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チュートリアル
VS兵士④
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瞬間、指先に小さな炎が灯る。思わず指を引っ込めそうになるが、チュートリアルさながら、いや、言い回しとしてどうしてもややこしくはなるが、とにかく指が画面に触れた時の状態から離れる様子はない。先ほどの炎とは違い、今度は熱すらなく、まぼろしのように指先にあるだけだった。
「さっきの火炙りの記憶が反映されてるみたいですね~」
「ログ?」
「『戦闘』を選択した時には、貴方のログの中で、何らかの魔法属性を持つものがここに反映されます!最新のログが『火炙り怖かったな~』だったので炎が灯っているんですよぉ。この世界のルールとして、威力はレベル次第なので、考えなしにこのまま撃ってしまえばそれこそ一つ街が消えてしまいますけど、どうします?」
「そこまでは……」
それなら、と囁くと、突然目の前にラブリエルが姿を表した。先ほどとは違い猛禽の翼を持ち、男から見ても感嘆の息を漏らす眉目秀麗な美青年であるが、オタクは年齢操作ネタに敏感なので、それがあの小さな天使と同一人物であることはすぐに理解した。
「あは❤︎そんなに僕が怖かったんですかぁ?」
こちらの意思に関係なく指先の炎は消え、代わりに聖なる(っぽい)白い光が集まる。ラブリエルの姿は兵士からも見えているようで、槍を手放し両手を祈るように組み平伏しているが、この状況を作り出した張本人である事を知っている身としては複雑な気分であった。はたから見る分には、天使が魔漢を滅するために現れたように映っているのだろう。宗教画さえ描かれるかもしれない。
「その光を僕に向けて撃ってください。神の奇跡としてきちんと処理されますよ!」
その恐ろしい笑みに嫌な予感しかしないが、逆らえば生首か火炙りである。
「撃つ……って」
「『ちちんぷいぷい』でも『ばーん』でもなんでもいいですよ~。何かしらあるでしょう?転生者はそもそも現代の知識が武器なんですから、少しはその頭で考えてくださいよぉ。もう火炙り抜きでも2回死んでるんですよ?」
恐らく、兵士にこの会話は聞こえていないようだ。オレはやや遠慮がちに指先をラブリエルに向けて振った。光の玉は誘導されるようにラブリエルの心臓を目掛けてまあまあのスピードで飛んでいき──瞬間、何も見えない純白の光が街を、人を、死体を包み込んだ。どう、と全身に衝撃が走り、吹き飛ばされ、収束する。オレは処刑台の焚き木の中に叩き付けられ、辺りの炎は全て先程の光とともに消えた。他の魔漢とされた人柱と、怨念によって焼かれた数人の観衆の死体がグロテスクに落ちているが、反射を食らったのはオレだけだったようである。木炭が数本、身体を貫き、ごぼ、と口から血が溢れた。
「さっきの火炙りの記憶が反映されてるみたいですね~」
「ログ?」
「『戦闘』を選択した時には、貴方のログの中で、何らかの魔法属性を持つものがここに反映されます!最新のログが『火炙り怖かったな~』だったので炎が灯っているんですよぉ。この世界のルールとして、威力はレベル次第なので、考えなしにこのまま撃ってしまえばそれこそ一つ街が消えてしまいますけど、どうします?」
「そこまでは……」
それなら、と囁くと、突然目の前にラブリエルが姿を表した。先ほどとは違い猛禽の翼を持ち、男から見ても感嘆の息を漏らす眉目秀麗な美青年であるが、オタクは年齢操作ネタに敏感なので、それがあの小さな天使と同一人物であることはすぐに理解した。
「あは❤︎そんなに僕が怖かったんですかぁ?」
こちらの意思に関係なく指先の炎は消え、代わりに聖なる(っぽい)白い光が集まる。ラブリエルの姿は兵士からも見えているようで、槍を手放し両手を祈るように組み平伏しているが、この状況を作り出した張本人である事を知っている身としては複雑な気分であった。はたから見る分には、天使が魔漢を滅するために現れたように映っているのだろう。宗教画さえ描かれるかもしれない。
「その光を僕に向けて撃ってください。神の奇跡としてきちんと処理されますよ!」
その恐ろしい笑みに嫌な予感しかしないが、逆らえば生首か火炙りである。
「撃つ……って」
「『ちちんぷいぷい』でも『ばーん』でもなんでもいいですよ~。何かしらあるでしょう?転生者はそもそも現代の知識が武器なんですから、少しはその頭で考えてくださいよぉ。もう火炙り抜きでも2回死んでるんですよ?」
恐らく、兵士にこの会話は聞こえていないようだ。オレはやや遠慮がちに指先をラブリエルに向けて振った。光の玉は誘導されるようにラブリエルの心臓を目掛けてまあまあのスピードで飛んでいき──瞬間、何も見えない純白の光が街を、人を、死体を包み込んだ。どう、と全身に衝撃が走り、吹き飛ばされ、収束する。オレは処刑台の焚き木の中に叩き付けられ、辺りの炎は全て先程の光とともに消えた。他の魔漢とされた人柱と、怨念によって焼かれた数人の観衆の死体がグロテスクに落ちているが、反射を食らったのはオレだけだったようである。木炭が数本、身体を貫き、ごぼ、と口から血が溢れた。
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