16 / 66
16:ネフェル⑪
しおりを挟む
「――ケイト」
「……はいっ」
ネフェル様の横を通り過ぎようとすると、再び名前を呼ばれる。これはやばいかもと若干上擦った声で返事をしながらオレは足を止めた。ちょっと待ってと伝えると、リリオンは不思議そうな顔をしながらも、同じように立ち止まる。
ドキドキしながら身体を強張らせていると、ネフェル様はオレの耳元に顔を寄せた。
「……今日はお願いできなさそうで残念だよ。また、明日か明後日にでも……えっち係をお願いしたいな。いい?」
オレにしか聞こえない声量でネフェル様が囁く。一瞬驚き、すぐにこくんと頷いた。
「はい。大丈夫です。お願いします」
「うん、よかった。また明日ね。それじゃあ2人とも訓練頑張って」
ふわりと微笑み、ネフェル様は歩き去って行った。内緒話のように肉便器について話した理由はよくわからないが、いい感じに催眠魔法が作用したのかもしれない。あとはネフェル様自身が性行為をひっそり行うものだと考えていて、それが反映されたとか。とにかく、リリオンにバレなくてよかった。
ふう、と安堵のため息を漏らしていると、リリオンがオレの制服の袖を軽く引っ張った。
「ん? あ、ごめんリリオン。オレたちも行こっか」
「うん……あの、ケイト……トリスティア様は……」
言いかけてやめたリリオンはなにか言いたそうに俺を見るけど口ごもったまま。どうしたのか少し考え、あ、と思い至る。
「あー……ネフェル様に相談乗ってもらってるんだけど、ちょっと人前では話しにくい内容でさ。ネフェル様も気を利かせて小声で言ってくれたんだ」
「そうなんだ……詮索してごめんね」
「うんにゃ。いきなり内緒話し出したら気になるよな」
どうやら予想は当たっていたようで、ネフェル様がオレに囁いた内容が気になったみたいだ。でまかせで言った内容だが、実際ネフェル様は他人の相談をよく受けているから疑われることはないだろう。
納得してくれた様子のリリオンと一緒に、今度こそ屋内訓練場に向けて歩き出した。
「……ぼくでも」
「んー?」
「ぼくでもよかったら、いくらでも相談に乗る……よ? ぼくじゃ頼りないかもだけど……ちゃんと秘密は守る、から……」
「はは、ありがと。なんかあったら相談するな」
そう返すと、リリオンは嬉しそうに破顔する。うん、やっぱり彼には笑顔が似合う。
「まあ、こうやって魔力の発散に付き合ってもらうだけでも十分にありがたいしな」
「そうなんだ……えへへ。ぼくでよかったらいつでも付き合うから……あ、明日でもいいよ……?」
「あー、ごめん。明日はまた用事があるんだ。また今度お願いするわ」
「うん……! いつでも、言ってね……!」
さらにぱあっと笑顔の花を咲かせるリリオンに、オレも笑顔で返す。
今世を無事ループさせるためにはリリオンと関わらない方がいいだろう。だけどこれだけ嬉しそうな笑顔を向けられては、やっぱり今さら無理だと突き放すことはできない。実際今日みたいにどうでも魔力を発散しておかないといけない日もあるし、たまに魔力の発散を手伝ってもらうくらいなら大丈夫だろう。
次にオレを肉便器として使ってくれる相手も見つけたいし、これから忙しくなりそうだ。そう思いながら、オレはリリオンと一緒に屋内訓練場へと入っていった。
「……はいっ」
ネフェル様の横を通り過ぎようとすると、再び名前を呼ばれる。これはやばいかもと若干上擦った声で返事をしながらオレは足を止めた。ちょっと待ってと伝えると、リリオンは不思議そうな顔をしながらも、同じように立ち止まる。
ドキドキしながら身体を強張らせていると、ネフェル様はオレの耳元に顔を寄せた。
「……今日はお願いできなさそうで残念だよ。また、明日か明後日にでも……えっち係をお願いしたいな。いい?」
オレにしか聞こえない声量でネフェル様が囁く。一瞬驚き、すぐにこくんと頷いた。
「はい。大丈夫です。お願いします」
「うん、よかった。また明日ね。それじゃあ2人とも訓練頑張って」
ふわりと微笑み、ネフェル様は歩き去って行った。内緒話のように肉便器について話した理由はよくわからないが、いい感じに催眠魔法が作用したのかもしれない。あとはネフェル様自身が性行為をひっそり行うものだと考えていて、それが反映されたとか。とにかく、リリオンにバレなくてよかった。
ふう、と安堵のため息を漏らしていると、リリオンがオレの制服の袖を軽く引っ張った。
「ん? あ、ごめんリリオン。オレたちも行こっか」
「うん……あの、ケイト……トリスティア様は……」
言いかけてやめたリリオンはなにか言いたそうに俺を見るけど口ごもったまま。どうしたのか少し考え、あ、と思い至る。
「あー……ネフェル様に相談乗ってもらってるんだけど、ちょっと人前では話しにくい内容でさ。ネフェル様も気を利かせて小声で言ってくれたんだ」
「そうなんだ……詮索してごめんね」
「うんにゃ。いきなり内緒話し出したら気になるよな」
どうやら予想は当たっていたようで、ネフェル様がオレに囁いた内容が気になったみたいだ。でまかせで言った内容だが、実際ネフェル様は他人の相談をよく受けているから疑われることはないだろう。
納得してくれた様子のリリオンと一緒に、今度こそ屋内訓練場に向けて歩き出した。
「……ぼくでも」
「んー?」
「ぼくでもよかったら、いくらでも相談に乗る……よ? ぼくじゃ頼りないかもだけど……ちゃんと秘密は守る、から……」
「はは、ありがと。なんかあったら相談するな」
そう返すと、リリオンは嬉しそうに破顔する。うん、やっぱり彼には笑顔が似合う。
「まあ、こうやって魔力の発散に付き合ってもらうだけでも十分にありがたいしな」
「そうなんだ……えへへ。ぼくでよかったらいつでも付き合うから……あ、明日でもいいよ……?」
「あー、ごめん。明日はまた用事があるんだ。また今度お願いするわ」
「うん……! いつでも、言ってね……!」
さらにぱあっと笑顔の花を咲かせるリリオンに、オレも笑顔で返す。
今世を無事ループさせるためにはリリオンと関わらない方がいいだろう。だけどこれだけ嬉しそうな笑顔を向けられては、やっぱり今さら無理だと突き放すことはできない。実際今日みたいにどうでも魔力を発散しておかないといけない日もあるし、たまに魔力の発散を手伝ってもらうくらいなら大丈夫だろう。
次にオレを肉便器として使ってくれる相手も見つけたいし、これから忙しくなりそうだ。そう思いながら、オレはリリオンと一緒に屋内訓練場へと入っていった。
187
あなたにおすすめの小説
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
有能すぎる親友の隣が辛いので、平凡男爵令息の僕は消えたいと思います
緑虫
BL
第三王子の十歳の生誕パーティーで、王子に気に入られないようお城の花園に避難した、貧乏男爵令息のルカ・グリューベル。
知り合った宮廷庭師から、『ネムリバナ』という水に浮かべるとよく寝られる香りを放つ花びらをもらう。
花園からの帰り道、噴水で泣いている少年に遭遇。目の下に酷いクマのある少年を慰めたルカは、もらったばかりの花びらを男の子に渡して立ち去った。
十二歳になり、ルカは寄宿学校に入学する。
寮の同室になった子は、まさかのその時の男の子、アルフレート(アリ)・ユーネル侯爵令息だった。
見目麗しく文武両道のアリ。だが二年前と変わらず睡眠障害を抱えていて、目の下のクマは健在。
宮廷庭師と親交を続けていたルカには、『ネムリバナ』を第三王子の為に学校の温室で育てる役割を与えられていた。アリは花びらを王子の元まで運ぶ役目を負っている。育てる見返りに少量の花びらを入手できるようになったルカは、早速アリに使ってみることに。
やがて問題なく眠れるようになったアリはめきめきと頭角を表し、しがない男爵令息にすぎない平凡なルカには手の届かない存在になっていく。
次第にアリに対する恋心に気づくルカ。だが、男の自分はアリとは不釣り合いだと、卒業を機に離れることを決意する。
アリを見ない為に地方に移ったルカ。実はここは、アリの叔父が経営する領地。そこでたった半年の間に朗らかで輝いていたアリの変わり果てた姿を見てしまい――。
ハイスペ不眠攻めxお人好し平凡受けのファンタジーBLです。ハピエン。
実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…
彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜??
ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。
みんなから嫌われるはずの悪役。
そ・れ・な・の・に…
どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?!
もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣)
そんなオレの物語が今始まる___。
ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️
牛獣人の僕のお乳で育った子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!
ほじにほじほじ
BL
牛獣人のモノアの一族は代々牛乳売りの仕事を生業としてきた。
牛乳には2種類ある、家畜の牛から出る牛乳と牛獣人から出る牛乳だ。
牛獣人の女性は一定の年齢になると自らの意思てお乳を出すことが出来る。
そして、僕たち家族普段は家畜の牛の牛乳を売っているが母と姉達の牛乳は濃厚で喉越しや舌触りが良いお貴族様に高値で売っていた。
ある日僕たち一家を呼んだお貴族様のご子息様がお乳を呑まないと相談を受けたのが全ての始まりー
母や姉達の牛乳を詰めた哺乳瓶を与えてみても、母や姉達のお乳を直接与えてみても飲んでくれない赤子。
そんな時ふと赤子と目が合うと僕を見て何かを訴えてくるー
「え?僕のお乳が飲みたいの?」
「僕はまだ子供でしかも男だからでないよ。」
「え?何言ってるの姉さん達!僕のお乳に牛乳を垂らして飲ませてみろだなんて!そんなの上手くいくわけ…え、飲んでるよ?え?」
そんなこんなで、お乳を呑まない赤子が飲んだ噂は広がり他のお貴族様達にもうちの子がお乳を飲んでくれないの!と言う相談を受けて、他のほとんどの子は母や姉達のお乳で飲んでくれる子だったけど何故か数人には僕のお乳がお気に召したようでー
昔お乳をあたえた子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!
「僕はお乳を貸しただけで牛乳は母さんと姉さん達のなのに!どうしてこうなった!?」
*
総受けで、固定カプを決めるかはまだまだ不明です。
いいね♡やお気に入り登録☆をしてくださいますと励みになります(><)
誤字脱字、言葉使いが変な所がありましたら脳内変換して頂けますと幸いです。
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
死に戻りした僕を待っていたのは兄たちによる溺愛モードでした
液体猫(299)
BL
1日3回AM7:20分、PM12:30分、PM19:10投稿&1話100~1500文字ほどになります。
現在新表紙イラスト作成中につき、代用品のおみくじとなっています。
【主人公(クリス)に冷たかった兄たち。だけど巻き戻した世界では、なぜかクリスを取り合う溺愛モードに豹変してしまいました】
アルバディア王国の第五皇子クリスが目を覚ましたとき、十三年前へと戻っていた。
前世でクリスに罪を着せた者への復讐は『ついで。』二度目の人生の目的はただ一つ。前の世界で愛し合った四男、シュナイディルと幸せに暮らすこと。
けれど予想外なことに、待っていたのは過保護すぎる兄たちからの重たい溺愛で……
やり直し皇子、クリスが愛を掴みとって生きていくコミカル&ハッピーエンド確定物語。
第三章より成長後の🔞展開があります。
※濡れ場のサブタイトルに*のマークがついてます。冒頭、ちょっとだけ重い展開あり。
※若干の謎解き要素を含んでいますが、オマケ程度です!
*諸々の事情により第四章の十魔編以降は一旦非公開にします。十魔編の内容を諸々と変更いたします。
【完結済み】準ヒロインに転生したビッチだけど出番終わったから好きにします。
mamaマリナ
BL
【完結済み、番外編投稿予定】
別れ話の途中で転生したこと思い出した。でも、シナリオの最後のシーンだからこれから好きにしていいよね。ビッチの本領発揮します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる