ループもの小説のモブに転生したがどうやら今世もループしそうなのでオレは肉便器になる

このえりと

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1:プロローグ①

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 今日もいつもと変わらない1日だった。いつものように授業を終え、帰宅前に身体のだるさを解消しようと学園の本館から別館へと向かう。生徒の自主学習のために建てられた別館には屋内訓練場や個室の自習室があり、オレはいつものように屋内訓練場の扉を開けた。

「ほら、そこに立て」
「もたもたするな」

 屋内訓練場の中央には3人の男子生徒が立っていた。そのうち1人は怯えた様子で、あとの2人は意地の悪そうな笑みを浮かべている。いつものオレならば、そんな光景を見たらすぐに引き返していただろう。もしくは訓練場内にいるほかの生徒たちのように、隅の方で傍観していたに違いない。
 だけど何故か、ひどく胸騒ぎがしてその場にとどまった。そして1歩、中央に向かって足を進める。いつもの日常が終わる、そんな予感がした。オレはざわつく心を落ち着かせるように深呼吸し、怯えている男子生徒に目を向ける。
 ピンクブロンドの髪に濃いピンク色の瞳をした彼は、同じクラスの生徒だ。話したことはないし、関わることもないだろう。つい先ほどまではそんな認識だったのに、彼の顔を見た瞬間――オレの脳内に文章や謎の記憶が洪水のように流れ込んできた。

(リリオン・アミスが俯いたままでいると、1人の生徒が言った。お前のような……)

「お前のような卑しい者に付きまとわれるなんて、あの方はさぞ迷惑されているだろうな」
「力も使えない出来損ないのくせに。本当は偽物なんじゃないのか?」

 2人の生徒は脳内に流れ込んできた内容の言葉を彼らの前に立つ男子生徒――リリオン・アミスに浴びせた。流れ込んでくる文章や知らないはずの記憶に混乱して、オレはその場に立ち尽くす。身体のだるさも相まって、得体のしれない気持ち悪さが全身を包んでいく。
 すると、オレの頭にまた文章が流れ込んでくる。

(はぁ……っ!? なんだよ、この内容……!?)

 流れ込んできた内容を理解した瞬間、だるさなんて忘れて訓練場の中央へと駆け出した。

「ここならお前になにをしても訓練だと言えるからな」
「そういうことだ。だから……消えろ、アミス!!」

 罵声を浴びせていた2人のうち1人がリリオンに向けて攻撃魔法を放つ。オレはリリオンと魔法を放った生徒の間に向かって手を伸ばし叫んだ。

「やめろ!!」

 攻撃魔法が当たったリリオンは大怪我を負ってしまう。頭に浮かんでくる痛々しい描写のとおりにさせてたまるかと、オレは最大限の魔力を込めてリリオンの前にシールドの魔法を放った。

「なんだっ……!?」

 放たれた攻撃魔法がシールドに当たり消滅する。リリオンは驚いて尻餅をついたが、ぱっと見た感じ怪我はしてなさそうだ。文章の通りにならなくてよかったと内心ほっとしていると、先ほど魔法を放った男がオレをじろりと睨みつけた。

「なんだ、ケイト・エスターじゃないか。どういうつもりだ?」

 嫌みたらしくこちらの名前を呼ぶ声を聞きながら、オレはリリオンをかばうように彼の前に立つ。身体のだるさが消えすっきりとした気分になりながら、オレは口を開いた。

「そっちこそ。防御の構えもしていない相手に攻撃魔法を放つなんて、とても正気とは思えないな。ここは屋内訓練場であって屋内暴行場じゃないぞ?」
「はっ! そこの婚外子に身の程をわきまえさせようと思っただけだ」
「それにこいつが学園から消えれば殿下も喜ばれるだろう。どけ、邪魔するな」
「はあ……」

 大きなため息を吐きながらちらりと後ろを向くと、こちらを見上げていたリリオンがビクッと身体を震わせた。ガタガタと怯えるリリオンの表情と、オレの脳内に今も流れ込んでくる文章の内容に胸がぎゅっと締めつけられる。
 オレはリリオンを安心させようと笑いかけ、再び2人の方に向き直る。

(どうすっかなー……衝動的に飛び出しちまったから、どうするか全然考えてなかった……)

 考えなしに首を突っ込んでしまったが、大した話術もないオレはこいつらを言葉で言い負かすことはできない。しかしリリオンを見捨てて逃げることもしたくはなかった。どうにでもなれと思いながら、オレは口を開く。

「悪いが、退くことはできないな……ああそうだ。訓練がしたいんだったよな?」
「はぁ?」
「何言って……」
「2対1なんて卑怯だし、オレはアミスに加勢して……魔法訓練をしようじゃないか。兄上から教わった強力な風魔法を試してみたいと思ってたんだよなあ」

 大岩も消し飛ばせるけどさすがに加減はする、と付け加えれば2人の生徒は青ざめた顔をする。

「……くそ、エスター家の人間が相手じゃ……」
「……覚えてろ!」

 内心ドキドキしていたけど、勝手にいろいろと想像してくれたらしい。2人の生徒は三下のような台詞を吐き捨てながら走り去っていった。

(はー……よかった、あいつらが雑魚モブで。そんでオレんちが有名で)

 ほっと胸をなで下ろしながら後ろを向き、いまだ尻餅をついているリリオンに手を差し伸べる。

「……立てるか?」
「あ、はい……すみません……」

 申し訳なさそうな顔をしながら、リリオンがおずおずとオレの手を取り立ち上がる。このまま話をしようかと思ったけど、周りの生徒たちの視線がうっとうしい。
 オレはリリオンの手を引き、屋内訓練場を出た。別館の廊下を進み、空いている自習用個室の中に2人で入る。
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