みんなそれぞれ変わった好みはあるけれど、僕の恋人にはおかしな嗜好は全くないと思う

このえりと

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 後処理を終え、ベンチやその周りにも清掃の魔法をかけていく。僕はベンチに置いていた本を片手に持ち、ダレルの肩にもたれかかる。彼は僕の腰を抱き、2人でゆっくりと歩きながら校舎へと向かっていく。僕は歩きながら、空いた手で自分のお腹を撫でた。

「どうしたの、フェリ。お腹痛い?」
「ううん、幸せだなーって。お腹の中、ダレルの精液いっぱいなの嬉しくて」

 ここにたっぷりと注がれた熱い幸せがあるのだと思うだけで、身体中が温かくなっていく。ダレルが僕のお尻の穴に防御魔法をかけてくれたおかげで、今も僕のナカには彼の精液が留まっているのだ。
 僕の言葉に一瞬驚いたダレルは、すぐにくすくすと笑った。

「嬉しいこと言ってくれるね。でも、お腹もだけど……歩くのもつらくなったらすぐに言うんだよ? ……歯止めがきかなくて、激しくしてしまったからね」
「大丈夫! ダレルが支えてくれてるし。それに、僕からもいっぱいおねだりしたから。ねえダレル……認識阻害えっち、またしようね♡」
「ああ、もちろん。フェリが望むのならいくらでも」
「やった♡」

 にやけながら、僕はダレルと一緒に校舎の中に入る。ほとんど生徒が帰ってしまった静かな廊下を歩きながら、僕はふと浮かんだ疑問を口にする。

「……ダレルにも、変だと思われそうな趣味とか好みとかってある?」

 僕がしたいと言った変なことを、ダレルは最大限――僕の望んだ以上に叶えてくれる。だけどダレルからおかしな提案をされたことはないことに気づいた。

「あるよ。周りからおかしいって言われることもあるけど……フェリは変だと思ってないみたいだから、気にしなくていいよ」
「えー、なんだろ」

 そう言われると気になる。ダレルにおかしいところなんてないけどな、とは思いつつも頭を絞ってみる。
 ああそういえば。恋人になってすぐのころはよく、お前みたいなやつはダレル様に似合わない、って言われたっけ。言われた僕よりもイアンとローレンスの方が怒ってたな。少し前のことなのに懐かしい。
 それ以外になにかあるかな、と考えていると、ちゅ、とおでこにキスをされた。

「もう、余計なことは考えなくていいんだよ。そろそろ帰ろう? ほら、外も暗くなってきた」
「え、もうそんな時間?」

 ダレルに促されて外を見ると、暗くなり始めた空に星が浮かんでいた。僕たちは教室に置いていた鞄を取りに行き、玄関へと向かう。

「……あ。明日魔術理論学の小テストあるんだった。帰ってから復習しないと」

 明日のテスト範囲はまだよく理解できてなかったから勉強しないと。小さくため息をつくと、すり、と腰を撫でられた。

「よかったら俺が教えようか?」
「ダレルも復習しとかなくていいの?」
「ああ、あの部分なら俺は去年習ったからね。もう覚えた内容だし特に必要ないかな」

 すっかり忘れていたけど、去年入学した時点では僕たちは別々の教室で学んでいたんだった。ダレルが去年いた教室は高位貴族かつ成績上位者ばかりだったから、授業の進み方も違ったのだろう。
 そこまで思い出して、少しおかしいと気づく。家柄や成績を考慮して振り分けられているから基本的に卒業まで教室が変わらないはずなのに、ダレルは今年から僕と教室で学んでいる。僕の教室は中流階級出身者が多く成績も真ん中くらいの人ばかりだ。

 教室も同じで席も隣でずっと一緒で嬉しいな、としか思っていなかったけど、まさか……僕と付き合い始めたことで成績が下がってしまったのだろうか。僕とえっちばかりしてたから、勉強がおろそかになっているのかもしれない。
 考えれば考えるほど疑問がわいてくる。そういえばダレルは後継者の座も弟さんに譲ったと言っていた。さらに、家を継がないのに居座れない、と小さな邸宅を買って今はそこに住んでいる。
 譲ったというのは見栄を張っただけで、本当は後継者にふさわしくないって言われて、家も追い出されたんじゃないだろうか。

「……ダレル、僕頑張るね」

 恋人になってからしばらく経った日に、ダレルに一緒に暮らそうと誘われた。もちろんと了承して彼が引っ越すときに僕も一緒に引っ越し、今は一緒の家に住んでいる。小さい邸宅とはいっても十分立派だし、使用人だっているのだ。僕も卒業したらしっかり働かないといけないな。
 心の中で意気込んでいると、ダレルが僕の耳元に唇を寄せる。

「そうだね。復習はさっさと終わらせて、今日もいっぱいえっちしたいね」
「……ん?」

 ダレルの顔を見ると、にこにこと微笑んでいた。うーん、やっぱりもう頭の中はえっちのことでいっぱいなのかも。これは本当に僕がしっかりしないといけない、なんて考えていると気づいたら玄関ホールまで来ていた。
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