稀有ってホメてる?

紙吹雪

文字の大きさ
76 / 96
第1章 出会い

レベル上げ #7

しおりを挟む
 この忠告はリミルなりの優しさだ。ニーナもそれを分かって力強く頷いた。こんなこと言わずにだまって割り込む方が抵抗される心配なく済ませられる。しかし、リミルはあえて止めに入ることを告げ、ニーナに喝を入れた。ここで冷静に対処出来ればニーナへの信頼度も上がるし、ニーナ自体の能力向上にも繋がる。恐怖や憤怒をコントロール出来れば精神力が鍛えられ、対処出来る事が増える。これはニーナにとってもパーティにとっても良いことだ。
 ニーナが短剣でトドメを刺した時にはフラフラしている状態だった。

「良くやった。ゆっくり休め。」

 リミルはポーション類を眠ったニーナに掛け回復させると、武器類を回収してからニーナを抱き上げ部屋の外に出た。

『ニーナ!?大丈夫か!?』

「シー!寝てるだけだ。頑張ったからな。ゆっくり寝かせてやってくれ。」

 慌てた様子のクロトに苦笑いしながらそう伝えると皆んなホッとした様だった。クライに凭れさせ、頭を一撫でしてアキリムを立たせた。少し怯えているようにも見える。同じくらいのレベルだろうニーナがこの状態なのだから仕方ないかも知れない。クロトも今のレベルじゃ歯鼠ワームテールとタイマンはキツイ。なので2人で戦ってみるかと提案した。

「アキリム1人だと勝つかどうかギリギリの戦いになる可能性が高い。クロトは今のままだと1人では無理だ。だから2人で戦うのもありだとは思う。ニーナはどうしても1人で戦わせたかった。ニーナのために。でも2人はそうじゃないからな。2人で決めてくれ。」

 2人は目を合わせると頷き2人で戦うと言った。アキリムが1人で戦ったとして、勝てばレベルの上がりは良いが負けそうならリミルが倒してしまい僅かしかレベルが上がらないだろう。それならクロトと戦った方がレベルの上がりは良い。クロトにとってもそれは同じでリミルと戦うよりアキリムと戦う方がレベルの上がりが良い。低いレベルの敵と戦い慣れているリミルには経験値は僅かしか入らないためだ。歯鼠ワームテールとは2人とも初戦闘なのでソロでなくともレベルの上がりが期待できる。ジャックとクライにニーナを任せ、リミルはアキリムとクロトと共にボス部屋に入った。

 ローテーションで1度組んでいたがその時戦ったのはレベル18の狐の影獣シャドウビーストで苦もなく倒していた。
 歯鼠に対しても2人はまずその時と同じようにアキリムが盾で敵の攻撃を受け止め、クロトが投げナイフでダメージを与え、アキリムがトドメを刺すために斧を振り上げた。
 しかし歯鼠は2人より素早いし今までの敵より堅い。長い尻尾での攻撃も厄介だ。アキリムが盾で歯鼠の身体を受け止めると尻尾が届く距離にきてしまい、狙われる。2度尻尾による攻撃をまともに受けてしまった。クロトには一通りポーション類は渡してあるが、タイミングが合わないようで、回復した途端にアキリムに尻尾が当たっていた。
 クロトが投げナイフで歯鼠を牽制しつつアキリムが後退し、直接渡すことにしたみたいだ。

『尻尾での攻撃が来たらそっちに盾を使って大丈夫だ。アイツ尻尾に気を取られて身体がガラ空きになってるから尻尾を受け止めてくれたら身体にナイフをいくつか突き立てる。まだ命中率が低いから何本も投げないといけない。アイツの動きが鈍くなったら投げるのを辞めるからそのタイミングでトドメを刺してくれ。合図するまでは動くなよ?俺の命中率の悪いナイフが当たったら危ないから。』

『分かった。僕は身体を受け止めたら尻尾に集中するよ。多少動くかもだけどナイフは当てないでね。行くよ!』

 作戦を立てたらしく、それからは早かった。ナイフが当たった歯鼠が目標を1度クロトに変えて尻尾を当てようとしたがアキリムがなんとか間に合い、クロトを盾で守った。それを信じていたのか捨て身でなのかクロトはナイフを投げ続けており、動きが鈍くなったところでアキリムがトドメを刺した。


 2人は2つの宝箱を前に顔を見合わせ掛け声をかけて開いた。

 リミル一行はイレアに戻ってきていた。ニーナを休ませるためにギルレイ宅に転移で戻ったが、ニーナが起きたので昼時ということでお昼を食べに出かけたのだ。

「1度ギルドによるぞ?ギルレイに報告しないと。」

『そう言えば3人ともまだダンジョンの説明受けてなかったんだよな?統括が言っていたけど。』

「そうだ!あとで統括んとこ行かないと。ご飯食べたら行ってくるから3人はギルレイからダンジョンの説明を受けておいてくれ。ギルレイにも言っておくから。」

 ジャックのおかげで思い出し、そう伝えるとジャックが3人に付き添うと提案してくれた。

「そうだな…たぶんギルレイがいるから大丈夫だろ?それより…」

<俺とジャックは依頼だな。稼がないとギルレイに頼りっきりってのは俺とリミルからしたら違和感ありまくりだ。>

『そうだな。クライと俺だとどの依頼が妥当か後で選んでくれるか?』

「分かった。選んでからお昼行こうか。」

 3人が顔を見合わせているので声をかけると、午後はレベル上げをしないのか聞かれた。

「今日はレベル上げ終わりな。その代わりこれから毎日午前中は今日みたいな感じになるけど。午後は自由にするか。3人は今日は身体を休めた方が良いだろうし。慣れてきたら無理のない範囲で依頼を受けてくれると助かる。」

 リミルがそう言うと理解を示してくれた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

転生無双なんて大層なこと、できるわけないでしょう! 公爵令息が家族、友達、精霊と送る仲良しスローライフ

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
アルファポリス様より書籍化! 転生したラインハルトはその際に超説明が適当な女神から、訳も分からず、チートスキルをもらう。 どこに転生するか、どんなスキルを貰ったのか、どんな身分に転生したのか全てを分からず転生したラインハルトが平和な?日常生活を送る話。 - カクヨム様にて、週間総合ランキングにランクインしました! - アルファポリス様にて、人気ランキング、HOTランキングにランクインしました! - この話はフィクションです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身

にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。  姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

処理中です...