15 / 24
君と手にする明日は血の色
まえのおくちはうしろのおくち。
しおりを挟む
『―ろ! おきろ!』
「んーぅ、なんだよぉ……」
『起きろー、朝だぞおー!』
オルドの声で目が覚めた。
どうやらコイツは、立派な目覚まし時計になりそうだ。
「いま何時?」
『気温や太陽の位置から察するに、朝の6時とかだろう。さあ、早く支度して出発だ!』
「はっや……おじいちゃんかよ……」
右手を支えに起き上がり、裸の石から肌を離す。
左手には相変わらず大剣が握られていて、離れる気配は微塵もない。
不便だ。
「まずはご飯だな」
長すぎる大剣の切っ先を、半ば引きずるようにして洞窟の奥へと向かう。
隠し扉を開け、食料をあさる。
『君は、この世界をナメすぎだよね。こうも無計画に食料を浪費するとは、思ってもいなかったよ』
「言葉も通じなかったのに、世界事情なんて分かるか」
一応の反撃はするが、あまり強気には出られない。
というのも、オルドに言わせれば3日はもつはずだった食料も、2日目にして、もう半日分しか残っていない。
俺がやけ食いしたせいだ。
おまけに、この世界では飲料水は貴重らしかった。
そんな貴重な飲み水を、俺は、鼻水を拭うために使ってしまった。
鼻水に汚染された水は、日本から来た俺からしてみれば、もう飲めない。
しかし飲まないわけにもいかない。
地獄だ。
しかたなく、鼻水エキスが混ざった水をすする。
『とにかく! 今日は食料調達から始めるよ。朝食に食べていいのは、ソレと、ソレだけだからね』
そうして指示されたのは、マンゴーの形をした紫色の果物が2つだけだった。
「……ひもじいな……」
『それが、君が手繰り寄せた未来だよ』
転生した体の俺の口は、それなりに開く。なかなかの大口だ。
片手で覆える小ささの果物なんて、たったの2口で終わってしまった。
満腹中枢を刺激するために、よく噛んで食べよう。
弾力のある果実を100回ほど噛んでいると、不意にゴリッという不快音がアゴに伝わった。
「種でも噛んだか……?」
口を閉じ、舌で物体をプッと吐き出すと、出てきたのは石だった。
小指の爪ほどの大きさだ。
綺麗なサイコロ状で、表面はなめらかだ。
随分と人工的だ。
それが2つある。
一方は黒く、もう一方は白い。
「オルド、これ何?」
俺の質問に、オルドは簡潔に答えてくれた。
『精子とウンコだ』
「ん?」
『精子とウンコ。黒い方がウンコ。白い方が精子ね』
「ヌファイレ族って、口から排泄するのか……?」
『そうだよ。人間みたいに、生殖器や排泄口はないんだ。お腹が痛くなることはあっても、漏れる心配はないから安心だね』
なにが安心だ。
試しに、自分の深淵の穴に手を這わせてみる。
「まじかよ」
……ない! たしかに、ない!
あなが!!! ない!!!!
前の方にも!!! 何もない!!!
ゾウサンもいなければ、地面の割れ目もない!!
……。俺のからだ、ほぼマネキンじゃん。
『なに僕の体をまさぐってんだよ変態』
「やめろ」
しかしまあ。なくて困るものでもないだろう。
うんこは口からすればいいんだろ。もうやけくそだ。
「……で、これは……どうすれば良いんだ?」
『そこらに捨ててくれ。……ああ、もし妊娠させたい相手がいるなら、白い方を相手に飲ませれば良いからね。何回か飲ませれば孕ませられるよ。自分のを飲んでも意味がないけどね』
「……生命の神秘ってすごいな」
『ああすごい。さて、食事は終わったかな? 食料調達の件だけど、採集させるつもりはないからね。儀式まで時間がない。モンスターを狩るよ』
「お! モンスター狩りか!」
『おっ、乗り気だね? 人は殺さないのに? いつもの意味不明な倫理観だね!』
「ゲームで色々やってたからな。実際にやるのとはやっぱり違うんだろうが、興味はあるよ」
『うん。よし。まずは剣の使い方を教えてあげるよ。なにせ、儀式は明日だからね』
ん?
「儀式が、明日…………? 明日にあるの?」
『あれ、知らなかった? さあ、もう時間がないんだ! モンスターで特訓だよ!』
え?
「んーぅ、なんだよぉ……」
『起きろー、朝だぞおー!』
オルドの声で目が覚めた。
どうやらコイツは、立派な目覚まし時計になりそうだ。
「いま何時?」
『気温や太陽の位置から察するに、朝の6時とかだろう。さあ、早く支度して出発だ!』
「はっや……おじいちゃんかよ……」
右手を支えに起き上がり、裸の石から肌を離す。
左手には相変わらず大剣が握られていて、離れる気配は微塵もない。
不便だ。
「まずはご飯だな」
長すぎる大剣の切っ先を、半ば引きずるようにして洞窟の奥へと向かう。
隠し扉を開け、食料をあさる。
『君は、この世界をナメすぎだよね。こうも無計画に食料を浪費するとは、思ってもいなかったよ』
「言葉も通じなかったのに、世界事情なんて分かるか」
一応の反撃はするが、あまり強気には出られない。
というのも、オルドに言わせれば3日はもつはずだった食料も、2日目にして、もう半日分しか残っていない。
俺がやけ食いしたせいだ。
おまけに、この世界では飲料水は貴重らしかった。
そんな貴重な飲み水を、俺は、鼻水を拭うために使ってしまった。
鼻水に汚染された水は、日本から来た俺からしてみれば、もう飲めない。
しかし飲まないわけにもいかない。
地獄だ。
しかたなく、鼻水エキスが混ざった水をすする。
『とにかく! 今日は食料調達から始めるよ。朝食に食べていいのは、ソレと、ソレだけだからね』
そうして指示されたのは、マンゴーの形をした紫色の果物が2つだけだった。
「……ひもじいな……」
『それが、君が手繰り寄せた未来だよ』
転生した体の俺の口は、それなりに開く。なかなかの大口だ。
片手で覆える小ささの果物なんて、たったの2口で終わってしまった。
満腹中枢を刺激するために、よく噛んで食べよう。
弾力のある果実を100回ほど噛んでいると、不意にゴリッという不快音がアゴに伝わった。
「種でも噛んだか……?」
口を閉じ、舌で物体をプッと吐き出すと、出てきたのは石だった。
小指の爪ほどの大きさだ。
綺麗なサイコロ状で、表面はなめらかだ。
随分と人工的だ。
それが2つある。
一方は黒く、もう一方は白い。
「オルド、これ何?」
俺の質問に、オルドは簡潔に答えてくれた。
『精子とウンコだ』
「ん?」
『精子とウンコ。黒い方がウンコ。白い方が精子ね』
「ヌファイレ族って、口から排泄するのか……?」
『そうだよ。人間みたいに、生殖器や排泄口はないんだ。お腹が痛くなることはあっても、漏れる心配はないから安心だね』
なにが安心だ。
試しに、自分の深淵の穴に手を這わせてみる。
「まじかよ」
……ない! たしかに、ない!
あなが!!! ない!!!!
前の方にも!!! 何もない!!!
ゾウサンもいなければ、地面の割れ目もない!!
……。俺のからだ、ほぼマネキンじゃん。
『なに僕の体をまさぐってんだよ変態』
「やめろ」
しかしまあ。なくて困るものでもないだろう。
うんこは口からすればいいんだろ。もうやけくそだ。
「……で、これは……どうすれば良いんだ?」
『そこらに捨ててくれ。……ああ、もし妊娠させたい相手がいるなら、白い方を相手に飲ませれば良いからね。何回か飲ませれば孕ませられるよ。自分のを飲んでも意味がないけどね』
「……生命の神秘ってすごいな」
『ああすごい。さて、食事は終わったかな? 食料調達の件だけど、採集させるつもりはないからね。儀式まで時間がない。モンスターを狩るよ』
「お! モンスター狩りか!」
『おっ、乗り気だね? 人は殺さないのに? いつもの意味不明な倫理観だね!』
「ゲームで色々やってたからな。実際にやるのとはやっぱり違うんだろうが、興味はあるよ」
『うん。よし。まずは剣の使い方を教えてあげるよ。なにせ、儀式は明日だからね』
ん?
「儀式が、明日…………? 明日にあるの?」
『あれ、知らなかった? さあ、もう時間がないんだ! モンスターで特訓だよ!』
え?
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
扱いの悪い勇者パーティを啖呵切って離脱した俺、辺境で美女たちと国を作ったらいつの間にか国もハーレムも大陸最強になっていた。
みにぶた🐽
ファンタジー
いいねありがとうございます!反応あるも励みになります。
勇者パーティから“手柄横取り”でパーティ離脱した俺に残ったのは、地球の本を召喚し、読み終えた物語を魔法として再現できるチートスキル《幻想書庫》だけ。
辺境の獣人少女を助けた俺は、物語魔法で水を引き、結界を張り、知恵と技術で開拓村を発展させていく。やがてエルフや元貴族も加わり、村は多種族共和国へ――そして、旧王国と勇者が再び迫る。
だが俺には『三国志』も『孫子』も『トロイの木馬』もある。折伏し、仲間に変える――物語で世界をひっくり返す成り上がり建国譚、開幕!
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる