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49:イザード、と⑦
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馬車に乗り込み、リリオンが住む屋敷に寄ってほしいと御者に伝える。これまでも何度か送ったことがあったから、御者は戸惑うことなく了承した。話があるからゆっくり走ってほしいと追加でお願いすれば、わかりましたと御者は微笑んだ。
走り出した馬車の中、少しの間沈黙が流れる。しばらくして、リリオンがおずおずと口を開いた。
「ねえ、ケイト……殿下とは、その……自習室で……」
消え入りそうな声で尋ねるリリオンの頬がどんどん赤くなっていく。ピュアな反応なのにいきなり直球な質問に驚きながらも、オレは頷いた。
「ああ。セックスした。グレン様と」
「……っ!」
はっきりと答えると、リリオンは目を見開いてオレを見つめる。濃いピンクの瞳が潤んで、今にもこぼれ落ちそうだ。
彼の涙に胸が締めつけられるが、今のオレにはどんな感情も抱く資格はない。ただまっすぐ、彼を見つめ返す。
「……ケイトは、殿下と……恋人なの? ぼくがいるから関係を公にできないけど、想い合っているから、ああやって自習室でこっそり会ってる、の……?」
「いや、違う。グレン様とは恋人じゃないし、お互い恋愛感情は一切ないんだ」
「……え?」
オレの返答にリリオンはぱちぱちと目を瞬かせる。ぽろりと零れた涙を彼は袖で拭った。
「えっと……? 恋人じゃないのに、え……? じゃ、じゃあ……殿下に、脅されてるの……? もしかして、無理矢理……?」
まあ、そう考えるよな。グレン様は王族だし、実際身分が低い人を無理矢理襲う貴族もいる。
少しだけ悩んだあと、オレは意を決して口を開いた。
「……違うんだ。むしろ、オレの方が無理矢理にというか……」
「ど、どういうこと……?」
「リリオン、オレは……肉便器なんだ」
「……? にく……?」
初めて聞くであろう単語に、リリオンの頭に疑問符がたくさん浮かんでいるのが手に取るようにわかる。
「えっと、肉便器っていうのは……」
オレはリリオンに説明を始めた。もちろん、この世界が小説の中であることやループすることは伏せて。性欲が強すぎてどうしてもセックスしたいから、催眠魔法をかけてオレで性欲処理をさせるようにした、という感じで話した。
困惑しながらも、リリオンはオレの話に真剣に耳を傾ける。説明を終える頃には、彼の瞳からはすっかり涙が引っ込んでいた。
「……えっと。殿下はケイトのことを、その……いつでも抱いてもいいと思っているから、今日も、ってこと……?」
「そう。んで、催眠魔法にかかってるだけだから、グレン様はオレになんの感情もないってことだ。催眠解いたら、オレのことは一切視界に入れなくなるだろうな」
本来のグレン様は、オレのことを同学年でエスター家の人間として認識しているくらいだろう。ほかの人と同じで、その他大勢ってところだ。オレの名前なんてきっと記憶の片隅にも残らない。
「そう、なんだ……ちなみに、殿下以外は……あ、もしかして、トリスティア様に相談してるっていうのも……」
「はは、そう。ネフェル様にも催眠かけて使ってもらってる。あとは、イザード。今はそれだけかな」
ホントはもっと増やしたいんだけど、とオレは続ける。洗いざらい話したから、もう本音を隠す必要もない。
リリオンはオレの言葉を聞くと、俯いてなにやらブツブツと呟き始める。さすがに軽蔑しただろうなと思いながら見つめていると、彼ががばりと顔を上げた。
走り出した馬車の中、少しの間沈黙が流れる。しばらくして、リリオンがおずおずと口を開いた。
「ねえ、ケイト……殿下とは、その……自習室で……」
消え入りそうな声で尋ねるリリオンの頬がどんどん赤くなっていく。ピュアな反応なのにいきなり直球な質問に驚きながらも、オレは頷いた。
「ああ。セックスした。グレン様と」
「……っ!」
はっきりと答えると、リリオンは目を見開いてオレを見つめる。濃いピンクの瞳が潤んで、今にもこぼれ落ちそうだ。
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「……え?」
オレの返答にリリオンはぱちぱちと目を瞬かせる。ぽろりと零れた涙を彼は袖で拭った。
「えっと……? 恋人じゃないのに、え……? じゃ、じゃあ……殿下に、脅されてるの……? もしかして、無理矢理……?」
まあ、そう考えるよな。グレン様は王族だし、実際身分が低い人を無理矢理襲う貴族もいる。
少しだけ悩んだあと、オレは意を決して口を開いた。
「……違うんだ。むしろ、オレの方が無理矢理にというか……」
「ど、どういうこと……?」
「リリオン、オレは……肉便器なんだ」
「……? にく……?」
初めて聞くであろう単語に、リリオンの頭に疑問符がたくさん浮かんでいるのが手に取るようにわかる。
「えっと、肉便器っていうのは……」
オレはリリオンに説明を始めた。もちろん、この世界が小説の中であることやループすることは伏せて。性欲が強すぎてどうしてもセックスしたいから、催眠魔法をかけてオレで性欲処理をさせるようにした、という感じで話した。
困惑しながらも、リリオンはオレの話に真剣に耳を傾ける。説明を終える頃には、彼の瞳からはすっかり涙が引っ込んでいた。
「……えっと。殿下はケイトのことを、その……いつでも抱いてもいいと思っているから、今日も、ってこと……?」
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