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第1章 出会い
レベル上げ #5
しおりを挟む『だからリミルがお詫びとしてレベル上げに付き合うって言ってるんだし、ダンジョン行くなら所有者の指示に従わないと行けない。ギルドの管理下のダンジョンだとラッセル達はまだ行けないし、リミルの言うように森の中は危険だからレベル上げには向かないしな…』
ギルレイも落ち着かせようとレベル上げの話に移行する。だが、そろそろダンジョンに連れていくのも嫌だなと思えてきたのでリミルはダンジョンに連れていかなくて済む方向に話を持っていくことにした。
「そういや双子の質問に答えてなかった。《無感覚》は時間経過で消える。効果は五感機能の低下だ。そこに別の魔法を重ね掛けする。3人こそ俺を信用出来るのか?」
『出来ない!』
『難しい…かな…』
『分からない。』
ここぞとばかりに反撃してくるラッセルと考えて答えた双子の様子に、リミルはひっそりと拳を握り肘を後方に一瞬グッと引く。
「なら、影獣の熊程度の経験値なら森の入口で十分だし、あそこなら他の冒険者も通るから森の中よりは断然危険も減るから、3人のレベル上げは森の入口でしようか。3人って連携はどの程度できる?」
リミルがダンジョンに連れていく気が無くなったのを理解したギルレイとクリードはほっとした様子だ。恐らく双子も分かったのか諦めた顔をしている。ギルレイがダンジョンは無しの方向で話し出した。
『ダンジョンに行かないのなら俺が行く必要はないな。というか、森の入口でレベル上げするならモーリスの道場に行かせる。どうせ鉢合わせするなら最初から任せた方が良いだろ。ということでリミルも行く必要はなくなったな。』
だが一人だけは黙っていない。
『待ってよ!何で勝手に話を進めてるんだよ!ボクはダンジョンに行きたいんだ。魔法をかけなくても何か方法があるだろ?』
「どんな方法?」
『知らないよ。それは考えてよ。僕が思いつかないようなこと、高位なんだから知ってるんでしょ?』
連れていく義務のないリミルがなぜそこまでしなければならないのか。方法を考えることすら押し付けてくる彼に怒りが湧いてくる。このままだと子ども相手に怒鳴ってしまいそうだったため、リミルは席を外すことにした。一言だけ言って。
伝家の宝刀、言い逃げである。
「自分勝手だな、お前。…ギルレイ、クリード、俺は待たせてるから行くわ。クライとジャックは?」
『はぁ?待『ああ。隣の個室にいる。』え『またな、リミル。』』
ラッセルはきっと悪い子ではない。ただ、我が儘で自分勝手で自己中で周りに気遣いのできない、少し可哀想な子だ。
この世界では子どもは授かりもので、もし、育てられない家庭に産まれたとしても、教会に連れていけば預かってくれ、直ぐに里親が見つかる。それ程までに希少な存在だ。だからこそ、家族だけでなく、親族や隣近所、行きつけの店の店主等まで、寄って集って皆で可愛がる。
だが、あそこまで身勝手なのはリミルは初めて見た。リミルが街で見かける未成人は、産まれたてくらいからラッセル達のような成人に近いものまで様々だ。しかしよく見るのは、幼い子が我が儘を言っていて親に叱られてしょんぼりする様子で、可愛らしいと思える程度だ。
我が儘を言ったり言われたりしてこなかったリミルは困惑仕切りだった。
モーリスは厳しい人だと聞いたことがある。きっと任せても問題ない。どうにかしてくれるだろう。
リミルはラッセル達についての考えを放棄し、隣の個室にいたクライとジャックを連れて森へと戻る。
ジャックならある程度早く、静かに移動できるだろうと走り出す。少しペースを緩めつつ、ジャックが可能な限り急いだ。
ラッセルの言い分を聞いた時から3人の認識がどうなのか気になっていた。3人ともギルドのルール説明は真剣に聞いていたので大丈夫だとは思いたい。
不安を抱えつつダンジョンに到着する。
『これは…綺麗なところだな。確かに隠しておきたくなるのもわかる。』
「絶対に口外するなよ?したらキツめの罰を与えかねない。」
<俺としても複雑な立場になるから気をつけてくれ。俺のジャックなら大丈夫だろうが一応な。>
『あ、ああ。俺だってそういうのはゴメンだ。』
ジャックの顔が一瞬引き攣ったが、直ぐにもちろん理解していると肯定してくれたので安心した。
3人連れ立ってダンジョンの1階層にある、クロト達を待たせている安全地帯へと入る。
3人の身体は床に転がり、奥には伏せた状態の統括が自身の左手を舐めていた。
1時間もかからず帰ってきたはずなのにこれはどういうことなのか。
「は?…統括。説明しろ。」
あまりな状況に一瞬混乱したが気を取り直して状況が聞ける統括に詰め寄る。すると毛繕いをやめた統括がこちらを向いて話し始めた。
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