稀有ってホメてる?

紙吹雪

文字の大きさ
90 / 96
第2章 覚悟と旅立ち

更なるレベル上げ #6

しおりを挟む
 ニーナは複雑そうな顔をしたがあえて無視し、ニーナに擦り寄った子猪達を眺めた。大猪達が実を2つほど持ってきたのをニーナは自分の勝手だからと受け取らないつもりみたいだった。

「受け取れ。等価交換だ。彼らの食事は貴重だ。それを2つも。それほど大事な子どもだと言うことだ。受け取らないのは失礼だぞ。」

『あ、そっか!ごめん。ありがとう。』

 今まで等価交換をしてこなかったのだろう。何かをした代わりに貰うことも、何かをしてもらった代わりに与えることも。

「生き物達との交流には等価交換は必須だ。貰うのも与えるのも自然と出来るようにならなきゃな。」

『挙げるのはやってたんだけど…。』

「強請られてからじゃないなら良いけど。」

『…強請られてからだわ。』

「それじゃ等価交換とは言えないな。してもらった代わりにそれに相応すると思ったものを渡すんだ。生き物達の価値観も知らなきゃ交換とは言えないけどな。」

『今渡された実がとても貴重な物だってリミル君が教えてくれなきゃ分からなかったしね…。』





 そろそろ夕方に差し掛かり、等価交換の第一歩も踏み出せたということで、2人は帰路に着いた。
 木の上を渡って帰りながら、リミルは見掛けた生き物達の好物や欲しがる物をニーナに教えていく。

 森の入口が見えるところに着いた時、見知った双子を見つけ、転移でギルレイの家に飛んだ。
 ラッセル達に遭遇するのはまだ早い気がした。そのため仕方なく転移した。幸い行こうと思っていた装備屋はギルレイの家からの方が近いためそう言ってニーナを連れ出す…連れ出そうと思っていたところに声がかかる。

『あれ?帰ってたの?』

「あぁ、アキリム。今帰ったんだけど、これからニーナの靴を買いに装備屋に行くよ。」

『僕も行きたい!今日言ってた買いたいものって実は細かい装備品だったんだ。』

『じゃあアキリムも一緒に行こう。てゆか、せっかくだし皆も呼ぼう。皆は?』

 アキリムもだいたいニーナと同じくらいは稼いでいる。手持ちの金額から買い物によって減る金額の割合を少しでも少なくしたかったらしい。
 ニーナも買い物が楽しみらしく、せっかくなら皆でワイワイ行きたいみたいだ。

『皆いるよー。呼んでくるね!』

「あ、アキリム、クライとジャックには声かけなくていい。どうせ呼んでも降りてこないし。クロトを呼んできてくれ。」

 リミルは慌ててアキリムを引き止めた。
 2人の逢瀬おうせを邪魔するのは良くない。リミルはクライ達が二人きりになれる時は出来るだけ邪魔しないようにしている。
 シンクロで伝わってくるのでそういったタイミングには困らない。

 了解してくれたアキリムがクロトを呼んでくると4人で装備屋に向かった。





 中央広場から北に暫く歩くと、ガラス窓から見えるところに金属以外の籠手や靴が並んだ店がある。
 そこに4人は入った。

『金属は無いのかな?』

 アキリムがポツリと言うとそこの店主のセンジラールが出てきた。小人族で少し老けて見える男だ。オッサンというに丁度いい。

『あるけどな、注文を受けてから作るんだ。人それぞれ手の形が違うから、先に作ると作り直しが大変だからな。一応見本ならあるぞ。』

 皮を使った物は後からでも直しやすいそうだ。リミルは慣れたように注文した。

「センじぃ、こいつらに合う物をいくつか見繕ってくれ。」

『俺はまだ爺じゃない。まだ400くらいだ。』

 そう、センジラールはまだまだ若い。しかし、少し前に製作途中にやらかしてしまい見た目だけが老けてしまった。ギルレイよりも年上に見える。だがさすがに爺は言い過ぎである。

「前は600とか言ってなかったか?戸籍見りゃ歳わかるんだろ?」

『態々確認しに行くくらいなら道具作りをするだろ。ほれ、これでどうだ?』

 見た目にも年にも無頓着で製作への情熱が凄いタイプだ。なぜ生産の街ルスタフではなくイレアに居るかは疑問だ。
 センジラールは目利きカーネッサーを取得している。リミルは持っていないのでそれが職業クラスなのか特殊技能スキルなのか称号なのかは分からない。本人から聞いたのと実際に目利きしたのを見て知っているだけだ。
 3人の前にそれぞれ1つか2つずつ、靴や籠手を持ってきた。

 ニーナの前に並ぶのは弓を使用するのに丁度いいデザインで命中率の上がる籠手と身につけている防具に合う防御力の上がる籠手、〈滑り止め〉と〈静音〉が付与された皮と金属で出来た靴。

 アキリムの前に並ぶのは皮と金属で出来た攻撃力が上がる籠手と金属で出来た防御力と腕力が少しずつ上がる籠手、〈滑り止め〉と〈静音〉、〈加速〉が付与された金属の靴。

 クロトの前に並ぶのは生産の成功率が上がるヘッドバンド、ナイフを装着出来て攻撃力が上がる籠手と最小限の防御面積で手首や指の動きを阻害しない生産者向けの籠手、〈滑り止め〉と〈静音〉の付与された革と金属で出来た靴、〈重力軽減〉と〈加速〉が付与された革製の靴。

「流石センジだな。」

 ヘッドバンドはセンジラールが趣味で作る小物だ。アクセサリー類を趣味で作っては何かを付与して必要としている奴がいれば声をかけ売ってしまう。
 リミルも生産があまりにも上手くいかない時、生産の成功率が上がるネックレスを見せられて買った。以来、何かを生産する時は身につけている。

「皆、物を鑑定して良く考えて買えばいい。気に入らなければ断っても良いし、センジラールに注文箇所を言えば直してくれたりもするからな。」



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

転生無双なんて大層なこと、できるわけないでしょう! 公爵令息が家族、友達、精霊と送る仲良しスローライフ

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
アルファポリス様より書籍化! 転生したラインハルトはその際に超説明が適当な女神から、訳も分からず、チートスキルをもらう。 どこに転生するか、どんなスキルを貰ったのか、どんな身分に転生したのか全てを分からず転生したラインハルトが平和な?日常生活を送る話。 - カクヨム様にて、週間総合ランキングにランクインしました! - アルファポリス様にて、人気ランキング、HOTランキングにランクインしました! - この話はフィクションです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身

にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。  姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

処理中です...