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65:ケイト・エスターのこれから⑥ 【終】
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「それならば問題ない。アミスとは学園を卒業したら婚約を破棄する予定だ」
「え?」
「ぼくが王族と結婚する理由がなくなったからね。事情が複雑だからすぐに破棄できないのは残念だけど……心配しないで、ケイ。ぼくたちはちゃんと結婚できるからね」
「は?」
グレン様の言葉に便乗して、しばらく蚊帳の外だったリオがオレの手を両手で包み込みふわりと微笑む。
どういうことか事情を尋ねると、グレン様とリオが説明してくれた。神子と王族が婚姻するのは、有事の際に神に願いを叶えてもらえるように神子を側に置いておくためなんだと。
だけどリオはもう願いを使ってしまったから、無理に結婚させる必要がなくなった。神の声を聞く力は残っているからなるべく国内に留まってほしいが、結婚で縛りつけられることはなくなったらしい。
「神子の力とアミス子爵の事件の証拠提出で卒業後の就職先は約束してもらったから。贅沢はできないかもしれないけど、ケイと一緒に生きていきたいな」
「い、いやオレは……」
オレが口を開こうとすると、グレン様が先に話し出す。
「俺も卒業後は城を出る予定だが、いろいろと根回しはしている。俺と一緒に暮らそう、ケイト」
「私もおりますので、苦労はさせませんよ。殿下と3人で暮らしましょう、ケイト」
「えっと、待ってください……」
リオとグレン様、そしてイザードがまるで告白のような言葉を紡いでいく。なんだこれ。急に恋愛ゲームのエンディングが始まったような空気感。オレは誰も攻略してないし恋愛イベントなんて見てないぞ。ただ催眠魔法をかけて肉便器として使ってもらっただけだ。
戸惑っていると、ネフェル様がオレの耳にキスをしてきた。
「ねえケイト、もちろん僕を選ぶよね? 僕は爵位は継がないけれど家門の仕事を手伝っていくし、仕事も生活も一番安泰だよ。きみも薬や魔道具作りが得意だし、いずれはどこかのどかな町に移り住んで2人でお店を開くのもいいかもしれないね」
「ネ、ネフェル様まで……」
どうしてこうなってしまったんだ。いっそのことみんなに忘却をの魔法かけるか。……いや、精神系魔法は効かないんだった。
こうなったら、できることはただ1つ。
「……すみません!」
オレはネフェル様やリオの手を振りほどき、勢いよく立ち上がる。
「オレは! 誰とも結婚する気は! ありません! 失礼します!」
4人がなにか反応する前に、オレは鞄を持ち全速力で逃げ出した。背後からオレの名前を呼ぶ声が聞こえるが、無視して不自然なほど人のいない中庭を駆け抜けていく。
(くそ、なんでこんなことに……! オレはただ、今世は学園で遊びまくって、来世は慎ましく娼館通いするはずだったのに……!)
罰が当たったんだろうか。リオを見殺しにしようとして、ネフェル様たちを都合良く使おうとしたから。やり直せるなら、こんな馬鹿な真似はしないのに。……後悔しても、もう遅い。
(ひとまず……肉便器は今日で廃業だ……!)
これ以上変なことにならないように、明日からは大人しく真面目な学生に戻ろう。愛用の玩具よ、これからも一緒だからな。
――しかしそんな決意も虚しく。翌日からオレは彼らに代わる代わる求められ、愛され。淫らで楽しい学園生活を送ることになることを、校門に向かって走り続けるオレはまだ、知らなかった――。
了
「え?」
「ぼくが王族と結婚する理由がなくなったからね。事情が複雑だからすぐに破棄できないのは残念だけど……心配しないで、ケイ。ぼくたちはちゃんと結婚できるからね」
「は?」
グレン様の言葉に便乗して、しばらく蚊帳の外だったリオがオレの手を両手で包み込みふわりと微笑む。
どういうことか事情を尋ねると、グレン様とリオが説明してくれた。神子と王族が婚姻するのは、有事の際に神に願いを叶えてもらえるように神子を側に置いておくためなんだと。
だけどリオはもう願いを使ってしまったから、無理に結婚させる必要がなくなった。神の声を聞く力は残っているからなるべく国内に留まってほしいが、結婚で縛りつけられることはなくなったらしい。
「神子の力とアミス子爵の事件の証拠提出で卒業後の就職先は約束してもらったから。贅沢はできないかもしれないけど、ケイと一緒に生きていきたいな」
「い、いやオレは……」
オレが口を開こうとすると、グレン様が先に話し出す。
「俺も卒業後は城を出る予定だが、いろいろと根回しはしている。俺と一緒に暮らそう、ケイト」
「私もおりますので、苦労はさせませんよ。殿下と3人で暮らしましょう、ケイト」
「えっと、待ってください……」
リオとグレン様、そしてイザードがまるで告白のような言葉を紡いでいく。なんだこれ。急に恋愛ゲームのエンディングが始まったような空気感。オレは誰も攻略してないし恋愛イベントなんて見てないぞ。ただ催眠魔法をかけて肉便器として使ってもらっただけだ。
戸惑っていると、ネフェル様がオレの耳にキスをしてきた。
「ねえケイト、もちろん僕を選ぶよね? 僕は爵位は継がないけれど家門の仕事を手伝っていくし、仕事も生活も一番安泰だよ。きみも薬や魔道具作りが得意だし、いずれはどこかのどかな町に移り住んで2人でお店を開くのもいいかもしれないね」
「ネ、ネフェル様まで……」
どうしてこうなってしまったんだ。いっそのことみんなに忘却をの魔法かけるか。……いや、精神系魔法は効かないんだった。
こうなったら、できることはただ1つ。
「……すみません!」
オレはネフェル様やリオの手を振りほどき、勢いよく立ち上がる。
「オレは! 誰とも結婚する気は! ありません! 失礼します!」
4人がなにか反応する前に、オレは鞄を持ち全速力で逃げ出した。背後からオレの名前を呼ぶ声が聞こえるが、無視して不自然なほど人のいない中庭を駆け抜けていく。
(くそ、なんでこんなことに……! オレはただ、今世は学園で遊びまくって、来世は慎ましく娼館通いするはずだったのに……!)
罰が当たったんだろうか。リオを見殺しにしようとして、ネフェル様たちを都合良く使おうとしたから。やり直せるなら、こんな馬鹿な真似はしないのに。……後悔しても、もう遅い。
(ひとまず……肉便器は今日で廃業だ……!)
これ以上変なことにならないように、明日からは大人しく真面目な学生に戻ろう。愛用の玩具よ、これからも一緒だからな。
――しかしそんな決意も虚しく。翌日からオレは彼らに代わる代わる求められ、愛され。淫らで楽しい学園生活を送ることになることを、校門に向かって走り続けるオレはまだ、知らなかった――。
了
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