溺愛 仕立ての 果実の味は……

藤 慶

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学校

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朝8時。




弟妹を学校に送り出し、戸締りをして家を出るとアパートの前に、シュウが立っていた。



長めのウルフカット、髪色はミルクティー。



瓜実のカタチの良い輪郭、クリクリした目。



ツンとした鼻立ち、薄い唇。



長身で、華奢な体格。




でも……。




「おはよ、姫」



「……じゃねぇよ。ふっざけんな」



「フハハ、見た目と言葉遣いがかけ離れ過ぎてて笑える」



「もう、知らねえ」




彼は、私よりも喧嘩が弱く、彼は私の手下。



自称、腹心だと言い張っている。


「そんな口利いて、見た目は本当清純そうで、馴染めねえな」



「知るか! 文句があるなら、私から羅刹を取り返して勝手にヤレっつの! 良いよ。 私はいつでもリベンジ」




私は、入学前に、羅刹高校の推薦入学の面接時に約束した。



もしも、入学して『羅刹の龍』になれたなら、学費は全額免除で良いと。



私は入学式初日、先代が卒業した事により争奪戦になった、『羅刹の龍』の座をもぎ取った。



勿論、力付くで。



その時、シュウを始め羅刹に集った名立たる不良を、全員バトルロイヤルの中で虱潰しし、私は羅刹の学費免除を勝ち取ったんだ。



在学中に『羅刹の龍』の称号を手放したら、学費免除も打ち切られれる。



だから、リベンジは受け付けるが、負けてやる訳には行かない。


「別にイブの『羅刹の龍』の器に、ケチ付ける気ねえよ。信用しろって、俺はあんたを見込んでんだ」




言いながら、シュウは私の隣に並ぶ。




「ふ~ん、その割には、よく仕掛けてくんじゃん」




時々、隙を付いては、私に組みかかって来るだろう?




「あれは、仕掛けてんじゃねえ。口説いてんだ。あんたが挑発すんのがいけねえ」



「挑発? してないよ?」




シュウが呆れ顔で私を見て言った。




「してるぜ。アンタ、言っただろ? 喧嘩に勝ったら、抱いて良いって」




私は一瞬目を剥いて、固まった。



背筋がゾワッとした。





「そんな不純な理由で仕掛けて来んなよ。キモイ」




絶対喧嘩に負けない自信があるからこそ、吐いた上等を曲解しないで欲しい。



私を抱けるのは、私と同等、又はそれ以上の男だけだ。



「なぁ、イブ~! クラブ行こぉお~。折角、羅刹に入って四天王になったのにぃいい、まだ俺、一回もVIP待遇で行ってねぇええよ」




学校の応接室は、職員室や校長室のある1F校舎の一番隅にある。




この部屋は応接室とは名ばかりで、歴代羅刹の龍とその四天王だけが使う事を許されている特別室。




教師を始め、校長も黙認、と言うかこの部屋の使用を歓迎している。

まぁ、理由は多々あって。




「……興味ない。行ってくれば、好きなだけ」




私は執務机で、校長の要望書と会計書類に目を通し、必要事項を埋めるのに忙しかった。




このペースなら、後30分程で終わる。




今日は久しぶりのバイトの休みだ。



帰ったら久しぶりに弟妹と共にたまの外食を楽しむつもりだった私は、その時はまだ何の気なしにシュウと同じ四天王のリツの話を聞き流していた。




クラブラヴィーなら、入学当時から私を除いてだがみんな頻繁に遊びに行っているはずだが?




……そう言えば、『羅刹の龍』の特権にVIPルームの利用権限があるとシュウが言っていた。



それが目当てか……。

「ばか。羅刹の証がねぇと使えねえんだよ。VIPルーム!! 普通の席で、低レベルな女供が群れてる中じゃ、愉しめねえんだって」



「だからって、誰連れて来んの? 必然、野郎ばっかになんじゃね?」



「ばっか、お前が女じゃん。 俺、今清純そうで、ドSな少女系が来てんだって、お前が居れば良いの!! もう、他の四天王なんて呼ばねえで、俺と二人で」



「うっさい、黙れ」



リツは、ナンパで、女癖が悪くて、キザだが、馬鹿正直なところが何故か憎めない、見た目イケメンのアホだ。



顎までの長さのワンレンの髪(前髪と後ろ髪が同じ丈)をいつも後ろ手にゴムで括っている。



大人びた悪(ワル)っぽい容姿が女子のお姉さま方(3年生)にウケている。


「でも~、そろそろ顔出しません? 一応、歴代の『羅刹の龍』は、3代目『羅刹の龍』が経営するクラブ『レッド ラヴィー』に挨拶を兼ねて顔を揃えて行くのが慣例っすよ。 イブ知らねぇの?」



甘ったるい言い方で、ひょっこり部屋に入って来たのは、ユキ。



四天王の一人で、私よりちょっと背が高い位の可愛い系男子だ。



四天王の残りは私。



年により、人材に恵まれた年は、『羅刹の龍(支配者)』は四天王に数えられないのだが、人材不足の折はそれも一人に数えられる。



力関係は、私ことイブ、シュウ、リツ、ユキの順番だ。




「それ、マジ?」




書類に目を通すのを辞めて顔を上げると、いつの間にかシュウもその場に加わっていた。




「あぁ、マジだよ。今日あたり行かね?」




『羅刹の龍』の慣例ならば仕方ない。





「良いよ。この書類、後10分で終わらせるから」





私の言葉に、リツとユキがやけに喜んでいた。

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