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この世で一番最初の娘たちと、その婿たちの話。
医師フッラと、嚮導のペネムエル。
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「ここには地上のあらゆる場所の良い土が入っています。大地の北の端から南の端、東の端から西の端、乾いたところから水の底、高いところから低いところまで巡り、集め、収めたものです」
フッラには七つの袋が実りの良い七つの畑に思えました。
「まあ、なんて素晴らしい仕事をなさったのでしょう。私は今までに、こんなに素晴らしい仕事をした人を見たことはありません。私の父もこれほどの良い土を見つけ出すことはできないでしょう」
フッラが心から驚いた様子で、大きな声で言いました。何分、フッラは初めて世界中を巡って土を集めてきた人を見たのですから、その偉大さを自分が一番尊敬している人物を越えていると例えるより他に褒め称える術を知らなかったのです。
「私の姉妹たちは良い夫を得ることができるに違いありません。あなたのような兄弟のいる人が、悪い人であるはずがありませんから」
フッラはたいそう嬉しくなりました。青い服の人もフッラが喜んでいるのを見て、たいそう嬉しくなりました。
青い服の人はフッラに言いました。
「さあ、私をあなたの家族の所へ連れていってください。そこで私の兄弟たちが待っているはずだから」
フッラは少し困った顔をしました。
「私はあなたが素晴らしい人であることはわかりましたが、その他のことは少しも知りません。例えあなたが私の妹婿の兄弟であっても、少しも知らない人を家族の所に連れて行くわけには行きません」
そう言っているうちに、フッラは少し悲しくなりました。フッラが悲しそうにしているのを見ていると、青い服の人も悲しくなってきました。
「あなたの言うとうりです。私はあなたに私の名前の秘密を教えましょう。私の名前には力があります。名前を知っている人は私の力と同じ力を得るでしょう。それは私の総てを知るのと同じ事です」
フッラは訊ねました。
「確かにその通りでしょう。ではあなたの名前を私に教えてください」
「私はペネムエル。幼い者を導く者です」
青い服のペネムエルの名前を聞いた途端、フッラの全身に暖かい希望が湧いてきました。
「力強い方、すぐに行きましょう。きっと私の家族もあなたの兄弟方も、あなたが来るのを待っているでしょうから」
フッラはマッハとジョカから貰った食料の入ったポイベの袋と、ディーヴィから貰った乳の入った乳を革袋を体に結びつけますと、青い服のペネムエルに言いました。
「どうかあなたの荷物を私に別けてください。私はあなたの重荷を僅かでも軽くしたいのです」
青い服のペネムエルは大変喜びました。
御使いである青い服のペネムエルは、どれほど重い荷物を担ったところで、羽毛一つ程も重くはありません。
フッラがそのことを知らないということを青い服のペネムエルは判っておりました。ですから彼女が、本当に自分のことを思って親切にそういったのだということもわかりました。
それからペネムエルは、フッラであれば、例え御使いの力を良く知っていたとしても、きっと同じように言ったに違いないと考えました。
青い服のペネムエルは大変嬉しく思いました。
そこで、
「ではあなたの荷物のうち一つを私に持たせてください。私もあなたの重荷を僅かでも軽くしたいのです」
そう言われたフッラは、毛玉牛の乳がたっぷり入った革袋を青い服のペネムエルに渡しました。
交換に、青い服のペネムエルは土がたっぷり入った入った七つの袋のうちの二つをフッラに渡しました。
フッラはティアマトが作った頑丈な杖を突き、ヌトが作った元気の出る詩を口ずさみながら、青い服のペネムエルに手を引かれて、元来た道を戻りました。
フッラには七つの袋が実りの良い七つの畑に思えました。
「まあ、なんて素晴らしい仕事をなさったのでしょう。私は今までに、こんなに素晴らしい仕事をした人を見たことはありません。私の父もこれほどの良い土を見つけ出すことはできないでしょう」
フッラが心から驚いた様子で、大きな声で言いました。何分、フッラは初めて世界中を巡って土を集めてきた人を見たのですから、その偉大さを自分が一番尊敬している人物を越えていると例えるより他に褒め称える術を知らなかったのです。
「私の姉妹たちは良い夫を得ることができるに違いありません。あなたのような兄弟のいる人が、悪い人であるはずがありませんから」
フッラはたいそう嬉しくなりました。青い服の人もフッラが喜んでいるのを見て、たいそう嬉しくなりました。
青い服の人はフッラに言いました。
「さあ、私をあなたの家族の所へ連れていってください。そこで私の兄弟たちが待っているはずだから」
フッラは少し困った顔をしました。
「私はあなたが素晴らしい人であることはわかりましたが、その他のことは少しも知りません。例えあなたが私の妹婿の兄弟であっても、少しも知らない人を家族の所に連れて行くわけには行きません」
そう言っているうちに、フッラは少し悲しくなりました。フッラが悲しそうにしているのを見ていると、青い服の人も悲しくなってきました。
「あなたの言うとうりです。私はあなたに私の名前の秘密を教えましょう。私の名前には力があります。名前を知っている人は私の力と同じ力を得るでしょう。それは私の総てを知るのと同じ事です」
フッラは訊ねました。
「確かにその通りでしょう。ではあなたの名前を私に教えてください」
「私はペネムエル。幼い者を導く者です」
青い服のペネムエルの名前を聞いた途端、フッラの全身に暖かい希望が湧いてきました。
「力強い方、すぐに行きましょう。きっと私の家族もあなたの兄弟方も、あなたが来るのを待っているでしょうから」
フッラはマッハとジョカから貰った食料の入ったポイベの袋と、ディーヴィから貰った乳の入った乳を革袋を体に結びつけますと、青い服のペネムエルに言いました。
「どうかあなたの荷物を私に別けてください。私はあなたの重荷を僅かでも軽くしたいのです」
青い服のペネムエルは大変喜びました。
御使いである青い服のペネムエルは、どれほど重い荷物を担ったところで、羽毛一つ程も重くはありません。
フッラがそのことを知らないということを青い服のペネムエルは判っておりました。ですから彼女が、本当に自分のことを思って親切にそういったのだということもわかりました。
それからペネムエルは、フッラであれば、例え御使いの力を良く知っていたとしても、きっと同じように言ったに違いないと考えました。
青い服のペネムエルは大変嬉しく思いました。
そこで、
「ではあなたの荷物のうち一つを私に持たせてください。私もあなたの重荷を僅かでも軽くしたいのです」
そう言われたフッラは、毛玉牛の乳がたっぷり入った革袋を青い服のペネムエルに渡しました。
交換に、青い服のペネムエルは土がたっぷり入った入った七つの袋のうちの二つをフッラに渡しました。
フッラはティアマトが作った頑丈な杖を突き、ヌトが作った元気の出る詩を口ずさみながら、青い服のペネムエルに手を引かれて、元来た道を戻りました。
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