ループもの小説のモブに転生したがどうやら今世もループしそうなのでオレは肉便器になる

このえりと

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8:ネフェル③

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(へへへ……催眠状態のネフェル様、えっちだな……)

 オレがネフェル様に使った魔法――それは催眠魔法。なぜそんなものをかけたかといえば理由は簡単。オレが肉便器になるために必要だからだ。残念ながらここは、オレがいきなり肉便器になりたいと言ってすぐになれる世界じゃない。
 ほとんどの人はしっかりとした倫理観があるので、肉便器にしてと言ってもドン引きされるだけ。たしかに貴族の生徒の中には、同性なら妊娠の心配はないからと平民の生徒を自習室に連れ込む輩もいる。だけどそれもごく一部の話だ。

(そんでなによりも……ネフェル様は遊んだりするタイプじゃないしな)

 父親同士が学生時代からの友人関係だったため、オレもネフェル様とは子供の頃から何度か会ったことがあった。彼はオレを含め誰に対しても誠実な態度で、変に誰かと関係を誤解されるような行動は取らない人だ。もちろん、身体だけの関係を持った人がいるなんて噂も一切聞いたこともない。

(一度だけでいいから抱いてほしいってお願いされたときも、好きな人としか身体を重ねる気はないってはっきり断ってたんだよな……原作でお気に入りのシーンの1つだ)

 原作の回想シーンの中で出てきたセリフだ。困ったように微笑みながら、だけど真摯な態度で相手に向き合っていた、って描写を何度絵で見たいと思ったことか。
 ――そう、目の前にいるネフェル様も原作の登場人物だ。サブキャラクターとして登場し、リリオンに助言をしたり相談に乗ったりする役割を担っていた。

(家柄とか関係なくフレンドリーに接してくれて、前世を思い出す前から好意は持ってたけど……実は原作で一番好きなキャラだったんだよな……)

 こんなチャンスをみすみす逃すわけがない。たとえネフェル様の信念を無理矢理曲げることになろうとも。それにもう催眠魔法もかけてしまったので、後戻りはできない。できるかもしれないが、するつもりもない。
 それに今世はループするのだ。オレが彼を逆レイプした事実も綺麗さっぱり消えてなくなるから、ネフェル様の信念は守られるわけだ。

(だから1回だけ、許してください……!)

 心の中でそう呟いたあと、オレは意識を目の前のネフェル様に戻す。

「ネフェル様……オレがこの学園の肉便器なのは知ってますよね? 今日はネフェル様の好きに使ってください……!」

 あたかも常識だというような口ぶりで、催眠状態のネフェル様にオレが肉便器だと認識させるべく言葉を紡ぐ。ぼんやりとしながらこちらを見る彼は、少しだけ首を傾げる。

「にく……?」
「そうです。肉便器です。いくらでも使っていい都合のいい存在です。だからオレの身体を好きに犯してください。好きなだけケツにちんぽ突っ込んで、性欲を発散してください!」
「……え、っと……それは……」

 瞳を見れば催眠魔法にかかっているのは明白なのに、ネフェル様は困惑した表情を浮かべた。
 今朝使用人に練習として催眠魔法を使ったときはこんな反応をされることはなかった。あ、ちなみに使用人に変な命令はしていない。その場でジャンプしてとかその程度だ。
 ネフェル様の表情にオレも少し戸惑うが、ふと脳裏に催眠魔法について書かれた本の内容が浮かぶ。

(そういや……本人にとってあまりにも自分の中の理性やら感情やらと反する内容だと、本能で拒否して催眠が解けることがあるんだったっけ……)

 催眠魔法も万能ではないことを思い出したオレは、なんとかネフェル様に納得してもらえそうな言葉を探す。まあそもそも男、というかオレを抱きたくないというのなら諦めるしかないが。

「オレは性欲処理係、肉オナホ……」
「……」
「セックス当番……精液便所……ネフェル様の好きにコキ捨て、は駄目か……うーむ……」
「ぅ……」

 ネフェル様の瞳が一瞬揺らぎ、オレはさらに焦る。やっぱり恋人以外の人を抱かないという気持ちは強固なものだったか。諦めの気持ちも芽生えつつ、それでも一縷の望みをかけ、なんとか言葉を絞り出す。

「え……えっち係! えっち係なので、ネフェル様の好きに……抱いて? 可愛がって? ください……!」

 もうどうにでもなれと思いながら叫ぶと、ネフェル様は黙ったままじっとこちらを見つめた。バクバクと鳴る自分の心音を聞きながら、オレはゴクリと唾を飲んだ。

「……ああ、うん。そうだった、きみはえっち係だったね。きみは僕がいっぱい可愛がってあげるよ、ケイト」
「へ……」

 すり、と頬を撫でられる。瞳は催眠にかかったままで、ネフェル様は妖艶に微笑んだ。

(よ、かったあああ! けど、言い方の問題だったのか……?)

 催眠が解けなかったのは嬉しいけど、なんとなく複雑な気分。ネフェル様の恋人以外抱かないという気持ちは、催眠を破れるような強固な信念ではなかったようだ。
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