団子状に固まったかと思うと、そのまま大きな雫の形になって雲から垂れ下がった。
(あんなモノが…あんなモノが今までわたしに憑いていたなんて…!)
そう思った瞬間、ソレはぶつんと切れる様に雲から離れて、下へ…地面に向かって落ちて来た。
「…えっ!?」
わたしは息を飲んだ。
なんと――長い長い軟体生物の様な動きでソイツは、うねりながら小さな魔方陣の真ん中にいるわたしに向かって、落ちて来たのだ。
(ふぁっ…!?わたし、狙われてる!?)
全身の皮膚が一気に粟立つ。
腰の力が抜けて、わたしはペタンと地面に座り込んだ。
「…っ、きゃああああああああああっ!!」
空を見上げたままのわたしが、恐怖のあまり叫んだ瞬間――。
「おい、動くな」
わたしの視界には、剣を抜きながら高く真上に跳んだミハエル神父の姿があった。
そしてなんと――構えた剣で、わたしに向かって落ちてくる巨大な蛇の様な生物を、真っ二つに…まさに、一刀両断にしたのだった。
+++++
上空で真っ二つに切られたソレは、切られたままの身体を激しく動かしていた。
ミハエル神父は返した剣を――断末魔の様にうねるソレの身体に突き刺した。
その瞬間、それは黒い霧の様になってあっという間に消えてしまった。
そして、残るもう片方が――わたしのいる魔方陣の真上に落ちて来た。
すると魔方陣が金色のドーム型に光って、落ちて来たソレはまるで障壁にぶつかった様に、魔方陣の外側へと弾かれて飛んだ。
そして弾かれ飛ばされたソレが、まるで真っ黒なスライムの様にズルズルっと溶けながら、こちらに向かって這って来るのが見える。
「ひえぇ…」
(やだ、やだ、やだ!!。気持ち悪いよー!!)
わたしは座り込んだまま、思わず恐怖と気持ち悪さで――魔方陣の後ろにずり下がった。
その時少し離れた場所に立ったミハエル神父の鞭の様な声が響いた。
「馬鹿野郎!陣から出るな!」
(…え?)
自分の首を後ろに回し、座りこんだまま後ろに伸ばした手の先を見た。
わたしの右手が、魔法陣から出てしまっている。
(あ、いけない…!)
『魔方陣から手が出ている』のを黒いスライムは、見逃さなかった。
次の瞬間――地面を這っていた黒いスライムが、わたしの目の前でバッと黒い幕の様に広がった。
「ひっ…!」
「キャロル!危ない!!」
ダニエル様の声が響いて――わたしは目を閉じた。
+++++
「……?」
(ん?…)
何も…何も起こらない。
(何故…?)
目をゆっくりと開けたわたしの目の前に、小さなダニエル様が立っている。
「…え…?」
ダニエル様は――魔方陣の中に片足が入りながらも、わたしを庇う形で黒いスライムの様なモノの前に立ちはだかっていた。
黒いスライムが、みるみるうちにダニエル様の翳した両手の中にグングンと吸い込まれていく。
「キャロル…早く…魔方陣の中に戻って…」
苦し気なダニエル様の声が聞こえる。
「…は、はいっ…!」
わたしは慌てて、魔法陣の外に着いていた手を中に戻した。
それと同時に、魔方陣がさっきの様にドーム状の金色の光を放つ。
「…あっ…あ、うあっ…!」
ダニエル様が苦痛の声を上げながら、ゆっくりと魔方陣の中から足を抜いた。
そしてそのままわたしの目の前で、ドウと倒れてしまったのだ。
そのまま空を見上げると、わたしの立っている魔方陣の丁度真上に、真っ黒い雲が掛かっている。
良くみると、その黒い雲は細かく動いている様子だった。
「ひっ…」
思わず引き攣った様な悲鳴が、わたしの口から洩れた。
(やだ―!やだっ!!気持ち悪い…何!?アレ…)
目を凝らすと何か小さく黒いものが真っ黒い雲の中で、盛んに畝っている様に見えたのだ。
まるで真っ黒いヘドロの中で動く大量のミミズか蛇の様だった。
「(おえ)…な…何でしょう?アレ…」
雲を見上げながら思わずわたしが呟いた言葉に、ミハエル神父が答えてくれた。
「あれがあんたの『不健康』…まあ『呪い』の正体だよ。…ってかなー、分かってんのかねぇ。あんだけの呪いをその身に受けて、日常生活ができているあんたも相当なモンだって事が」
「…えっ…」
わたしは思わずミハエル神父を見上げて訊いてしまった。
(…それ、いったいどういう意味…?)
「あの…」
「…落ちてくる」
質問しようとした瞬間、ミハエル神父が呟く声が、わたしの耳に聞こえた。
『落ちてくる?』その声に釣られ、わたしが上を向いた時――。
「ふぁっ…!?」
空でさかんに畝っていた真っ黒いモノが――団子状に固まったかと思うと、そのまま大きな雫の形になって雲から垂れ下がった。
(あんなモノが…あんなモノが今までわたしに憑いていたなんて…!)
そう思った瞬間、ソレはぶつんと切れる様に雲から離れて、下へ…地面に向かって落ちて来た。
「…えっ!?」
わたしは息を飲んだ。
なんと――長い長い軟体生物の様な動きでソイツは、うねりながら小さな魔方陣の真ん中にいるわたしに向かって、落ちて来たのだ。
(ふぁっ…!?わたし、狙われてる!?)
全身の皮膚が一気に粟立つ。
腰の力が抜けて、わたしはペタンと地面に座り込んだ。
「…っ、きゃああああああああああっ!!」
空を見上げたままのわたしが、恐怖のあまり叫んだ瞬間――。
「おい、動くな」
わたしの視界には、剣を抜きながら高く真上に跳んだミハエル神父の姿があった。
そしてなんと――構えた剣で、わたしに向かって落ちてくる巨大な蛇の様な生物を、真っ二つに…まさに、一刀両断にしたのだった。
+++++
上空で真っ二つに切られたソレは、切られたままの身体を激しく動かしていた。
ミハエル神父は返した剣を――断末魔の様にうねるソレの身体に突き刺した。
その瞬間、それは黒い霧の様になってあっという間に消えてしまった。
そして、残るもう片方が――わたしのいる魔方陣の真上に落ちて来た。
すると魔方陣が金色のドーム型に光って、落ちて来たソレはまるで障壁にぶつかった様に、魔方陣の外側へと弾かれて飛んだ。
そして弾かれ飛ばされたソレが、まるで真っ黒なスライムの様にズルズルっと溶けながら、こちらに向かって這って来るのが見える。
「ひえぇ…」
(やだ、やだ、やだ!!。気持ち悪いよー!!)
わたしは座り込んだまま、思わず恐怖と気持ち悪さで――魔方陣の後ろにずり下がった。
その時少し離れた場所に立ったミハエル神父の鞭の様な声が響いた。
「馬鹿野郎!陣から出るな!」
(…え?)
自分の首を後ろに回し、座りこんだまま後ろに伸ばした手の先を見た。
わたしの右手が、魔法陣から出てしまっている。
(あ、いけない…!)
『魔方陣から手が出ている』のを黒いスライムは、見逃さなかった。
次の瞬間――地面を這っていた黒いスライムが、わたしの目の前でバッと黒い幕の様に広がった。
「ひっ…!」
「キャロル!危ない!!」
ダニエル様の声が響いて――わたしは目を閉じた。
+++++
「……?」
(ん?…)
何も…何も起こらない。
(何故…?)
目をゆっくりと開けたわたしの目の前に、小さなダニエル様が立っている。
「…え…?」
ダニエル様は――魔方陣の中に片足が入りながらも、わたしを庇う形で黒いスライムの様なモノの前に立ちはだかっていた。
黒いスライムが、みるみるうちにダニエル様の翳した両手の中にグングンと吸い込まれていく。
「キャロル…早く…魔方陣の中に戻って…」
苦し気なダニエル様の声が聞こえる。
「…は、はいっ…!」
わたしは慌てて、魔法陣の外に着いていた手を中に戻した。
それと同時に、魔方陣がさっきの様にドーム状の金色の光を放つ。
「…あっ…あ、うあっ…!」
ダニエル様が苦痛の声を上げながら、ゆっくりと魔方陣の中から足を抜いた。
そしてそのままわたしの目の前で、ドウと倒れてしまったのだ。
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