20 / 22
凍る大海原
しおりを挟むえ~、前回の話の元ネタ… わかった人は
いるんでしょうかねぇ。まぁタイトルで
あからさまだとは思うんスけど… おおっと
そうだそうだ!こんなんじゃ読者の皆様に
また前回のあらすじを言えって言われる…
前回のあらすじはですねぇ、簡潔に言いますと…
幽霊がウミギロンを成仏させた!…以上!
「いや逆だろ!?ウミギロンちゃんが
幽霊を成仏させたんだよ!?」
頬に感じる優しい感触…
遠くで微かに聞こえる風切り音…
瞼をゆっくりと開くと、無限にひろがり、
キラメキ続ける 星々がそこにあった。
どれくらい眠ってたんだろう…。
ゆっくりと上体を起こして、周りを見渡すと
左の向こう側にダークパレスが見える。
…ということは、ここはジャークネスか。
そして、右の方を見ると、近くに 嘔吐の如く
水を口から噴き出している、ロワイヤル君の像と
その後ろに立ち、ロワイヤル君の像の
背中をさすっているエレーネアの像があった。
…ジャークネスにこの像… 周りの風景から
逆算するに、ここは『ヨイドーレ公園』だ。
「あっ、起きた?ブルーネア」
シュッとした声が背後から聞こえる。
そこにいたのは… アオイヤル君。…ってかアレ?
呼び捨てにしてない私のこと?アオイヤル君、
女性や年下には、『君』とか『ちゃん』とか
敬称呼びがデフォだったはずだけど…。
右手には手持ちのピクニック用バスケット。
そして左手に手をつないでいるのは…
「おはようございます、お母様。
お父様の準備も整いました」
暗い青緑と蛍光ブルーの大きな帽子を
被り、青と水色が混ぜ合わさった色の
ツインテール、そしてこれまた暗い青緑と
蛍光ブルーの服に身を包んだ、私と
アオイヤル君の雰囲気を併せ持つ少女…
「アオイヤル… ルティナ…」
その名は、『ブルース・ルティナ』。
私の夫… アオイヤルと私… ブルーネアの娘。
「今日は久々に家族全員の休みが
そろったし、こうしてのんびりするのも
久しぶりですね。お父様」
「ホントだよね~。久々のピクニック、
ボクもう張り切っていっぱい作っちゃったよ!」
ふたりはサラサラな芝生の上に座って、
キャッキャッと笑い合う。
ありふれて、温かい、家族の何気ない光景。
私も、自然と笑みがこぼれた。…でも、
心の奥底で何かがつっかかってる。
「フフッ、ピクニックかぁ…。でもねぇ、
なんでか そんな気分じゃないんだよ」
「え?なんでさ。キミが一番 楽しみにしてたろ?」
ここからの言葉は、私にはとても珍しく
何も考えずに ただ脳に浮かんだことを
口から出しただけのものだった。
「いや、確かに休みたいって時に
休むのはいいけど、デモール家の連中を
完全に殺さない限りは…」
そこまで言いかけて ハッとした。
「そうだ… 奴らに対抗しうるための新しい
メガゾードを…!!あとちょっとで完成して…!」
すぐに氷結工房に戻ろうと立ち上がったが、
その瞬間 急にカラダが重くなり、その場に
崩れ落ちかけたが、すかさず立ち上がった
アオイヤル君がそれを支えた。
「大丈夫だよ、ブルーネア。
それはもう終わったからさ」
「!?…なっ、マジかい…!?」
「えぇ。もう心配するようなことは、何も」
ルティナが言う。…彼女を見て、冷静さが
戻った気がする。よくよく考えてみるとだ…。
デモール家の件に関しては、もうとっくに
解決したはずだ。解決した後に、私達は結婚し
ルティナをもうけた。だから今の光景があるハズ。
…それなのに、私の頭と心は何故か… 全然
解決した感じがしない。そもそも、『解決した
後に、私達は結婚し ルティナをもうけた…』
と言ったが、そもそもそれが正しいのかさえも
あやふやで。一体、何が正しいっていうの…!?
内心で私がひたすらに混乱を続ける中、
ルティナは優しい顔で 優しく言う。
「大丈夫ですよ、お母様…」
いや、いいのかい? …と言いかけたけど、
言葉が出なかった。なんだろう、
カラダがどんどん重くなっていくような…
「アオイヤル… あたしは、キミを…」
もはや言葉にはなっていなかったらしい。
「いいんだよ、ブルーネア… なにも、
考えないで。ボクの胸で眠ってくれ。
キミが一番 安心できる場所…」
いや、そうだけど… ホントにそれでいいの?
「いいんだよ… ボクは。キミの優しい
寝顔が見られれば、それで」
「えぇ、私も。お母様の寝顔、
何よりも大好きですから…」
そんなぁ…!嬉しいんだけども…!
私はどこか、受け入れられないよ…!
だけどもカラダは なんとか抗おうとする
私の意思に反し、どんどん重くなっていく。
いや、この愛しさしか感じない 温もりの前には
抗うことさえ、最初から無理か…。
全身をアオイヤル君の肩に預け、
ルティナを腕に抱えるようにして、
私の意識は 闇の中へと消えていった…。
意識が徐々に戻っていき、次に目を開けると
そこにあったのは、書類やら設計図やら
アイデアスケッチやらの散乱。目に映る
景色はいつもの氷結工房… そして、
私はゲーミングじゃない リクライニング型の
ワーキングチェアに座っている。
「えぇ…?うぅ… 頭痛ぇな…」
徐々に覚醒していく頭で、私は昨夜のことを
思い返す。確か… 昨夜は ロワイヤル君達と
一緒に酒飲んで、そのあと 氷結工房に戻って、
酔ってテンションマックスだったから
破竹の勢いで今ある課題… 例えば、
残っている1体のゾードの調整、
来月に行うコズモルチー構成員の健康診断の
予定や、先月のカルテの見直しなどなど…
そしてその過程で湧き出た新たなアイデアを
スケッチしまくって… そのあとの記憶がない。
まぁ、この状況からして、だいたいわかる。
あの後、私はこの机に突っ伏してそのまま
寝落ちした。…そう考えたら 頭がまた痛み出す。
「…夢、だったのかな」
どうやら、あの夢みたいな光景は
やはり夢だったようだ。未だ少し
ぼんやりした頭で周りを見る。
あの夢で見たアオイヤル君の笑顔も、
娘・ルティナの愛しい顔も、どこにもない。
…改めて冷静になって思い返す。
なんであんな夢を見たんだろうか。
…いや、もうわかっている。あぁいう夢を
見る理由ときたら 相場はだいたい決まってる。
私、スカイグ・ブルーネアは…
アオイヤル君のことを、本気で…。
まぁ… それは今はともかく、現在 私は
散乱状態の机を片付け、コズモルチーの
司令室へと 歩を進める。アイデアスケッチと
今後の健康診断の予定を、ロワイヤル君たちに
見せることと、昨日 酔いつぶれるまで酒
飲ませまくったことに文句を言いに行くためだ。
しかし、もしそこにアオイヤル君がいたら…
どうしよ。きっとロワイヤル君達のもとには
高確率でいるだろうし、何より健康診断の
予定は、アオイヤル君にも見せなきゃならない。
…でも、あんな夢見た後だし、絶対 私… もう
普通の眼でアオイヤル君は見れない。なんとか
平静を装いたいけど、顔とか赤くなってさ…
「アレ?どうしたのブルーネアちゃん?
なんか顔赤いけど?」
「なっ、なんでもないよ… 気にしないで」
「いや… でも一応 熱測った方が…」
あぁ、あんな夢見た後だからだ…。
アオイヤル君が、今まで見た 全ての顔が
イケメンな部類に入る存在より、今まで
私が作った全てのメカよりも、圧倒的に
カッコよく見える…。まぁ、もとより
アオイヤル君の顔は イケメンな部類に
入るけども…
「あっ… ああっ、ああぁぁぁ…」
「ちょっ、ちょっと大丈夫?
最近 またいろいろと忙しくなったんだし、
根を詰めすぎなんじゃないの?」
「いっ、いやっ… あのっ…」
「う~ん、じゃあさぁ…」
すると、アオイヤル君は突然
私を床に押し倒す。所謂、
『床ドン』ってヤツだ。
「ボクがそれを癒してあげようか…?」
とんでもねぇイケメン顔で
これまたとんでもねぇイケボで
所謂 『顎クイ』しながらそう言う
アオイヤル君。私は言葉が出なかった。
背中から感じる感触は柔らかい。床じゃなくて、
いつの間にかベッドの上にいた。えっ!?
何コレ!?アオイヤルくんお得意の幻術技!?
「…えっと、そのぉ… んんんっ!?」
冷静に考えられず、私が答えられずにいると、
徐にアオイヤル君は服を脱ぎ始めている。
ちょちょちょ、ちょっと!?ちょっとちょっと!?
なんてこと考えてるんだろう私は…
最早、ここまで来たら理屈もなにもない。
ココロがそうさせてる…!一種の
煩悩… いや、本能ともいえるものだっ!!
「ひゃ~~~っ!!照れ照れ
テレビ~~~ッ!!」
私は赤くなる顔をおさえながら、
イヤンイヤンと言わんばかりに カラダを…
特に腰を左右に振りまくった。自分でも言うのも
なんだけど、いつもクールかつ凛としているのが
私。だから こんな姿、おそらく他人からして
見れば考えられない。『可愛い~!』って
思ってくれれば、イイけど…
「…ハッ!」
私は慌てて周りを見渡す。…誰もいない。
もし誰かに見られてたら、何か… 最悪、強請の
タネにでもなっていたかもしれない。
現在の季節は夏。その暑さ対策の一環として
廊下から常時 スーッと流れている冷風が
私の頭を冷やし、冷静に戻す。
ふと目の前を見ると、もう司令室。
「…まぁとにかくだ、こーゆーのは
ちゃんと伝えなきゃならないワケだし、
いつも通りでいればいいの。うんうん…
一旦忘れよう。これ以上考えたら いろいろと
生活や仕事に 支障をきたしかねないしねぇ…」
私を煩悩をかき消さんと首を、
折れるくらい縦にブンブン振りまくると、
固唾を飲みながら 司令室へと入っていった。
「…アレ?」
司令室に入ると、誰もいない。
一通り見渡しても、誰の気配もない。
すると、スマホが振動をし始める。
相手はエレーネア。メールではなく電話。
ちょうどよかった。どこにいるかを問いたい。
そう思って 私はスマホを耳にかけた。
「ヘイもしもし?」
「ブルーネア?あたし達が
どこにいるか、知りたい?」
「…!?」
え?こちらの考えが見透かされている…?
まぁとにかく、私はすぐに思った言葉を言った。
「あぁ 知りたい」
「えっと今ねぇ、お仕置き牢獄室~」
「えぇ?なんでそんなとこに!?」
「行ってみて。そこで事情を説明するから」
私は早速 エレーネアの言ったお仕置き牢獄室へと
向かった。ちなみに お仕置き牢獄室とは、
コズモルチーのうち、誰かを野放しにして
おいて やらかしてしまわないように投獄する
ための部屋である。頭を冷やすために常時
牢獄の上から冷風が流れている。今の時期には
入ったら結構いいのかもしれない。でも冬に入ると
結構キツいカモ。この部屋は前述の理由で
エレーネアが考案し、ロワイヤルと私に
作らせた部屋。しかし、私たちは一回も
この牢獄には入ったことはない。惑星侵略の際、
気が立って 必要以上にアバレ回ったアカイヤルと
イエーネアが1回、理由はいろいろと察して
ほしいが、ロワイヤルとエレーネアが3回
入ったくらい。兎にも角にも お仕置き牢獄室に
入った私を待っていたのは…
「いよっ!」
「…エレーネアァァァ!!…っと、叫びたい
ところだけど、コレ… 一体どーゆー状況?」
牢獄にそれぞれ入ったエレーネア、
イエーネア、グリーネアの3人だった。
凄まじい夏真っ盛りの日差しの中、
惑星 ケンジンの港町、グランブの道をボク…
アオイヤルはバッグ片手に歩いていた。
惑星 ケンジンは、革新的な教育機関が
多いと同時に、海がキレイで ダイビングが
盛んなことでも有名なのだ。そんなキレイな
ケンジンの海の中でも、ここ グランブの
ピカブー海岸は、全宇宙の美しい大自然の
景色の中でも、五指に入るレベルで美しい海
なのである。これほどの唯一無二ともいえる
美しさを、壊すわけにはいかない。それこそが
ボク達 コズモルチーが惑星 ケンジンを
破壊しない理由でもある。それに…
破壊するほどに、目立った問題は
それほど起こしてはいないし。
「…ふぅ、それにしてもやっぱ暑いな~。
全く、せっかくの海水浴だっていうのに、
なんでボクが飲み物を買わなくちゃあ…。
まぁ、みんな揃って飲み物持ってきてないって
言ったのボクだし、誰が買ってくるかの
じゃんけんで負けたのボクだし…
まぁ、自業自得かなぁ」
ボクはそう自嘲気味につぶやきながら、
汗を 持ってきた青い濡れタオルで拭う。
すると突然、ボクの隣の車道に
上空から飛んできた、高級な車が
着地してきたのだ。宇宙では 惑星によって
だけど、こういった空飛ぶ車が普通に
一般となっている。ぼくたちの生まれ故郷、
ベレノイアのように一般流通している
惑星もあれば、このケンジンのように
まだまだ実用化に向けて頑張っている
惑星もある。ただ… こうした惑星間による
技術の差が、却って 軋轢を生んでしまう
モノなのか… とも、苦悩する時もある。
…おっと、話題が逸れ書けた。話を戻そう。
その車というのも、空飛ぶだけの車ではない。
牛のような角を装備した黒塗りの車が
曳いているのは、和の趣を持つ、屋敷の
ような青い要塞だった。要塞と言っても、
それほど大きいモノではないけど。
そして何より、車の先端と要塞の
至るところに燦然と輝く、Ωを模した家紋の
如き紋章。ぼくはコレをよく知っている…
ぼくの顔は自分でもわかるほどに険しいモノに
なっていた。そして、要塞から降りた者を
見て、その険しさは最高潮に達した。
「…やっぱりお前か。アオイヤル」
「父さん…!!」
宇宙一の大財閥、オメガコネクト会長にして
ぼくの父… ブルース・シントニオの姿が
目の前に現れた。今回は前に惑星 ガトーの
ウォールドダイヤモンドパークで会った時と
違い、護衛人のザキュラ・バラックスさん、
秘書のカワルヌ・ズ・クルストルさんが
ついていたことだ。2人揃って気まずそうな表情。
僕たちの間に、いずれ何かのきっかけで
荒れ狂う台風になりそうな空気が流れた。
青い空、白い雲、燦々と輝く太陽!
ドーモ~~~!夏の海にいるんでいつもより
元気かさマシのロワイヤルどぅえ~~~す!!
いやぁ、それにしても美しいモンだなぁ。
このピカブーの海は。さっすがこの惑星でも
指折りの美しさを誇るだけのことはある…。
そんな海に、俺たちは海水浴に来ていた。頭には
サングラス、黒と銀色のアロハシャツに、これまた
黒と銀色のサーフパンツが今の俺の格好だ。
「イェ~イ!裸足のサマーだぜ~!!」
そう言いながら岩場から海に飛び込んだ
ミドイヤルが着てるのはまぁ大胆。
緑と黒の普通のパンツ型水着。
しかし、上には上がいた。
「おぉ、なかなかいいダイビングっぷり
じゃあねぇか。よ~し俺も!!」
そう言って、ミドイヤルに続いて飛び込んだ
アカイヤルはこの中で一番大胆。
赤の三角型パンツ水着。所謂、
ブーメラン型といってもいいかな。
「おーいっ!!!」
「ロワイヤルも早くダイビングしようぜ!
こりゃあ気持ちいーぜぇ!」
海から顔を出したアカイヤルとミドイヤルの
声が響く。俺は手を振りながらそれに応えた。
「あぁうん!ちょっと待って~!」
その後、俺は後ろの街並みを見やる。
「しっかし遅ぇな… アオイヤルのヤツ…。ここから
コンビニまでそう離れてないはずだけど…」
それと、だ。もうひとつ訝しんでることがある。
それは… 俺たち以外 誰もいないということ。
コレは最初、アオイヤルも怪しんでいたけど
「よっしゃラッキー!貸切状態じゃ~ん!」…って、
俺たち3人が喜んだから、なあなあにはなった。
…けど、やっぱ冷静に考えたらおかしいわな。
先程も述べたように、このピカブーの海は、
この惑星でも指折りの美しさを誇っている。
だから平日でも結構 人が来る。特に… 今日は休日。
ここは休日ともなると、穴場でも探さない限り
人でごった返しまくって、息することさえ
ままならないってゆーのに。
「うわぁっ!?な、なんだお前ら!?」
「ちょ、やめろ!!おい、来るなよ!!」
考え込んでいると、突然 アカイヤルと
ミドイヤルの狼狽える声が聞こえてくる。
慌てて俺が振り向くと、そこには…
アカイヤルもミドイヤルもいなかった。
まさか溺れた…?いやそんなわけはねぇ。
あのふたりは、ブルーネアと違ってバリバリ
泳げる。ソレに… さっきのセリフからして、
まるで何かに引き込まれた的な感じが…
俺は慌てて、海に潜ろうとすると
海から浮き出た存在を見て、絶句したのだった。
「うっそ~ん…」
「…んで?な~んで、キミ達はここに
いるんだい?一年ぐらい前に
キミとロワイヤル君を投獄してから、
ここ、最近使ってなかったけど…」
「それがさぁ、なんか急に有無を
言わさず投獄されて…」
「男どもはどっかに行ったのよ。
クッソ爽やかな衣装で、なんか
タオルとか持ってたから… 海水浴だ!」
エレーネアとイエーネアが言う。諸事情で
別の惑星に行っているジイさんや
オリンピアス君達を除けば、今この
ダークパレスにいるのは私たちだけ。
「…しっかし、出ようとしてもさぁ。
鍵は、ロワイヤルが持ってったみたいだし?
このバリア、私の攻撃でも 破れるかどうか…」
うっかり言い忘れていた。牢獄とは書いたけども、
鉄格子ではなく、牢はバリアで覆われている。
コレを開けるには電子キーの鍵を使わなければ
ならないが、それも今はない。ならば…
「諦めて… ロワイヤル達が帰ってくるのを
待つしかないね、こりゃ」
「「「えええぇぇぇーーーッ!?」」」
3人は絶叫し、各々の怨み節をぶつけた。
「クソーッ!!アカイヤル達めぇ…!!
もし出たら ゾワゾワのゾワンゾワンの
ゾワンギゾワンゴにしてやるわぁ…!!」
「ミドイヤル君達…!!いくら私が弱いからって、
こんなのあんまりですぅ…!出たら利子付きで返す」
「ダーッ!!もうロワイヤル達だけズルい~~~!!
出たらタ~ダじゃすまないんだからっ!!」
「あたしだってそーよ!でもやるのはあたし!
アカイヤル達に一矢報いるのはあたしだから!!」
「いえ私です!!私が一番怒ってますから!!」
「ここはリーダーのあたしがやるに決まってる
でしょうがボケナスがァァァーーーーーッ!!」
「「誰がボケナスだこのホルスタイン!!」」
怨み節をぶつけていたはずなのに、
誰が4人をボコすかで 3人は喧嘩をし始めた。
「…いや、全員でやればいいでしょ」
そう呟いたが、悪口合戦でヒートアップしてる
3人には届かなかった。私はやれやれ…とでも
思いながら、3人に背を向けた。
…それにしても、海水浴かぁ。そういえば、
この辺は海が綺麗で、ダイビングが盛んな
惑星 ケンジンがある銀河系だ。はぁ…、
いつか惑星 ケンジンで、アオイヤル君と…♡
燃え盛る夕日が大海に沈む中、アオイヤル君と
波打ち際で追いかけっこ。そしてアオイヤル君が
私の手を取り、笑顔を向け、そして 互いの唇を…♡
「ひゃ~~~っ!!照れ照れ
テレビ~~~ッ!!ギガキュンッ♡」
私は赤くなる顔をおさえながら、
イヤンイヤンと言わんばかりに カラダを…
特に腰を左右に振りまくった。大丈夫。
今はあの3人、悪口に夢中で見てな…
「…ハッ!?」
3人の方を見ると、バッチリこちらを見ていた。
そしてしばらく立つと… 余裕の笑みを浮かべた。
「…んな…!」
「あ ん だ っ て ぇ?」
「んな目で私を見るなぁ~~~!!!」
私はひどく赤面しながら3人に向けて
怒鳴りを浴びせた。エレーネアは感慨深そうに
こう呟いていたことも知らずに。
「ホント… 変わったわねぇ~、ブルーネアも」
「奇遇だなぁ、こんなところで会うなんて」
「ホントに奇遇なの?」
「…フンッ、何が言いたいんだ?俺はこれから、
ジャーノメ研究所に行く。そしたらお前を
見かけたんで、声をかけようと思っただけさ」
「ハッ!ぼくはもう『ブルース』を出たんだ!
アンタとはもう、一切関係ないんだ…」
ぼくが目の前の男を睨みつけながら言うと、
相手は一瞬 ハッとした表情をした後、
厳格なオーラを出し始める。
すると、さっきまで狼狽えながら見ている
しかなかったカワルヌが声をかけてくる。
「ま… まぁまぁまぁ!間に挟まるようで
大変恐縮ですが、せっかく再会したことですし…」
「「ちょっと黙ってろカワルヌ!!」」
オイオイオイオイ… こんな、ツッコむ時だけ
父子息ピッタリでどうすんのさ…。
目の前の男は気まずさを感じた表情をした後、
咳払いをすると、こう続ける。
「ホントにいいのか?もう戻らなくて…
いくらあのふたりだからって、ずっと優勢でいられるとは
限るまい。我々 オメガは今、新プロジェクトに
取りかかっている…。もしそれが成功したらだ…
コズモルチーなんて、目じゃないかもなぁ…?」
刃の如く鋭い目つきでそう言う。ボクはそれに
一瞬 屈しそうになるも、負けじとこう言い返した。
「本当に… 未練がましいと思わない?」
「…あぁ?」
「コズモルチーは、あのふたりだからコズモルチー
なんだよ!仮に優勢じゃなくなろうと、ぼくは
アイツらについていきたいって誓ったんだ!!」
「…それが、お前のやりたいこと… か」
目の前の相手がそう呟いた時…
「アッーーーーーー!!!!!」
甲高い悲鳴が聞こえる…!?この声は…!
「ロワイヤル!!何かあったのか!?」
ぼくは思わず、駆け出していた。目の前の
父を追い抜いて。彼は止めることをしなかった。
ぼくは悲鳴の方向へと向かった。
「今の悲鳴はロワイヤル様!?」
「これはイカン!我等も加勢に!」
カワルヌが反応し、ザキュラが得物の斧を
構えた瞬間、俺はそれな横槍を入れた。
「いやいい!放っておけ」
「いやしかし…!!」
「いずれ皇帝皇妃となるあのふたりだ…
簡単にくたばりゃしない。それに… アイツが
行ったんだ。我々が干渉することじゃない」
「「…御意」」
ザキュラとカワルヌは渋々と言った様子で同意し、
俺はスマホで現時刻を確認し、2人に言った。
「さぁ!ピタラシュタインが待ってる。
ジャーノメ研究所に行くぞ」
「「御意!」」
ぼくがロワイヤル達がいた海岸に行ってみると、
そこには誰もいなかった。スマホに電話してみても
誰1人出ず… 不穏なオーラを察したぼくは、
爽やかな服装から元の悪役としての格好になり、
整備が終わったスマホの位置情報探索機能を使い、
ロワイヤル達を探した。しばらく海岸周りを歩いて
いると、ぼくはとんでもない光景を目撃した。
「あぁ!?何アレ…!?」
碧い海が次第に黄色くなっていき、白い泡も
発生しているではないか。しかも… 変な匂いが
漂い出す。…この匂いは、まさかアルコール!?
すると、今度はわずかに声が聞こえてくる。
「おおい!!ちょ、何すんだ変態!?」
ロワイヤルの声だ。声がした岩場の方に
行くと、そこにいたのは…
「あぁんっ!?」
特殊な器具に大の字に、しかもあろうことか…
『全裸』で寝かせられているロワイヤル達がいた。
周りにいるのは同じく全裸の男達。
「!?」
「あっ… やっべぇ…」
「「「アオイヤル!!」」」
そのさっき以上にとんでもない光景に思わず
声を出してしまったぼくは、金髪の男に
謎の液体をかけられ、投げたライターで火を
つけられる。すると、その液体は青白い炎を
あげて燃え、ぼくはその炎で気を失った。
こ、コレは最大級にヤバすぎるよ…!!
「て、テメェ!アオイヤルに何する気だ!?」
「ひん剥いてこんなカッコにして… マジで
何する気なんだよ!?」
「決まっているだろ?最上級の酒を飲むのさ…」
「「「はぁ?」」」
「さぁさぁ!もっと飲め飲め!もっと飲め!」
「ちょっ!!やめ…」
ロワイヤルから後から聞いた話によると、
僕たちは男達に酒を無理くり飲まされ、
その時に発生したアルコール成分が、
赤いエネルギーとなって、なんだか海の方へ
向かっていたと、朧気に記憶していた。
エレーネア達がなおも争っている間、
私のスマホから通知音が鳴る。見てみると、
それはいつも使っているニュースアプリのモノ
だった。見てみるとそこに書かれていたのは…
『海水変色!?惑星 ケンジンの海が黄色に!?』
『白い泡も発生し、大量のアルコール反応も検知』
何…!惑星 ケンジンが…!?冗談じゃない!!
あそこはいずれ… 私と、アオイヤル君がっ…!
胸のエンジンに火がついた私は、スマホから
コードのようなモノを 牢獄に繋ぎ、
専用アプリでハッキングをし始めた。
「えっちょ、ブルーネア何やってんの!?」
「ここをハッキングして、君たちを解放する」
「えぇ!?できるんですか!?」
「やったことはないけど… てぇんさいである
この私に… 不可能はない!!」
「でもなんでそんな、急に?」
「惑星 ケンジンの海が変色し、
ビールのようになったって話だ」
「なんですってぇ!?」
「そんなぁ!あたしあの海の綺麗さ好きなのに!」
「早く!!何がなんでもこりゃ解決しなきゃ!」
もう少し時間がかかるかと思ったけど、無事に
ハッキングは完了し、エレーネア達は解放された。
「「「ありがとうございますだ~…」」」
「いやいや、コレくらい朝飯前さ」
「よ~し♡ それじゃあ早速~?
もしコレが誰かの仕業だったら…」
エレーネアはマントをバサッと翻しながら、
可愛い声から一転。冷たい声でこう言った。
「いっちょ焼き討ちに行くわよ」
「嫌でも協力してもらう男どもはどこ?
位置情報探索機能整備、もう終わったんでしょ?」
「僅かだけど反応がある。まさしく問題の
惑星 ケンジンのピカブー海岸だ」
「よくやった。後で褒美を取らす」
「んじゃハーゲン●ッツの苺トリュフ」
「いいでしょう。いい事!絶対に
ケンジンの海を元に戻すわよ!!」
「無論だぁ!!」
「私たちの心はひとつ!!」
「美しい大自然の危機を見過ごせませんっ!!」
「あたしらの固い絆を見せてやるわよっ!!」
「「「Yes!!」」」
そう団結し合い、私たちは
惑星 ケンジンへと向かった。
もはや全裸の男達4人に意識はなく、海の色は
完全にビール同然と化していた。
「うっひょー!見ろよ!コズモルチーの連中の
アルコール成分から作り出した、今まで以上に
上質な酒だ!!」
「ついに飲めるんスねトギータ会長!」
「俺 早く飲みたくってウズウズしてるっスよ!」
「まぁ落ち着け。イオリム、ゴーヘー。
俺も興奮で手が震えてるよ…」
「トギータ、お前この日のために禁酒してきた
もんなぁ?俺もだけどwww」
「どれだけ強い酒飲んでも、もう俺たちは満足
しなくなった!然らば、もっともっと強い酒を…」
「させるか~!!」
このアル中のイカれた計画に耐えかねた
エレーネアの高らかな叫びの元、私たちは
それぞれの得物からビームを放射し、ロワイヤル君
達を寝かせていた装置を破壊。すると、
海はたちまち元の美しい碧さを取り戻した。
「あぁ!?そ、そんなぁ!!」
「何者だ!?」
「知らざぁ言って聞かせましょう!」
私たちは夏の太陽が背後にキラメく高い岩場に
立つと、恒例の名乗りを開始した。
「 最光皇妃!コズモル・エレーネア!」
「雷電豪将!キールス・イエーネア!」
「氷結賢将!スカイグ・ブルーネア!」
「森林聖将!キミルド・グリーネア!」
『史上最強の悪役!!』
「全員揃って!我等!」
『宇宙が惚れし焦がれし悪女4人!
エレネアガールズ!!!』
私たちがそう叫びながら、やたらカッコいい
ポーズを取ると背後で爆発… はしなかった。
「「うっひょ~!!全員可愛い~!
でもカッコいい~!!」」
黒髪と金髪の男が拍手するとゴリラみたいな
角刈りの男が2人を殴ってこうツッコんだ。
「バカっ!感心してる場合かって!」
「よくも俺たちのゴクジョー酒計画をぉ…!
テメェら全員、ボコして犯してやるゥ!!」
「待てコトブー!コイツらもコズモルチーだ…
どーせならコイツらにやらせるぞ…!」
角刈りの男が取り出したそれはなんと…
ジャーキューブ!?
「それは…!?何故 キミ達がそれを!?」
「コレか?鎖垂らしてるメガネのおっさんが
なんかくれたんだよ!」
「えぇっ…、ま、まさかッ!?」
角刈りの男がその返答と共に投げると、
周囲にはジャーディアンが出現。
「殺れぇ!」
「えぇ!?何故彼らがジャーディアンを!?」
「考えるのはあと!奴らを倒すわよ!」
私たちは岩場から飛び降り、ジャーディアンを
それぞれの技で圧倒。そしてそのあと…
エレーネアには黒髪の男が、
イエーネアには金髪のマッチョが、
グリーネアには金髪の男が、
そして私には角刈りの男が走ってくる。
「貴様だけは絶対に このトギータが!
犯してから消してやるゥ!!」
「フッ… 酒はさけるチーズと共に!」
いつものおやじギャグでトギータを凍らせると、
アイスナイパーの連射で、吹き飛ばす。
そして他の連中も、各々の必殺技で
全員を吹っ飛ばすと、私は彼らの前に立ち…
「これ以上は時間の無駄だから… 終わりにするか。
アイスナイパー!ハイパワーモード!!」
私は二丁のアイスナイパーを連結させ、
アサルトライフルの如き長銃を構えた。
「酔いどれ共… 凍りついて頭を冷やすがいい!
フリーズシュート!絶対零度の定理!!」
私のその言葉と共に、私は引き金を引いた。
引き金を引くと共に、2つのアイスナイパーの
エネルギーが合体・増幅し、強力な水色の
帯状のビーム弾が放たれた。
「うわあああぁぁぁーーーっ!!
心の海が僕らを呼んでいる~~~ッ!!」
これを受けた連中は、私が背で見てる中、
大爆風の中 吹っ飛ばされ、大ダメージを負った。
「フッ… 弱すぎてまるで戦った気がしないや」
「うぅぅぅ…!まだまだァ…!!
こうなったら… お前ら!!
最後の手段いくぞぉっ!!我が元に集え!!」
「応~~~~~ッ!!」
トギータの命令によって、連中は
トギータの肉体に寄り集まり、そして…
全身… とゆーか、主に両肩に無数の腕を
携え、胸の前方の右腕にジョッキを持つ
ポセイドンのようでもあり、仏像のような
姿をした巨大な怪物へと変貌した。
「これぞ!ウシロミヤンバ像ナリ~~~!!」
やはりいつもの展開。エレーネアは
スマホを意気揚々と取り出し、
「そろそろ起きたでしょ!
行っくわよ!ロワピ~!」
「いえ、無理みたいですよ…?」
「え…?」
エレーネアが振り向くと、そこには顔を
真っ赤にして、全裸のままで眠っている
ロワイヤル君がいた。アカイヤル君達も同じだ。
「寝てるし」
「こうなったらグリーネア!みんなをお願い!
イエーネア行くわよ!」
「おうよっ!」
「あぁ!待った待ったイエーネア!」
私は慌ててイエーネアを止めた。
「イエロアタッカーは先週の キャパを超えた技の
負担によるダメージが残ってて出撃はできない!」
「えぇ~っ!?そ、そんなぁ!!」
「…あらぁ、仕方ないね。それじゃあ
あたしの活躍を応援してちょ♡
暗黒召喚!エレドリーン!」
エレーネアが召喚コードを唱えた瞬間、
エレドリーンが彼方から飛来。エレーネアは
ジャンプして乗り込むと、前方に聳える砲から
ビームを発射し、ウシロミヤンバ像を怯ませる。
すると、ウシロミヤンバ像は徐に前方の右腕が
持っているジョッキを一気飲みし始める。
「えっ!?な、何!?」
驚くエレーネアや私たちを尻目に、
ウシロミヤンバ像は、股間から無数の
紺色の鞭のようなモノを発射する。
「おいおい、こんなあからさまな下ネタ…」
私が呆れながらツッコむが、エレドリーンは
鞭に打ちのめされることによって発生した
爆風の中を、グラグラしながら突き進む。
「うわっ!もう最低…!こうなったら!
巨人変形!エレーネアーク!」
エレーネアは変形コードを唱え、
エレーネアーク・ブレイドに変形させる。
「エレーネアーク・ブレイド!活動開始!」
ウシロミヤンバ像は、股間から無数の紺色の
鞭のようなモノに、エレーネアーク・ブレイドは
剣技で立ち向かうものの、圧倒的な量に
対処しきれぬまま、圧倒されていき
ついには全身から生えている手から
発射される光弾の追い打ちを受け、
エレーネアーク・ブレイドは倒れてしまう。
「フハハハハ… コズモルチー1の女…!ハッ!
実に気になってたんだよな あのスタイル…
そうだ、コイツで捨てたら最高じゃんっ!!
ハハハハハハハハハッ!!」
ま、まさかコイツら…!そうはさせん!!
彼女は… ロワイヤル君の…!
ロワイヤル君"だけ"の女なんだッ!!!
その闘士に燃える心の中で、いつもより私の
頭はキーンと冴え渡っていた。私はスマホを
素早く操作しながら、完成間近だった
私専用の新ゾードを完成させた。
「行くぞ…!暗黒召喚!ブルバルカー!」
私はそう高らかに宣言した。
「え?捨てるって何!?ま、まさかっ!!
ふざけんな!!!人妻に手ェ出すとか
何考えてんだテメェらこの野郎!!!」
エレーネアーク・バルカンに移行し、怒りの
銃撃をしようとしたその瞬間、氷の弾丸が
発射された。
「な、何だ!?」
エレーネアークが振り向く。そして彼女が目に
した、水色と薄い水色の戦車。立派な双つの
銃砲を備えている。このゾードの名こそ…!
「待たせたねエレーネア、我が専用ゾード、
『ブルバルカー』のご登場だ!」
「えっ?ブルバルカン?」
「ブルバル、"カー"ね」
「えっ?ブルバルカン?」
「だから!ブルバル、"カー"!」
ブルバルカーは水上を移動しながら、銃砲で
ウシロミヤンバ像を攻撃する。ウシロミヤンバ像も
負けじと、全身から生えている手から発射される
光弾で応戦するも、頑丈な装甲を持つブルバルカー
はその程度では怯みやしない。私はアクセルを踏み
スピードを上げ、波に乗って大きく
ブルバルカーをジャンプさせる。
そしてウシロミヤンバ像の股間に体当たり!!
「アアアァァァァァーーーーーッ!!」
ウシロミヤンバ像は股間を抑えながら
悶絶して倒れ込んだ。むしろコレで
普通だったら倒せそうな気がするけど…
「全く… 汚いことしたなぁ…」
私が苦々しく呟くと同時に、ブルバルカーに
エレーネアーク・バルカンは手を差し伸べた。
「ブルーネア!ここまで来たら、
あとはもうわかってる!さぁ、行こっ!」
明るくはつらつとした声で言うエレーネア。
メガゾードで見えないけど、私には見える。
明るい表情で 私に向かって手をのばすその姿が。
さっきまでの苦々しさが
どこかへ吹っ飛んでいったような気がした。
「…相変わらず、その元気さには敵わないな」
「ふぇっ?」
「なんでも。しっかりついてくるんだよ!!」
ブルバルカーはエレーネアーク・バルカンと
並走する。さぁ、今こそ見せてあげようか…!
「「武甲鎧装!ブルバルカー!!」」
まず、突っ走りながらブルバルカーは分離する。
双つのキャノン砲、そして前後横に真っ二つ。
キャノン砲は宙に浮きながら、両腕のバルカン砲を
畳んだ エレーネアーク・バルカンの両腕に合体する。
最後に 前部分が鎧に、後ろ部分が頭部に合体する。
そして、私が自動的にエレーネアと同じ
コクピットに移送されれば… 氷を操り、銃撃戦に
長けた、エレーネアーク・最新拡張形態の
出来上がりというわけさ!
「というわけで!このゾードの名前は…」
「待ったエレーネア!」
「何よもう!」
「確か… イエーネアの時は、
『エレーネアーク・オーラサンダー』だったね」
「え…?うん そうだけど…」
「ならばこのメガゾードの名は決まった」
「マジ!?じゃあ一緒に言おうっ!せーのっ!」
「「エレーネアーク・バスターブリザード、
活動開始!!」」
バスターブリザードは左手の銃砲を相手に向け
ポーズを決めた。これよりこのメガゾードの
呼称は『バスターブリザード』とする。
…うん、個人的にはちょっと自信ある名前。…でも。
「…マジか、おんなじ名前だったなんて!
あたし達ってやっぱ気が合うよね~♡」
気をよくして私に抱きついてくる
隣のエレーネアを、私は軽くあしらう。
「…キミと気が合うのはちょっとなぁ」
「なぁんでよ!」
「…さぁ、行くよ!」
「あぁ!そうだったそうだった…」
こうして向き直り、ようやく持ち直した
ウシロミヤンバ像と相対するバスターブリザード。
「姿が変わった…?だがどんな姿でも同じだ!
この海で我等に逆らったことを後悔したまえ!!」
ウシロミヤンバ像は前方の右腕が持っている
ジョッキをまた一気飲みしながら、さらに
千鳥足を増して襲いかかってくる。
「喰らえぇぇぇ~~~いっ!!」
瞬間、またも股間から無数の紺色の鞭の
ようなモノを発射する。
「全く、また下ネタかい…?」
「キャアーッ!犯される~!!」
「フンッ…」
狼狽えるエレーネアとは対照的に不敵に笑う私。
次の瞬間、バスターブリザードは両手の銃砲から
氷の弾丸を撃ちまくり、鞭のようなものを
氷漬けにした。股間から生えたままで。
そのため、この形状はまさしく…
「あぁ!勃っちゃ…」
「露骨な下ネタは全力で破壊するっ!!」
私がそう息巻くと同時に、左腕でアッパーを
決めると、股間のブツは一瞬で砕け散り…
「アアアァァァァァーーーーーッ!!!」
ウシロミヤンバ像自身も空へと吹っ飛んだ。
しかし、すかさず全身から生えている手から
光弾を発射する。バスターブリザードは
両腕の銃砲から今度は実弾を撃ちまくり、
光弾を全て正確に撃ち落とした。やがて、
飛行能力がないらしいウシロミヤンバ像は
普通レベルであるこの惑星の重力に従い、
海へと落っこちそうになる。
「フッ… これ以上 キミたちのような汚らしい
輩を、ダイビングさせたりするものかっ!!」
私はそう啖呵を切ると共に、バスターブリザード
から凄まじい冷気を発生させ、両腕の銃砲から
今度は水色のビームを発射した。すると…
あ~ら不思議!大海原はたちまち凍りついたのだ。
といっても、海全部が凍ったワケではなく、
私たちの前方からウシロミヤンバ像が
落ちるところまでしか凍ってないけど。
「夏なのに凍っちゃった~~~!?」
驚くエレーネアを尻目に、バスターブリザードを
凍った海の上をスケートをするかの如く疾走し、
今にも氷上に落ちそうになった、ウシロミヤンバ像
に両腕の銃砲を突きつけ、狙撃しまくって
地上へと落としたのだった。さて… そろそろだね。
「さて、そろそろトドメと行こうか…」
「オッケーイッ!」
「「アビリティギア全開!!」」
バスターブリザードは、内部メカ機能に
組み込まれているアビリティギアのエネルギーを
全身に充満させ、両腕の銃砲を構える。すると、
足が凍り出したウシロミヤンバ像も含め
周りを冷風が覆い、空からヒラヒラと雪が
降ってくる。私たちの周りだけとはいえ、
今の季節じゃ異常気象としか言いようの
ない光景だ。さっきもだけど…
「どーしよーもない酔いどれ共…
骨の芯まで凍りついて頭を冷やすがいい!」
私のこの一言と共に、両腕の銃砲から
絶対零度の衝撃が放たれた。
「氷結冷銃!」
「「ブリザード・アイスエイジバースト!!」」
頭の兜や鎧から放たれる氷柱と共に、その絶対零度の
衝撃は、ウシロミヤンバ像に直撃。次の瞬間、
ウシロミヤンバ像は 足の下から徐々に
その肉体は氷に覆われていき…
「グアアアァァァァァーーーッ!!コ、コレは…
頭冷やすところじゃな~~~いっ!!!」
完全に凍りつき、断末魔を述べると同時に
その肉体は頭から瓦解していった。それを背に
ポーズを決めるバスターブリザード。
「フッ…」
勝利に僅かに微笑む私。一方、隣の
エレーネアはそれ以上だ。
「イェ~~~イッ!!殺った殺った~!
それじゃ勝利のポーズ!
最光・完璧・オ~~~ルラ~イトっ♡」
踊りながら全身で喜びを表現する。
実に彼女らしい。…するとその時、叫びが響く。
「いやちょっとオールライトじゃないよ!?」
響いたのは、下の方。そこを見てみると…
そこにはミノムシみたいに全身をマントで
覆ったイエーネアとグリーネアがいた。
ブルブル震えてて、めっちゃ寒そう。
そしてその後ろにいる、目覚めたらしい
全裸のロイヤル・ウォーリアーズに至っては
氷漬けになっていた。
「…あっ」
「にぇへへへへ… ちとやりすぎちったかなぁ…」
苦笑しながら頭を掻くエレーネアに
珍しくイエーネアの鋭いツッコミが響く。
「ちとどころじゃないでしょうがオイ!!!」
ごめんみんな… 戦いに熱が入りすぎて、
すっかり忘れてたわ…。私がそう心の中で
謝ると共に、曇り空から光が差し始めた。
氷河期の如き冷夏はもうおしまい。
常夏の気候に戻るのも、それにより、彼らを
覆う氷が解け、回復するのも時間の問題だね。
「いやはや~!流石は我が娘~!!
ロワイヤルくんのお助けこそあれど、
まさか、あそこまでのモノになるとはねぇ~!」
ここは惑星 ケンジンのジャーノメ海洋学研究所。
水質汚染などを防止する研究を主に行っているが、
そんなものは表向き。実際は… 惑星 ベレノイアの
研究開発を担う極寒地帯の化学都市、
ブリザシティの傘下にある。そして、
窓から身を乗り出し、遠くのメガゾードが勝利する
様子を見て歓喜するのは、そのブリザシティを
統括する、『氷科長』の名を取る男にして、俺と同じ
元老院の1人、その名は『スカイグ・ピタラシュタイン』。
顔の右半分と靴が機械であり、サイバーチックな
装飾を肩に纏い、白衣を着ている。
「そうは思いませぬか?会長…」
「…どういう意味だ」
「まったまた~、彼ら コズモルチー・ファミリーも
ボ~ク達の見ないうちに進化しまくってる!
それは… あなた様の息子とて例外ではないハズ…」
「…ッ!」
ピタラシュタインのおちょくりに
俺は苦虫を噛み潰したような顔をした。
コイツは、様々な超兵器や便利なモノを開発し、
ベレノイアの悪行と発展に尽くしてきたおかげで
ブリザシティのトップと元老院の椅子を取った
ベレノイア一の鬼才とも言われる男だが、
仕草はどことなく子供っぽく、他者を
おちょくることは序の口。例え俺のように、
いわば『恩人』と呼ばれる立場にある者のことでも。
それを察知し、ザキュラがピタラシュタインに
詰め寄ろうとするが、ピタラシュタインがザキュラ
を指差すと同時に、ザキュラの動きは停止した。
「…まぁ、あの件の要因を作ったのはボクですし…
あまり調子づいてもいられませんがねぇ…。
とにかく、ゴバクカードはこちらでゆっくりと
研究をば。結果はおいおい報告します。…まぁ、
コズモルチー側からの委託も受けてますから、
大至急には無理でしょうが…」
「…やってくれるならそれでいい。お前のこと
だしな… ザキュラ、カワルヌ!行くぞ」
こうして、俺はようやく身体が自由になった
ザキュラ、カワルヌを連れて 研究室を出た。
「あぁ、ちょっと!ザキュラ君!?」
「なんすか今度は…」
「ごめんね。コレあげるから許してちょ♫」
「わかりましたよ… 今回は大目に見ますわ」
出る寸前、ピタラシュタインから引き止められ、
ザキュラがもらったのは… 機械的な猫の人形。
サイバーチックながらもなかなか可愛い。
ザキュラのヤツはその厳つい見た目に反し、
可愛いもの好きだからな… よくあるギャップだな。
俺はどことなく顔を赤らめている
ザキュラに聞いてみる。
「ザキュラどうした?なんか顔赤いぞ?」
「…何をもらったのです?」
「お前に見せるもんではない!」
「いいじゃないですか~ ちょっとくらい~」
「ダメダメ!」
「いいじゃないの~」
「ダメよダメダメ!」
懐かしいネタを言いながらザキュラとカワルヌが
戯れているのを背に、俺はピタラシュタインが
言った、あの件を思い出していた。
あの件… 一番応えたのは、あの言葉だな…。
『お前なんか… 父さんじゃない…!!』
『アンタとはもう、一切関係ないんだ…』
今日言われたあの言葉とも重なる。あぁ、
…あの日からだな。俺と、アオイヤルの
今が始まってしまったのは…。
「杯を乾すと書いて!乾杯と読む!」
『せーのーかんぱーい!!』
戦いが終わってしばらくして、夜の星空が映える中
私達はピカブー海岸の見える山の高台にて、
缶ビール片手にバーベキューを楽しんでいた。
もちろんちゃんと後片付けはするよ?いくら
悪役とはいえ、それくらいはするのが私たちだ。
「それにしても大丈夫なの?結構
飲まされてたけど…」
「なぁに、大丈夫だ。バスターブリザードの
大吹雪のおかげで、酔いが吹っ飛んだぜ」
イエーネアはアカイヤルを気遣う。
いやさっきはホントごめんね…。
ならいいんだけど…
「でもあんまり飲み過ぎないでよ?」
「わーってるって」
フフフ… いいねぇ。んで、あのふたりは
相変わらずのようだけど…
「いやぁエレピィ~… 危なかったよぉ…。
オメーは俺のモンなんだぁ… 俺のぉ~…」
「よしよし、あたしはここにいるわよん」
ロワイヤル君ったら甘えんぼ。
軽く幼児退行してるように見えるけど…
こんな感じで楽しくやっていたところ、
唯一 どこか楽しくなさそうというか、
考え込んでいるアオイヤル君が目に入った。
私はすかさず声をかけようとしたが…
「…ねぇ」
「どしたのアオイヤル?」
「え…?なに ミドイヤル!?」
「いや、さっきからな~んか暗いような
気がしてさ。折角のバーベキューだぜ?」
なんてこったい。まさか… よりもよって
ミドイヤル君に先を越されちゃうとは。
「なんかあったのか?」
「…いや、別に」
「いやいや、マジなにもないの?」
なんだかこの構図に見覚えがあると
思ったら、マッド・ギランとの戦いの後、
ミドイヤル君になにかあったのか聞く
アオイヤル君のそれだ。その時のやり取り、
他は雑談で話し込んでたけど、私は
キッチリ見てたしね。まぁもっとも、聞く方と
なにかある方 今はすっかり逆だけど。
詰め寄るミドイヤル君に アオイヤル君は
バーベキューを食べながら一言。
「…美味しいね」
いや、美味しくなさそうな顔と
声色でそんなセリフ言われてもなぁ…。
「………そうだね」
ミドイヤル君、諦めたのか それとも、アオイヤル君
のようにひとまずは静観することにしたのか…。
まぁでも、アオイヤル君があんな思い詰めた
顔をしてる理由はだいたい見当がつく。
『それは…!?何故 キミ達がそれを!?』
『コレか?鎖垂らしてるメガネのおっさんが
なんかくれたんだよ!』
彼らが持っていたジャーディアンの出処。
鎖垂らしてる… おっさん… 極め付けにメガネ…。
私も、私から聞いたアオイヤル君も、その人物は
シントニオ会長としか、思いようがないだろう。
…でも、会長に限って あんな連中に
進んで手を貸そうとはしないだろうし… んっ!?
そうだ!それより気になってたことがあった!
「そうだ!ロワイヤル君… せっかく、
この美しい海に海水浴に来たって言うのに、
何故 私たちを連れて行かなかったんだい?」
「そうそう!それあたしたちも思ってた!
な~んで男子だけ~?」
イエーネアが私の疑問にノってくる。
それを見て、野菜を食べ終えたグリーネアも…
「もしかして… 私たちが弱いからですか!?」
「いやマジちげーって!!…えっと、ねぇ?」
ミドイヤル君がロワイヤル君に視線を向ける。
「おう、ロワイヤルの口から言えよ」
「そーだよ、言ったのはロワの奴なんだから…」
アカイヤル君とアオイヤル君も視線を向けたのち、
エレーネアがちょっと強めの語気で問いただす。
「どーしてなの!?ロワイヤルッ!」
「そんなの…… お前達の 水着姿を
見せたくないからに決まってんだろうがぁ!!」
『ハァッ!?』
ほんの僅かの沈黙の後に発せられた言葉に
私たちエレネアガールズは、
赤面しながら驚くしかなかった。
「だってそうじゃねぇかよ!!我が生涯をかけて
愛すると誓った、愛しくて愛しくてたまらない
我愛妻、エレーネアが持つ、美しいくびれ…!
ムダな贅肉の一切ない太ももと脚…
そして何より!!溢れんばかりの豊満な胸と
安産型のほどよくムッチリした尻!!
この生きた芸術が、水着姿になったら白日の元に
晒されるんだぜ!?旦那として断じて許さねェ…」
「変態で組んだ編隊!!」
ロワイヤル君が言い終わる前に、私はもはや聞くに
耐えなくなり、おやじギャグで彼を凍らせた。
「けどまぁ、俺達もこの意見にソッコーで
ノったよな。イエーネアのビキニなんて、俺
なんでか知らねェが、周りに見せたくないんだよ。
アオイヤルお前もブルーネアで そう言ってたろ?」
「うわーっ!!バカお前!それ言うなって!」
「奥義!雷栓掌!!」
アカイヤル君の何気にとんでもない発言を
諌めるアオイヤル君だったが、時すでに遅し。
赤面しまくるイエーネアの雷を纏った拳で
アカイヤル君は吹っ飛ばされた。
アオイヤル君も一緒に。
「なんで俺までェェェェェーーーッ!?」
「いや、俺は言ったんだよ?グリーネアくらいは
連れて行ってもいいんじゃないかって」
「ミドイヤル君、どうして私だけを?
連れて行くなら皆さん全員を…」
「だってグリーネア… あの3人と比べたら
そんなにないでしょ?」
「は?」
「だから、それほど変な目で見られな…
…アッ!?マジごめん!!今のなし!!」
「……エクスプロッ!!」
ミドイヤル君のセクハラじみた失言に
グリーネアもキレて、大気中に含まれている
負のエナジーを蓄積・圧縮させ、強大な
衝撃波を起こす呪文、『エクスプロ』を使い、
ミドイヤル君を吹っ飛ばした。
「ギャアァァァーッ!!ごめんグリーネア~っ!!」
こうして、せっかくの自然の中での楽しい
バーベキューは一転して、騒がしくやかましい
カオス状態に。だがなんともなことに…
コレこそが我等、コズモルチーであると思うと、
ふと安心してしまう自分がいるのだった。
ちなみに、エレーネアはロワイヤルの
先程の発言に対して、めちゃくちゃ嬉しそうで
自慢しまくってたそうな。
「やっぱりあたしは最光ヒロイ~~~ン!
見よ!この顔、この胸、そして美脚!
どれをとっても、最光ナリ~~~♡」
「うぅぅぅ… 私もエレーネアさんみたいに
なりたいですよぉぉぉ~~~…」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-
ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。
1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。
わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。
だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。
これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。
希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。
※アルファポリス限定投稿
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる