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第二章 最果ての星
02 ドラの日常
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「ドラ、この請求書を10時までにまとめといてくれ」
「はい」
「ドラ、ファン・バーレン商会からの入金確認したら教えて」
「はい。あ、サンターナさん、領収書は今日締めですよ」
「ごめん、後でもって来る」
「ドラ、リベロ課長がお呼びよ」
「はい、すぐ行きます」
朝のロメロ商会ヨハネス支店は慌ただしい。事務所で働くドラ・サパテロも席を温める暇もなく立ち働いていた。
営業に出る社員からの伝言、社員への連絡等等、朝は少しの時間も無駄にできない。
総務のリベロ課長の部屋に入ったのは、呼ばれてから10分後だった。イライラしていなければいいのだがと思いドアをノックすると「入って」と声が聞こえた。この声の調子ならそんなに怒っていないとドラは判断した。
「おはようございます、課長」
「おはよう、サパテロさん。この前職業安定所に出した求人の件だけど」
ロメロ商会はこの半年で業績が伸び、ドラ達事務員の仕事は多忙になっていた。それなのにベテランの事務員が病気で辞めた後の穴埋めがされず残業しなければ仕事が終わらない状態が二カ月続いていた。ドラは課長に事務員を入れて欲しいと談判した。入社二年目の社員が言うのは僭越かもしれないが、誰かが言わねばならなかった。
「見つかったのですか」
「見つかったよ。それで午後、面接に来るから君も立ち会ってもらえないか」
ドラは安堵した。これで皆定時に帰れるし、家族と過ごす時間が増える。
だが、その前に午前のうちに仕事を終わらせなければならない。午後の時間を一時間ないし二時間使うことになればうまくやり繰りしないと残業することになってしまう。
「かしこまりました。何時においででしょうか」
「2時だ」
その男サウロ・ラモンは2時5分前に受付に現れた。
スズキ支店長、リベロ課長、経理のファン・フリート課長とともにドラは会議室に待機していた。
2時きっかりにドアをノックしてしゃっきっとしたスーツ姿の男性が入って来た。
「初めまして、サウロ・ラモンと申します」
帝國語の標準的なイントネーションは珍しかった。首都テラセカンドの学校を出たのだろうとドラは思ったが、さっき見せてもらった履歴書では卒業したのはケプラー星系の中心星クリスティの商業学校だった。ならば、何故クリスティではなくケプラー星系の辺境にあるドイル星の日用雑貨卸の会社などに就職しようと思ったのか。
「初めまして、ラモンさん。私は総務課長のリベロです」
課長はそう言うと、履歴書の内容について質問した。
「前の職場は自己都合による退職ということですが、どのような事情があったのですか」
「母が体調を崩したので、介護のために退職しました」
「ボスマン商会にも介護休職制度があるはずですが、何故利用されなかったのですか」
「母の回復に時間がかかるようでしたので、思い切って母の故郷のドイルに戻ることにしたのです。最初はこちらの支店への異動を希望したのですが、叶わないとのことで退職しました」
ボスマン商会といえばケプラー星系でも指折りの商事会社である。ケプラー星系の全星に支店がある。
「それは難儀なことでしたね。お母さまの体調はいかがですか」
「おかげさまでこちらに来てからはずいぶんよくなりました。杖があれば歩けるようになりましたし、食事も自分でできるようになりましたので、この状態なら公的支援サービスを利用すれば仕事ができると考えました」
他にも支店長や経理課長の質問があり、彼はいずれも言い淀むことなく丁寧に答えた。
30分余りで面接は終わり、ラモンには一旦退出してもらった。
「ドラ、彼は皆とうまくやっていけると思うか」
ファン・フリート課長はメガネのズレを指先でくいっと直しながら尋ねた。
「はい」
嫌われる要素は皆無だった。貧乏ゆすりもせず、妙な癖もなく、面接中の態度は申し分なかった。
スズキ支店長は先日の筆記試験は満点の上、履歴も申し分なく、面接も上出来だと採用を決定した。誰にも異存はなかった。
再びラモンを会議室に入れ、採用を告げた。
彼はありがとうございますと丁寧に頭を下げた。
ドラはリベロ課長に社内を案内するように依頼された。
「経理課のサパテロと申します。早速ですが、社内をご案内します」
「サパテロさん、よろしくお願いします」
改めて聞くと、低いがどこか懐かしい感じのする声だった。ドラは初めて会う人なのにと不思議に感じていた。
まず事務所内を案内した。といっても営業はほとんど人が出払っていて、社員がいるのは総務と経理だけだった。
仕事の邪魔になるので廊下からガラス越しに見るだけにした。今日は領収書の締め日で皆多忙だった。
次に事務所の外に出て倉庫に行った。倉庫を管理するカサレス課長は時間があるからと説明を買って出た。
第一倉庫と第二倉庫を回る間、ラモンは課長にあれこれと質問した。課長はいい質問だぞと言って喜んで答えた。
再び事務所に入り、総務課に連れて行った。総務課員がラモンに給与や待遇について説明をするので、ドラの仕事は終わった。
経理に戻ると、皆一斉に顔を上げた。
「あの人、来るのね」
「年はいくつ?」
「奥さんはいるの?」
いくら履歴書を見たからといって、本人に聞いていない話をするわけにはいかなかった。ただわかっていることは答えられた。
「来週から来る。奥さんはいないみたい。指輪してないから」
「さあ、質問はここまでだ」
課長の一声で質問の嵐はやんだ。ドラも仕事に戻った。端末のモニターを確認すると通信ソフトにメッセージを入れた。
サンターナさん、ファン・バーレン商会からの入金を確認しました。領収書受領しました。
すぐに返信があった。
ありがとう(^_-)-☆ 飯でもどう?
ドラは返信をせず、仕事を再開した。
その日は奇跡的に経理の全員が定時に帰れた。ドラは一緒に食事にと誘われたが、断った。
「家の手伝いがあるから」
「そっかあ」
「また機会があったらね」
会社からバスで20分ほどの商業地のはずれにある地域にドラは家族と住んでいる。バスを降りて5分歩くとEstrellaの文字に小さな星をあしらった看板のあるカフェテリアがあり、その2階が住まいである。
カフェテリアの裏手の狭い階段を上ると住まいに通じるドアがある。ドアを開けると居間兼台所である。トマトのいい匂いがする。
「ただいま」
「おかえりなさい」
5歳下の妹は夕食を作りながら姉を振り返った。
「早かったね」
「今日は仕事がはかどったしね。来週から新しい人も来る」
「よかったね」
「試験は?」
「まだ結果来ないのよね。でも他の人のところもまだみたい」
「遅いのね」
居間から奥に通じるドアを開けると廊下があって左右に4部屋ある。昔はカフェテリアの住み込み店員の住まいだったらしい。その中の右の奥の部屋がドラの部屋だった。
白いシャツに黒いスラックスに着替え、妹の作った豚肉のトマト煮込み、パンを食べた。妹もテーブルに着いた。
「お兄ちゃん、遅くなるって」
「遅くって、いつ?」
「さあ。親方のことだから10時までには帰してくれると思うけど」
10時に終わったからといってすぐに帰って来るとは思えない。弟は誘われたらすぐについて行ってしまうのだから。
「さて、それじゃ行きますか」
ひっつめにした焦げ茶色の髪と同じ色の丈の長いエプロンを身につけたドラは居間のもう一つのドアを開けた。そこには店の奥の厨房につながる階段があった。
「行ってらっしゃい」
妹に見送られ、ドラはエストレージャの店員として出勤する。
「おはよう!」
「おはよう!」
厨房のドアを開けると、こだまのように挨拶が返ってくる。二人の若い男女の声の後、カウンターの内側から少し低い声がする。
「おはよう、早かったな」
「今日は早く終わったから。来週から新しい人も来るし」
「そうかい。じゃ今日もよろしく頼むよ」
低い声の持ち主はドラの父親だった。鼻の下から顎にかけて綺麗に整えられた髭でも隠し切れない端正な顔がこのカウンター席とテーブルが3組しかない狭い店に多くの客を集めていた。
「お、今日はドラちゃん、早いね」
カウンターに座った馴染みの老人が声を掛ける。
「エンリケおじさん、いらっしゃい。今日はたこのガーリック炒めがおいしいよ」
「それじゃ、ワインと一緒に頼むよ」
「とびきり辛い白でいい?」
「ああ。たこには白だ」
店は次第ににぎわってきた。
カウンター席から見上げる位置にある小型映像情報端末からアナウンサーが興奮状態でニュースを読んでいる声が聞こえた。
『海賊の一味が一網打尽です。御覧ください。海賊掃討部隊のH・F・Mが海賊のH・F・Mを一刀両断にしています。まるで剣豪です』
テーブルを片付けていたドラは声につられて画面を見上げた。
ビーム刀の青い光がマシンを真一文字に切り裂いていた。
まるで巻き藁を一刀で斬っているようだとドラは思った。
「はい」
「ドラ、ファン・バーレン商会からの入金確認したら教えて」
「はい。あ、サンターナさん、領収書は今日締めですよ」
「ごめん、後でもって来る」
「ドラ、リベロ課長がお呼びよ」
「はい、すぐ行きます」
朝のロメロ商会ヨハネス支店は慌ただしい。事務所で働くドラ・サパテロも席を温める暇もなく立ち働いていた。
営業に出る社員からの伝言、社員への連絡等等、朝は少しの時間も無駄にできない。
総務のリベロ課長の部屋に入ったのは、呼ばれてから10分後だった。イライラしていなければいいのだがと思いドアをノックすると「入って」と声が聞こえた。この声の調子ならそんなに怒っていないとドラは判断した。
「おはようございます、課長」
「おはよう、サパテロさん。この前職業安定所に出した求人の件だけど」
ロメロ商会はこの半年で業績が伸び、ドラ達事務員の仕事は多忙になっていた。それなのにベテランの事務員が病気で辞めた後の穴埋めがされず残業しなければ仕事が終わらない状態が二カ月続いていた。ドラは課長に事務員を入れて欲しいと談判した。入社二年目の社員が言うのは僭越かもしれないが、誰かが言わねばならなかった。
「見つかったのですか」
「見つかったよ。それで午後、面接に来るから君も立ち会ってもらえないか」
ドラは安堵した。これで皆定時に帰れるし、家族と過ごす時間が増える。
だが、その前に午前のうちに仕事を終わらせなければならない。午後の時間を一時間ないし二時間使うことになればうまくやり繰りしないと残業することになってしまう。
「かしこまりました。何時においででしょうか」
「2時だ」
その男サウロ・ラモンは2時5分前に受付に現れた。
スズキ支店長、リベロ課長、経理のファン・フリート課長とともにドラは会議室に待機していた。
2時きっかりにドアをノックしてしゃっきっとしたスーツ姿の男性が入って来た。
「初めまして、サウロ・ラモンと申します」
帝國語の標準的なイントネーションは珍しかった。首都テラセカンドの学校を出たのだろうとドラは思ったが、さっき見せてもらった履歴書では卒業したのはケプラー星系の中心星クリスティの商業学校だった。ならば、何故クリスティではなくケプラー星系の辺境にあるドイル星の日用雑貨卸の会社などに就職しようと思ったのか。
「初めまして、ラモンさん。私は総務課長のリベロです」
課長はそう言うと、履歴書の内容について質問した。
「前の職場は自己都合による退職ということですが、どのような事情があったのですか」
「母が体調を崩したので、介護のために退職しました」
「ボスマン商会にも介護休職制度があるはずですが、何故利用されなかったのですか」
「母の回復に時間がかかるようでしたので、思い切って母の故郷のドイルに戻ることにしたのです。最初はこちらの支店への異動を希望したのですが、叶わないとのことで退職しました」
ボスマン商会といえばケプラー星系でも指折りの商事会社である。ケプラー星系の全星に支店がある。
「それは難儀なことでしたね。お母さまの体調はいかがですか」
「おかげさまでこちらに来てからはずいぶんよくなりました。杖があれば歩けるようになりましたし、食事も自分でできるようになりましたので、この状態なら公的支援サービスを利用すれば仕事ができると考えました」
他にも支店長や経理課長の質問があり、彼はいずれも言い淀むことなく丁寧に答えた。
30分余りで面接は終わり、ラモンには一旦退出してもらった。
「ドラ、彼は皆とうまくやっていけると思うか」
ファン・フリート課長はメガネのズレを指先でくいっと直しながら尋ねた。
「はい」
嫌われる要素は皆無だった。貧乏ゆすりもせず、妙な癖もなく、面接中の態度は申し分なかった。
スズキ支店長は先日の筆記試験は満点の上、履歴も申し分なく、面接も上出来だと採用を決定した。誰にも異存はなかった。
再びラモンを会議室に入れ、採用を告げた。
彼はありがとうございますと丁寧に頭を下げた。
ドラはリベロ課長に社内を案内するように依頼された。
「経理課のサパテロと申します。早速ですが、社内をご案内します」
「サパテロさん、よろしくお願いします」
改めて聞くと、低いがどこか懐かしい感じのする声だった。ドラは初めて会う人なのにと不思議に感じていた。
まず事務所内を案内した。といっても営業はほとんど人が出払っていて、社員がいるのは総務と経理だけだった。
仕事の邪魔になるので廊下からガラス越しに見るだけにした。今日は領収書の締め日で皆多忙だった。
次に事務所の外に出て倉庫に行った。倉庫を管理するカサレス課長は時間があるからと説明を買って出た。
第一倉庫と第二倉庫を回る間、ラモンは課長にあれこれと質問した。課長はいい質問だぞと言って喜んで答えた。
再び事務所に入り、総務課に連れて行った。総務課員がラモンに給与や待遇について説明をするので、ドラの仕事は終わった。
経理に戻ると、皆一斉に顔を上げた。
「あの人、来るのね」
「年はいくつ?」
「奥さんはいるの?」
いくら履歴書を見たからといって、本人に聞いていない話をするわけにはいかなかった。ただわかっていることは答えられた。
「来週から来る。奥さんはいないみたい。指輪してないから」
「さあ、質問はここまでだ」
課長の一声で質問の嵐はやんだ。ドラも仕事に戻った。端末のモニターを確認すると通信ソフトにメッセージを入れた。
サンターナさん、ファン・バーレン商会からの入金を確認しました。領収書受領しました。
すぐに返信があった。
ありがとう(^_-)-☆ 飯でもどう?
ドラは返信をせず、仕事を再開した。
その日は奇跡的に経理の全員が定時に帰れた。ドラは一緒に食事にと誘われたが、断った。
「家の手伝いがあるから」
「そっかあ」
「また機会があったらね」
会社からバスで20分ほどの商業地のはずれにある地域にドラは家族と住んでいる。バスを降りて5分歩くとEstrellaの文字に小さな星をあしらった看板のあるカフェテリアがあり、その2階が住まいである。
カフェテリアの裏手の狭い階段を上ると住まいに通じるドアがある。ドアを開けると居間兼台所である。トマトのいい匂いがする。
「ただいま」
「おかえりなさい」
5歳下の妹は夕食を作りながら姉を振り返った。
「早かったね」
「今日は仕事がはかどったしね。来週から新しい人も来る」
「よかったね」
「試験は?」
「まだ結果来ないのよね。でも他の人のところもまだみたい」
「遅いのね」
居間から奥に通じるドアを開けると廊下があって左右に4部屋ある。昔はカフェテリアの住み込み店員の住まいだったらしい。その中の右の奥の部屋がドラの部屋だった。
白いシャツに黒いスラックスに着替え、妹の作った豚肉のトマト煮込み、パンを食べた。妹もテーブルに着いた。
「お兄ちゃん、遅くなるって」
「遅くって、いつ?」
「さあ。親方のことだから10時までには帰してくれると思うけど」
10時に終わったからといってすぐに帰って来るとは思えない。弟は誘われたらすぐについて行ってしまうのだから。
「さて、それじゃ行きますか」
ひっつめにした焦げ茶色の髪と同じ色の丈の長いエプロンを身につけたドラは居間のもう一つのドアを開けた。そこには店の奥の厨房につながる階段があった。
「行ってらっしゃい」
妹に見送られ、ドラはエストレージャの店員として出勤する。
「おはよう!」
「おはよう!」
厨房のドアを開けると、こだまのように挨拶が返ってくる。二人の若い男女の声の後、カウンターの内側から少し低い声がする。
「おはよう、早かったな」
「今日は早く終わったから。来週から新しい人も来るし」
「そうかい。じゃ今日もよろしく頼むよ」
低い声の持ち主はドラの父親だった。鼻の下から顎にかけて綺麗に整えられた髭でも隠し切れない端正な顔がこのカウンター席とテーブルが3組しかない狭い店に多くの客を集めていた。
「お、今日はドラちゃん、早いね」
カウンターに座った馴染みの老人が声を掛ける。
「エンリケおじさん、いらっしゃい。今日はたこのガーリック炒めがおいしいよ」
「それじゃ、ワインと一緒に頼むよ」
「とびきり辛い白でいい?」
「ああ。たこには白だ」
店は次第ににぎわってきた。
カウンター席から見上げる位置にある小型映像情報端末からアナウンサーが興奮状態でニュースを読んでいる声が聞こえた。
『海賊の一味が一網打尽です。御覧ください。海賊掃討部隊のH・F・Mが海賊のH・F・Mを一刀両断にしています。まるで剣豪です』
テーブルを片付けていたドラは声につられて画面を見上げた。
ビーム刀の青い光がマシンを真一文字に切り裂いていた。
まるで巻き藁を一刀で斬っているようだとドラは思った。
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