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序章 兵士への道
第三話 入隊試験と新たな出会い
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ロード達が王都リベリオンへたどり着いたのは入隊試験前日の昼時だった。
「わぁー、ここが王都か! すっごく大きいなぁー」
初めての王都にロードは大はしゃぎし、街の方へと走り出したが、リードがロードの腕をつかんで止めた。
「まったく… 遊びに来たんじゃないんだから、おとなしくしていろ」
「はい」
しょんぼりした返事をロードは返す。
「明日は試験なんだから、早く宿をとって明日に備えよう」
「うん」
そうして、二人は宿を探しに行った。
その日の夜
二人はベッドに横になってくつろいでいた。
「ねえ兄さん、明日の試験ってどんな内容なんだろうね?」
「俺もよくは知らないが、おそらく各々の実力や知力などの総合評価で決めるんじゃないか?」
「本当? 僕、ちゃんと受かるかなぁ」
「まあ、がんばればなんとかなるだろ」
「うん。ところで、兄さんも入隊試験受けてよ」
突拍子もないロードの言葉に驚いて体を起こした。
「俺が? 俺はただお前を見送りに来ただけだったんだが…」
「え? だって、兄さんがいなかったら誰が僕の面倒を見るの?」
呆れつつもそれもそうかとリードは思った。
「わかった、わかった。じゃあ、明日は早いからもう寝るぞ!」
「はーい」
そう言ってリードが明かりを消し、二人は就寝した。
試験当日
二人は受付場の王都中央広場にいた。
広場には多くの人でごった返しており、賑やかなムードに覆われている。
「すごい人の数だね、兄さん」
「ああ、すごいな。それじゃあ、俺は受付にいってくるからここでおとなしく待っていろよ」
「いいか、勝手にここを離れるんじゃないぞ!」
「うん」
そうリードは言い終えると受付へと向かっていった。
取り残されたロードは周辺にいる人を見渡していた。
「みんな強そうだなぁ~ 僕も頑張らなくちゃ」
「早く試験始まんないかな~」
試験への意気込みを胸に、そわそわしながらリードの帰りを待っていた。
しばらくして、受付を終えたリードが戻ってきた。
「受付してきたぞ、ロード」
そう言いながら、ナンバーが書かれたゼッケンをロードに渡した。
「これなに?」
「ゼッケン。受験生は体のどこかに付けとけって」
ゼッケンを受けとったロードは肩に取り付けた。
「ところで兄さん、試験内容はもう分かった?」
「受付の人に聞いたら、広場中央にある大きな掲示板に掲載されてるって言ってたぞ」
「じゃあ、早く中央に行こうよ!」
ロードはそう言い終えると、振り向いて広場中央に向かおうとした矢先、体が何かにぶつかった。
「あ、痛てッ!!」
何にぶつかったのか見るため前を見ると、額から右肩にかけて大きな漆黒の痣がある大柄な男が目の前にいた。
「ヒッ!!」
ロードは男の圧倒的な威圧感に小さな悲鳴を上げ、すぐさまリードの背後に逃げ込んだ。
周りの人たちも遠ざかるように移動して男を見つめている。
「すまない。怖がらせるつもりはなかったんだが…」
「お前は誰だ?」
リードが男に問いかける。
「私の名はゼインフォース、この国の王だ」
男が国王だと知って周りの人たちはどよめきながら、ひそひそと話をしている。
「お前が王なのか? どっちかというと兵士に見えるが?」
「そうだ、私は王であり、魔法軍の総隊長でもある」
「そうなのか… で、俺たちに何の用だ?」
「いや、広場を歩いていたら子供が受験者用のゼッケンをつけていたから少し気になってな。その子も試験を受けるのか?」
「ああ、といってもこいつが最初に受けたいと言い出しただけで、俺はただのこいつの付き添いだ」
「何!? そうなのか?」
驚いた様子で背後のロードをのぞき込むゼインフォースだったが、ロードは顔を隠すように引っ込んだ
「どうやら私は随分怖がられてるようだ」
ゼインフォースは悲しいと感じながらもロードの決意に感銘を受けた。
「志が高いことはいいことだが無理はするなよ、少年。まだ子供なんだから今年試験に受からなくても、また来年受けてくれればいい」
「そういや一つ聞きたいんだが、試験内容について教えてくれ」
「広場中央に行くよりお前に聞いた方が楽だからな」
「試験内容は簡単だ。受験者達は4~5人ほどのチームを組んで、7日間以内に魔物を最低一体討伐し、それを近くの町の軍の駐在所に報告することだ」
その話を聞いたロードがリードの背後から顔を出してゼインフォースに話しかける。
「ええぇ!! 4~5人のチームを組めって… 僕たち二人しかいないのに」
「まあ、我が軍の兵士は少人数のチームを組んで任務にあたるからな」
「兄さんどうしよう!?」
「あわてるなって、一人や二人っきりでいる奴なんてそこら辺を探せばいくらでもいるだろ」
ロードは納得したのか、また顔を引っ込めた。
すると、遠くから女性の声が聞こえてきた。
「王! どこにいらっしゃるのですかー!?」
「あ、やばい。もう見つかったか」
少しして女性が小走りで三人の前に現れた。
「王、こんなところで何をやっているんです!? 試験当日のくそ忙しい日に勝手にうろつかないでください!」
激しめの口調でゼインフォースを叱責している。
「すまない、アシュリー」
「“すまない”じゃありません! あなたの仕事はまだたくさん残っているのですから、さあ、早く行きますよ!」
「わかった、わかった。それじゃあ二人とも健闘を祈る!」
そしてアシュリーは強引に彼の腕を引っ張っていった。
二人がいなくなると、ロードは背後から出てきてリードに話しかけた。
「兄さん、あの人怖いよ~ 何あのでっかい痣は!?」
「あれは混血だな」
「混血ぅ?」
「ああ、魔物の血が入り混じった人間で、特徴としては体の表面にああいった漆黒の痣が見られるのと戦闘能力が異常に高いってことだな」
「にしても、あんなにも入り混じった混血のやつは初めて見たな…」
「そうなの? あの人と兄さんどっちが強い?」
「どうだろうなぁ、そんなことよりも俺たちは早くチームメンバーを集めないと…」
「そうだ、そうだ。メンバーを探さなきゃ」
ロードはそう言い終えると、リードの腕を引っ張ってより人が多い場所へと移動し始めた。
アシュリーはゼインフォースの引っ張りながら人ごみの中を歩いている。
「どうして今年の試験は勝手にうろついていたんですか? これまでの試験ではこんなことはなかったのに…」
「何か気になることでもありましたか?」
「……」
「はぁ~、まあいいでしょう」
沈黙を続けるゼインフォースに呆れながらもアシュリーは言った。
「そろそろ、試験が始まるので、王は例年通り演説をお願いします」
「わかった」
そうして、二人は広場中央の高台にたどり着いた。
広場中央
中央には受付を終えた受験生が続々と集まってきては既にチームを組んだり、事前に組んでいた人たちで溢れており、少人数でいる人を見つけることはロード達にとって非常に厳しいことだった。
「どうしよう、兄さん僕たちこのままじゃ試験受けれないよ~」
「大丈夫、大丈夫だ」
急かすロードを落ち着かせるリードであったが、彼も内心はこの状況に焦っていた。
「二手に分かれよう、ロード。俺は向こう側を探す。そして、一人でも見つけたらこの場所に戻ってこよう、いいな?」
「わかった。じゃ、僕はこっち側を探すね」
リードの案により、二人は別々の方向へと歩み始めた。
リードと別れたロードは一人でいる受験生を見つけたら、片っ端から声をかけて自分のチームに誘っていた。
「あの~?」
「何だ?」
「今一人? よかったら僕らと一緒にチームを組もうよ!」
「ハハハ、何を言っているんだこのガキは。誰がお前みたいなガキとチームを組みたがるんだよ!」
笑顔で誘うロードだったが、ロードが子供だということで男は嘲笑いながら誘いを断り立ち去って行った。
「なんだよ、も~!」
自分が子供だったことで誘いを断られたロードは悲しさと共に怒りがわいていた。
確かに、ロードがいる周りを見渡すと、多くの人たち物珍しそうにロードを見ており、ロード自身も自分とは誰ともチームを組んでくれないだろうと理解していた。
その後もロードは声をかけ続けたが、軽くあしらわれたり、からかわれただけで誰もロードと組みたがるような人は現れなかった。
(兄さん、誰も僕と組んでくれないよ~ なんだよ、僕が子供だからってみんな馬鹿にしてぇ!!)
口には出さなかったが、ロードは内心怒り心頭だった。
「ああ、もうダメだぁ…… 言われ場所に戻ろう……」
何人にも声をかけ、誘いをすべて断られたロードは既に仲間を集めることをほとんど諦めた状態でリードとの待ち合わせ場所に向かっていた。
しかし、リードのもとへと向かっていると、突然、ロードは肩を叩かれ話しかけられた。
「ねえ、あなたってまだチームを組んでない? よかったら私と組んでくれると嬉しいのだけれども」
ロードが振り返ると、そこには緑と白が入り混じった髪をもった十代後半ぐらいの少女が立っていた。
「本当に!? 僕と一緒に組んでくれるの!?」
ロードは興奮した声で少女をまくしたてる。
「え、ええ 本当よ…」
その言葉を聞いたロードは少女の手を強くつかんだ。
「ありがとう、ありがとう! よかったぁ~ 誰も僕と組んでくれないからもうダメだと思ってたんだよ~」
ロードは喜びのあまりつかんだ手を上下に揺らしている。
少女は戸惑いながらロードに言った。
「少し痛いから、ちょっと手を放してくれないかしら?」
「ああ、ごめんなさい」
ロードはあわてて動きを止めて手を離した。
「ねえ、お姉さんの名前は?」
「メリナよ、あなたは?」
「ロード」
「ロード… いい名前ね」
「でしょ~ 兄さんにつけてもらったんだ」
「へえ~、じゃあ今日はお兄さんと一緒に来たの?」
メリナはロードに優しく話しかけている。
「そうだよ。今、僕たち二手に分かれて仲間を探していたんだ。」
「それじゃあ兄さんとの待ち合わせ場所に行こう!」
「ええ」
返事をしたメリナはロードが歩き出したのを追うように、ロードの後について行った。
(ああ~ 兄さんも誰か仲間を連れてきたらうれしいな)
リードが仲間を連れてきていることに期待を感じながら、ロードは待ち合わせ場所に向かった。
ロード達が待ち合わせ場所についた時には、既にリードが来ており、リードの隣には十代後半であろう赤髪の青年がおり、リードと話をしていた。
「兄さん、仲間を連れてきたよ」
「ご苦労だったな。これでとりあえずチームを組めるな」
「よかったねえ、ロード」
「うん。これで僕も兵士に……」
「いやいやちょっと待てよ」
ロード達の会話を遮るように、青年がリードに話しかける。
「ん? どうした? アレス」
「どうしたもこうしたもコイツがお前の弟なのか?」
「そうだが」
「いや弟がいるって聞いていたけど、まさか、こんな子供だとは思わないだろ?」
アレスはロードをチラリとみながらリードに言った。
ロードは不機嫌そうな顔をしてアレスをみている。
「何か問題でもあるのかしら?」
メリナがアレスに尋ねる。
「魔法軍は日常的に魔物と戦うんだろう? こんなチビが戦いで役に立つのか?」
「それなら安心しろ。ロードは一人で魔物を倒したことがある」
リードの言葉を聞いて、アレスとメリナは驚いた顔でロードを見つめる。
「ロード、あなたってすごいのね!」
「えへへ、でしょ~!」
メリナに褒められたロードは、照れながらも威張るようにして腕を組んだ。
「本当にこんなちんちくりんが、魔物を倒したのか?」
アレスは微笑みながらロードの髪をこねくり回しながら言った。
「もう~ やめてよ~」
「まあ、実際に戦ってみたらわかることだ。せいぜい足を引っ張らないようにがんばれよ~」
ロードは自分の頭をこね回しているアレスの手を振りほどいた。そして、ひとまずアレスが納得したところでチームとなる四人はそれぞれ自己紹介を始めた。
「僕はロード、好きなことは遊ぶこととお昼寝。よろしく~」
「私はメリナ、得意な魔法はえ~っと風魔法かしら。これからチームとして頑張りましょう!」
「俺はアレス、好きなものは酒、嫌いなことは戦わずして負けることだ」
「リードだ。まあ特に話すことはないな… よろしくな」
全員が自己紹介を終え、四人は中を深めるように雑談をしながら盛り上がっていた。
「ロードとリードの兄弟か~ さしずめロリ兄弟ってところか」
「やめろ、その言い方は!」
ニヤついているアレスに対して、苦い表情を浮かべながらリードは言った。
「ハハ、そうだよな。意味が逆だよな」
アレスがくだらないことを言っていると大きな鐘の音が広場全体に響いた。
「何だぁ~?」
当然の轟音にアレスは戸惑いながらも四人は音の下中央にある高台を見ると、アシュリーとゼインフォースが並んで立っていた。
多くの受験生が広場に注目している中、アシュリーが前に出て話し始めた。
「入隊試験を受ける勇気ある受験生の皆さん初めまして、私は王室秘書 アシュリー・ルーファです。これより入隊試験を始めたいと思います。それでは魔法軍総隊長であるゼインフォースより試験開始前のお言葉をいただきます!」
「それでは王、よろしくお願いします」
アシュリーと入れ替わる形でゼインフォースが前に出て語り始めた。
「受験生の諸君、この度は栄えある魔法軍の入隊試験に志願してくれたことを私は光栄に思う。承知の通り、諸君らが入隊を希望している魔法軍は国家防衛の要であり、人々を悪しき魔物どもから守る希望でもある。しかし、現代のような国家間の戦争がない状態を平和だと感じる人も少なくないだろう。だが、魔物に対する人々の恐怖心は、今もなお世界を覆っている!
この世界には、愛する自分の家族や友人、恋人などを魔物から奪われた多くの人々がいる… 諸君らの中にもそのような悲劇に遭ったものがいることだろう。そして、今諸君らがここにいるのも、平和のためか、あるいは復讐か、それともお家のためか、ほかにも様々な理由があってのことだろう。
何度でも言うが、魔法軍は力なき人々を魔物から守るために存在している。だから、私たち兵士は命を懸けて、日々魔物と戦っている。魔法軍なくして人々の平和はなしえないのだ!
諸君らが魔法軍に入隊し、それぞれの意志に基づいて兵士としての役目を全うするならば、それは人々にとって大きな希望となるだろう。そして、いつか魔物をこの世界から一掃し、世界に心の安らぎと平和をもたらすと私は信じている!」
「それではこれより魔法軍入隊試験を開始する! 諸君らがこの試験を突破し、人々の希望になれるように。健闘を祈る!」
演説を終えたゼインフォースはアシュリーと共に高台を降りて行った。そしてゼインフォースの演説を聞いていた受験生から演説が終わるのと同時に大きな歓声が起こった。
「お? おーッ!」
ロードも便乗して両手を上げて叫んだ。
歓声が収まると受験生は試験として魔物を討伐するために、続々と広場を後にしていった。
「それじゃあ、僕たちも行こう!」
ロードの声と共に四人は歩き出した。
そして、いよいよ試験が始まった。
「わぁー、ここが王都か! すっごく大きいなぁー」
初めての王都にロードは大はしゃぎし、街の方へと走り出したが、リードがロードの腕をつかんで止めた。
「まったく… 遊びに来たんじゃないんだから、おとなしくしていろ」
「はい」
しょんぼりした返事をロードは返す。
「明日は試験なんだから、早く宿をとって明日に備えよう」
「うん」
そうして、二人は宿を探しに行った。
その日の夜
二人はベッドに横になってくつろいでいた。
「ねえ兄さん、明日の試験ってどんな内容なんだろうね?」
「俺もよくは知らないが、おそらく各々の実力や知力などの総合評価で決めるんじゃないか?」
「本当? 僕、ちゃんと受かるかなぁ」
「まあ、がんばればなんとかなるだろ」
「うん。ところで、兄さんも入隊試験受けてよ」
突拍子もないロードの言葉に驚いて体を起こした。
「俺が? 俺はただお前を見送りに来ただけだったんだが…」
「え? だって、兄さんがいなかったら誰が僕の面倒を見るの?」
呆れつつもそれもそうかとリードは思った。
「わかった、わかった。じゃあ、明日は早いからもう寝るぞ!」
「はーい」
そう言ってリードが明かりを消し、二人は就寝した。
試験当日
二人は受付場の王都中央広場にいた。
広場には多くの人でごった返しており、賑やかなムードに覆われている。
「すごい人の数だね、兄さん」
「ああ、すごいな。それじゃあ、俺は受付にいってくるからここでおとなしく待っていろよ」
「いいか、勝手にここを離れるんじゃないぞ!」
「うん」
そうリードは言い終えると受付へと向かっていった。
取り残されたロードは周辺にいる人を見渡していた。
「みんな強そうだなぁ~ 僕も頑張らなくちゃ」
「早く試験始まんないかな~」
試験への意気込みを胸に、そわそわしながらリードの帰りを待っていた。
しばらくして、受付を終えたリードが戻ってきた。
「受付してきたぞ、ロード」
そう言いながら、ナンバーが書かれたゼッケンをロードに渡した。
「これなに?」
「ゼッケン。受験生は体のどこかに付けとけって」
ゼッケンを受けとったロードは肩に取り付けた。
「ところで兄さん、試験内容はもう分かった?」
「受付の人に聞いたら、広場中央にある大きな掲示板に掲載されてるって言ってたぞ」
「じゃあ、早く中央に行こうよ!」
ロードはそう言い終えると、振り向いて広場中央に向かおうとした矢先、体が何かにぶつかった。
「あ、痛てッ!!」
何にぶつかったのか見るため前を見ると、額から右肩にかけて大きな漆黒の痣がある大柄な男が目の前にいた。
「ヒッ!!」
ロードは男の圧倒的な威圧感に小さな悲鳴を上げ、すぐさまリードの背後に逃げ込んだ。
周りの人たちも遠ざかるように移動して男を見つめている。
「すまない。怖がらせるつもりはなかったんだが…」
「お前は誰だ?」
リードが男に問いかける。
「私の名はゼインフォース、この国の王だ」
男が国王だと知って周りの人たちはどよめきながら、ひそひそと話をしている。
「お前が王なのか? どっちかというと兵士に見えるが?」
「そうだ、私は王であり、魔法軍の総隊長でもある」
「そうなのか… で、俺たちに何の用だ?」
「いや、広場を歩いていたら子供が受験者用のゼッケンをつけていたから少し気になってな。その子も試験を受けるのか?」
「ああ、といってもこいつが最初に受けたいと言い出しただけで、俺はただのこいつの付き添いだ」
「何!? そうなのか?」
驚いた様子で背後のロードをのぞき込むゼインフォースだったが、ロードは顔を隠すように引っ込んだ
「どうやら私は随分怖がられてるようだ」
ゼインフォースは悲しいと感じながらもロードの決意に感銘を受けた。
「志が高いことはいいことだが無理はするなよ、少年。まだ子供なんだから今年試験に受からなくても、また来年受けてくれればいい」
「そういや一つ聞きたいんだが、試験内容について教えてくれ」
「広場中央に行くよりお前に聞いた方が楽だからな」
「試験内容は簡単だ。受験者達は4~5人ほどのチームを組んで、7日間以内に魔物を最低一体討伐し、それを近くの町の軍の駐在所に報告することだ」
その話を聞いたロードがリードの背後から顔を出してゼインフォースに話しかける。
「ええぇ!! 4~5人のチームを組めって… 僕たち二人しかいないのに」
「まあ、我が軍の兵士は少人数のチームを組んで任務にあたるからな」
「兄さんどうしよう!?」
「あわてるなって、一人や二人っきりでいる奴なんてそこら辺を探せばいくらでもいるだろ」
ロードは納得したのか、また顔を引っ込めた。
すると、遠くから女性の声が聞こえてきた。
「王! どこにいらっしゃるのですかー!?」
「あ、やばい。もう見つかったか」
少しして女性が小走りで三人の前に現れた。
「王、こんなところで何をやっているんです!? 試験当日のくそ忙しい日に勝手にうろつかないでください!」
激しめの口調でゼインフォースを叱責している。
「すまない、アシュリー」
「“すまない”じゃありません! あなたの仕事はまだたくさん残っているのですから、さあ、早く行きますよ!」
「わかった、わかった。それじゃあ二人とも健闘を祈る!」
そしてアシュリーは強引に彼の腕を引っ張っていった。
二人がいなくなると、ロードは背後から出てきてリードに話しかけた。
「兄さん、あの人怖いよ~ 何あのでっかい痣は!?」
「あれは混血だな」
「混血ぅ?」
「ああ、魔物の血が入り混じった人間で、特徴としては体の表面にああいった漆黒の痣が見られるのと戦闘能力が異常に高いってことだな」
「にしても、あんなにも入り混じった混血のやつは初めて見たな…」
「そうなの? あの人と兄さんどっちが強い?」
「どうだろうなぁ、そんなことよりも俺たちは早くチームメンバーを集めないと…」
「そうだ、そうだ。メンバーを探さなきゃ」
ロードはそう言い終えると、リードの腕を引っ張ってより人が多い場所へと移動し始めた。
アシュリーはゼインフォースの引っ張りながら人ごみの中を歩いている。
「どうして今年の試験は勝手にうろついていたんですか? これまでの試験ではこんなことはなかったのに…」
「何か気になることでもありましたか?」
「……」
「はぁ~、まあいいでしょう」
沈黙を続けるゼインフォースに呆れながらもアシュリーは言った。
「そろそろ、試験が始まるので、王は例年通り演説をお願いします」
「わかった」
そうして、二人は広場中央の高台にたどり着いた。
広場中央
中央には受付を終えた受験生が続々と集まってきては既にチームを組んだり、事前に組んでいた人たちで溢れており、少人数でいる人を見つけることはロード達にとって非常に厳しいことだった。
「どうしよう、兄さん僕たちこのままじゃ試験受けれないよ~」
「大丈夫、大丈夫だ」
急かすロードを落ち着かせるリードであったが、彼も内心はこの状況に焦っていた。
「二手に分かれよう、ロード。俺は向こう側を探す。そして、一人でも見つけたらこの場所に戻ってこよう、いいな?」
「わかった。じゃ、僕はこっち側を探すね」
リードの案により、二人は別々の方向へと歩み始めた。
リードと別れたロードは一人でいる受験生を見つけたら、片っ端から声をかけて自分のチームに誘っていた。
「あの~?」
「何だ?」
「今一人? よかったら僕らと一緒にチームを組もうよ!」
「ハハハ、何を言っているんだこのガキは。誰がお前みたいなガキとチームを組みたがるんだよ!」
笑顔で誘うロードだったが、ロードが子供だということで男は嘲笑いながら誘いを断り立ち去って行った。
「なんだよ、も~!」
自分が子供だったことで誘いを断られたロードは悲しさと共に怒りがわいていた。
確かに、ロードがいる周りを見渡すと、多くの人たち物珍しそうにロードを見ており、ロード自身も自分とは誰ともチームを組んでくれないだろうと理解していた。
その後もロードは声をかけ続けたが、軽くあしらわれたり、からかわれただけで誰もロードと組みたがるような人は現れなかった。
(兄さん、誰も僕と組んでくれないよ~ なんだよ、僕が子供だからってみんな馬鹿にしてぇ!!)
口には出さなかったが、ロードは内心怒り心頭だった。
「ああ、もうダメだぁ…… 言われ場所に戻ろう……」
何人にも声をかけ、誘いをすべて断られたロードは既に仲間を集めることをほとんど諦めた状態でリードとの待ち合わせ場所に向かっていた。
しかし、リードのもとへと向かっていると、突然、ロードは肩を叩かれ話しかけられた。
「ねえ、あなたってまだチームを組んでない? よかったら私と組んでくれると嬉しいのだけれども」
ロードが振り返ると、そこには緑と白が入り混じった髪をもった十代後半ぐらいの少女が立っていた。
「本当に!? 僕と一緒に組んでくれるの!?」
ロードは興奮した声で少女をまくしたてる。
「え、ええ 本当よ…」
その言葉を聞いたロードは少女の手を強くつかんだ。
「ありがとう、ありがとう! よかったぁ~ 誰も僕と組んでくれないからもうダメだと思ってたんだよ~」
ロードは喜びのあまりつかんだ手を上下に揺らしている。
少女は戸惑いながらロードに言った。
「少し痛いから、ちょっと手を放してくれないかしら?」
「ああ、ごめんなさい」
ロードはあわてて動きを止めて手を離した。
「ねえ、お姉さんの名前は?」
「メリナよ、あなたは?」
「ロード」
「ロード… いい名前ね」
「でしょ~ 兄さんにつけてもらったんだ」
「へえ~、じゃあ今日はお兄さんと一緒に来たの?」
メリナはロードに優しく話しかけている。
「そうだよ。今、僕たち二手に分かれて仲間を探していたんだ。」
「それじゃあ兄さんとの待ち合わせ場所に行こう!」
「ええ」
返事をしたメリナはロードが歩き出したのを追うように、ロードの後について行った。
(ああ~ 兄さんも誰か仲間を連れてきたらうれしいな)
リードが仲間を連れてきていることに期待を感じながら、ロードは待ち合わせ場所に向かった。
ロード達が待ち合わせ場所についた時には、既にリードが来ており、リードの隣には十代後半であろう赤髪の青年がおり、リードと話をしていた。
「兄さん、仲間を連れてきたよ」
「ご苦労だったな。これでとりあえずチームを組めるな」
「よかったねえ、ロード」
「うん。これで僕も兵士に……」
「いやいやちょっと待てよ」
ロード達の会話を遮るように、青年がリードに話しかける。
「ん? どうした? アレス」
「どうしたもこうしたもコイツがお前の弟なのか?」
「そうだが」
「いや弟がいるって聞いていたけど、まさか、こんな子供だとは思わないだろ?」
アレスはロードをチラリとみながらリードに言った。
ロードは不機嫌そうな顔をしてアレスをみている。
「何か問題でもあるのかしら?」
メリナがアレスに尋ねる。
「魔法軍は日常的に魔物と戦うんだろう? こんなチビが戦いで役に立つのか?」
「それなら安心しろ。ロードは一人で魔物を倒したことがある」
リードの言葉を聞いて、アレスとメリナは驚いた顔でロードを見つめる。
「ロード、あなたってすごいのね!」
「えへへ、でしょ~!」
メリナに褒められたロードは、照れながらも威張るようにして腕を組んだ。
「本当にこんなちんちくりんが、魔物を倒したのか?」
アレスは微笑みながらロードの髪をこねくり回しながら言った。
「もう~ やめてよ~」
「まあ、実際に戦ってみたらわかることだ。せいぜい足を引っ張らないようにがんばれよ~」
ロードは自分の頭をこね回しているアレスの手を振りほどいた。そして、ひとまずアレスが納得したところでチームとなる四人はそれぞれ自己紹介を始めた。
「僕はロード、好きなことは遊ぶこととお昼寝。よろしく~」
「私はメリナ、得意な魔法はえ~っと風魔法かしら。これからチームとして頑張りましょう!」
「俺はアレス、好きなものは酒、嫌いなことは戦わずして負けることだ」
「リードだ。まあ特に話すことはないな… よろしくな」
全員が自己紹介を終え、四人は中を深めるように雑談をしながら盛り上がっていた。
「ロードとリードの兄弟か~ さしずめロリ兄弟ってところか」
「やめろ、その言い方は!」
ニヤついているアレスに対して、苦い表情を浮かべながらリードは言った。
「ハハ、そうだよな。意味が逆だよな」
アレスがくだらないことを言っていると大きな鐘の音が広場全体に響いた。
「何だぁ~?」
当然の轟音にアレスは戸惑いながらも四人は音の下中央にある高台を見ると、アシュリーとゼインフォースが並んで立っていた。
多くの受験生が広場に注目している中、アシュリーが前に出て話し始めた。
「入隊試験を受ける勇気ある受験生の皆さん初めまして、私は王室秘書 アシュリー・ルーファです。これより入隊試験を始めたいと思います。それでは魔法軍総隊長であるゼインフォースより試験開始前のお言葉をいただきます!」
「それでは王、よろしくお願いします」
アシュリーと入れ替わる形でゼインフォースが前に出て語り始めた。
「受験生の諸君、この度は栄えある魔法軍の入隊試験に志願してくれたことを私は光栄に思う。承知の通り、諸君らが入隊を希望している魔法軍は国家防衛の要であり、人々を悪しき魔物どもから守る希望でもある。しかし、現代のような国家間の戦争がない状態を平和だと感じる人も少なくないだろう。だが、魔物に対する人々の恐怖心は、今もなお世界を覆っている!
この世界には、愛する自分の家族や友人、恋人などを魔物から奪われた多くの人々がいる… 諸君らの中にもそのような悲劇に遭ったものがいることだろう。そして、今諸君らがここにいるのも、平和のためか、あるいは復讐か、それともお家のためか、ほかにも様々な理由があってのことだろう。
何度でも言うが、魔法軍は力なき人々を魔物から守るために存在している。だから、私たち兵士は命を懸けて、日々魔物と戦っている。魔法軍なくして人々の平和はなしえないのだ!
諸君らが魔法軍に入隊し、それぞれの意志に基づいて兵士としての役目を全うするならば、それは人々にとって大きな希望となるだろう。そして、いつか魔物をこの世界から一掃し、世界に心の安らぎと平和をもたらすと私は信じている!」
「それではこれより魔法軍入隊試験を開始する! 諸君らがこの試験を突破し、人々の希望になれるように。健闘を祈る!」
演説を終えたゼインフォースはアシュリーと共に高台を降りて行った。そしてゼインフォースの演説を聞いていた受験生から演説が終わるのと同時に大きな歓声が起こった。
「お? おーッ!」
ロードも便乗して両手を上げて叫んだ。
歓声が収まると受験生は試験として魔物を討伐するために、続々と広場を後にしていった。
「それじゃあ、僕たちも行こう!」
ロードの声と共に四人は歩き出した。
そして、いよいよ試験が始まった。
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※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
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【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
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