稀有ってホメてる?

紙吹雪

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第1章 出会い

レベル上げ #4

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ギルドに着いた途端、そんな不穏な言葉が聞こえていた。声はクリードのものだ。声を荒らげるなんて珍しい。

『もう!分かってるってば!』

『俺は分からない。教えて欲しい』
『俺も』

『ラッセル、分かってるなら2人に説明してやれ』

少し意地悪な気もするが理解出来ているかの確認には説明させるのが一番だ。リミルもよくアンリに『じゃあ説明してみて』と言われたものだ。説明してみると自分が何を分かっていないのかを知ることが出来て直ぐに言葉を覚えられたんだ。実際に喋るから余計に。
ラッセル達のために黙っておくことにした。


『勝手に立ち入らない、勝手に採取などしない、荒らさない、他言しないだろ?』

『それと敷地内での所有者の言いつけは厳守だ。規則はそれくらいだな。それらを破るとどうなる?』

クリードは声を荒らげてもラッセルには逆効果だと悟った。だからきちんと理解できているかの確認をしたのだが、ラッセルの答えが質問とズレたので冷静に元の質問へ戻す。

『え、と怒られる。今回はリミル君だからたぶん注意される?』


その場にいたラッセルと双子以外、全員がため息をつく。開いた状態の扉にそっともたれて聞いていたリミルも、待ち合いの椅子に座って何となしに耳に入れていた冒険者達も。

『な、なんだよ。なんかあった場合は所有者の意思が尊重されるんだろ?』

『確かにそうだ。だが、リミルだから注意で済ませると安易に考えない方がいい。今回リミルがラッセルやルースやシールを自分のダンジョンに連れていくと言ったきっかけになった横取りだが、オーバーフローの際に起こったものは基本お咎めなしのはずなんだ。街が危険に晒されてるからな。ただ、ラッセルがとても気落ちしているように見えたから罪悪感があったんだろう。だから、今回の事はリミルの温情だ。それなのに、もしお前らがあいつの言いつけを無視して勝手な行動を取ったら。その結果あいつの逆鱗に触れたら?注意だけで済むと思うか?やらかした代償は自分達で支払うんだぞ?これは親を頼ってはいけない決まりだ。だからこそ、自分達の行動に責任を持ってくれ。』

ギルレイの優しく諭すような言い方に待ち合いの椅子に座った皆はうんうんと頷いている。今の時間、この場にいるのはほとんどベテラン勢だけだ。リミルの境遇も性格も大体知っている人達だけにリミルは苦笑いした。ただ、オーバーフローの際の横取りがお咎めなしというのは知らなかった。街で参加したのが初めてだったからだが、そもそも戦っている時に誰かが居るということ自体稀なため、横取りをしてしまった事も初だ。
少しだけ罪悪感が薄まった気がした。



ラッセル達が理解を示したところでリミルは個室に入った。クリードが心配そうな顔をしたので1度部屋から出て2人で話す。

「何か懸念事項でもあるのか?」

『あいつらがこの前言ってた薬草を根こそぎ取った初心者だ。それに他の冒険者とも諍いが多くてな。ラッセルが短気なんだ。リミルが大事にしてるダンジョンだと聞いたから心配でな』

それを聞いてリミルもゲンナリしたが約束なので連れていく。その代わり制限を多めに言うことにしようと思った。
それに加えて、景色を憶えられても困ると思い、街からダンジョンの中に入るまでとダンジョンを出てから街に着くまでは感覚を奪うことにした。

「ダンジョンまでの道程を知られたくないから一時的に感覚を奪う。同意できるか?無理そうなら森での戦闘訓練に付き合っても良いが、危険が多いからレベル上げには向かないと思う」

『ダンジョンが良いけど感覚を奪われるってなんか怖い』
『感覚を奪うのってその移動の間だけだよな?具体的にどんな感じなんだ?』

『なんで道程を知られたくないの?』

 恐らく双子は分かっているのだろう『それ聞いちゃうの?』という顔をしている。素行が悪いからと言えば必ず激昂するだろう。だからリミルはもうひとつの理由を言う。

「俺の大事な場所をわざわざ他人に教えると思うか?俺が認めた奴ならともかく、詫びでそこまで出来ない。これが理由だ。」

『そん『そうだよな。俺たちもそうすると思う。』僕が『俺も自分の大事にしてる場所は教えない。』…。』

 双子が必死にラッセルの言葉を隠してるのがおかしいが、ラッセルがリミルに喧嘩を売らないようにしているのが分かるため気にしない。

『なんなんだよ!二人とも。被せて話さないでよ。リミル君は僕のことが信用出来ないってこと?』

 そう聞かれては仕方ない。違うといえばそれならと言われるのは分かっているのでハッキリ言う。

「まあ、そうだな。」

 すると予想外な返事が帰ってきた。

『なんで?』

 自分のやってる事を考えれば分かるだろうと思った。何をしても許されると思っているのか分からないが正直理解に苦しむ。なので一つずつ説明した。

「なんで?えと、まず、街を守るための掃討で獲物を取られたって言って来たやつをお前なら信用するのか?それから、レベル差も考えずに戦ってギリギリの戦いだったんだろ?そういうのは森でたまたま遭遇してしまってする死闘だ。無茶が過ぎる。そんなの自ら危険に飛び込むようなもんだろ。それに月下草の件も。俺からしたら信用する要素が見つからない。」

『そんなに言わなくてもいいじゃんか!オーバーフローの件はギルマスに怒られたし、月下草の事はクリードに怒られた!横取りはリミル君が悪いだろ!』

 リミルは落ち着いて話していたがラッセルはついに癇癪を起こした。クリードがリミルを庇う。

『落ち着け!別に責めた言い方じゃなかったろ?お前が理由を聞いたからリミルは説明したに過ぎない。それにギルが言ってたろ?オーバーフローでの横取りはお咎めなしだって。』

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