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「会合」
しおりを挟む重厚な空気が流れる首長室。聖堂寺光は男性職員からとある報告を受けていた。
「近頃、鳥籠のアジトが我々以外の存在に壊滅させられているそうです。正体は未だつかめていませんか、引き続き捜査をしていきます」
「分かりました。正体が判明次第、報告してください」
「はっ!」
男性職員が部屋を出た後、光は静かにため息をついた。光の脳裏にはその存在の姿が浮かんでいたのだ。
数日前に消えた二人の若い男女と今回の騒動。隼人と結巳が犯人であるのはほぼ確定だ。
「全く、年頃の少年少女は世話がやける」
光は口元に作った。しかしその目には温もりはなく、冷え切っていた。
「松阪君と結巳が行なっているとして、これは誰なんだ?」
光は近くのパソコンに表示された一枚の画像に目を向ける。それは学園祭の日。
都市部に突然現れた白いフードを被った人物だ。
忌獣に襲われそうになった結巳を助けて、隼人達とともに忌獣を倒した後、忽然と姿を消した謎の存在。
「あとは夏の合宿。それを対策本部に漏らしたのももしかたらこの人物か? 一体。どちら様なんですかね」
すると光の携帯端末の画面に着信表示が出てきた。光はそっと耳元に寄せて、電話に応じた。
「声を聞くのはお久しぶりですね。ええ。計画は順調ですよ。信頼も人も集まっています。ではそろそろですね。はい。では失礼します」
光は話し終えると、携帯を置いた。そして、懐から一枚の写真を取り出した。
「さあ、あと少しだ。それで全てが終わる」
光が一切、入らない虚ろな目でじっと写真を見つめていた。
月明かりがぼんやりと照らしている『鳥籠』の教会本部。閑散とした雰囲気が漂う室内で迦楼羅が佇んでいた。
その側には修道女の姿をした要という女が立っている。
「聖堂寺のご子息も着実に計画を進めているそうです」
「ええ。先ほど連絡を取りましたら、存じています」
「お言葉ですが、主よ。彼を信用しても良いのですか?」
「ええ。彼がこれまで我々に与えた情報は有益になっていますから」
迦楼羅は光と組んだこの六年間。彼の助けもあり、教団を大きくする事に成功していた。
対策本部に関係する組織や人物を消していくことにより、障害はなくなり教団の拡大に成功したのだ。
「それに万が一、私を裏切るような真似がすればどうなるか。彼もわかっていますから」
そう言って握っている杖に力を込めた。
「今、現在我々の脅威となるのは対策本部の幹部はもちろん。若くして幹部二人を葬った松阪隼人、聖堂寺結巳ですね」
「ええ。どれも我々の存在を脅かす者ばかりです」
迦楼羅は脳裏で学園祭の時に剣を交えた松阪隼人と十年前に教団を壊滅寸前まで追い込んだ北原ソラシノを思い出していた。
北原ソラシノは言わずと知れた脅威。一対一で戦えば迦楼羅に勝ち目はない。
松阪隼人は剣の腕は未熟だが、凄まじい可能性を感じる存在だ。
「ですが、もうすぐに全てが終わる」
迦楼羅は自身の計画の内容を思い出し、仮面の中で笑みを作る。
「左様ですか」
要が迦楼羅の言葉に応じると彼女の携帯が鳴った。同僚からの連絡だ。
「失礼します」
迦楼羅に一礼して、連絡に応じ始めた。しばらくすると携帯の電源を切った。
「どうしましたか?」
「胡乱が松阪隼人と聖堂寺結巳と接触したようです」
「そうですか。油断しないように伝えてください」
迦楼羅はそう告げると懐から携帯を取り出した。月明かりが彼の黒い鳥仮面を不気味に照らし続けていた。
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