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第一部 エルマの町
第三十八話 綿密な計画
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その日の夜、ロード達はロイドに対抗するため宿舎で作戦会議を行っていた。
「あ~死ぬかと思った。あんなに怒らなくてもいいのに」
ザクレイは包帯でグルグル巻きにされて誰だか分からないほどになっていた。
「お前が悪いんだろ、しょうもない茶番で俺たちを騙しやがって。でも死んでなくてよかったよ、じゃなかったらこの抜け駆け野郎と俺だけになっちまうからな~」
「ナルザスお前まだ結婚していないのか?」
「お前もしてねえだろうが」
「俺は魔物をぶっ殺してた方が楽しいからそんなのしなくていいんだ。お前はなんで結婚できないんだ? 隊長だからモテるだろ?」
「あ~モテたよ隊長になった最初の五年間ほどは…… でも、あのクソッタレ領主どものせいで全部台無しだよ!!」
ナルザスはテーブルに手を叩きつけて今までの苦労を吐露し始めた。
なんでも彼女を作っても領主の命令でほとんど休みが取れず、その上休みの日も呼び出しを食らうことが多々あって親しくなった女性も友人も自然とナルザスから離れていった。
「一体何の用でそんなに呼び出すんだ? 領主様は男色なのか?」
「しょうもねえもんばっかだよ。中でも魔物飼いたいから捕まえてこいって言われたときは頭大丈夫かと思ったよ」
「ハハハハハ! 魔物なんて誰が飼いたいんだよ!」
グレンはナルザスの話を聞いてあまりにもおかしくて笑っていた。
「他の貴族より珍しいもんが飼いたいんだとよ。金持ちが考えていることはよく分からん、あんなん可愛くもなんともないだろ」
「そりゃそうだ。あー確かそこのメリナも貴族だよな? お前の家は飼ってたのか?」
「嘘だろ!? 何で貴族が兵士なんかやってるんだよ。物好きな奴だな」
「勝ってないわよ。それに、貴族だなんて家も家族も失って今はもう名ばかりよ。兵士になったのも再び領主に返り咲くためよ! だから今はそんなくだらない話なんかよりロイドを倒すためにどうするか考えましょうよ」
おっさん三人の婚活話や苦労話のせいで他のみんなは黙って聞いているほかなかったが、メリナは話を振られたのを好機にロイドの議題に移そうと話を変えた。
「言ってくれるな嬢ちゃん。もしロイドを倒せたら領主どころか王になれるぐらいの褒美がもらえるかもしれないが…… 見ろ! ザックの今の姿を! ロイドと本気で戦ったのにも関わらずあのザマだ。今まで何百年も君臨する奴をお前ら新米がどうするかなんて一生かかっても無理だぞ!」
ナルザスはザクレイの方を指さしてどれほどロイドが強敵か力説した。
「いや、俺がこうなった大半はお前らのせいだろ。大丈夫だコイツらは思った以上に戦力になる。それに、今の俺たちには秘密兵器がある」
「秘密兵器?」
「そうここにいるロードだ!!」
「おいおい冗談は勘弁しろよ、こんな子供が俺たちの秘密兵器? 年も十歳にも満たないだろ」
「僕は十一歳だ!!」
ナルザスはロードを見て秘密兵器と言われるほどの力はないように思ったのも当然である。
ロードははた目から見れば兵士の格好をしている町の子供に見え、魔力自体もそれほど高くはない、いたって普通の少年である。
しかしその後、ナルザスの思いも束の間、ザクレイからロードの真価を説明されて秘密兵器であることを理解した。
「ほーじゃあザック、俺たちはこの子のサポートをしてロイドに触れられるようにすればいいんだな」
「その通りだグレン。この戦いで一番の有効打になるかもしれないからな」
「ザクレイよー失敗したときはどうするんだ?」
普段会議に参加することが面倒くさいと思っているアレスもこればかりは真面目に参加していた。
「何を言ってるんだアレス、そんなの決まってるだろ?。死だ」
「やっぱりそうなるかー。案外土下座でもして謝ったら許してくれるかもな」
「もうまたバカみたいなこと言って、真面目にやらないのなら部屋に戻ったら」
「相変わらずかてぇ女だな、ちょっと言ってみただけじゃん」
「命がかかってるんだから真面目にやってちょうだい。ここは遊びの場じゃないのよ」
「大丈夫俺の方がお前より長生きするから」
「その前にアルコール中毒で死ぬから私の方が長生きできるわ」
「何だと!?」
「何よ!?」
ここでいつものメリナとアレスの喧嘩が始まってしまった。
「うちの夫婦喧嘩みたいで見てて微笑ましいよ、お前たちつきあってるのか?」
「「付き合ってない!!」」
メリナとアレスは同時にグレンの方を見て強く否定した。
「なんだーお前たち付き合っていたのかー?」
ナルザスが恨めしそうに二人を見つめた。
「だから付き合ってないって、俺は年下とガキには興味ないんだ」
「私もよ! どうしてこんな先の見えない男と付き合わなきゃならないのよ!」
「そうかそれならよかった。でも、いったんここで確認しておこう。今付き合ってるまたは結婚している奴は手を上げろ!」
ナルザスがそう言うと、グレンと意外なことにリードも手を上げてロードはもちろん全員が驚いた。
「兄さん僕以外に大切な人がいるの? どうして黙ってたの!!」
とりわけ今までそんなことリードから聞いていないロードはショックで、半泣きになりながらリードにしがみついて事の詳細を問いただした。
「おいおい泣くなよ、確かに俺は既婚者だ。でもロード、お前今までそんなこと聞かなかったじゃん」
「でも! でも! 隠し事なんてひどいじゃん、ずっと一緒にいたのに~!」
「悪かったよ。でも、俺の嫁はこの世界にはもういない。お前を拾う前に俺が逃げてしまったんだよ」
「え!? じゃあ僕のためにお嫁さんから逃げてきたの? 戻らいのも僕の方が大切だから?」
「え、うん~まあそんな感じだ。今は戻れないからな」
「よかった~兄さんを奪おうとする人がいたら僕絶対嫌いになってたもん」
納得したロードは今度は席に戻らずリードの膝の上に座った。
「でも、それってさあ~結婚してるって言えるの?」
アレスはリードの過去を聞いて疑問をぶつけた。
「誓ったのだからどれだけ会ってなくても離れていようとも俺たちの間は解消されないぞ」
「分からんぞ、とうにお前を捨てて他の男と一緒になっているかもしれないだろ?」
そう言うと、リードはアレスの頭を叩いた。
「いてッ! 何すんだよ!?」
「俺の妻がそんなことするわけないだろ、そんな言い方はよせ」
リードがそう言っていると、何やらナルザスが舌を回してから手を横に広げて「セーフ!!」と大きい声で言った。
「リード、君はセーフだ。だが、グレンてめえはアウトだ。まあでも、今は七対一で俺たちの方が有利だからな」
「何勝ち誇った顔してんだ、俺とお前を比べたら俺の圧勝だろ。三十六になってそんなことも分からねえのか? いつまで経っても結婚できねぞそんなんじゃ」
「グレンてめえ俺が一番気にしてることを! 食らえ!!」
そう言ってナルザスはグレンに殴りかかった。
「痛てぇ! 何すんだこの野郎!!」
グレンもまた殴り返して殴り合いの喧嘩だ始まった。
「隊長! 何とか言ってあの二人を止めてくださいよ」
「分かった」
「おいお前ら今は喧嘩してる場合じゃないだろ!? 早く議題を進めるぞ!!」
「「うるせえミイラ野郎!!」」
その言葉にカチンときたザクレイもまた二人の喧嘩に入っていった。
「誰のせいでこんなになったと思ってるんだああ!?」
こうして三人の大喧嘩が始まってロード達は二階に避難していった。
数十分後、喧嘩を終えた三人は再び席に着き、ロード達も降りてきては同じ席に座った。
グレンとナルザスはあちこちに痣ができてザクレイは包帯が増えた。
「よし、じゃあこれから作戦会議を始める。俺の一撃絶死でもやれなかった相手だ。お前ら二人は最初から本気でかかれ」
「ちょっといいか?」
「何だリード? 何かあるなら言ってみろ」
「俺たちがロイドを相手している間、町の兵士がいなくなっちまうだろ? 何かあったらどうするんだ?」
「そうかその問題もあったな… う~ん、じゃあこうしようウェインとお前がこの町に残れ」
「どうして俺たち二人なんだ? アレスとかでもいいだろ?」
「いやコイツはまだ新兵だから町を任せるわけにはいかん。それに、住民がけがをしたらお前が治せるだろ、ウェインはこの町のことをよく知っているからな」
「そういうことか。じゃあ俺たちはこの作戦に関係ないな。行こうウェイン」
そう言うと、リードはウェインを連れて二階へと上がっていった。
「あ~あ兄さん行っちゃった、、 一緒が良かったな~」
「そうだよねえロードちゃんはお兄ちゃんがいないと何もできないでしゅよね~」
「あ、また僕を馬鹿にしたな。このこの!!」
赤ちゃん言葉でおちょくるアレスにロードは左手で殴ろうとするが、アレスはよけてパンチは当たらない。
「もうまた馬鹿なことやって… 二人ともこれからが大切なのよ。ちゃんとしなさい」
「「はい」」
メリナに言われて二人は動きを止めて再び議題に集中した。
「あとはお前たち三人の仕事だな。お前たちはロードを守ってやってくれ、ロイドとは俺たちが直接やるから」
「「「了解」」」
「じゃあ、これからさらに詳しく見ていくぞ。まずは……」
こうして議題は白熱した展開となっていき、提案、修正を繰り返して計画が出来上がったのはそれから一時間後だった。
「よしこれなら完璧だな」 「ああ! これならいかにカオスの遺子といえども勝てるな!」 「生きて家族のもとに帰れる」 「よ~し頑張るぞ~!!」 「これで再び領主に!」 「早く遊びに行きてえ~!」
六人が考えた渾身の作戦に満足して解散となった。
「おい! 今から遊びに行くぞ!! 俺が奢ってやるから来たい奴は来い!!」
「行く行く!! 俺行きます!!」
「お~アレス来るか。おいグレンお前も行くぞ」
「どうせあっちの店にも行くんだろ? 俺は嫁がいるからいいよ」
「つれねえこと言うなよ!! 奥さんばっか相手にしてちゃ体が萎えちまうよ。だからお前も行くぞ! あとアレスお前はウェインを読んで来い!」
結局、遊びに行くメンバーはナルザス、アレス、グレン、ウェインの四人となった。
一応、ロードも一緒に遊びに行きたいと言ったが、メリナに止められて留守番することに決まった。
ザクレイは草案の計画に再び目を通して抜けがないか確認していた所にリードが現れた。
「リードか、見てみろ俺たちが考えた最強の計画を!」
「どれどれ……」
「どうだ完璧だろ?」
リードは手渡された計画書を隅々まで目を通して内容を確認した後、ザクレイに根本的に修正しなければならないことを伝えた。
「ロイドがいつどこに現れるか分からないのに場所や時間帯が書いてあるが意味ないんじゃないか?」
「あ…」
ザクレイたちは一番根本的なことを見落としていた。
ロイドの位置情報と目的が分からないと行動に合わせた計画がすべて台無しになってしまう。
これにより、ロード達はいつ現れるか分からないゲリラ戦に計画を変更することが後日新たに決まった。
「あ~死ぬかと思った。あんなに怒らなくてもいいのに」
ザクレイは包帯でグルグル巻きにされて誰だか分からないほどになっていた。
「お前が悪いんだろ、しょうもない茶番で俺たちを騙しやがって。でも死んでなくてよかったよ、じゃなかったらこの抜け駆け野郎と俺だけになっちまうからな~」
「ナルザスお前まだ結婚していないのか?」
「お前もしてねえだろうが」
「俺は魔物をぶっ殺してた方が楽しいからそんなのしなくていいんだ。お前はなんで結婚できないんだ? 隊長だからモテるだろ?」
「あ~モテたよ隊長になった最初の五年間ほどは…… でも、あのクソッタレ領主どものせいで全部台無しだよ!!」
ナルザスはテーブルに手を叩きつけて今までの苦労を吐露し始めた。
なんでも彼女を作っても領主の命令でほとんど休みが取れず、その上休みの日も呼び出しを食らうことが多々あって親しくなった女性も友人も自然とナルザスから離れていった。
「一体何の用でそんなに呼び出すんだ? 領主様は男色なのか?」
「しょうもねえもんばっかだよ。中でも魔物飼いたいから捕まえてこいって言われたときは頭大丈夫かと思ったよ」
「ハハハハハ! 魔物なんて誰が飼いたいんだよ!」
グレンはナルザスの話を聞いてあまりにもおかしくて笑っていた。
「他の貴族より珍しいもんが飼いたいんだとよ。金持ちが考えていることはよく分からん、あんなん可愛くもなんともないだろ」
「そりゃそうだ。あー確かそこのメリナも貴族だよな? お前の家は飼ってたのか?」
「嘘だろ!? 何で貴族が兵士なんかやってるんだよ。物好きな奴だな」
「勝ってないわよ。それに、貴族だなんて家も家族も失って今はもう名ばかりよ。兵士になったのも再び領主に返り咲くためよ! だから今はそんなくだらない話なんかよりロイドを倒すためにどうするか考えましょうよ」
おっさん三人の婚活話や苦労話のせいで他のみんなは黙って聞いているほかなかったが、メリナは話を振られたのを好機にロイドの議題に移そうと話を変えた。
「言ってくれるな嬢ちゃん。もしロイドを倒せたら領主どころか王になれるぐらいの褒美がもらえるかもしれないが…… 見ろ! ザックの今の姿を! ロイドと本気で戦ったのにも関わらずあのザマだ。今まで何百年も君臨する奴をお前ら新米がどうするかなんて一生かかっても無理だぞ!」
ナルザスはザクレイの方を指さしてどれほどロイドが強敵か力説した。
「いや、俺がこうなった大半はお前らのせいだろ。大丈夫だコイツらは思った以上に戦力になる。それに、今の俺たちには秘密兵器がある」
「秘密兵器?」
「そうここにいるロードだ!!」
「おいおい冗談は勘弁しろよ、こんな子供が俺たちの秘密兵器? 年も十歳にも満たないだろ」
「僕は十一歳だ!!」
ナルザスはロードを見て秘密兵器と言われるほどの力はないように思ったのも当然である。
ロードははた目から見れば兵士の格好をしている町の子供に見え、魔力自体もそれほど高くはない、いたって普通の少年である。
しかしその後、ナルザスの思いも束の間、ザクレイからロードの真価を説明されて秘密兵器であることを理解した。
「ほーじゃあザック、俺たちはこの子のサポートをしてロイドに触れられるようにすればいいんだな」
「その通りだグレン。この戦いで一番の有効打になるかもしれないからな」
「ザクレイよー失敗したときはどうするんだ?」
普段会議に参加することが面倒くさいと思っているアレスもこればかりは真面目に参加していた。
「何を言ってるんだアレス、そんなの決まってるだろ?。死だ」
「やっぱりそうなるかー。案外土下座でもして謝ったら許してくれるかもな」
「もうまたバカみたいなこと言って、真面目にやらないのなら部屋に戻ったら」
「相変わらずかてぇ女だな、ちょっと言ってみただけじゃん」
「命がかかってるんだから真面目にやってちょうだい。ここは遊びの場じゃないのよ」
「大丈夫俺の方がお前より長生きするから」
「その前にアルコール中毒で死ぬから私の方が長生きできるわ」
「何だと!?」
「何よ!?」
ここでいつものメリナとアレスの喧嘩が始まってしまった。
「うちの夫婦喧嘩みたいで見てて微笑ましいよ、お前たちつきあってるのか?」
「「付き合ってない!!」」
メリナとアレスは同時にグレンの方を見て強く否定した。
「なんだーお前たち付き合っていたのかー?」
ナルザスが恨めしそうに二人を見つめた。
「だから付き合ってないって、俺は年下とガキには興味ないんだ」
「私もよ! どうしてこんな先の見えない男と付き合わなきゃならないのよ!」
「そうかそれならよかった。でも、いったんここで確認しておこう。今付き合ってるまたは結婚している奴は手を上げろ!」
ナルザスがそう言うと、グレンと意外なことにリードも手を上げてロードはもちろん全員が驚いた。
「兄さん僕以外に大切な人がいるの? どうして黙ってたの!!」
とりわけ今までそんなことリードから聞いていないロードはショックで、半泣きになりながらリードにしがみついて事の詳細を問いただした。
「おいおい泣くなよ、確かに俺は既婚者だ。でもロード、お前今までそんなこと聞かなかったじゃん」
「でも! でも! 隠し事なんてひどいじゃん、ずっと一緒にいたのに~!」
「悪かったよ。でも、俺の嫁はこの世界にはもういない。お前を拾う前に俺が逃げてしまったんだよ」
「え!? じゃあ僕のためにお嫁さんから逃げてきたの? 戻らいのも僕の方が大切だから?」
「え、うん~まあそんな感じだ。今は戻れないからな」
「よかった~兄さんを奪おうとする人がいたら僕絶対嫌いになってたもん」
納得したロードは今度は席に戻らずリードの膝の上に座った。
「でも、それってさあ~結婚してるって言えるの?」
アレスはリードの過去を聞いて疑問をぶつけた。
「誓ったのだからどれだけ会ってなくても離れていようとも俺たちの間は解消されないぞ」
「分からんぞ、とうにお前を捨てて他の男と一緒になっているかもしれないだろ?」
そう言うと、リードはアレスの頭を叩いた。
「いてッ! 何すんだよ!?」
「俺の妻がそんなことするわけないだろ、そんな言い方はよせ」
リードがそう言っていると、何やらナルザスが舌を回してから手を横に広げて「セーフ!!」と大きい声で言った。
「リード、君はセーフだ。だが、グレンてめえはアウトだ。まあでも、今は七対一で俺たちの方が有利だからな」
「何勝ち誇った顔してんだ、俺とお前を比べたら俺の圧勝だろ。三十六になってそんなことも分からねえのか? いつまで経っても結婚できねぞそんなんじゃ」
「グレンてめえ俺が一番気にしてることを! 食らえ!!」
そう言ってナルザスはグレンに殴りかかった。
「痛てぇ! 何すんだこの野郎!!」
グレンもまた殴り返して殴り合いの喧嘩だ始まった。
「隊長! 何とか言ってあの二人を止めてくださいよ」
「分かった」
「おいお前ら今は喧嘩してる場合じゃないだろ!? 早く議題を進めるぞ!!」
「「うるせえミイラ野郎!!」」
その言葉にカチンときたザクレイもまた二人の喧嘩に入っていった。
「誰のせいでこんなになったと思ってるんだああ!?」
こうして三人の大喧嘩が始まってロード達は二階に避難していった。
数十分後、喧嘩を終えた三人は再び席に着き、ロード達も降りてきては同じ席に座った。
グレンとナルザスはあちこちに痣ができてザクレイは包帯が増えた。
「よし、じゃあこれから作戦会議を始める。俺の一撃絶死でもやれなかった相手だ。お前ら二人は最初から本気でかかれ」
「ちょっといいか?」
「何だリード? 何かあるなら言ってみろ」
「俺たちがロイドを相手している間、町の兵士がいなくなっちまうだろ? 何かあったらどうするんだ?」
「そうかその問題もあったな… う~ん、じゃあこうしようウェインとお前がこの町に残れ」
「どうして俺たち二人なんだ? アレスとかでもいいだろ?」
「いやコイツはまだ新兵だから町を任せるわけにはいかん。それに、住民がけがをしたらお前が治せるだろ、ウェインはこの町のことをよく知っているからな」
「そういうことか。じゃあ俺たちはこの作戦に関係ないな。行こうウェイン」
そう言うと、リードはウェインを連れて二階へと上がっていった。
「あ~あ兄さん行っちゃった、、 一緒が良かったな~」
「そうだよねえロードちゃんはお兄ちゃんがいないと何もできないでしゅよね~」
「あ、また僕を馬鹿にしたな。このこの!!」
赤ちゃん言葉でおちょくるアレスにロードは左手で殴ろうとするが、アレスはよけてパンチは当たらない。
「もうまた馬鹿なことやって… 二人ともこれからが大切なのよ。ちゃんとしなさい」
「「はい」」
メリナに言われて二人は動きを止めて再び議題に集中した。
「あとはお前たち三人の仕事だな。お前たちはロードを守ってやってくれ、ロイドとは俺たちが直接やるから」
「「「了解」」」
「じゃあ、これからさらに詳しく見ていくぞ。まずは……」
こうして議題は白熱した展開となっていき、提案、修正を繰り返して計画が出来上がったのはそれから一時間後だった。
「よしこれなら完璧だな」 「ああ! これならいかにカオスの遺子といえども勝てるな!」 「生きて家族のもとに帰れる」 「よ~し頑張るぞ~!!」 「これで再び領主に!」 「早く遊びに行きてえ~!」
六人が考えた渾身の作戦に満足して解散となった。
「おい! 今から遊びに行くぞ!! 俺が奢ってやるから来たい奴は来い!!」
「行く行く!! 俺行きます!!」
「お~アレス来るか。おいグレンお前も行くぞ」
「どうせあっちの店にも行くんだろ? 俺は嫁がいるからいいよ」
「つれねえこと言うなよ!! 奥さんばっか相手にしてちゃ体が萎えちまうよ。だからお前も行くぞ! あとアレスお前はウェインを読んで来い!」
結局、遊びに行くメンバーはナルザス、アレス、グレン、ウェインの四人となった。
一応、ロードも一緒に遊びに行きたいと言ったが、メリナに止められて留守番することに決まった。
ザクレイは草案の計画に再び目を通して抜けがないか確認していた所にリードが現れた。
「リードか、見てみろ俺たちが考えた最強の計画を!」
「どれどれ……」
「どうだ完璧だろ?」
リードは手渡された計画書を隅々まで目を通して内容を確認した後、ザクレイに根本的に修正しなければならないことを伝えた。
「ロイドがいつどこに現れるか分からないのに場所や時間帯が書いてあるが意味ないんじゃないか?」
「あ…」
ザクレイたちは一番根本的なことを見落としていた。
ロイドの位置情報と目的が分からないと行動に合わせた計画がすべて台無しになってしまう。
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