稀有ってホメてる?

紙吹雪

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第1章 出会い

レベル上げ #6

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 時は遡ってリミルがダンジョンを出る前───。

「統括、今俺が面倒を見てる3人が1階層の安全地帯にいる。出ないように言ったけど一応見ておいてくれ。呼ばれてるから行ってくる。すぐに戻るから。」

 リミルにそう言われた統括は新たな兄弟が増えたのかと気になったが一応ダンジョンのボスなので出ていかずに管理室から様子を見ていた。


<人族の種族不明エニグマが一人、黒猫族が一人、森妖精が一人か。アニキが言っていたがリミルは稀有けうだな。あんな組み合わせなかなかいないだろう。それとも今では一般的なのか…。>

 黒猫族がウロウロ落ち着きなく動いている。森妖精は少し浮いて部屋にある物を片っ端からじっくり観察している。種族不明エニグマは唯一落ち着いた様子で、床に座って考え事をしているようだ。

『ここは安全地帯って言ってたよな。』

『うん。ねぇ、これなんだろ?』

『水晶玉?触って見りゃ分かるんじゃね?安全地帯なんだから罠とか無いだろうし。』

 森妖精は水晶に触れようか悩んでいるらしい。そこにウロウロしていた黒猫族が声を上げる。

『ねーねー!二人とも!少しだけ魔物見てきたらだめかな?』

『出るなって言われたからだめだよ。確か、個人所有のダンジョン内やそれに関することは所有者の指示に従う決まりがあるんだ。』

『そっか…』

『へー。ダンジョンに関しての説明はされなかったのによく知ってるな!そういやなんで説明されなかったんだ?』


 ダンジョンに関する説明はダンジョンに入る日にギルドでされる物だ。ギルレイから全員集まった時点で説明があるはずだったが、トラブルのせいで出来なくなってしまった。
 ダンジョンに関わらない者達はダンジョンでのルールを知らない。ラッセルやアキリムが知っているのは興味ゆえに誰かに尋ねたからだ。きちんとギルドで説明を受けた者はサイダンジョンの悲劇という過去の事件を疑似体験させられるため私有ダンジョンにはあまり行こうとは思わない。たとえ所有者が知り合いであっても。


<こいつらダンジョンのルールを知らないのか。ギルレイが俺様に言ったのと同じことを連れてくるやつにも教えるって言ってたのにな?>

『ジャックとラッセルが言い合いになってなかったらあの場で説明してたんじゃない?』

<なるほど、トラブルか。まあ他人の土地で好き勝手やったら駄目なことくらい分かるだろう。なにかやらかすようであれば俺様が直接行けば良いしな。>

 黒猫族が種族不明エニグマの前に腰を落ち着け、森妖精は未だ水晶の前でふよふよと少し浮いている。
 森妖精に限らず妖精族は皆、種族によって形は様々だが半透明の羽が生えている。種族レベルが低いうちはまだ浮くことしか出来ない。

『リミル君いつ戻ってくるかな?』

『迎えに行っただけだろ?直ぐに戻ってくるんじゃないか?』

『僕も直ぐに戻ってくると思う。』

 そう言って森妖精は振り向きざまに水晶に触れた。

<あ。>

 その瞬間には管理室には統括の姿はなく、3人の前に黒くて大きな豹が黒い靄と共に姿を現していた。

<いつか触りそうだなと思ってはいたがタイミングは予想外だったぞ。森妖精。>

『ひっ。魔物!しかもむちゃくちゃ強そう。』

『どうしよう。』

『落ち着けって。ここはリミルのダンジョンだ。リミルの知り合いだろ?現に喋ってるし。』

<そうだ。俺様は統括。リミルの契魔だ。種族不明エニグマ。そして落ち着いたか?黒猫族。お前は俺様と同系統なのに落ち着きがないな。まだ子猫か?>

『えぇ、まだ成人してないわ。統括は名前なの?』

<ああ。リミルは名前ではなく地位を言ったつもりだと言っていたが俺様に相応しいだろ?名前として受け取った。森妖精も落ち着いたか。強そうと言ったが実際強いはずだ。リミルより俺様の方が強いぞ。ギルレイとは戦って見なければ分からないが…アニキにはこの前も負けたな。さて、これ以上お前達と話すつもりは無い。なにかされる前にリミルが来るまで寝ててもらうぞ。《催眠ヒプノティズム》>

 3人ともその場で崩れ落ち、深い眠りについた。床に転がった3人の出来上がりだ。


<───という訳だ。>

「そうか。さすが統括だな。3人を起こしてくれ。」

<そうだろう?もっと褒めても良いぞ?《解除キャンセル》>

 ワシャワシャと統括を撫でていると3人の目がスっと開きゆっくりと身体を起こした。

『あ、リミル。戻ってきてたのか。統括が、えっとなんだっけ?俺の事エニグマって言うんだ。』

「種族な、見た目で分かるはずなのにクロトはどの種族にも当てはまらないからな。統括、こいつの種族は渡人族だ。新たな種族で異世界から来たらしい。成人はまだだな。名前はクロトだ。妖精族がアキリムで成人したて。黒猫族がニーナで未成人。こっちの今連れてきたのはジャック。成人してしばらく経つらしいからたぶん俺より年上かな?そしてクライの番らしい。」

<ほう。アニキの?……アニキ、番が現れて良かったな!ジャックとやら、番のアニキには良いがリミルには迷惑かけるなよ。リミル、後で話がある。時間が出来たら早めに管理室に来てくれ。>

 統括は管理室に消え、リミル達は早速レベル上げに安全地帯を出た。
 1階層と2階層は個別で戦い、3階層ではアキリム、クロト、ジャック、ニーナの4人でローテーションを組み2人1組で戦い、4階層では3階層での様子を踏まえてアキリムとニーナ、クロトとジャックという組み合わせで戦った。
 
 一応、アキリムが前衛、クロトとニーナが後衛または支援、ジャックが前衛または後衛ということで色々試した。だが、前衛が居ない戦いは立ち回りが大変なようで、クロトとニーナの組み合わせだとニーナが素早く、まだ弱いクロトが敵に狙われることになり危険だった。前衛を分け、クロトとニーナを分け、レベルを考えると結果そういった組み合わせになった。
 今鍛えている職業クラスに慣れたら徐々に他の武器にも慣れて所有職業クラスを増やして欲しい。
 そうすれば戦いの幅も広がるのだから。

 4階層での戦闘を終え、5階層に降りる。雰囲気が一変したことにより、4人に驚きと緊張が走る。
 2人ずつ連携して戦うが、ここまでの戦闘もあり、疲れが見える。しかし、レベルも各自少しずつ上がっていたため、このまま中ボスと一人づつ戦わせることにした。他の者が戦っている間休めるのでレベル的に優位なジャックから順に入ってもらう。

 中ボスのいる長細い部屋に、まずはジャックとリミルが入る。他のものはクライについていてもらい外で待機だ。
 ジャックは魔法で剣や自信を強化したり歯鼠ワームテールの動きを鈍らせたり魔法でも攻撃を仕掛けたりと、魔法剣士らしく戦っていた。尻尾の攻撃を受けてしまったが他は避けたり受けたりとダメージも少なかった。

 ジャックが終わると次はニーナだ。ニーナは鼠系の魔物に憎悪を抱いている可能性が高い。乗り越えられているとは言ってもまだ対峙はしていないのだからこの機会に何か無いとも言いきれないため、戦い終わってから落ち着く時間を取れるように2番手だ。

「ここの中ボスは鼠の魔物だ。覚悟だけはしとけ。」

『わ、分かった。ありがとう、リミル君。』

 ニーナとリミルがボス部屋に入ると間も無く戦闘が始まった。ニーナは一瞬カッとなった様だったが何かをブツブツと呟き冷静さを保っていた。一定の距離を保ったまま矢を射掛けるがなかなか素早く当たらない。ニーナは舌打ちをすると矢を2本構え、放った。何度か失敗していたが、やがて2本のうち、どちらかが当たるようになった。しかし、その頃には歯鼠ワームテールの前歯や尻尾での攻撃が幾度か入っていて勝敗は五分五分といった感じだった。

「危険だと思ったら割り込むからそうなる前に倒せよ。」

『分かった!』

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