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チュートリアル

VS兵士②

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さく……せい……?」
「はい!これが先程貴方が『別に』と言いやがったポイントサービスとなります~!」

誤変換だろうか。錬金術とか、調合とか、そういう意味合いでの"作成"なら理解が出来る。
 
「気になります?気になりますよね?実はここ、貴方が最期に買ったエロゲの世界なので、そういう要素があるんですよ~」
「そ、そっちの意味で合ってるんだ」
えっちな言葉そっちの意味で理解してる人間ってそこそこ特殊性癖って自覚した方がいいですよ!」

 そんな所まで知られているとなると、もはや何を隠しても無駄なように思えた。そして言われてからようやく気付く。ラブリエルの姿形は、何も考えずにタイトルとイラストで買った挙句に開け損ねた、あのエロゲのメインイラストを飾るキャラクターに似ていたのだ。

「ちなみに、貴方あれがBLモノってわかって買ってました?」
「ウソ!?」
「もしかして~、僕が可愛いから勘違いしたんですかね~?ご愁傷様です❤︎この世界は男しか出て来ませんよ❤︎」

 まず第一に、遺品として新品未開封の搾精モノBLエロゲを置いて死んだ事、第二に、観衆が男しかいなかった事、そして確かジャケット裏には、主人公が精子を搾られる側……つまり、この世界における、主人公でないオレは、搾る犯される側のキャラクターであるという事を思い出す。

「あ、ほらほら、また話を聞かないつもりですか?僕としては序盤のクソザコ兵士に殺されるのも死亡シーン好きとしてはアリなんですけど~」

 ドッ、と衝撃と、一歩遅れて鈍い痛みが、ずしり、と少しずつ重さを増しながら腹に溜まっていく。見ると、下腹部に大層な彫刻を施された槍が深々と突き刺さっていた。空に浮いたステータス画面が赤く染まる。

「あ」

 目の前の、泣きじゃくりながらも魔漢マカラに立ち向かった勇敢なる兵士は、その槍を力一杯に真上へと振り切った。
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