6 / 14
第6章 貴様はアホか
しおりを挟む「おはようございまーす! 店長」
そう、愛のすごいところ(怖いところ)は"相手によって態度を変えるのはおかしい"といっておきながら豹変するところだ。(いってなくても怖いが)
「おはよう愛ちゃん。今日は宮田の兄ちゃんも一緒じゃないか!」
「宮野です」
あぁ、なんでたから屋メンバーは揃いも揃って俺の名前を間違えるかなぁ……
「あぁ、宮野くんね、ごめんごめん」
「んじゃ、今日からよろしくお願いします!」
「おう! こちらこそな」
え、俺は?
新を完全無視して店長は愛を連れてバックヤードへと消えてく、
それを新は慌てて追いかける。
。・*・:♪
「厨房のバイトやった事はあるか?」
「えぇ、イタリアンレストランですけども」
これも内偵調査だけどね。
と、新は心で思った。
いま、2人は休憩室にいる。
へぇ、たから屋こんなところあったんだ。
「厨房の使い方はやりながら説明するから。んで、ホールはホール担当の人が教えてくれる。宮野の兄ちゃんはホールやった事はあるか?」
「えぇ、ファミレスですか」
愛と同じイタリアンレストランでもやっていたがいらぬ誤解を招かないようにする為に敢えて別の場所を言う。
もちろんファミレスも内偵の為。
まぁ、新がバイトしていて濡れ衣を着せられるところを愛が救ったわけだ。
「了解です」
「わかりました」
「あぁ、因みに時給は厨房が1500円でホールが910円ね」
「え? この前は1000円って言ってませんでした?」
「いーの! いーの! フツーの人は1000円だけど、愛ちゃんだから1500円」
あぁ、このオヤジシタゴコロ丸出しだな。みっともない。
愛さん、気付かないもんなー。
まぁ、愛さん截拳道できるしいざとなったら俺もいるし……
って、絶対俺よが愛さんのが強いよなぁ
いろいろ逆だよなぁ、俺ら。
「やったね! 新。本業より時給いいぞ!」
愛の働いていることになっている書店の時給は910円の設定だ。
「こりゃ、解けても働いてた方が得するな」
新の耳元で愛がそっと囁く。
「え?」
「冗談だ。さぁ、真面目に働くんだな」
「じゃあこれ愛ちゃんの制服。こっちは宮野の兄ちゃんの制服」
「更衣室はこの先に男女別であるから着替えたら2人とも取り敢えずホールね」
「はーい」
愛は返事をして鞄を掴んで女子更衣室へ向かった。
「ちょ、置いてかないで下さいよ~」
。・*・:♪
「なかなか似合うじゃないか」
愛は白い割烹着のような格好。
新はズボンにTシャツ。ラーメン たから屋のロゴ入り。
「よし、じゃあ愛ちゃんはこっち。おーい。上田、指導してやれ」
「ういっす!」
吉田と呼ばれた男が小走りでこっちち向かってきた。
「宮田くん? だっけ?」
「宮野です!」
あぁ、もうたから屋嫌い。
なんでみんな間違えるの?
「ごめんごめん。宮路くん」
「だから!」
「宮野くんだよね? わかってるって。大丈夫。俺、怖くないからよろしくな。じゃあ、さっそくお客様がきたら……」
と、真面目に教えてくれている。
怖くないから。とは彼の見た目が金髪で、 鼻ピアスで、耳にも沢山穴が空いていて、拡張されているからだろうか。
でも、チビだし……
怖くねぇーな、と愛は思っていた。
まぁ、怖い人は怖いのかなぁ、
「じゃ、愛ちゃんはこっち! いやぁ、助かったよ。厨房は3人でまわしてるからてんてこ舞いなんだよ」
店長。
あンた、何か隠してるんだろ?
阪田に隠し通せてもあたしには隠し通せないぜ?
さぁ、何故、味が変わった?
。・*・:♪
「はい、塩ラーメン。3番さんな」
「え? 愛さんなんて?」
「だから、塩ラーメン! 3番!」
「え?」
「宮野くん、耳悪すぎ。塩ラーメン! 3番テーブル!」
あ、了解です。
と、新はラーメンを持って3番テーブルへと向かった。
「はい。塩ラーメンです」
「あ、ども」
このお客さんは初めてのお客さん?
初めてじゃなかったら気づくかな?
俺は気付かなかったけど、
味覚なんて自信ないし。
だか、料理はできるという矛盾。
「はい、新! 次は醤油ラーメン。さっきのところ」
「了解です!」
やはり、ランチタイムは忙しい。
あーもー。皆んな、暑いんだから冷たいのでも食ってろよ……
ラーメン屋なんかこないでさぁ……
隣に蕎麦屋さんあるでしょ?
「はい、新! 5番テーブルに冷やし中華!」
「はい!」
冷やし中華も置いてあるのかよ。
うわ、しかも美味そう。
賄いってなんでも良いんだよね?
冷やし中華にしよう。
うん。
「あー、愛ちゃん、ホールに冷やし中華は残1って伝えて!」
「はい!」
「新! 吉田さん!」
「はい!」
「冷やし中華残1ね」
「了解です!」
え、ちょっと、まって、まって。
ザンイチってなに?
「吉田さん、ザンイチってなんスか?」
「え?」
「だからザンイチ!」
「すいませぇーん!」
お客さんに呼ばれてしまった。
「はーい!」
「冷やし中華1つと、塩ラーメンね」
「あい!」
熟年夫婦だ。
「了解です!」
「店長~! 冷やし中華入りました。山ですね」
「おぅ!」
「え、ヤマってなんスか」
「そこの兄ちゃん! 冷やし中華3つね」
土木関係者だろうか?
作業服を着ている。土で汚れている。
「はい!」
愛さんに伝えなきゃ。
「愛さん! 冷やし中華3つ入りました」
「ハァ!? 冷やし中華は残1といったろ」
「そしてその後、俺は山って言ったぜ?」
吉田がチラッと言ってまた、呼ばれたのでお客さんのもとに行く、
「だからそのヤマとかザンイチってなんすか!」
「貴様はアホか」
「え?」
愛がキレる一段階手前の言葉だ。
「もういい、後で説明する。新は注文取らずに食器の片付けや会計、あたしが達が渡したものだけ出してろ」
幸いにもその日はホールは4人いた。
新を含めて。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる