稀有ってホメてる?

紙吹雪

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第2章 覚悟と旅立ち

突然の転機 #2

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「そうだな。確かに。俺はアイツらと同じ幼世代だ。でもギルレイはまだ壮世代で中世代じゃないだろ?」

『俺の世代だと、あと70年くらい大して変わらない。リミル達からすれば幼世代から青世代に変わるから大きな違いかもしれないがな。』

 ギルレイはそういっておどけたように肩を竦ませた。確かに1000年以上生きている人族からすれば70年は短いのかもしれない。

 ちなみに世代毎の年齢幅は下の通り。
幼世代→100歳未満
青世代→100歳以上300歳未満
壮世代→300歳以上1200歳未満
中世代→1200歳以上3000歳未満
高世代→3000歳以上10000歳未満
越世代→10000歳以上



「俺からすれば…70年は2~3倍?」

『あ、リミルの年齢な、調べてきたぞ。叔父ということで戸籍が見れたからな。2人はここから東南東に向かった所、この大陸で見ると1番東にある港街ルセフに住んでいるみたいだ。ルセフのギルドでリミルの戸籍も登録されていた。リミルの年齢は今年28歳だった。』

「ルセフか…行ってみたいな。俺、28歳だったんだな。これからはちゃんと年齢が言えるよ。」

 リミルは旅に出た際の最終目的地をルセフにしようと決めた。
 ルセフに住んでいたはずなのになぜリンドの森にいたのかは不明だし、両親がどこに行ったのか、何をしているのか、生きているのかさえ分からない。
 両親がどんな人達なのか知りたいような、知りたくないような。生死も分からず、今後会えるのかも分からないのに知ってどうするという気持ちと、何故一人森に置き去りにされることになったのかを知りたい気持ちと。

 ただ、自分が生まれた街は見ておきたいと思った。どれくらいの期間居たのかも分からないが戸籍の登録はされていたのだから暫くはいたはずだ。
 自分の痕跡くらいは探してみたい。


 リミルが考えに耽っているとギルレイがガサゴソと何かを取り出した。

『問い合わせた時にな、宛先が書かれた手紙があるからと送られてきたんだが…。リーマスとミルレアからだった。2人は俺とお前に手紙を残していた。』

 そう言ってギルレイは取り出した手紙をリミルに渡した。リミルは躊躇いつつも受け取ってじっくりと読んだ。


☆──────────☆──────────☆
┃親愛なる兄様、ギル兄へ          ┃
┃                     ┃
┃拝啓                   ┃
┃如何お過ごしでしょうか。         ┃
┃兄様が駆け落ちされてからどれ程の時間が経っ┃
☆たことでしょう。             ☆
┃先生はお元気ですか?           ┃
┃私は二百年ほど前にリーマスと結婚し、最近に┃
┃なってようやく子を授かりました。     ┃
┃名前はリミルです。            ┃
┃可愛い男の子で、私にとても似ているとよく言┃
☆われます。                ☆
┃リーマスが抱っこするとリミルもリーマスも穏┃
┃やかな顔をするので見ていて微笑ましいのよ?┃
┃是非見て欲しいから写し絵を同封するわ。  ┃
┃兄様も大事に持っててね。         ┃
┃リミルが大きくなったらそちらに行くだろうか┃
☆ら。                   ☆
┃                     ┃
┃ギル兄、お久しぶりです。         ┃
┃結婚の挨拶に行けなくて残念ですが、何とか御┃
┃両親に許可を頂けるくらいに強くなり、結婚し┃
┃ました。                 ┃
☆──────────☆──────────☆



☆──────────☆──────────☆
┃先生の降魔病は治せそうですか?      ┃
┃僕の方でも調べてみましたが研究者達の報告会┃
┃でも進展はしていないそうです。      ┃
┃お役に立てず、すみません。        ┃
┃その研究者の一部で怪しい噂を聞き、今度調査┃
☆する事になりました。そこで頼みがあります。☆
┃調査の間、ミルレアとリミルを預かって頂けま┃
┃せんか?何やら不穏な気配で、二人を巻き込み┃
┃たくありません。ミルレアは着いてきたい気持┃
┃ちとリミルを残したくない気持ちとで揺れてい┃
┃ましたが、もし万が一があった時、両親が居な┃
☆いのはリミルが可哀想だからと納得してくれま☆
┃した。それにまだリミルは二歳です。    ┃
┃甘えん坊で好奇心旺盛でとても可愛い、僕らの┃
┃大事な息子です。             ┃
┃安心して調査に打ち込めるよう暫く預かっても┃
┃らうだけです。一週間後、イレアに向かいます┃
☆ので、会えるのを楽しみにしていてください。☆
┃                     ┃
┃兄様、暫くリミルとお世話になります。アンリ┃
┃先生にもよろしくお伝えください。     ┃
┃敬具                   ┃
┃          ギルレイの妹、義弟より┃
☆──────────☆──────────☆



☆──────────☆──────────☆
┃僕の大事な息子、リミルへ         ┃
┃                     ┃
┃一応、何かあった時のために残しておくね。 ┃
┃文字が読めるようになったら。いや、僕がいな┃
┃くなった事が理解出来るようになった頃見せて┃
☆貰ってくれ。               ☆
┃リミルを残すことになるのはツラいから、パパ┃
┃頑張ってくるから。悪い事をしてる人達をちゃ┃
┃んと捕まえて戻ってくるから。優しくて強い子┃
┃に育ってくれ。いつも大切な人達の味方で居て┃
┃やるんだぞ。リミルの家族や友達や仲間を大切┃
☆だと思えるのはリミルだけだ。他の誰かが大事☆
┃にしてくれるとは限らないんだ。ごめんとあり┃
┃がとうくらいは言える大人になれよ。    ┃
┃                     ┃
┃パパはいつもリミルの味方だ。       ┃
┃パパずるい、ママもよ。          ┃
☆愛してるわ、リミル。           ☆
┃僕も愛してるよ、リミル。         ┃
┃                     ┃
┃僕の物は全部ミルレアとリミルの物でもある。┃
┃何かあればギル兄を頼るんだよ?ママを頼む。┃
┃       リミルが大切なパパとママより┃
☆──────────☆──────────☆


 リミルは捨てられたのではないと、愛されていたのだと分かって泣いた。愛情を感じて嬉しくて、その2人が居なくて悲しくて。
 知りたかったけど知りたくなかった。この手紙の感じだと父は死んでいる可能性が高い。それに母も。ギルレイがリミルや母と合流出来ていなかったからリミルは森にいたのだろう。それに手紙自体が届いていなかったからギルレイがリミルの存在に気づく事も出来なかった。
 そう考えると悲しくて寂しくて辛い。

<リミル、居ない2人が両親だった事はマイナスでは無い。今までと状況は同じだ。愛されていたのだから境遇はプラスに変わる。グレモスが気づかなければ捨てられたかどうかすらも知らないままだった。良い両親で良かったと思うべきだ。どうせなら生きていて欲しいのも分かるが行方不明で死亡と決まったわけじゃないだろ。 ならいつも通り過ごすしかない。>

 クライは捨てられたと思っている。実際は少し前までのリミルと同じで何故1人なのか不明だ。境遇が同じだったからこそ、子どもを捨てるような親で無くて良かったという言葉に重みを感じた。

「クライ…そう…だな。ありがとう。いつも通り期待はしないようにしよう。生きてるかもって思ってて死んでたって聞くのは流石にキツい。」

 流れていた涙が止まり、少し腫れた目で、乾いたように、寂しげに微笑むリミルを見て、ギルレイは拳をキツく握りしめた。その反対の手で写し絵をリミルに渡した。

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