Galaxy Day's

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最光のレディ・トゥー・ファイト

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俺たちをとの
戦いから遠ざけんと、惑星 ロスティアに
送らせた、俺の義妹にして エレーネアの妹、
トラキーネ。トラキーネと一騎討ちを交わし、
彼女の真意を見抜いたエレーネアは、
とやらと、
戦うことを誓うのだった。ちょうど… アイツに
ピッタリのやつが出来上がったところだぜ。
「いやあのお前、別に見抜いてはいないよ?
でもそれはそうと、あたしのゾード遂に~!?」



ヤギ座の惑星 ガトー。7話でも登場したけど、
今回もまた ここが舞台。でも、今回 僕たちが
来たところは、『ジンシロー』と呼ばれる街だ。
アオイヤルさん曰く、この街は もとは昔 戦争が
あった頃に軍隊の基地として造られ、戦後の改革
にて 今の街へ変わっていったという。その証拠に
僕たちが今いる平原の後ろには 惑星 ガトーの
戦時中に活躍したという、壊れた戦車がそのまま
置いてある。どうやら今は見せ物となっている
らしい。しかしどうもおかしい… 展示云々の
設備はなく、そのまま置いてあるだけなのも
そうだが、この戦車… 妙に壊れが新しく見える。
どういうことだろうか?…まぁ、今は
そんなことを気にしてたって仕方あるまい。
ボクはボクのやることを果たさねば。ボク…
オリンピアスは早速 小さな黒いキューブを投げた。
そこからエネルギーが周囲に浸透していき、我等 
コズモルチーの雑兵、ジャーディアンが現れた。

「お前たち!ここ最近は侵略だのなんだの…
いろいろありすぎて、やるヒマがなかったが… 
今日はもう太陽燦々サンサン!もう暑いくらいに!
でもちょうどいい!さぁ、たっぷりやるといい!!」
『ジャ~』

ジャーディアンたちはそう返事すると、
平原にどっかりと寝転んだ。そう、今回
ジャーディアンをこうして出したのは
父さん達に頼まれた ジャーディアンの手入れだ。
ジャーディアンの肉体を覆っているスーツは、
元は宇宙のタコの素材から作られたらしく、
たまにこうやって天日干ししないと 湿っぽくて
カビ臭くなってしまう。だいたい1ヶ月に一回の
頻度かなぁ。別の用事でいない父さん達に変わって
こうしてボクがやっているというワケ
なんだけどぉぉぉぉ…!?

「オイオイオイオイオイ!
なにお前まで寝転んでんだヴァルーナ!?」
「あぁん?ったく うるせぇなぁ…」

ジャーディアンに混じって寝転がっている
我が妹、ヴァルーナ。しかもよく見たら
ウミギロンにサヒダロンまで寝転がっていた。

「オリンピアス様も一緒に寝ましょうよ~♡」
「そうですよ~ 暑いけど 風が
程よく吹いて、心地いいですよ~ん♡」

ダラけきった顔でそう言うミギヒダ。
まぁ、いっか。ボクのやることは終わったし、
たまにはのんびり~と、するのもありかなぁ…

そう思ってボクも寝転んだ瞬間、凄まじい稲光が
響き、ものすごいほどの熱風を感じた。
この惑星ほしは夏になり、僕たちも夏服になった
はずが、まるで火山にいたような感覚だ…
慌てて飛び起きる僕たち。するとそこにいたのは、
アカイヤルさんとイエーネアさん…っ!!

「オイオイオイ… こんなところで
リラックスたぁ、イイもんじゃあねぇか… えぇ?」
「鍛え直しがちとばかし足りないみたいねぇ…!」
「「「「ひっ、ヒィィィィ~~~ッ!!」」」」

目の前のふたりの威光に僕たち一同は
怯えるほか なかったのであった。



惑星 ガトーの大手ホームセンター、
『ミッスリル』。そこで私… エレーネアと
ロワイヤル、アオイヤル、ブルーネアは
買い物をしていました。もちろん!
今回も変装っつーか、私服!
しかも夏服!そろそろ大抵の温暖気候の
惑星は、夏になったからねぇ…。
ウチらも半袖、薄着の季節なワケ。

「しっかしエレピ~♡ ポニテもいいモン
だなぁ。うなじがめっちゃキレイ!」
「へへッ、ありがとロワピ~♡」

セクハラっぽいこと言ってるけど
旦那なんでセーフセーフ。今回、
あたしはイメチェンと言わんばかりに
いつもはロンヘアをストレートのところ、
今回はブルーネアを見習ってポニテ!
すると、アオイヤルとブルーネアのふたりが
私たちにおっそろしい形相を向けてくる。

「「おいこの野郎…」」
「「なんすか?」」
「「なんすかじゃねーよバカ野郎!!」」
「ボクたちの金で関係ないモノを
買いまくりやがってぇっ!!」
「本来であればこのホムセンで 新型ゾードに
使う用の部品だけを買うつもりが… ペンに 
歯ブラシに 虫除けスプレーに… そしてなにより!!
在庫処分価格だった大人のオモチャ的なソレ!」
「それをよりにもよって会計寸前に
持ってきやがってぇっ!!」
「あ~…。確か前回、ジイとミギヒダが
それっぽいの買ってきてくれたけど、
ナギールの襲撃でダメになっちゃったのよね…」
「まぁ別にいいさ。本場のより上質な
素材を使った方が、よりすごいモノに
なるっていうモノだからね… じゃねーんだよ!!」
「しょうがないじょのいこ… 
基本あーゆーとこ 滅多に行かないんだから」
「だからって俺らの金で買うなや!!
自分の金で買えや!!!」
「そんなことより喉渇いたんですけど」
「あたしも。怒鳴ってたら喉乾かない?」

舌を出して暑そうにするロワイヤル。
あたしは手で仰ぎながら、ふたりに問う。
それを見たアオイヤルは、む~っとしたあと…

「じゃあ、ここから3mくらい先に、
美味しいジュースがあるっていう
パーラーがあるからさ… どう?」
「よっしゃ!それノッた!」
「うん。ナイス提案、アオイヤル君」
「最光!オールライトッ♡」

アオイヤルの提案に三者三様の
リアクションをとるあたしたち。

「そうと決まれば… 早速
レッツラゴ~~~~~ン♡」
「ゴンゴンゴ~~~ン!!」
「「あぁっ!ちょっと… 待ってっての~!
次はお前らのおごりやからな~~~!!」」

元気に駆け出していくあたしと
ロワイヤル、それを追うアオイヤルと
ブルーネア。そしてその様子を
謎の黒服が見ていたことは、この時の
あたし達は知る由もなかった。



フルーツパーラー、『アマル・ガーム』。
ジンシロー市では有名なフルーツパーラー。
有名なのは『レナドレモネード』に
代表されるような美味しいジュース。
ちなみに、この店で一番オススメなのは
今あたしとブルーネアが食べている…
『ビックカリニンパフェ』!!

「あ~む……  おいひ~♬」
「うん、なかなかの味だねぇ…♡」

いやぁ~、生きてるって感じですぞ~…♡
ゆるゆるな顔で美味しさの天国にいる状態の
あたし達を見やりながら、チョコレートパフェを
食べるロワイヤルと レナドレモネードを飲む
アオイヤルは目配せして笑い合う。

「そういえば、ジイさん達はどう?」
「ジイにミドイヤルにグリーネアか?
まだまだかかるってさ。ジイがハジケ流の
侵略をあのふたりに教えるって連れ出した
ワケだけど… まっ、それだけじゃないけどね」
「うん、デモール家についての情報収集もある
んだよね。BDBベレノイア・データ・ベースでもダメだったんでしょ?」

BDBベレノイア・データ・ベース。ジャークネスをはじめとした、
あたし達に関わりある全ての機関で運用されている
ネットワークシステムであり、ありとあらゆる
宇宙や惑星、万物のデータがあるとされる。
この間、例のデモール家に関して
ブルーネアが検索をかけてみたんだけど…

「…あぁ。データが全くなかった。アレにないほど 
マイナーなモノだとは、どうも思えないんだよ…」
「やっぱり、あの書類とあの部屋だけが
唯一の手がかりってワケか…」
「そうだ、その書類はどうなった?解読できた?」
「いやぁ、てぇんさいの私でもあの独特すぎる
文字は解読不能でねぇ… ここは鬼才たる
我が父に委託することにしたよ。行く前に
ベレノイアのブリザシティ宛に送ったんだよね」
「シュタイン教授か… あの人なら、
なんとかできるかもな」
「私もまだまだだよ、全く…」
「そんなことないってブルーネア~…」

ブリザシティは私たちの故郷、
惑星 ベレノイアに存在する開発・研究を司る
極寒地帯にある超化学都市で、シュタイン教授こと
『スカイグ・ピタラシュタイン』氏は、
そこを統括する『氷科長ひょうかちょう』で、ブルーネアの
お父さん。ベレノイア一の鬼才と評されている。

「そうだ、ねぇブルーネア。それで
思い出したんだけど…」
「なんだい?」
「あたしの元にメガゾードアプリをダウンロード
したのはいいんだけど… 一向にロード長くて…
やっぱりコレは、ピンチにならないとダメ系?」

あたしはスマホをブルーネアに見せながら言う。

「ん~、そうじゃないかな… まっ、その辺は
キミ自身にかかっているからね…」
「むぅぅぅ… …ちょっとトイレ」
「おう」
「「は~い」」

なんとも言えないあたしは 不意に催したので
トイレに行こうと席を外した。あたし… 自身かぁ。


「デストロワイヤルにはさしてそんな機能
つけなかったくせになんでアイツには…」
「彼女の輝きを試すためさ。そのためには
この方が手っ取り早い。散々 私に
メガゾードをねだってきたからね」
「…実際に、それを使うに相応しい
気概を試すってワケかい?」
「ん~、まぁね」
「そうかい…。う~ん… まぁ、
アイツなら大丈夫だとは思うけどさ…
んで、俺らのメガゾードの方はどう?」
「結構な方だね。このままいけば、
もしかしたら来週には使えるかもしれないカモよ」



私たちの席から結構離れた広いトイレ。
どうやら入っていたのは私だけらしく、
他に人のいる気配をまるで感じない。
私ら個室のトイレから出て、手を洗い、
トイレから出ようとしたところ、そこに
サングラスをかけた黒服が立ち塞がったのだ。

「…ぅぇっ!? あの、ここ女子トイレですよ!?」

あたしは指摘するも、黒服は何も答えずに
あたしに襲いかかってきた。あたしは慌てて
体術で応戦する。しかし、黒服とのやり合いに
集中するあまり、背後からわずかに感じる
もう一つの気配に気づかなかった。

瞬間。銃声が響き、目の前が真っ暗になった。



私たち子供達チルドレンとアカイヤルさんにイエーネアさんが
いる、『ピース平原』。そこで私たちは、
今後の特訓として、アカイヤルさんと
イエーネアさんによる 追撃による
爆風の中を走り抜けていた。怯えるミギヒダ。

「「ひええぇぇぇ~~~っ!!」」
「ちょっと… 容赦なさすぎですぞ~!?」

抗議する兄さんにアカイヤルさん達は…

「おいおい!これくらいで泣き言
言っちゃあ困るぜ!」
「厳しくしごいとけってあのふたりからも
言い遣ってるんでねっ!」
「それにしちゃやり過ぎじゃあ~!?」

走る私たちの前に現れたのは、
いつのまにか移動していたイエーネアさん。

「この先に備えて、まだまだ実力を
つけとかないと!行くよ~!奥義、『雷栓掌らいせんしょう』!」

イエーネアさんは雷を纏った拳を放つ。
爆風と共に吹っ飛ばされる我々。

「何をぅ!ボクだって…!秘技・『影砲掌かげほうしょう!』

兄さんも宙を舞いながら 拳から人影っぽい
エネルギーを放射。イエーネアさんの
周りに爆発を発生させる。

「いつのにそんな技を…!やるわねぇ…!
でもでもまだまだぁ!」

へこたれずに向かっていくイエーネアさん。
今の兄さんの技にはほんのすこーしばかり
感心したが… そこに炎が飛んでくる。

「おいおい、俺を忘れてもらっちゃ困るぜ?」
「フゥン…、あたしゃそちらの大親友の
娘っスよ?いくら手合わせでも… ちょっとは
お手柔らかにお願いしたいっ!」

そう言ってミギヒダを率いて、
私はスチームダガーを手に、
アカイヤルさんに切り掛かった。



その頃、俺たちは別件で訪れていた
惑星 アフガンヌにて ジイ先導のもと、
いじめの対処にあたっていた。
今まさに俺、ミドイヤルがいじめっ子の
喉を風太刀丸で切り裂き、殺害したところ。

「そっちは終わったようですね」
「おう。…あら~、なんてこったいグリーネア…」

声の方に振り向くと、そこには返り血を
どっぷり浴びたグリーネアの姿が。一瞬
グリーネアの方をチラッと見たけど、
イバラを魔法で出現させ、それでいじめっ子の
身体全てを絞めて、それで力を込めて
物理的に潰すという、なかなかエグい殺り方。
それで、さっきまでいじめっ子だった肉片が
俺やグリーネアの周囲に転がっている。

「まぁ、ちょっと汚れちゃいましたけど、
洗えばどうとにでもなりますよ」
「洗うかぁ… 俺も水浴びしたいなぁ…
今日マジ暑くない?」
「ホントですねぇ… ところでジイさんの方は?」
「おう、行ってみよう」

俺たちはちょっと歩いてジイさんの方に
行ってみると、なにやらまだ殺しをしている
みたい。でも すぐ俺たちに気付き、振り向いた。

「あっ!終わったみたいですね!」

振り向くと共に触手をしまい、それと同時に
骸骨が落ちた。それがいじめっ子で
あったことは想像に難くない。

「オッホッホッホ… なかなかな殺しの跡。
だいぶ悪役が板に付いてきたみたいですね…」
「ジイさんこそ、ハジケと言っても、
どのような殺し方をすれば… あんなガイコツ…」
「なぁに、触手で首を絞めながら 肉体全体に
毒を流し込んだのですよ。なが~い時間をかけて
ジワジワと心と体を苦しめ、蝕む…彼らの
やってきたことと 同じやり方で、ねぇ」
「…この惑星ほしに限ったことではありませんが、
いじめ対策と言っておきながら、
しなくていいようなことばかり…。
それでいて問題が顕在化したら、
記者会見で首切りして終わり。…はぁ、
ホントやんなっちゃいますよねぇ…」

グリーネアは大きくため息を
つきながら言った。

「ごもっとも。…しかし、自分たちの欲しか
考えていない愚かな連中のことです。
これ以上は、考えるだけ無駄というモノ」

そういってジイは小さなキューブを投げる。
エネルギーが周囲に広がり、
戦闘兵 ジャーディアン達が顕現する。

「さぁ~て!次の学校に行こ~っと!!
お前らもこの殺り方は、十分にハジケてる。
見込みとしては十分だ!行くぞ~~~!!」

そういってジャーディアン達を率いて
突っ走っていくジイに、
俺はついて行こうとしたら…

「ミドイヤル君… 少し、気は晴れましたか?」
「え?」
「トラキーネさんの件もあったので、言及する
ヒマがありませんでしたが、あの時…
の名が出た時のミドイヤル君の怯え…
いつものミドイヤル君らしくない… 
尋常なモノではなかった。ですが…」
「俺なら大丈夫!!…確かにちょっとは気は
晴れたよ。でも、俺は強くなるって決めたんだ。
なんかあったのかもしれないけど、そんな怯え、
今 気にしてたってしょうがないし!何より
強くなれないし!…さっ、行こっ!
ジイが待ってるし!」

俺は半ば強引に話題を終わらせて駆けて行った。
やっぱり、グリーネアは俺をちゃんと見てる。
ごまかしはやっぱ無理だなぁ。でも、俺の
言ったこともホント。今だけは… どうか忘れたい。
この今が、あの時 垣間感じた恐怖を、一瞬だと
しても、忘れさせてくれるような気がするから。

「ミドイヤル君…」

ちなみに、惑星 アフガンヌに対しては
貴金属や美術が美しいことで有名な上、
いじめ以外に特に表立った問題はないので、
破壊はされないらしいだってさ。



暗がりの中に輝く光。そこを歩くあたし。
しばらく経ったけど、ようやく始める時が来た。
あたしを見て頭を下げる黒服アンドロイド、
『SOS-K』。あたしが 愛している… いや、
人ソックリだけど、やっぱり違う。
所詮はまがい物かと心の中で自嘲する。
やって来たベッドの上に寝ているのは、
あたしに撃たれ 物言わぬ状態と化した、
コズモル・エレーネア。目を閉じていて、
寝ていると思われるかもだけど、頭には
鉛玉の痕がくっきりと残っている。血は治まった
みたい。…なら、さっさと済ませちゃうか。
あたしは早速 近くの装置の電源を
入れようとした。…その時だった。

「わっ!」
「わああぁぁぁぁ~~~っ!?」

ベッドに物言わぬ状態であったはずの
エレーネアがいきなり上半身を起こし、
あたしは仰天の叫びをあげた。



「えっへっのへー!驚いた?知らんヤツに
いつまでも語り部させるかって~の!」
「…ッ!やっぱりベレノイア星人ね…」
「んふ~、そうそう♡ 頭や心臓撃たれた
程度じゃ くたばりゃしないわよ。でも不意を
突かれたからおもわずショックで倒れたけど…」

あたしは周りを見る。真っ暗なところで
ところどころディスプレイによる光がある。

「あたしが誰かわかって、連れてきたようね。
んで… ダレヤネーン!!アンタ。ん~?
どっかで見たような見てないような顔…」

燻んだ水色の長髪に、ボロボロの白衣。
顔は美人っぽそーだけど、どこかくたびれてる。

「…カーナ・チェンドリー。それがあたしの名前」
「やっぱりどっかで聞いたような…」
「これでも、この惑星ではかな~り
名の知れた、科学者だったんだよね」
「…あぁ!思い出した!いつだったか
ブルーネアが見せてくれた雑誌に
載ってたねアンタ。『エンジェル』だとか、
『ヨブー』だとか、ヘンなあだ名
貰ってたことが、印象に残ってたっけ」
「いや、なんつーとこで印象を…」
「んでぇ?そのヨブーさんが、この私に
何の用でござりましょう?こんな荒っぽい
やり方で連れてきて…。しょうもないこと
だったら内臓を斬って、干物にするからな?」

今考えたセリフで恫喝すると、
真っ先にさっき交戦した黒服が銃を向ける。
サングラスをとったその目つきは無骨の一言。
でも、その散切り頭と共に妙に印象に残るカモ。
それを静止するカーナ。

「やめなさいSOS-K。彼女にはちと実験台に
なってほしいのよ…。あたしの研究にね」
「実験台?」
「つい最近 完成したばかりのとっておきの
禁断技術テクノロジー。『ラムダム』。コレを使って、
この惑星ほしで今なお続く 戦争を終わらせる…!」
「え?この惑星ほしにもあるの?それ…
アオイヤルからは何にも…」
「この惑星ほしはねぇ!!一見すると平和そうに
見えるけど、一部の地域では今なお戦争が
続いている…!あたしが愛した人は、それで
命を奪われた…!止めなくてはいけない…!
のためにも…!この惑星ほしのためにも…!!」
「だいたいわかったけど、何故それにあたしが…」

カーナのやつは、指パッチンフィンガースナップをする。すると、
とある映像が再生された。その映像は
あたし達が戦っている。

「こ、これは!?」
「あの時 2ヶ月くらい前、アンタ達コズモルチーが
この惑星に訪れた時… ウォールド企画に
パークを奪われ、挙句 それで発生した借金を
返すために あたしと同じ、愛する者を失い 
落ちぶれた支配人が変貌した怪物…」
「アイツそんなことがあったの…!?」
「まぁね。その時、アイツと戦っていた
アンタのあの姿をみて、『ウハハハハ~!!』
…ってきたのよ!アンタならイケる…
ラムダムの、イイ実験台になれる…って!」
「いや、普通そーゆーの、『ビビッと』とか
じゃないの…?ってかウォールド企画って…
確か、7話の頃か!」
「いやそーゆーこと言うんじゃないよ!!」

詳しい話は、第7話 『ツッコミ役は客じゃない!』
を読んでみてね。ってゆーか、見てたんだ…

「いや、だからってなんで…?むしろ、あの話で
目立ってたのはアオイヤルであって…」
「チェンドリー、そろそろいいのではないか?」

ずっと沈黙していた黒服、SOS-Kが
はじめて口を開く。

「そうね。このまま延々と長話をするのも
アレだし… 早速実験に入るわ!」

あたしはずっと座っていたベッドから
逃げようとするも、自動的に押し倒された
挙句、両手足を拘束され、ヘンな
ヘルメットを頭に強制着用されてしまう。
とりあえずすんでのところで 装置の方に
懐に忍ばせていたバズトリックを投げた。

「あああ"あ"ぁぁぁ…!!」
やめろぉ~!同人みたいにあたしに
乱暴する気か~!?ぶっ飛ばすぞぉ!」

何気に気味に言うあたし。
事態は深刻だっていうのに… 悪い癖。

「ラムダム、起動!」
『ラムダム・起動シマス』

彼女の合図とともに、SOS-Kが
ボタンを押す。それにより、頭から
凄まじい威力の電撃が放たれた。
あたしは悲鳴を上げた後、意識を失った。



「よ~し、だったらアタシの
最強の拳法を見せてやる」
「「よっ、待ってました!」」
「行くぞ~!フ…」
「大変だよみんな~~~!!」

俺の前でヴァルーナちゃんが必殺技名を
言う前で、ロワイヤルとアオイヤルとブルーネアが
走ってきた。アレ?エレーネアのヤツがいねぇ。

「ん?おい、エレーネアのヤツはどこ行った?」
「そうだ、みんな聞いてくれ… エレーネアが、
エレーネアが行方不明になっちまった!!」

汗だくで言うロワイヤル。

『えええぇぇぇぇ~~~っ!?』

俺達は驚きの叫びをあげた。
この惑星ほしに響き渡ると思うくらいの。たぶん!
「多分かい!」



どれくらい意識を失っていたんだろ…。
目を覚まし 起き上がると、そこは
見渡す限り キラキラしている夢のような
空間。こんな幻想的な空間はなかなかない。
もしかして… あたしは寝てて ここは夢の中?
それとも、もう死んで天国なのかな?
…どっちにしろ後者ではないと信じたい。

「あれ…?アレは…」

ふと、遠くを見ると 見慣れた黒マントが
見える。アレは… マイ・ダーリン、ロワイヤル!

「ロワイヤル~!」

早速 あたしはいつもの調子で声を
かけながら、ロワイヤルの元に向かった。
次の瞬間… 

「フンッ!!」

ロワイヤルは振り向きざまに
エンペライトセーバーを振り下ろし、
あたしを切り裂いた。それと同時に
空間も一瞬にして 真っ暗に変わる。

「うわあぁぁぁっ!!ロワイヤル… なにを!?」

ロワイアルはまるで豚でも見るような
眼で あたしを見下ろしながら言う。

「ホントのこと言うとさぁ… お前は役に
立たねぇんだよ…。もうお前は用済みだ」

ウソ…。ロワイヤルがそんなこと言うはずが…!
間もなくして、ロワイヤルの姿は消え、
今度は後ろから拘束される。

「誰もアンタにいてほしいなんて 思ってねぇよ」

その声はジイ…!ナニコレ、
これは、まさか幻覚…!?

「アンタのような頼りない母親…
母親とは思わん…!」
「ゴミ、役立たず~!」

左右からオリンピアスとヴァルーナから
罵倒されながらの攻撃を受ける。
その次はミギヒダからの同時攻撃…!

「「アンタには何もできない!!」」
『お荷物なんだよ!!』

六帝将たちからそう罵倒されながら 一斉にビームを
喰らい、あたしは爆発を浴びながら、倒れ伏した。

「いや… いやぁ…!そんな… みんなが、
そんなこと言うはずないっ…!!
こんなのウソ…!絶対ウソ!!!」

そう言いながら、あたしを暗闇の中を
走った。自分にこう言い聞かせながら。

(私は…!あたしは…!コズモルチーの、
コズモル・エレーネア…!!ジャークネスを
統治し、六帝将を率いる、コズモル家の
母親で!ロワイヤルの嫁なのよっ!!)



一方、空中に投影された映像で
エレーネアの様子を見ているあたし達。
ベッドにいたエレーネアの姿はない。ラムダムを
起動してしばらくして、彼女の姿は消えた。
どうやら、ココとは別の異空間に行ってしまった
らしい。この機能は完全に想定外イレギュラーだったけど…

「コレは…!?」
「ラムダムは、考えたことを形にする。
コレは恐らく… エレーネアが『自分はこう
思われていないか』という、無意識下に抱えている
恐れから生み出された結果らしいわね。まぁ
なにはともあれ、ラムダムの性能は実証された!
これさえあれば、どんな兵器も目じゃない!
彼女には… 悪いけど、ラムダムの性能を
実証するためのになってもらうわ。
戦争をなくすためには、必要な犠牲って
とこよ…。フッフッフッフッフッフッ…」

あたしは不敵に笑いながら、
映像の方に再び目を移した。



「マジかよ… エレーネアのヤツがか!?」
「どこに行ったかわからないのかい!?」

アカイヤルとオリンピアスの問いかけに
ブルーネアは苦々しい顔をしながら、

「残念だけど… 手がかりはゼロだ。
とりあえず、この惑星中を
片っ端から探すしか…」
「ソレ… いつまでかかる?」
「え?」
「いつまでかかるかって聞いてんだよ!!」

俺はブルーネアの両肩を両手で
捕らえながら 強い口調で言った。

「こんなことしてる間にも… アイツが
どんな目にあってるかわかんねぇんだ…!」
「いやいや、エレーネアのヤツは
強いんだから大丈夫…」

イエーネアの言葉を遮り、
俺は怒鳴った。

「今回はやな予感がすんだよ!!
だから、一刻も早くアイツを…!」

駆けだそうとする俺の手を
誰かが掴む。その主は、アオイヤルだった。

「離せコノヤロー…!」
「一刻も早く彼女を助けたい。
一体、どうするつもりだい?」
「あっ… いや、それは、その…」

高圧的な表情と声のあとに
アオイヤルは指を鳴らす。それと
同時に アオイヤルは手を離した。 
すると、凄まじい激流が俺を襲った。

「うっ… うわああぁぁぁ~~~っ!!」

俺は激流に流され、跳ね飛ばされた。

「相変わらず大切なものが絡むと
いつもこれだ。4話の時から、
まるで成長していない…」
「いや、お前もメタい…」
「うるさい!!もっと周りを見ろ!!」

俺はアオイヤルに言われるがままに
周りを見た。そこには心配している
表情の子供達チルドレン、アカイエ、ん…!?

「あれ… おっ、お前…!?」

俺は平原の入り口の方に
立っていた人物を見て、駆け出した。

「やっぱり!お前、ボーブじゃねぇか!」
「せ、先輩… いいんですか?なんか
見かけたんですけど、大事な話していたっぽい
から、声かけなかったんですけど…」 
「あぁ、気にしないで」

さて、いきなりの登場で驚いてる人も
いらっしゃると思うので、説明しよう!
彼の… 名は、『キング・ボーブ』。
俺の故郷、ベレノイアの国の一つ、
『リセッス国』の王で、俺の学生時代の
後輩でもある。いつもは王冠を被って
ホッケーのスティックみたいな杖を
持っているが、今回はTシャツに短パンと
いう 季節に適したラフな服装だった。

「んで、お前は何でここにいるワケ?
トリマキーズはどうしたのよ」
「あっ、あぁ… 城の備品がなくなりかけて
たので、買い物に行ってたんですよ。
ジョーもジェロムも今日は有休でしてね…
あっ、それよりロワ先輩!さっき、エレ先輩を
乗せた車を見かけたんですが… 
どうかしたんですか?」
『にゃに~~~っ!?』

その言葉に、他のみんなも喰いついてくる。

「どんな車だったんですかソレ!?」
「いや、その車… どっちに行ったんだい!?」

オリンピアスとブルーネアの質問に
ボーブはこう返す。

「えっと 確か… 『アール山』の方に…」

アール山。ここから西に3km離れた
ところにある山だったな…。そこに
エレーネアがいるのか…!なら…!

「よし!善は急げってヤツだ!
アール山に向かうぞ!」
「おっしゃぁっ!!」

アカイヤルが声を張り上げた後、
ブルーネアから優しく肩を叩かれた。

「ね?エレーネアを助けたいのは
キミだけじゃない…。いい加減分かってよ?
キミは、決してひとりではないということ…」
「…あぁ、無論さ」
「いやぁ、本当にありがとうございます!」

ヴァルーナの感謝と共に、俺は
ボーブの両手をにぎり、一礼すると
早速 クラウンを出して アール山へと飛んだ。

「なんだかよくわからないけど…
やはりあぁでこそ、俺達の『皇帝』だ…」

ボーブがそう呟いたのは 誰も知らない。



あたしは気づけば 走るのをやめ、
暗黒に寝転がっていた。もう、
なにもかも どうでもよくなった…。


あたしは、最低… なのかな。


そう言って、意識をも手放そうとした
瞬間、一筋の光が放たれた。
その光から ある映像が流れ込んできた。

「ねぇ、ロワイヤル」
「ん?どした?」
「えっと、その…あたし達、幼馴染から
彼氏彼女になったわけでしょ?」

これは、忘れもしない… ベレノイアの
ジョーナン高校で高2になったと同時に、
あたし達がカレカノになった時だ…。
ブレザーが決まってるけど、なんで今になって…?

「そ~だよ、エ~レピ~♡ 俺、
絶対 お前を守ってみせるから!
きっとこの人生で、こんなに愛しいって
思えるのは、お前しかいないから…!」

そう言ってロワイヤルは 桜舞い散る快晴の中、
あたしを抱きしめる。あたしはその言葉に
嬉しそうに微笑んだ後に、ムスッとして…

「ありがと。でも、ひとつ約束して」
「ん?なに?」
「あたしのこと守る代わりに、あたしにも
あなたを守らせて。守ってばっかりなんて
情けないのはもうイヤ。戦う… ヒロイン的な
感じ?パパやママも言ってたでしょ?
『守り守られ、愛し合い、信じ合うのが
男女にして、家族です』 って!」
「エレーネア… …あぁ!」

目の前のあたしたちは再びひしと抱きしめ合った。
その後に、次々と様々な出来事が
暗闇の空間に映った。そうだ…!
こんなとこでエンストしてる場合
じゃないや!どう思われたって
構わない!たとえ、どう思われたって…
嫌われたって… あたしはロワイヤルが!
ジイが、オリンピアスが、ヴァルーナが… 
みんながなんだっ!!

「だから…!こんなクソみたいなのは
さっさと強制幕引きじゃ~~~!!」

そう叫びながら、あたしはポニテを解いて、
いつものロングヘアを靡かせた。
その時、凄まじい輝きが全てを包んだ。

電車の中、OLに扮したあたし。周りには、
アカイヤルとイエーネアにソックリな
風貌をした男女がスマホをいじり、
アオイヤルとブルーネアの雰囲気を
もった少女が、吊革につかまりながら
本を読み、ミドイヤルとグリーネアの
雰囲気を持つ中性的な風貌の子が
居眠りをしている。ふと、お尻に
不快な違和感を感じる。振り向くと、
クッソやらしい顔をしたカーナのヤツが
あたしのケツを触るという痴漢をしている。
女なのに オッサンみたいなことしやがって…
あたしはすぐさまカーナの頭を掴み、
膝蹴りをお見舞いした。
そして程なくして、カーナはロワイヤルと
オリンピアス扮する警察に逮捕された。

「カーナ絶対に許さない!!」

気がつけば、あたしは薄暗いところに
立っていた。目の前にはカーナと
SOS-Kが倒れている。

「あれ…?あたし、戻れたんだ~!
ってか、コレどういう状況?」
「きゅ、急に光と共にお前が現れたら、
我々を吹き飛ばしていたのではないか!」
「ってゆーか今の流れは一体何!?
あたしはあんなことしないよ!?」
「説明無用だ!あたしがあぁ思ったんだ!
文句はないでしょうが!!」

そう言ってあたしはエレネアローを
手に、ふたりに向かっていく。

「チェンドリーには指一本触れさせん!」

SOS-Kは拳銃を発砲するが、
あたしはエレネアローサーベルに
変形させ、弾を全部斬ると、
SOS-Kを切り裂き、そして
ジャンプと共にカーナを切り裂いた。

「小手先で散々愚弄して!
実力のほどのお返しだーーー!!」
「のわああぁぁーーーっ!!」

カーナはたった一撃で吹っ飛ばされ、
壁に激突し、外へと投げ出された。

「えっ…?何アイツ…!?…弱い」

しかし、カーナは痛みながら
立ち上がり、SOS-Kが支えた。

「大丈夫かチェンドリー?」
「えぇ…」
「えぇ…?なんであんな弱いの…?
やっぱ天才だったから?それとも…
今までが強すぎたから、普通は
こんな感じなののかなぁ…?」
「貴様…!よくもチェンドリーを…!」

そう言ってSOS-Kは散弾… 砲かな?
的な武器をあたしに発射するが、
あたしは爆発と共に、強くジャンプ。

「こっちがよくもだわ!
戦うヒロインの力、思い知れ!!
最光縦横斬り!!」

エレネアローサーベルを発光させ、
右袈裟→右横薙ぎ→縦→左逆袈裟の
順にSOS-Kを切り裂いた。

「ぬぉっ…!あぁ…!ぐ、ぐおぉぉぉ…!
カ、カーナ…!うっ、うわぁぁぁぁぁ…!」

その言葉と共に、SOS-Kは爆散。
カーナはそれに吹っ飛ばされ、
地に這いつくばった。あたしの前には
バラバラの部品… 恐らく、SOS-Kの
残骸が散らばっていた。

「あぁ…!そんなぁ…!嘘…!!
ソー…、いやぁぁ、SOS-K...!!」

カーナのヤツはバラバラになった
SOS-Kの残骸を拾いながら、
哀しみの声をあげ 動転している。
そして、あたしにむかって涙交じりの
殺意の波動を孕ませている眼を向けた。

「...ッ!その目つきも、散々向けられた
から慣れてるわ。…で、何する気?
これ以上、アンタに何ができるってワケ!?」
「…あぁできるとも、とっておきの奥の手で!!」

カーナは懐からボタンを取り出し、押した。
すると、突如 地響きが発生したかと思うと、
地中から巨大ロボットが出現した!

「愛していた、彼の愛機… 『ベンジェンスード』。
こんな形で使うことになるなんてね…。
でも、もう背に腹は代えられない!!」

ベンジェンスードは腰の後ろ部分から
散弾銃を取り出したかと思うと、地上の
あたしに向けて発射する。流石の
あたしも思わずこれには吹き飛んでしまう。

「うわぁぁぁーーーっ!!...うぅぅッ!
このぉ… あたしにだって意地があんのよ…!
そっちに負けないくらいの意地がね!
それがある限り… 諦められないッ!!」

地に這いつくばっても、立ち上がって
あたしはそう叫ぶ。すると、スマホが
光を放っていた。スマホの方を見ると、
メガゾード召喚アプリが光を放っている。
タッチしてみると、ロードは早く終わって、
いつでも召喚できるようになっていた!

「いける…!?フッ…」

私は瞑想し、深呼吸すると…

暗黒召喚サモライズ!…エレドリーン!」

さっきの瞑想と共に考え、今思いついた名前を
叫ぶと、何かが風を切る音が微かに聞こえてくる。



ボーブの証言を元に、アール山に
クラウンで向かっていると、空の上から
僅かに変な音が聞こえてくる。
俺は慌ててみんなを制止させた。

「ん…?みんなストップ!!」
「どうしたのロワイヤル?」

アオイヤルの問いに、俺は
両耳に手を当てて言った。

「なんか、変な音が聞こえてこねぇか?」
「え…?」
「変な、音…?」

みんな耳に手を当て、耳をすませてみる。
すると、何かに気づいた様子の
アオイヤルとブルーネア。

「ちょっとロワイヤルくん!!上!上!!」
「おいおい!危ないよちょっと!?」
「はぁ?」

上から光と共に、が猛スピードで接近していた
ことに気づかなかった俺。振り向く頃には
俺はそのに吹っ飛ばされ、
クラウンごと地上に埋もれてしまっていた。

「うわ~っ!!父さん!父さんが~~!!」
「ちょ、ちょっと早く助けなきゃ!」
「ねぇ、ブルーネアちゃん… アレ、アール山の
方に向かってったけど、アレってもしかして…!」
「…あぁ。フッ…。どうやら、
やったみたいだね。エレーネア…!」



「アッ、アレは…!?」

カーナのヤツが驚く、ベンジェンスードが
向いている方向を見ると、そこから飛んできたのは
ピンクと白のカラーをしたロワドルーン…
否!私専用の可変型宇宙艇、『エレドリーン』!

「よ~し、行っくよ~!」

私はそう叫ぶと 空に向かって飛び、
エレドリーンに乗り込んだ。コクピットには
ロワドルーンやアカイヤル達のゾードと同様、
黒一色の室内に 背後にデカデカとあたしの
マークが1つ施された背景に、ピンクの枠に
囲まれた操縦席。スマホをセット、前方の鞘に
変形させ忘れた、エレーネアークサーベルを
収めて、さぁ レッツ・ドライビング!!

「さぁ、こっからもっと輝くわよ~!」
「ぬぅぅぅ…!喰らえ!!」

ベンジェンスードは散弾銃から散弾を放つ。
エレドリーンは空中を飛び回りながら、それを
スイスイかわし、前方にデカデカと携えた
巨大砲からビーム射撃!ベンジェンスードは
それを喰らい、盛大に転倒した。

「うわぁぁぁぁっ!!」

よし、今ならイケる…!ならイケる…!
こっからは最光の極みってとこよ!!

「遂に来たわ… 今、最っ光の気分!
巨人変形メガゾードライズ!エレーネアーク!!」

私のその叫びと共に、エレドリーンは
人の形へと変形していく。ピンクと白を基調と
した体色に、両腕にセットされた
水色を基調とした剣… デストロワイヤルに
どこかソックリな このメガゾードの名は!

「エレーネアーク、活動開始アクティビティオン!」

キター!!♪───O(≧∇≦)O────♪
やっと言えたこのセリフ!!苦節15話!
遂にこのあたしも、メガゾードデビュー
だ~~~っ!!エレーネアークで
ピョンピョン跳ねながら喜ぶあたし。
あっ、ちなみに『エレーネアーク』ってのも、
あたし謹製の、今付けた名前!
なかなかイカす名だと自負しておりますっ!

「えぇ…?」

目の前にはようやく起き上がったと共に、
若干引いてる様子のベンジェンスードが。
おっとぉ… あぁそうだそうだ、こんな
浮かれてる場合じゃなかった。今は、
目の前の輩をぶっ飛ばすことだけを考えなきゃ!

「本場フルスロットル!光の速さを見せてあげるわ」

エレーネアークは輝きと共に ベンジェンスードの
放つ散弾を素早く掻い潜り、左腕の剣で
切り裂いた。火花をあげて吹っ飛ぶ
ベンジェンスード。すかさずカッターを取り出し
たが、それすらも剣によって落とされた瞬間、
エレーネアークの激しい剣の応酬!
光の速さで動いて!斬って!輝いて!
その繰り返し。
あんまりに光の速さで駆け抜けるもんだから、
手足からブースターが点火して火花が散って、
余計に輝いて見える。ベンジェンスードは散弾銃を
落とすほど、結構なダメージを負ったみたい。

「クッソ…!ならコレで…!ラムダム・起動!」
『ラムダム・起動シマス』

どうやら、ベンジェンスードにもラムダムが
搭載されていたらしく、ベンジェンスードは
肩の部分を展開し、凄まじいエネルギーを
放出する。その余波に思わず後ろに
飛ばされかけるエレーネアーク。

「こんのぉ…!だったら肩の部分を
直接射抜いてっ…!」

私は前方のエレネアローサーベルを
鞘に収納したのを忘れたまま、
エレネアローに変形させた。鞘の形も
変わったみたいで、壊れたりはしなかった。
しかし、驚くのはこのあと。

「アレ?」

突然 エレーネアークの両腕が外れたかと思うと、
エレーネアークの周りをグルグル回り出した。
その衝撃でベンジェンスードは吹っ飛ばされる。
そして再び両腕がくっつくと、エレーネアークの
両腕についた剣が、銃に変わっていた。

「はい変わった~… ってマジで変わった!?」

攻撃しようとするベンジェンスードに
エレーネアークは両腕の銃から射撃するも、
ラムダムを発動した ベンジェンスードには
容易く防御されてしまう。

「アララそんな… ならこれだ!」

機体が輝くと共に、再びエレーネアークの両腕を
変形させ、剣状態にする。この形態は
『エレーネアーク・ブレイド』って名付けよう。
ベンジェンスードにはやはり防御され、
挙句、水色のエネルギーを纏った一撃を
叩き込まれてしまった…!

「フッ… えっ!?」

しかし、エレーネアークはその瞬間、
蜃気楼の如く消滅。次の瞬間、背後から
ベンジェンスードを至近距離からの銃撃が襲う!

「うわぁぁぁぁっ!!こ、コレは…!」
「その通り!どうよ!光を利用した、
エレーネアークの妙技、『ライトリック』は~!」

エレーネアーク・バルカンは… あっ、銃状態の
方はこの名前。すかさずエレーネアーク・ブレイド
に変形し、光の速さで攻め立てていく。
そして変形に伴う腕回転で 攻撃しながら 
エレーネアーク・バルカンに再び変形し、
銃撃の応酬。さっきと違って防御はせず、
その銃撃は当たりまくり。そしてまたブレイドに
なって剣戟、バルカンになって銃撃、
その繰り返し。
めっちゃ効いてるのは さっきの不意打ちで、
どうやら余裕がなくなってきたからみたい。

「そ、そんなバカな…!ちゃんとやっつけたいって
思ってるのに…!存在しえない技術テクノロジーを持ってしても… 
イメージでも、アンタを倒せないなんてっ…!」
「そんなの当然でしょうに!あんたのイメージより
あたしのイメージが、勝ちたいという思いが、
そして何より、目の前の相手を殺りたいって
いう思いの方が!ってだけだーっ!!」
「くうぅぅぅぅ…!!」
「イキってる頭でっかちのお荷物に
もう用はないわ!大人しく
我がゾードの初陣の餌食となれ!!」

エレーネアーク・ブレイドは
もうボロボロのベンジェンスードに
右腕の刃を向けた。

「アビリティギア全開!!」

エレーネアーク・ブレイドは、両腕の剣に
内部メカに組み込まれているアビリティギアの
エネルギーを全て込めて、X字にクロス!
あっ、元Twitterじゃないよ?

「ストライク・ライトニングブレイド!!」

その叫びと最高級の輝きと共に、X字に切り裂いた
のを皮切りに、目にも止まらぬ速さで
斬って、斬って、斬りまくり!
最後は縦一文字に一刀両断!!

「ぬあああぁぁーーーっ!!くっ、ぅぅぅぅぅ…」

ベンジェンスードは縦一文字に、
今にも真っ二つになりそうな 斬られた痕が。
おそらく中にいた カーナ諸共真っ二つ。

「やっぱ、あたしはお荷物か…。
くぅ… 今、逝くわよ…!ソース…」

カーナがそう言った瞬間、ベンジェンスードは
爆発し始め、真っ二つになると同時に倒れ、
大爆発していった。カーナの悲鳴と共に。

「うわぁぁぁっ!!
あああぁぁぁぁぁーーーーっ!!」

爆発を背にポーズを決める
エレーネアーク・ブレイド。

「いやった~っ!戦うヒロインの大勝利~!
そうだ… やってみたかったことあったんだっけ…」

あたしとエレーネアーク・ブレイドは
同じ動きで、勝利のポーズを決めたのだった。

「最光・完璧・オ~~~ルライト♡」

一方その様子を地上からみんなが
見に来てたのに気づくのは、10秒後♡

「おぉ、アレがエレーネアのメガゾードか…」
「カッコいいじゃん!!」
「いやぁ、流石は母さん!!」
「「よっ、最光の極み!!」」
「なっ?やっぱアイツはこの作品の
ヒロインだろ?イテテテ…」
「いやだから現実メタいんだよお前…」
「コードネームは、『エレーネアーク』 …か。
フッ、いかにも彼女らしいネーミングだよ」



頭と腕に包帯をまいた俺を筆頭に、
ジャークネスの廊下を歩く俺たち。

「いやぁ、やっぱ流石この作品の
ヒロイン!ダンナとして誇りだよ」
「確かにだろうけど、彼女の
ココロはまみれだけどねぇ」

ブルーネアはさりげなく
おやじギャグを毒舌と共に
放ち、俺達の全身を氷漬けにした。
まぁもっとも、すぐに解放されたけど。

「それを言ったらロワイヤルもでしょ~」
「何を言ってるイエーネア!俺のココロも
エレーネアのココロも いつだって、
最光に、キラメイてるっての~!」
「嘘コケ」

珍しくアカイヤルがツッコんだ。
ホントに珍しい。

「ところでそのエレーネアちゃんは?」
「あぁ、今向かっている格納庫… だって!」

そうこう言ってる内に格納庫についた。
格納庫のドアが開くと、そこには
マゼンタの帽子の中にロン毛をしまい、
ピンク色のツナギ姿で エレーネアークの肩に
登り、雑巾で拭いていたエレーネアの姿があった。

「ちょっと~?なんで私たちまで~?」
「もうこんなもんでよくないかい?」
「眠い…」
「ヴァルーナ様こらえてください!」

同じくツナギ姿のオリヴァル兄妹にミギヒダも
エレーネアークを掃除をしていた。どうやら
アイツに無理やり駆り出されたらしいな。

「ピッカピカになるまで頑張って~!」

ところどころカラダやツナギは薄汚れているけど、
アイツの持つ輝きは全くくすんではいなかった。
それどころか、一生懸命に頑張る その姿からは
さらなる輝きが放たれていた。
俺はそれに目を奪われていた。
うっとりと、そしてしっとりと。

「フフフ… 何度目だい?
彼女の輝きに惚れるのは?」
「う~ん… だいたい10万回くらいかなぁ?」
「いや多すぎでしょ!?」
「でもまぁ、あの輝きはエレーネアだけのモノ。
エレーネアにしか出せないと思うの。
流石は、アタシ達の皇妃様ってとこよね!」
「そうだろイエーネア~? フフ~ン、
もっと我が嫁を褒めちぎれ~!」
「調子に乗るなっての!」

アオイヤルに俺はツッコまれた。それと同時に
エレーネアは身体を滑らせ、エレーネアークから
落っこちそうになった。それに慌てるみんな。
…このあと どうなったのかは読者の皆様の
ご想像にお任せすることにした~… とさ⭐︎
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